2022年11月14日、東京駅八重洲口からすぐの高層ビルの中に移転したことで話題の中央区立城東小学校で、「プログラミング教育 HALLO」の出張授業が行われました。この授業が開催された背景には、同校の先生方の「子どもたちのプログラミング的思考を深めてもらいたい」との思いがありました。
プログラミング教育HALLOの体験型授業を通して得られるものとは何か、当日の授業中の子どもたちの様子、出張授業を通して感じられたこと。同じ小学生の子を持つ親目線も踏まえて余すことなくレポートします。
文部科学省の小学校プログラミング教育の手引き
2020年、小学校でのプログラミング教育がスタートし、2025年には大学入試共通テストの出題科目にもなった「情報」分野。さらに2022年、文部科学省の小学校プログラミング教育の手引きに2点改定がありました。
②環境整備、研修などに関する記載の追記(第5章)
①は、「プログラミングが社会でどう活用されているか」に焦点を当て、企業に連携しながら行う指導例の追加という意味です。
②は、ICT環境・教材の整備の必要性や留意事項についてや、研修の必要性や留意事項について記載がされています。
今回、東京都内の公立小学校である城東小学校でプログラミング教育の出張授業が開催されたのは、この文部科学省の手引きも踏まえ、子どもたちのプログラミング的思考を深める狙いがありました。
(引用)https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/zyouhou/detail/1403162.htm
プログラミング教育 HALLOとはどんな教材?
プログラミング教育 HALLOとは、ビジュアルプログラミング言語から本格的なテキストコーディングまで、0から始める超・本格派プログラミングのこと。プログラミング教材「playgram(プレイグラム)」を使い、コンピューターに慣れていない初心者でもタブレットを使って簡単に始めることができます。
このプログラミング教材の大きな特徴は、①初心者から簡単に学べること、②魅力的なキャラクター達が学習をガイドしてくれること、③学ぶだけではなく拡張性のある学習を実現できること、④遊びながら気づけばテキストコーディングまで学べること。
まずはプログラミングの仕組みを知っていくことからスタートし、ビジュアルプログラミング言語からテキストコーディングへと無理なく進み、ゲームやアプリの開発といった本格的な力を育むことができます。「playgram」は、楽しみながら段階的に学ぶことができて実世界へとつなげることができるコンテンツ・カリキュラムなのです。
さらに、一人ひとりの学習ペースと理解度を確認することで見える化して解析し、つまづきを見つけてそれぞれに合わせた指導でサポートするといった特徴も。LMS(学習管理システム)で学習履歴を記録して、コーチが一人ひとりのペースと情緒にあわせたコーチングや声かけを大切にすることで、子どもたちを小さな成功体験を積み重ねながら学びが続く学習サイクルへと誘います。
プログラミング教育 HALLO in 城東小学校の出張授業の様子
中央区立城東小学校で行われたプログラミング教育HALLOの出張授業。最初は少し緊張した様子の3年生の子どもたちでしたが、時間が経つごとに表情がやわらかくなり、夢中になってプログラミングを楽しむ姿が見られました。
終わりの時間が告げられると「もっとやりたい!」という声が聞かれるほど。白熱した当日の授業の様子をお届けします。
1、アイスブレイク
これから一体どんなことをするのだろうといった面持ちの3年生の子どもたち。最初はちょっぴり緊張している様子が伝わってきました。コーチが自己紹介をしてまずアイスブレイクに行ったのは指体操。「コーチの真似をしてみて」と指の体操を行うと、子どもたちの緊張が徐々に解けていくのがわかりました。アイスブレイクでは、子どもたちの笑い声も聞かれました。
2、プログラミングとは?
アイスブレイクでリラックした後は、コーチからプログラミングについて簡単なお話しが。小学3年生にわかりやすいように難しい言葉ではなく、やさしい言葉を選んでいるのが印象的でした。コーチは、「プログラミングはパソコンとお話しするための言葉と思ってもらえたら」と言葉少なめに子どもたちにその意味を伝えていました。
3、先生と児童によるプログラミングの実施
ひとり一台ずつタブレットを持ち、いよいよ実践へと移っていきます。コーチは急かすことなくゆっくりとみんなのペースを把握しながら、プロジェクターを使って操作方法を指導。かわいらしいキャラクターが登場するタブレット画面を見つめながら、子どもたちはゲームをしているような感覚で夢中になっていくのがわかります。
最初はごくごく簡単なところからスタートし徐々にレベルアップしていきますが、子どもたちはそれに気づくことなく理解を進め、熱心にコーチの声に耳を傾けながら集中していました。
一番の盛り上がりを見せたのは、授業終盤の担任の先生との対決でした。先生は「負けたらどうしよう」と発言をして子どもたちを笑わせながら、いざ勝負のとき。子どもたちは先生に勝ちたい一心で必死。
結果、なんと二人の児童が先生に勝つことができました。大人である先生に勝てたことがよっぽどれしかったのか、子どもたちの興奮はピークに達していました。
4、児童の感想発表
たくさんの児童が意見を発言したいと手を挙げていましたが、クラスを代表して二人の児童がみんなの前に立ち、授業の感想を発表しました。
Aさん)
「私は今日の日が来るのをずっとずっと楽しみにしていました。制限時間中にいくつクリアできるかというチャレンジモードが一番楽しくて、またやってみたいです」
Bさん)
「実はプログラミングに漠然とした不安があって、苦手意識がありました。そんな中授業を受けたのですが、実際にやってみたらとてもわかりやすくて楽しかったです。今日の授業を通して、プログラミングのことが大好きになって、もっとやってみたいという気持ちに変わりました」
5、コーチから子どもたちへ
すっかり子どもたちと打ち解けたコーチから、メッセージの言葉が贈られました。
コーチ
「今日は皆さんにプログラミングって楽しいですよってことを伝えたくて来ました。プログラミングって知らない英語の配列で、最初はよくわからなくてこわいという風に感じるかもしれません。先ほどBさんが話してくれたように、知らないものってこわいといふうに捉えてしまうのかもしれません。」
「それでも、友だちと一緒にやってみたり試行錯誤していく中で、プログラミングのやり方は一つではないということを学んでもらいたいです。皆さんが大人になる頃の世界は、プログラミングやITなど、世の中がもっと良くなっていくツールがたくさんあると思います。これらを自由に使いこなすことで、自分の人生をより豊かに幸せに生きてもらえたらというのが願いです。今日の講座が皆さんのその一歩になれたら嬉しいです。」
6、先生から子どもたちへのメッセージ
プログラミングの時間が想像以上に盛り上がり時間が少しタイトな中で、先生は丁寧に言葉を児童たちに紡いでいる姿が印象的でした。
「今日のプログラミングの学習を通して、正解は一つではないこと、を知ってもらいたいです。これはプログラミングに限ったことではなく、人生のあらゆるシーンに通じる話だと先生は思います。今日のこの体験を、生活の中でも役立てていって欲しいです。」
実際に見て感じたHALLO出張授業を通して得られるもの
実際に同じ小3の子どもを持つ親として感じた、プログラミング教育 HALLO 出張授業を通して得られる学びポイントをまとめてみました。
①子どもが楽しくプログラミングのことを学べる
授業を見学していて、子どもたちのワクワク感や楽しんでいる雰囲気が十二分に伝わってきました。実際にプログラミングは難しそう、とネガティブなイメージを持っている子どもも、楽しい学びを通して力を身につけている姿が見てとれました。
②目で見える子どもの積極性や学びたい意欲の増加
最初は少し緊張した面持ちの子どもたちでしたが、授業が始まるといきいきとした表情で、「はいはい!」と挙手する積極性が見られました。授業は少しずつ難易度が上がる仕組みになっていますが、次のステージのことを知りたいと待ち侘びている子どもの姿が印象的でした。
③知らないことを知ることで自信が得られる姿
授業の最初と終わりでは子どもたちの表情が明らかに変わっていました。プログラミングを学び、それを習得したことによる達成感を感じたのかもしれません。その表情はやりきった感じと自信で満ち溢れていました。
これからの時代を生きる子どもにプログラミング体験の場を
子どもたちが大人になるころの不確かな将来を生き抜くためにも、プログラミングをしっかりと習得することはとても大事なことだと言えます。もちろんプログラミングの技術そのもののにプラスアルファでプログラミング的思考=正解は一つでなくその都度柔軟に対応していく心のしなやかさも求められるでしょう。
これからの時代を生きる子どもたちには、スキルはもちろんのこと、他者と協調したり困難に立ち向かったりする心を育んでいくことも大切です。
今回のプログラミング教育 HALLOの出張授業はまさに今教育の現場で求められているアクティブラーニングそのものであり、子どもたちがいきいきと積極的にコーチや先生とやりとりをする姿がありました。
未来を生きる子どもたちに本当に必要なことは何か、子どもを持つ親としても考えさせられる貴重な授業を体験することができました。
▼実際に授業で使われたPlaygram(プレイグラム)