2023年12月11日 公開

【小6のリアル】中学受験に役立つ!思考力を育てる習い事とは

体験レポ連載「塾なし!小6からの中学受験」。6回目の記事は、小6からの受験勉強を支えた「中学受験に役立つ習い事の力」について。発展的で思考力が問われる入試問題を解く学力は習い事で育てられます。

小6からの中学受験

中学入試では、学校で学ぶ内容を超えた応用問題が出されます。基礎学力だけでは太刀打ちできない問題がほとんどです。
解くためには、膨大な量の知識を頭に入れ、問題に適する知識を組み合わせたり、発展させたりする思考力を養う必要があります。
そのため中学受験を早い時期から意識されているご家庭では、「受験に対応できる学力(思考力)を育む」ために、小学校低学年までに受験専門塾に入塾させています。
また受験専門塾に通っていない場合も、基礎学力、知的好奇心、論理的思考力、算数力などを育む習い事を、幼児期からされていることが多いかと思います。
未就園児も通える学習塾や幼児教室、プログラミング教室、算数塾などは、受験を見据えた学習を早期にはじめられます。

勉強系の習い事以外でも思考力は育てられる

中学受験を意識する時期は、ご家庭によって違います。乳幼児期から準備をする親御さんもいれば、親子で話し合って小学校中学年以降に受験を決めるご家庭もあるでしょう。
我が家の娘に至っては、小6の秋からの受験勉強スタートです。(経緯についてはこちら→

幼児期から受験対策(勉強系の習い事)をしてこない場合でも、「受験に対応できる学力(思考力)」を育てることは可能です。
受験勉強のスタートがかなり遅かった娘ですが、志望校(私立中高一貫校)に合格できたのは、幼児期以降の習い事で培った力があったからだと思っています。

この記事では、これぞ小6のリアル! 娘や中学受験した娘の友達が、幼児期以降習っていた習い事を考察しながら、中学受験に役立つ習い事をご紹介いたします。

「お子さまが小さくて受験専門塾にはまだ早い。中学受験するかもしれないので思考力を育む習い事をさせたい。」

「小学校低学年で、受験は今のところ考えていないが、もしかしたら受験するかもしれない。その時に受験に対応できる学力がつく習い事を探している。」

という親御さんのお役に立てたら嬉しいです。

小6秋からの中学受験勉強を支えた”習い事で培った力”

他の受験生の方々が過去問に取り組んでいるであろう時期に、娘は「小6の単元」を終わらせているところでした。オンライン家庭教師に国語・算数・理科・社会の4教科すべてお任せしたのですが、時間がないため授業の進行が非常に早い上、宿題も多めでした。
1日に複数の教科のさまざまな単元を、次々に学習しなくてはならず、はたから見ていると「頭が混乱しないかな・・・」と心配になりました。

国語の物語文の読解問題の後、算数の旅人算や場合の数に取り組み、その後は社会の日本の産業について暗記する・・・複数の教科を効率よく学習するには、教科ごとに頭を切り替えて、今学んでいる教科に集中する「一意専心(脇目も振らず、一つのことに精神を集中すること)」であることが大切です。

娘はわからないことがあると、どんなに時間がかかっても、理解できるまで粘るタイプ。
私は内心「1つの問題に引っかかっている暇はない!さっさと親やオンライン家庭教師の先生に聞いた方が先に進めるのに・・・」と思ってしまいました。しかし、今となれば納得いくまで考える、理解できるまであきらめないという姿勢は、受験勉強を継続し、学力を上げていくには必要なことだったのだと感じます。

この「一つのことを突き詰める力」、「自分で考える力」ピアノ・通信教育・習字を長い期間習っていたからでしょう。小学校中学年くらいまでは、勉強に関しては飽きやすく、あきらめやすい子でした。

ピアノは年少~小4の7年間、通信教育は年少~小5の8年間、習字は小2~現在(中1)の期間、習っていました。

マルチタスクで脳の広範囲を鍛える「ピアノ」

通っていた幼稚園の課外授業として習い始めたピアノですが、教室を変えながら約7年間続けていました。
水泳と並んで「頭が良くなる習い事」の定番であったことも選んだ理由ですが、第一の理由は「レッスンを娘が楽しんでいたから」です。マンツーマンなので、先生との距離が近く、意見交換しながらの指導でした。娘の性格を知ったうえでの練習法や課題曲設定なので、無理なく自分のペースで上達できていました。

毎日の地道な練習を先生がレッスンの度に認めて褒めてくれたことが忍耐力自己肯定感を育てました。また人前で、演奏をするコンクールの経験によって、「緊張の中でも実力を出す」ために必要な集中力、表現力、自己コントロール力が養われました。入賞することで努力が報われる体験ができたことも良かったです。

中学受験専門塾伸学会代表 菊池洋匡氏の著書『小学生の子の成績に最短で直結する勉強法』で以下のように述べ、ピアノに限らず「音楽系の習い事」は、子どもの脳が賢く育つとしています。

音楽系の習い事をすると子どもの脳が賢く育ちます。理由の一つとして、まずは言語的な能力に対しての刺激が挙げられます。音を司る脳の領域と言語を司る脳の領域は、非常に近いところにあり、ほぼ重なっているそうです。ですから、音楽系の習い事を長期的にしている子は、国語や英語など言葉に関する能力の取得が簡単になるそうです。

もう一つの理由として、楽器の演奏を通じてワーキングメモリが鍛えられるという点があります。楽器を見ながら両手を(場合によっては足も)バラバラに動かす練習は大変なマルチタスクで、ワーキングメモリを必要とします。そのため、楽器を学んだ期間が長い人ほど、ワーキングメモリの能力が高まる傾向がハッキリあるそうです。ワーキングメモリは算数の複雑な問題や、国語の長文問題を解く上で特に重要になる能力です。

引用:菊池洋匡氏『小学生の子の成績に最短で直結する勉強法』実務教育出版,2020年,p231-232

▼東大進学者No1の開成中高ではピアノ必修だそうです!

基礎学力(英語を含む)が育てられた「通信教育」

年少から小学5年生の8年間続けた通信教育。
幼稚園の3年間は、「紙教材・付録が少な目・親子で勉強するタイプ」のものを、小学校5年間タブレット教材で「自分で学習が進められるタイプ」のものを選びました。

幼稚園の時の紙教材は、手先を使うワークや付録があるシンプルなもの。書き込んだり、切り貼りしたり、色塗りしたりしながら、読み書き、計算、一般常識、道徳などを遊びながら学べました。1日の学習時間は5分~15分

タブレット教材は、自分で学習レベルや、深めたい学びを選択できるのが良かったです。また読書オンライン英会話ライブ授業ができたりするなど、学びを広げ、知的好奇心を伸ばす手助けをしてくれました。

中でもオンライン英会話は、日常会話や自己紹介ができるレベルまで指導してもらえてありがたかったですね。指名した先生と英語でゲームやおしゃべりをする楽しい時間なので、緊張感なく自然と英語が話せるようになります。
1日の学習時間は低学年15分、中学年20分、高学年30分という感じでした。

国語・算数・理科・社会の基礎学力がつけられたことはもちろん、毎日の学習習慣がついたのが何よりの財産だと思っています。

集中力を高め、情緒が安定する「習字」

小学2年生から現在まで続けている習字。字が上手になったことも喜ばしいのですが、「黙って物事に集中できるようになったこと」が大きな進歩だったと思います。
はじめたばかりの頃は、友達とのおしゃべりや先生への質問が多くかった娘。先生から「もう少し静かに練習しましょうね。」と言われたほどでした。お迎えに行った時も、友達と話している時が多く、帰宅途中に注意することもありました。

字の上達も遅かったので、3年生に進級した頃は「習字は向いていないのかも。辞め時なのか?」と考えていました。
しかし、3年生の夏休み前に全国月間優秀賞に選ばれた時から、習字へのモチベーションが上がりました。友達と話さずもくもくと練習し、落ち着いた生徒に変貌したのです。

受験勉強中も習字だけ習っていました。勉強で煮詰まっていても、習字に行った後は、情緒も安定し、落ち着いた様子になっていました。もちろん習字の時間以外はアクティブでおしゃべりですが、例え1時間でも心落ち着ける時間を持つことは、彼女の精神的成長に大きく貢献したと感じています。

娘の周りの中学受験組の6年時点での習い事を聞いてみた

学校や習い事が一緒のお友達の中で、中学受験をした子たちの習い事について、まとめました。
受験を控えた小学6年生の時点での習い事なので、厳選された1,2個を習っている子が多いですね。
みんな恐らく受験前の5年生までは、もっと習い事の数が多かったのではないでしょうか。娘も低学年~中学年の間は、学習教室とバレエも習っていました。
娘の友人Mちゃんは、受験勉強に専念するために、習字を小6はじめに辞めています。(いつから習っていたかは不明)

同じ小学校・友人Mちゃん
同じ小学校、中学校・S君同じ小学校・K君違う小学校・娘と同じピアノ教室だったTちゃん
1年以上続けた習い事■ピアノ・・・3歳~現在まで。10年間。


■習字・・・いつから習っているかは不明。小6はじめに辞めている。
■水泳・・・3歳~小4までの8年間。

■学習教室・・・小1~小4までの4年間。
■野球・・・小1~小6の6年間。■ピアノ・・・3歳~現在まで。10年間。

中学受験専門塾に通っていた期間小5~小6の2年間
小5~小6の2年間小4~小6の3年間なし。小学校受験している。
進学先私立中高一貫校私立中高一貫校私立中高一貫校私立小学校から内部進学

共通項は「長く続けていること」

水泳、ピアノ、学習教室、野球、どれも数年間以上長く続けていますね。
どんな習い事も、上達が鈍る時、練習が面倒くさい時など、「モチベーションが下がる時期」が必ずあります。それを何度も乗り越えて、習い事を辞めずに、結果を出し続けてきたことで、「気分に関係なく、やるべきことをやる力」がついたのでしょう。
スランプに陥った時に、自分の感情をコントロールしながら、前に進む経験は、今後の人生において大きな強みとなります。

中学受験は長丁場。毎日、コツコツと勉強していても、結果に結びつかないこともあるでしょう。また、何度も同じ単元でつまずき、自分に自信がなくなることもあるかもしれません。そういった志望校合格のモチベーションが下がる時期も、毎日勉強を続ける精神の強さがあるか否かで、学力の伸びに差が出ます。

中学受験に役立つ!習い事別・伸ばせる能力

中学受験に対応できる「覚えた知識を活用する力、思考力」を育むには、どんな習い事をさせたら良いのでしょうか。
いわゆる「頭が良くなる習い事」とは、運動系・音楽系・学習系・・・どれなのでしょう。

以下の表は主な習い事を運動系・学習系・音楽系・美術系に分けて、習うことで身につく”脳”力を表したもの。習うことで伸びる”脳”力は習い事によって変わりますが、どの習い事も脳を成長させることに違いはありません。 何を習っても中学受験の糧になりそうです。

運動系学習系音楽系美術系
習い事例水泳・サッカー・野球・ダンス・バレエなど中学受験専門塾・学習塾・学習教室・算数塾・英語塾・英会話教室などピアノ・エレクトーン・バイオリンなど絵画・陶芸・書道など
育まれる”脳”力・全身運動によってワーキングメモリが向上。

・自己管理能力(目標に向かって継続的な努力ができるようになる。)
・基礎学力

・論理的思考力

・算数力

・語彙力

・自己管理能力

・読解力など
・ワーキングメモリ

・言語習得能力
・巧緻運動による脳全体の刺激によって、学習意欲が高まる。

・教科学習、運動、芸術活動など、学習活動全般の能力が向上する。

参考資料:菊池洋匡『小学生の子の成績に最短で直結する勉強法』実務教育出版,2020,P230-p234

子どもが夢中になれる習い事が頭をよくする

娘やお友達を見ていて感じたのは、「好きなこと、得意なことを習い事に選んでいる」ということです。中には親に言われて習っていたものもあるかもしれませんが、恐らく適性・趣向が合っていて、夢中になることができたのでしょう。

ピアノでも水泳でも、絵画教室でも、お子さまが楽しめる、夢中になって取り組める習い事なら、「頭が良くなる」と言えます。

ただ幼児期~小学校までの子どもは、年齢が低いほど、飽きやすく、忍耐力も低くなります。大抵の習い事は、最初の数カ月で嫌がる時がやってきます。
習い事の準備や宿題を面倒がったり、先生からの指導に反発してしまったりする時は、親御さんも後ろ向きになってしまいますよね。
「この子には向いていない。」
「教室(先生)を変えようか?」
などと考えて、辞めてしまうのはもったいないです。
その習い事が嫌な理由を聞いた上で、今まで出来ていた点、頑張っていた点を具体的に挙げて褒めることで、子どものやる気が復活することは多いです。

習い事の復習や予習を親子で取り組むのもおすすめです。ピアノの課題曲、サッカーのドリブル、英語の自己紹介・・・一緒に楽しめればどんなことでも良いです。親御さんができない場合は見守るだけでもOK!できている、成長した点は大いに褒めることで、学習意欲知的好奇心も高まります。

学力を高めるために知的好奇心を育てよう

いろいろなことに興味を持ち、知ろうとする知的好奇心中学受験を成功させる力となります。
入試問題は、膨大な知識を頭に入れた上で、それを選択し、活用して解答を導き出す思考力が必要です。この思考力は、「わからないことを自分で調べて、理解する」ことで養われます。この調べたい気持ちの原動力が知的好奇心です。

勉強に限らず、遊びや習い事の中で、お子さまがつまずくことがあったら、親御さんが一緒に考えて、行動して「疑問を解決」します。
「○○ちゃんはどう思うの?」
「図鑑に載っているかもよ。」
などと、自分で考えたり、行動したりできるよう促しましょう。

受験勉強中も習い事をするのはアリ

小学5,6年生になると、受験勉強に集中するために、習い事を減らすご家庭も多いかと思います。筆者の周囲でも、受験専門塾+習い事1~2個の子が多かったです。
確かに塾に通いながら、複数の習い事は厳しいでしょう。特に6年生になると、塾に通う頻度が増えるので、今までのペースで習い事をすると心身ともに疲れてしまうかもしれません。

もし習い事が多過ぎるようなら、お子さまと相談して「本当に好きな習い事1,2個」に絞るのはいかがでしょう。
受験勉強に追い込まれた中での、習い事は、良い気分転換となります。また習い事に行って他校、他学年と交流することで、勉強漬けの生活からいったん距離を置くこともできます。
中学受験のプレッシャーは、小学生にとってかなりのものです。習い事で受験勉強から、一時的に解放されることで、視野が広がり、心も軽くなるはずです。

▼この記事で紹介した書籍

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この記事のライター

KOMETA
KOMETA

ライター業と服飾関係のフリーランスで働く兼業主婦です。南関東在住。小6・秋に中学受験を決意した娘の数カ月間の奮闘をまとめました。途中生活リズムが崩れたり、情緒不安定になったりもありましたが(親子共に)、無事、志望校の私立中高一貫校に合格。中学受験のスタートが遅れてしまった、受験が近づくにつれて自信がなくなってきた、勉強のモチベーションが保てない…親御さん、お子さま方の不安が解消出来たら嬉しいです!