2017年03月16日 公開

子どもの力を大きく伸ばす!世界の幼児教育5選

近年、世界中で幼児教育への関心が高まりつつあります。一口に「幼児教育」といっても、さまざまな種類があるのですが、「いまいち違いが良くわからない」という方も多いのではないでしょうか。そこで世界で注目されている5つの教育メソッドを取り上げてご紹介します。

近年、世界中で幼児教育への関心が高まりつつあります。一口に「幼児教育」といっても、さまざまな種類があるのですが、「いまいち違いが良くわからない」という方も多いのではないでしょうか。そこで世界で注目されている5つの教育メソッドを取り上げてご紹介します。

モンテッソーリ教育

 (45632)

Mikhail Rulkov / Shutterstock.com
モンテッソーリ教育とは、20世紀初頭にイタリアの医学博士、マリア・モンテッソーリが考案した教育法です。

モンテッソーリ教育の基本的な考え方として特徴的なのは、「子どもは自ら成長する力を持っている存在であり、大人は子どもの自発的な活動を援助する立場である」というものです。

そのため、大人は子どもに一方的に「教育」を行うのではなく、それぞれの発達段階に適した環境を準備し、子どもたちの自主性を最大限尊重することが重要視されています。

筆者の長女も、インドでモンテッソーリ教育を取り入れているプレスクールに通っていました。とにかくたくさんの遊具や教具が用意されていたことや、先生方が子どもに滅多なことでは「NO!」と言わないことが印象的でした。

例えば、ある遊具を全く別の使い方で遊びはじめる子がいれば、「なんて新しいアイデアなの!どうやって遊ぶのか教えてちょうだい!」と声をかけます。「違います、これはこうやって使うものです」と、「教育」することはないという姿勢に学ぶ点がたくさんありました。

長女は、言語の壁もあったのか、当初プレスクールでは一人で絵ばかり描いていました。でも先生方は「他の子と一緒に遊びなさい」とは決して言わず、「すばらしい絵ね!とても上手!」といつも褒めてくれるので、段々と自信がついたようです。

プレスクールに通って1年が経つころには、お友だちの家に一人で遊びに行くほどになりました。

モンテッソーリ教育は日本でも取り入れている幼稚園が多く、100年以上もの間、世界中で活用されています。

シュタイナー教育

 (45633)

Africa Studio / Shutterstock.com
シュタイナー教育とは、20世紀の初めにオーストリアの哲学者、ルドルフ・シュタイナーが提唱した教育実践です。

特徴的なのは、すべての教科を芸術的な手法で教えていることです。歌や詩、絵などをふんだんに取り入れ、基本的に教科書は使わず、テストも行いません。

また、人間は7年ごとに節目が訪れると考えており、0歳~7歳は肉体と意志の力を、7~14歳は芸術性や感情の力を、14歳~21歳では、思考力や判断力を養えるようなプログラムが組まれています。

教科書を使わないため、子どもたちは先生の話や板書を写して、色鮮やかなオリジナルのノートを作って学びます。集中的に同じ教科を学ぶ「エポック授業」や、体を使ってさまざまなことを表現する「オイリュトミー」、線を描くことで物の形を理解する「フォルメン」など、特色のある授業が行われています。

知識偏重の学校教育とは一線を画すシュタイナー教育は、国連のユネスコが「21世紀の教育のあるべき姿を示す実践教育である」と推奨したことで、世界中から注目が集まりました。平和や国際的な連携を実践する学校として認定されているユネスコスクールには、多くのシュタイナー教育を取り入れた学校が加盟しています。

レッジョ・エミリア教育

 (45634)

Standret / Shutterstock.com
レッジョ・エミリアとは、イタリア北部にある小さな街の名前です。ここで行われていた教育法が、1991年にアメリカのニューズウィーク誌で「世界で最も優れた10の学校」に選ばれ、有名になりました。

レッジョ・エミリア教育では、芸術と探求を重視します。アトリエリスタという芸術の専門家が保育に参加し、子どもの創造的な活動を支援します。また子どもの自主性や協調性を高めるため、ひとつのテーマを数カ月以上の長期に渡って取り組んでいく「プロジェクト活動」を行います。

活動内容や制作物などをパネル展示し、いつでも見られるようにする「ドキュメンテーション」という手法にも特徴があります。

子どもたちの個々の感性を活かすことを重視したこの教育法に世界が注目しており、レッジョ・エミリアでは今も多くの保育・教育関係者が研修で訪れているそうです。

フィンランド教育

 (45635)

Pressmaster / Shutterstock.com
2000年代以降、国際学力調査(PISA)で安定的に上位をキープしているフィンランド。

「子どもが産まれると、国から衣類や絵本などの育児グッズがつまったパッケージをプレゼントされる」「大学まで学費が無料」など、フィンランドの充実した子育て支援について、聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。

フィンランド教育では子どもの自主性を重視し、生徒自身が教師と話し合いながら自分の目標を設定します。ただ暗記をする学習法ではなく、習得方法を学んだり、議論をしたり、新しい技術を使いこなすといったことを大切にしています。

また、徹底した現場主義・習得主義を掲げ、学習に困難を抱えた子どもには手厚いサポートが受けられるような体制を作っています。

フィンランドで教員になるためには大学院で修士課程を修めなければならない上、給与水準も決して高くありませんが、総じて教師の質が大変高いといわれています。尊敬と信頼を集める職業のため人気が高く、若者は憧れを持っているのだそうです。

すでに大きな注目を集めているフィンランドの教育法ですが、2016年から10年に1度カリキュラムの改正が行われることになりました。2016年の改正では、複数の教科にまたがった授業を行うことが定められたり、プログラミングが盛り込まれたりと、新しい試みもなされています。

時代の変化に合わせて柔軟に学校のシステムやカリキュラムを変えていくこと。そこにもフィンランド教育の特徴があるのかもしれません。

イエナ・プラン教育

 (45636)

Beloborod / Shutterstock.com
イエナ・プラン教育とは、ドイツにあるイエナ大学の教育学教授、ペーター・ペーターゼンが創設した教育法です。発祥はドイツですが、現在はオランダで広く普及しています。

その特徴として、まず教室をリビングルームとしてとらえるという考え方があります。教室の中央に作業台を起き、コーナーに読書スペースを設けるなど、子どもたちは学びながら、自分たちの手で教室の環境を整えていくことができます。

異年齢の子どもたちによって構成されるグループで行動することを基本とし、兄弟姉妹のような関係性を体験させます。これによって、相手の立場への気遣いや、リーダーシップを学んでいきます。

科目ごとの時間割がなく、「対話・遊び・仕事(学習)・催し」という4つの活動を循環させるカリキュラムを組みます。子どもたち自身が、自分の学習計画を立てる学校もあるようです。「ワールドオリエンテーション」と呼ばれる総合学習の時間もあり、テーマを決めて調べたり、発表をしたりします。

教師が一方的に「教え」、子どもは一方的に「習う」という関係性ではなく、教師は子どもたちのグループに加わった「グループリーダー」と考えます。イエナ・プラン教育で頻繁に行われるサークル対話(輪を作って話し合う)では、教師は答えを教える立場ではなく、子どもたちの対話を活発にするファシリテーターの役割をします。

ユニセフの「子どもの幸福度ランキング」で、2度も「世界一子どもが幸福な国」に選ばれているオランダ。その背景には、子どもの自尊心を大切にするイエナ・プラン教育も一役買っているのかもしれません。

「教える」のではなく「自発的に学ぶ」教育

 (45637)

Poznyakov / Shutterstock.com
今回ご紹介した教育法は、その手法こそ異なりますが、「子どもたちが自主的に学ぶ」ことを重視している点は共通しています。

課題を見つけ、解決策を自ら考えていく力は、大人になっても大事なスキルです。世界で使われている教育法から、良いエッセンスを取り入れていきたいですね。

\ 手軽な親子のふれあい時間を提案中 /

この記事のライター