2020年9月3日 公開

小学校で「落ちこぼれたらどうしよう?」という心配は不要! 未来につながる資質や能力を育もう

園でのびのびと遊んでいた毎日から、小学校入学後、環境の変化やギャップをうまく乗り越え、学びを繋げるために親ができることは?4〜6歳頃の子を持つ親の悩みや不安の解消、知っておきたいことを「幼小接続」分野に詳しい、吉永安里先生に伺いました。

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幼児期の学びと小学校入学後の学びを家庭でスムーズにするためのポイント

ランドセルや学習机などの入学準備から、早寝早起きやトイレの生活習慣、そして「ちゃんと座って授業を聞けるか」「読み書き計算はどこまでやっておいた方がいいのか」小学校入学前の親はさまざまな心配事があります。

幼児教育の研究者の方々に、幼児期に大切にしたい家庭での学びや関わりについて語っていただく連載「小学校入学以降の学びを支える土台を幼児期に育むために、知りたいこと」。

5回目の最終回は、國學院大学人間開発学部 子ども支援学科准教授で、「幼小接続」に詳しい吉永安里先生にお話をお伺いしました。

※「幼小接続」とは、幼児期の教育(保育所、幼稚園、認定こども園)と小学校教育での学びを円滑につなげる体系的な教育を行うための試みのことです。

吉永安里(よしなが あさと)准教授
國學院大学人間開発学部 子ども支援学科准教授。研究分野は幼児期のことばの発達、小学校国語科教育法。東京女子大学文理学部心理学科卒業、青山学院大学文学部教育学科卒業、東京学芸大学大学院修士課程修了。私立幼稚園勤務、東京都公立小学校教諭、東京学芸大学附属小金井小学校教諭を経て現職。単著『ダイヤモンドチャート法』(東洋館出版社)、共編著に『あそびの中の学びが未来を開く 幼児教育から小学校教育への接続』(PriPriブックス)など。

なぜ保育園や幼稚園と小学校ではギャップがあるの?

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——園では、自由に歩きまわり、好きなことをして過ごしている時間の長かった子どもたち。小学校に入ると、着席して授業を受けることになります。そもそもなぜ、園と小学校とこんなにも違うのでしょうか? なにか意義があるからなのでしょうか。

吉永先生:幼児教育と小学校教育の考え方は、歴史的・伝統的に教育観が異なっているという事情があります。

しかし、ここ数年で、幼稚園教育要領、保育所保育指針、幼保連携型認定こども園教育・保育要領から、小・中・高の学習指導要領まで全て改訂され、子どもの資質・能力を幼児期から高校まで一貫して育てていくという方針に決定しました。小学校では2020年度から全面実施されています。

それに伴い、新1年生のために入学当初から行われる「幼稚園・保育所・認定こども園などの遊びや生活を通した学びと育ちを基礎として、主体的に自己を発揮し、 新しい学校生活を創り出していくためのカリキュラム」である「スタートカリキュラム」も本格実施となりました。

こうした幼小接続のためのカリキュラムの見直しは、幼稚園や保育所、認定こども園では、小学校に先駆けて2018年度から要領・指針が全面実施されていることもあり、幼児教育の現場では、意識がすすんでいると感じられます。小学校も変わろうとしているのは確かで、今は過渡期といえるでしょう。

時代が違う!「落ちこぼれたらどうしよう?」という心配は不要!?

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——過渡期とはいえ、園や家庭だけでは準備ができていないように感じ、小学校での授業についていけないのではと心配する保護者が多いです。

吉永先生:幼小接続の時期というのは、遊びや生活といった総合的な経験を通して、また人との直接的な関わりの中で、認知能力や社会情動的スキルが育まれるという発達的な特徴があります。「小学校1年生の勉強でつまずかないようにすること」ばかりを危惧して、小学校の学習内容を幼児期に前倒しでやることにはあまり意味がありません。

また、子どもたちがこれから大人になって生きる世界は、今の時代とは大きく異なります。親世代が受けてきた、今までの知識・技能の習得に偏重していた教育に、子どもたちをいち早く適応させようとすることによる弊害もあります

落ちこぼれないように効率的に学習して、短時間でアウトプットし、最終的にいい大学に入ることが目的となるような教育では、これからの時代に対応する力を育むことはできません

これからの時代に必要な教育や資質とは?

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——では、今求められている教育とは、どんなものなのでしょうか?

吉永先生今、世界は非常に変化の速い不確実な社会になってきています。そんな時代に必要とされる教育は、将来、社会がどのように変化しても、柔軟に対応し、あらたな時代を創造する力を育むことです

目の前に出されたドリル教材をこなすような単純な反復学習はAIにもできます。自分でやりたいことを見つけて、自分で解決できるようにするのが大事です。

今、「やりたいことは何?」と聞いても答えられない子、一律の手順やマニュアルが示されないと不安になる子が多くなっています。

親の与えたもの・ことに満足しているだけだと、自分で選んで決める力=自己決定力が弱くなってしまいます。やりたいこと・興味のあることを子ども自身が見つけて、それに夢中になれるような経験が必要です。

そうした経験の中で、「わからなくても、できなくても挑戦し続けよう」という粘り強く学ぶ姿勢や、試行錯誤しながら自分で答えを見つけ出したり、人と考えを伝え合ったりする力が育まれていきます

コロナ禍でこれからの教育はどう変化する?

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——コロナ禍で休園・休校が続き、今後も予想しにくい時期に感染の波が来る可能性もあります。家庭で学習をさせる期間が長く続いているわけですが、「うまく対応できない」と悲鳴にも近い声が聞かれます。保護者は先生の代わりになれるのでしょうか? また教育の仕方は変わるのでしょうか?

吉永先生:このコロナ禍で、2020年度のスタートカリキュラム元年も出端をくじかれた格好になってしまいました。でも、親御さんも先生も、学校や園が子どもにとってどういう場であるのか、どんな場であったらよいのかを改めて考える時間になったのではないでしょうか。

「当たり前にやってきたことでも、子どもたちに不安や緊張感を与えていることもあるとわかった」とおっしゃる先生も多くいます。

コロナ禍をきっかけに、オンラインでの授業など、あらたな時代に適応した教育方法を始めようという動きも見受けられます。また、コロナ禍で学習時数が大幅に削減される中、改めて「資質・能力とはなんなのか」と考え、子どもたちが主体的・対話的で深い学びができるような指導を、改めて大切にするよう求められています。

自粛期間中、園や学校の代わりに親御さんが勉強をみなければならず「教える」ことの難しさを実感された方も多いと思います。

目の前に教科書があって「やりなさい」と言えば、子どもは勉強するわけではありません。まず、勉強する内容に興味を持てるようにすることが大切です。学校では子どもに興味付けをする仕掛けを先生たちが工夫しています。クラスのお友だちと一緒に勉強することで意欲的になれるということもあります。家庭での学習も、学習内容へ興味付ける親御さんの関わりや親御さんと対話しながら学習することが、子どもたちの意欲につながります。

親とだけではなく、他者との関わりを大事に

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——小学校入学にあたって、未就学の時から意識しておくべきことはありますか?

吉永先生学校に行ってから重要になるのは「他者」の存在です。他者との関わりを子どもたちが意識できるようにしましょう。

幼児期は、親も保育士や幼稚園の先生も、その子をわかった上で、気持ちや行動の意味を汲んで関わっています。

特に家庭では、説明要らずで「あれ・これ・それ」で理解してしまうし、何なら視線だけでも通じてしまうこともあるでしょう。でも、小学校にはクラスメイトや先生など、自分の状況を理解していない「他者」とたくさん出会います。親のように、自分のことをいつでもなんでもわかってくれるわけではない他者に、わかりやすくより詳しく説明しなければならなくなるのです。

親子で5WIHを意識し、伝わる会話を

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——親が具体的にできることはなんでしょうか?

吉永先生:状況を相手に理解できるように説明するには5W1H(誰が・いつ・どこで・なにを・なぜ・どのように)が必要です。まずは、親が見本となって、5W1Hが伝わるように話してみる、また、子どもからの説明にも5W1Hを求めるようにしてみてください。この時に、「うまく説明できていない」と叱るのではなく、足りない情報を「誰と行ったの?」「どんな気持ちだったの?」など、子どもの話を温かく受けとめながら、質問をしてあげられるとよいです。

幼児期の後半くらいから始めましょう。特に年中から年長くらいの時期は、子どもも説明することに興味を持ち始めますし、いろいろ聞いたり話したりしたがる時期です。大人からも質問をすることで、興味を持って自分の話を聞いてもらえるという実感も生まれます。

また、親以外のいろいろな人と接することも、説明する力を高めます

「できるーと」で育む小学校入学後に役立つ力

——「できるーと」で期待できることを教えてください。

吉永先生:誰かとコミュニケーションを取りながら、問題を解いたり作ったりできるという、希少な教材だと思います。

一般的に「ワークは子どもがひとりで取り組むもの」となりがちですが、「できるーと」は自分で問題を作り、親子で取り組めるので「お父さんだったらどんな問題作るかな」など子どもが他者の視点を意識できます

オンラインでお友だちとお互いに問題をつくり合って取り組むのもいいですよね。離れて暮らすおじいちゃんおばあちゃんに作った問題を解いてもらうという活用の仕方も楽しいですね。

自分がどう考えて作ったのか説明することで、コミュニケーションも取れますし、他者の考えを知ることもできます

保護者が声をかける際に参考になるコメントも、できるーとの保護者用アプリにたくさん紹介されています。親御さんや他の人からのフィードバックは、子どもの励みになり、とても大切です。

最初は、「できる―と」に掲載されている言葉をそのまま使ってもいいと思います。そのうちに、だんだんコツがつかめてきて、バリエーションが広がってきます。

結果ではなく、子どもの思考の過程について具体的にフィードバックすることが大切です。具体的で多様なフィードバックを受け取ることで、子どもは自分の考えに自信を持てるようになり、考えを表現することを恐れない子に育ちます

資質・能力を総合的に高める

——今後の教育で、必要とされる力を育てるのにも役立ちそうですね!

吉永先生これからの教育で大切なことは、先ほど述べたように知識・技能、思考力・判断力・表現力等、学びに向かう力・人間性等を高めることです。「できる―と」はこれらの力を総合的に育んでくれますね。

小学校以降の教育は、コンテンツ(学習内容)を獲得していくことにも重点がおかれます。幼児期は、そのコンテンツを入れる器を作る時期。大きな器を作れば、自然とコンテンツはたくさん入っていきます。幅広く、たくさんのことを受け止められる、大きな器を作っていくことが大事なのです。

例えば、小学校の学習指導要領では、ひらがなは小学校に入ってから学習することになっています。幼児期には正しく読んだり書いたりできるようになることよりも、ひらがなを読んだり書いたりしてみたいと興味を広げたり、意欲を高めたりすることが重要です。繰り返すうちに生活や遊びの中で自然とひらがなを覚えていきますが、正しく読むこと、字形を整えて書くことなどは、本格的には小学校で学べばいいことなのです。

やってみたい、できるようになりたいという興味や意欲を刺激し、しかも他者とのコミュニケーションも取れる「できるーと」。ぜひ、家庭でのお子さんの学びに活用していただければと思います。

--ありがとうございました!

(取材・文/小栗素子)
↓過去の連載「小学校入学以降の学びを支える土台を幼児期に育むために、知りたいこと」記事は↓から

「できるーと」とは?

『できるーと』 は絵本(アナログ教材)とアプリ(デジタル教材)のそれぞれの特長を活かしつつ、思考力・発想力を育てられる家庭学習教材です。

ワークえほん×ワークアプリ×おうえんアプリの3つの教材からなり、デジタル教育コンテンツに力を入れる凸版印刷と、絵本や保育教材の出版社のフレーベル館がタッグを組んだサービスです。

「ワークえほん」はストーリーを楽しみながら、鉛筆で書いたり貼ったり切ったりする体験を通して、数や量、図形について学んでいきます。

「ワークアプリ」では、ワークえほんで身につけた基礎を活用して、自分なりの考え方や解き方で工夫しながら問題に取り組みます。理解度に合わせて徐々に難易度を上げながら、繰り返しチャレンジできる問題をたくさん収録しています。自分でオリジナルの問題を作ることもでき、理解がぐんと深まります。

「おうえんアプリ」は保護者用のアプリです。子どもの学習状況がリアルタイムにスマホに届き、教え方やほめ方など適切な指導の仕方がわかります。一日の学習の振り返りとして、子どもができたことを具体的にほめることができ、自尊心と自己効力感を高めることに役立ちます。

詳しくは下記の記事をご覧ください。

【体験談】「できるーと」使用レポート

実際に取り組んだ親子の感想をお伝えします。今回は5歳(年長)と2歳の兄弟ができるーとの「かず1」を使ってみた様子です。

いつもはいじってはいけないと言われることが多い、スマホやタブレットを使えるのもとても楽しそうでした。アプリは動きがあるので、集中力がいつもより長く続きました。

また、保護者おうえんアプリは、なぜこの問題をやるのか?について書かれているので、親も質問の意図を理解し、サポートできる点がとても良いと思いました。

親子共に達成感を感じられるシステムに感動!!

また、兄がやっているのを横から見ているだけで、弟も楽しいらしく、おとなしく見学していました。逆に弟がやっている時は、兄が教えたりして、学びの時間として有意義に使うことができました。

【楽天市場】かず1 集合/順序:できるーと 楽天市場店

1500 ※税別、アプリ利用料を含む
■出版社:フレーベル館 ■監修:無藤隆/白川佳子 ■指導:和田美香/吉永安里 ■企画/編集:凸版印刷 教育事業推進本部 ■対象年齢:4・5・6歳 ■66ページ/全面カラー ■算数力の基礎となる、物の特徴を正しく捉える力、物の数や順序を数字で表す力を育めます。

【楽天市場】かず2 たし算・ひき算/いろいろな数:できるーと 楽天市場店

1500 ※税別、アプリ利用料を含む
■出版社:フレーベル館 ■監修:無藤隆/白川佳子 ■指導:和田美香/吉永安里 ■企画/編集:凸版印刷 教育事業推進本部 ■対象年齢:4・5・6歳 ■66ページ/全面カラー ■身近な物や生活体験をもとに、たし算・ひき算の基礎力や、お金や時計などの概念を理解する力を育めます。

【楽天市場】かず3 比較/図形:できるーと 楽天市場店

1500 ※税別、アプリ利用料を含む
■出版社:フレーベル館 ■監修:無藤隆/白川佳子 ■指導:和田美香/吉永安里 ■企画/編集:凸版印刷 教育事業推進本部 ■対象年齢:4・5・6歳 ■70ページ/全面カラー ■比較や図形の学びを通じて、多様な視点から物事を捉える力や論理的思考力を育みます。
できるーとが気になった方はこちら

・できるーと公式SNS
フォローして「#できるーと」をつけてお子さまの様子やご感想を投稿してくださいね。
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・アプリのおためしダウンロード
アプリのダウンロードはこちらからどうぞ。一部、おためしコンテンツを無料で利用可能です。
※ワークアプリのおためしコンテンツ以外の問題やおうえんアプリは、ワークえほんをご購入いただいた方のみ、利用できます。
※ワークアプリはタブレットでの利用、おうえんアプリはスマートフォンの利用をお勧めします。タブレット・スマートフォンはご家庭でご用意ください。
この記事は執筆時点のものですので、最新情報は公式サイト等でご確認ください。

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