中学受験をするなら中学年くらいから塾通いするのが一般的。
私立、国立、公立どれを受けるにせよ、小学校の勉強内容よりもはるかに難しい問題が出題されます。通信教育や市販の参考書、問題集などで自宅学習することもできますが、専門の勉強を中学受験専門塾でするのが無難とされていますよね。
自宅学習は「家族に中学受験経験者や塾講師がいて、子どもに意思の強さがある」のであれば可能かもしれません。その場合は親の指導力も大切になってきます。
受験専門塾に通塾するなら、小学校3,4年くらいまでに「受験する覚悟」を親子で固めておきたいところ。
塾では小学6年生の勉強を1年以上前倒しで終わらせることが多いので、5年生になるまでに入塾しておかないと学習スケジュールが厳しいでしょう。塾によっては、中学受験クラスは5年生以下のみしかないこともあります。
しかし、筆者の娘(現在私立中高一貫校1年生)が受験を希望したのは小6の9月下旬。遅い、遅すぎる!正直、無理だと思いましたが、「子どもの希望を、親の推測で否定して挑戦する機会を奪うのはどうなの?」と考え直し、全力でサポートすると決めました。
手始めに最寄りの中学受験対策塾に、ダメもとで確認しましたが「受験クラス」に入るのは厳しいと言われました。
そりゃ、そうですよね・・・
この記事では小6の9月から受験勉強をはじめた娘が、志望校合格するまでの「短い」道のりをご紹介します。
約4か月間の受験勉強でしたが、娘にとってはもちろん、私にとっても気づきや学びが多く充実したものでした。
短くもとても濃かった、4ヶ月間の中学受験体験記を連載形式でお届けします!
小学6年生9月に中学受験を決意した理由
「私も中学受験しようかな。」
娘が軽く中学受験を希望したのは小学6年生の2学期、9月の下旬。
それまで(小学4年の終わりごろから、5年生の夏休みくらいまで、)、私の方から「中学受験したかったら、してもいいよ」と伝えていましたが、いつも答えは「NO!」。友達と離れたくないのと、電車通学が面倒だからということでした。
なので塾通いはさせずに(コロナ禍というのもありましたね)、小学5年生までは通信教育(タブレット学習と思考力を養う文章添削)で自宅学習を、小学6年生からはオンライン家庭教師で勉強していました。
なので6年生9月の時点で、受験勉強はまったくしておりません。
突然の受験宣言に、「なんで?今から?」と問いただすと
「Aちゃんが受験するって、C中学(私立中高一貫校)。結構いい感じの学校だよね。前にママパパが受験しても良いよって言ってたよね。」という答えが返ってきました。
どうやら仲良しの子が受験する中学を自分でも調べて「C中学がいい感じ」だったので受験してみたくなったようです。
「娘よ、Aちゃんは恐らく5年生から塾通いしていたぞ。中学受験は、放課後ほぼ毎日遊んでいた君がそんなに軽く決意できるものじゃない!」
と言いたくなりましたが、私の決めつけで娘の希望をあきらめさせるのは良くないと思い黙っていました。
近所で受験した、受験する予定の子たちはたいてい、小学5年生までに受験専門塾に行っていましたし、私もそれが普通だと思っていました。「学校の授業とは違う受験用の勉強」を教えてくれる、塾なしでの受験は無謀だと思っていました。
この時点では、「友達にあこがれて受験したいって行ってるだけだよね。数日したら、やっぱりやめる~って言うはず。」と思って、深く考えませんでした。
しかし、数日たっても「受験勉強する!」「私もC中学行きたい!」と言い続けるので、娘が割と本気なのだとわかりました。
塾なし中学受験!志望校をどうするか
娘が志望するC中学は共学の私立中高一貫校。通っている小学校からの受験者が多い学校のひとつでした。調べてみるとなかなか良い学校のようです。
・妥当な学費
・入学後の学習サポートの手厚さ
・イベントの多さ
・良い進学実績
などなど心惹かれる点が多かったです。入れるかどうかはさておき、第一志望はC中学で良いと思いました。
さて問題は第二志望、第三志望です。娘はC中学にしか興味がありません。自分で選べるように、私がいろいろな中学のサイトを紹介しましたが、なかなか確認しません。選択肢が多すぎるのかな、と感じたので、娘にヒアリングして条件に当てはまる中学をピックアップして、私はその中学の特徴をプレゼンすることにしました。
・制服 可愛ければ良いけれど、強いこだわりはなし。
・給食は嫌。
こだわり少ない!
通学時間が30分以内という条件で、C中学を除くと5校程度に絞られました。
それぞれの中学に資料請求して、紙の入学案内を娘に見せながら、各校の特色を紹介しました。
その結果、娘が選んだのは以下2校だけでした。
→難易度はC校より平易。学費C校よりやや高い。
・制服がおしゃれ。通学バス30分で行けるE中学(私立中高一貫校 勉強が厳しいと評判。近さで選んだ・・・)
→難易度はC校と同じ。学費はC校の1.5倍!
志望校3校は少ない気がしましたが、仕方ありません。
学校見学でモチベーションアップ!
受験生の多くは小6の夏休み前に、1回は学校見学をされていることと思います。
娘は9月下旬~10月中旬に3校の学校見学に行きました。通学路を使い、生徒さんのいる校舎内を見学することで「その中学に通う自分」をイメージしやすくなります。
説明会では学習カリキュラム、進学実績、部活、郊外活動の内容などについて、詳しく教えていただけました。どの学校も校風、教育方針がつかめる良い説明会だったと思います。
何より部活をする、放課後寄り道する、先輩たちの素の姿を垣間見れたのが良かったです。
迫力ある吹奏楽部の練習、全速力で競い合う陸上部の走り込み、写真のような美術部の肖像画・・・ハイレベルな部活動の様子に感動し、「受験してこの学校に入りたい!」気持ちが高まったようです。
受験知識ゼロ、塾なし 勉強はどうする?
先にも書いた通り、近くにある中学受験専門塾は「6年生までの勉強はすべて終えて、すでに受験対策に入っている」ため、これからの入塾は厳しかったのであきらめました。
また自宅学習も考えたのですが、中学受験知識0の私が指導することが不安でした。
自宅学習するにせよ、専門家のサポートは必須。
受験勉強方法は2択しかないと思いました。
1.個別指導塾に通う
2.家庭教師を頼む
個別指導塾は近所にあったのですが、「すでに6年生の勉強を終えて過去問を解いている子」にマンツーマンで指導する感じでした。
つまり入塾前に自力で、6年生の勉強を超ハイスピードで終わらせなくてはなりません。個別指導塾は選択肢から外れました。
家庭教師は近所の2学年上のBくんが受験対策に呼んでいて、見事合格していたので、とても興味がありました。
しかし、家庭教師の方が来る時間に、保護者がいなくてはなりません。私は不定期で家を空けることもあるので難しい。費用も月額100,000円超で、塾に通うよりもやや高めでした。
悩んだところに浮上してきたのが、学校の補習用として受講していた「オンライン家庭教師」を「中学受験コース」に変更するという選択肢でした。
まず保護者が自宅にいなくてもマンツーマンで受験勉強ができます。費用がリーズナブルなのも魅力的。志望校別対策、学習スケジュール、日頃のメンタルのケア等を家庭教師や塾同様にやってもらえる上に、月額費用も50,000円以下(60分×週2回~週3回)です。
さっそくスクールの事務局に受験する旨を伝えると、大至急、受験用のテキストを送るとのこと。担当講師の変更はしませんでした。というのもその方は中学受験指導もされていて、娘とも相性が良かったからです。
・通塾時間が0.(受験まで時間がない!通塾時間がもったいない。)
・費用がリーズナブル
・先生の交代ができる。
・授業時間が遅くなっても自宅なので安心(21時終了でもOK)
・授業のスケジュール変更が自由(曜日によって時間を変える、受験直前はコマ数を増やす)
中学受験に関する疑問や不安も解決!
娘を担当していたF先生は中学受験経験者の大学4年生の女性。明るく可愛らしく、優しい素敵なお姉さんで、娘は大好きでした。
家庭教師歴2年、中学受験指導の経験、実績がある方で、子どもの気持ちを考えながら丁寧に教えてくださる先生でした。
子どもの理解度を確かめながら、丁寧に授業を進めるので、難しい過去問も先生と一緒なら解けていました。
中学受験に関する疑問や悩みの相談にも応じていただきました。
■娘のモチベーションが下がった時の対処法。→先生が受験した時のモチベーションアップ法を教えていただきました。志望校のパンフレットを目につくところに貼っておく、時々友達と外で遊ぶ等のアドバイスを娘に直接していただきました。
■自宅学習していて、親が指導するともめてしまう。(反抗期ですね…)→「もめてしまったら無理せず、その都度できなかった問題の画像を送っていただいてOKですよ。」とのこと。
私が教えた内容と同じ解き方でも、先生に教えてもらうと素直に受け止めていました。(少し寂しい)
■受験スケジュールについて。午前も午後も受験する人っているの?→私が当初、驚いたのは、私立中学は複数回受験できるということ。そしてできれば第1回目で合格した方が、楽だということも。(2回目以降は1回目不合格、他校不合格者が受験するので倍率が高くなりがち)
そのため午前中G中学1回目、午後H中学2回目という受験スケジュール(午前、午後それぞれ違う中学を受験するケース)や、午前I中学1回目、午後I中学2回目(同じ中学が同日中に1回目、2回目試験をするケース)という受験スケジュールもあり得ます。
娘の場合は、第一志望に受からない場合、午前、午後それぞれ違う中学を受験しなくてなりません。
頭が働くのか?F先生に聞くと、午前午後通して受験したことがあるが、かなり疲れるからお勧めしないとのこと(先生は2校合格!)もしするのであれば、せめて午前4教科受験、午後2教科受験にした方が良いとのことでした。
とにかく親子に寄り添って、最善を尽くしていただきました。
一緒に合格を目指してくれている気持ちが伝わってきて、心強かったです。
受験まで3か月と少し「オンライン家庭教師の学習スケジュール」
オンライン家庭教師の中学受験コースが始まったのが10月過ぎ。
スクール事務局の人が、「タイトなスケジュールになると思いますが合格できるように全力を尽くします!」言っていた通り、10月からの勉強スケジュールは過酷なものでした。
10月~11月(60分 週2回 )
専用のテキストと自由自在(市販の参考書理科・社会)を使い 「6年生の勉強を全部」終わらせる。授業以外の日は、テキストの問題をひたすら解く。わからないところは問題画像を先生に送って、授業時に解説をしてもらう。
11月~12月初旬(60分 週2回 時々土日に60分×1コマ)
授業中で時間を計りながら、中学受験テキスト上でさまざまな学校の過去問に挑戦。
・算数は問題を解き、解法を先生に説明します。(正解、不正解どちらでも)
まったくわからない、途中からわからなくなってしまう場合は、先生が解法を板書して確認しながら一緒に解きました。
・国語は長文読解メイン。(宿題でテキストを解き、授業で先生が解説)
文章の書き方(制限字数に収めるためのまとめ方等)、問題文の読み方(接続詞、要点と思われる箇所に波線などの印をつけながら読む等)など受験テクニックを伝授してもらいました。
社会は毎回、小テストを行い、とにかく暗記します。できるとめちゃくちゃ先生が褒めてくれるので、毎回必死で覚えていました。小テストの後は記述式問題を解き、採点してもらいました。
理科も社会と同じく、毎回小テストがありました。やはり小テスト後に記述式問題に取り組みました。
12月上旬~受験(60分 週3回~4回 、受験2週間前は60分×週4回)
時間を計って志望校の過去問を繰り返し解きました。
1校面接があったので、面接対策もしていただきました。
受験直前は、学校以外はほぼ勉強。受験生としては当たり前なのかもしれませんが、つい数カ月前まで放課後遊び回っていたので、娘のストレスはたまっていました。
子どもの受験ストレスの対処法
12月過ぎたあたりから、娘に焦りが見えてきました。
去問が思うよう進まない、Aちゃんや他の受験組の塾での話を学校で聞く、家庭教師の宿題が次の授業までに終わらない・・・
「C中学に合格したい(でも無理かも)」という気持ちが強くて、イライラしていました。
つかず離れず教える
自宅学習で私が教えるとたいてい喧嘩になりましたね。なので紙に解説や解法を書いて机の上に置いて、私は別室に行くことも多かったです。
教えるよりも提案、アドバイスする感じで「ママパパならこう考えるけど。」というスタンスで一緒に問題を解くと、比較的もめなかったですね。
基本的に勉強中は、親は近くで、読書したり仕事をしたりして「頑張り時間」を共有するようにしていました。
11時前には就寝する
娘は、勉強がのってくると、「自分が納得するまで」やめられないタイプ。特に算数は答えが出るまで粘ります。また暗記量の多い社会は、いくらやっても安心できないようで、就寝前に「歴史人物トランプ」につきあうことも多かったです。
受験直前の追い込み時期になると就寝時間が遅くなりがち。できるだけ早めに寝るように親が促しましょう。遅くとも11時前には就寝させたいところ。
学習内容を脳に定着させるには”十分な睡眠”が必須です。
1日1回は外に出る
脳をリフレッシュさせて、効率を上げるためにも気分転換は必要です。
我が家では、娘が乗り気でなくても1日1回は外に誘いました。運動することで脳が活性化するので、バドミントンやジョギング、散歩などに親子で行いました。
受験に失敗しても大丈夫なことを伝える
「もし受からなかったら学校へ行くの嫌だな。」
「不合格になったらママパパがっかりするんでしょ。」
などと言い、受験の合否が、他者からの評価につながり、自分の価値を揺るがすものだと思い込んでいる節があった娘。
追い詰められてる感がすごかったので、
「不合格でもママパパはがっかりしない。ここまで一生懸命やったことが立派だと思ってる。頑張れたことを誇りに思ってるよ。」という旨を、伝えました。
不安が強い日は同じ部屋で寝る
受験が近づくと、なかなか寝付けない、夜中の2時、3時に、目が覚めてメソメソしている日が出てきました。
慣れないプレッシャーに自律神経が乱されているのでしょう。
娘と同じ部屋に私も寝てみたら、朝までぐっすり寝ていました。一般的には親から離れたがる時期ですが、心が不安定な時は親から距離を近づけても良いかもしれません。
受験数は2校。それでも疲れました!
C中学受験当日朝、「行きたくないよ~、1問も解けないかも~」と不安と緊張でいっぱいの娘。彼女以上に緊張していた私は、「大丈夫!いつもどおりで、大丈夫!」しか言えませんでした。
C中学に向かう時も、お互い口数が少なかったですね。
4教科受験だったので、お昼過ぎに迎えに行きました。朝とは打って変わって、元気いっぱい饒舌な娘に戻っていました。
合格発表当日、娘は朝からC中学(第1回目が不合格だった時のため)、第二志望D中学の過去問に取り組んでいましたが、明らかにそわそわしていました。
もちろん私も。
C中学公式サイトで受験番号が確認できた時、「やったー!」と歓声を上げ、抱き合いました。。娘はそのあと、部屋を走り回ってましたね。
C中学合格発表の次の日の午後がD中学の受験日でした。D中学の勉強もしていたので、受けることにしました。
心の余裕があった分、落ち着いて問題が解けたようです。C中学受験の後にはなかった「出題問題の解説」をしてくれました。
D中学も合格することができたので、E中学は受験せず娘の中学受験は2校で終了しました。
5年生進級前なら塾、それ以降は別の受験対策も検討しよう
中学受験するなら塾に行くのが一般的。保育園、幼稚園から中学受験を見据えた専門塾に通うお子さまも珍しくありません。
受験する割合の低い地域でも、小学校3,4年ころから受験を意識して塾通いをはじめるお子さまが増えてきますね。
少なくとも計3年以上の受験勉強をするのが中学受験のスタンダード。
しかし、親子共に受験に対して同じ目的と熱量を持てていない場合はスタートが遅れることもあります。
小学校5年生から、塾通いすることも可能です。塾で中学対策をする場合、小学6年生の勉強は遅くとも5年生のうちに終わらせるのが当たり前。5年生で塾通いをスタートするのは遅いかもしれませんが、タイトな学習スケジュールをこなしていけば受験に間に合わせることは可能でしょう。
小学5年生の2学期以降で受験専門塾への入塾が厳しい場合は、個別指導塾(中学受験合格実績のある所)、家庭教師、オンライン家庭教師で要点を抑えた短期集中型受験対策がおすすめ。
いずれを選ぶにせよ、先生との相性・信頼関係が大切。マンツーマンで距離が近い分、子どものモチベーション、成績に直結します。
次回の記事では、塾なし中学受験におすすめ&実際に使った問題集や参考書をご紹介しています!