2023年07月26日 公開
二十四節気立冬アイキャッチ

【冬の二十四節気】「立冬(りっとう)」は日暮れが早くなり、冬の寒さを初めて感じる頃、2023年は11月8日

冬の二十四節気、最初の節気は「立冬(りっとう)」です。暦の上では冬。日ごとに寒くなりますが、行事も多く楽しい時期。七五三や子どもと楽しむ過ごし方を紹介します。

二十四節気立冬アイキャッチ

「立冬(りっとう)」は、冬の二十四節気の最初の節気です。秋の名残がありますが、暦の上ではもう冬、朝晩は冷えた空気を感じる頃です。初冬ならではの風習も多く、秋にたっぷり栄養をたくわえた食材もおいしいです。季節の節目「立冬」に、子どもと楽しく過ごすアイディアを紹介します。

二十四節気(にじゅうしせっき)って何?

みなさんは二十四節気という言葉を聞いたことがありますか? 約半月ごとに一年を二十四等分、つまり季節ごとに六つに分けて美しい名前をつけたのが二十四節気(にじゅうしせっき)です。江戸時代まで使われていた旧暦では、暦(こよみ)と実際の季節にずれが出ました。

そのため生活するのに不便になり、本来の季節を感じる目安として二十四節気を用いたのです。日本には春・夏・秋・冬の四季があるので二十四節気を知っていると季節の変化を敏感に感じられ、暮らしが楽しくなりますね。

二十四節気

二十四節気

春分や秋分は祝日となっており、夏至や冬至は季節の変わり目の大切な日です。このように二十四節気は日常生活に密着し季節を深く知ることができます。そのため多くの行事が二十四節気をもとに行われています。

雑節

二十四節気は中国から伝わった考え方ですが、節分や彼岸など「雑節(ざっせつ)」と呼ばれる、より日本の生活に根付いた考え方もあります。

二十四節気 雑記

七十二候

さらに二十四節気に関連して、七十二候(しちじゅうにこう)があります。二十四節気のひとつを「初候(しょこう)」・「次候(じこう)」・「末候(まっこう)」と三つに分け、季節の移ろいを表現したものです。花鳥風月を用いた具体的なことばなので、季節をより鮮明にイメージできますよ。

【解説】冬の二十四節気「立冬(りっとう)」ってどんな日?

二十四節気の最初の節気「立冬(りっとう)」は、日暮れが早くなり、冬の寒さを初めて感じるころです。「冬が立つ」という言葉の通り、冬の始まりのことで、暦の上では立冬の初めの日から、立春の前日までが「冬」となります。北風「木枯らし(こがらし)」が吹きはじめ、いつも暖かい沖縄でも「新北風(ミーニン)」と呼ばれる涼しい季節風が吹きます。日に日に弱まる太陽や風から、冬の訪れを感じる時期です。

今年の立冬はいつ?2023年は11月8日~11月21日

それでは2023年の立冬はいつでしょうか?二十四節気の十八番目「霜降(そうこう)」から、二十番目の「小雪(しょうせつ)」まで、11月8日~11月21日が2023年の立冬です。

暦にはずれが生じるため、二十四節気は毎年固定の日ではなくその年により前後します。今年は立春が2月4日だったので、立冬も11月8日~11月21日までの14日間を指します。暦のずれについては、毎年2月に国立天文台が翌年の暦要項を発表しているので参考にしてください。
参考:国立天文台 天文情報センター 暦計算室

七十二候(しちじゅうにこう)で「立冬」の季節を知る

それでは、より季節を感じられる「七十二候(しちじゅうにこう)」で立冬の季節の移ろいを解説しましょう。

■初稿 山茶始めて開く(つばき/はじめて/ひらく)
「山茶花(さざんか)の花が咲き始める」という意味です。「山茶(つばき)」と「山茶花(サザンカ)」は同じツバキ科の花です。
七十二候・第五十五候( 11/7~11/11頃)

■次候 地始めて凍る(ち/はじめて/こおる)
「大地が凍りはじめる」という意味です。夜になると急に気温が下がり、地面が凍ってしまう時期です。
七十二候・第五十六候(11/12~11/16頃)

■末候 金盞香ばし(きんせん/こうばし)
「水仙(すいせん)の花が咲いて香る」という意味です。「金盞(きんせん)」はキンセンカと同じように冬によい香りで咲く「水仙」のことを指しています。
七十二候・第五十七候(11/17~11/21頃)

【豆知識】文学からみた二十四節気「立冬」

二十四節気は季語として俳句や短歌、時候の挨拶としても使われています。「立冬」も冬の代表的な季語です。時候の挨拶では「立冬の候」を手紙やお礼状を書く際に使うとよいでしょう。

季節をわかりやすく表現した俳句や短歌も多くあります。今回は立冬の時期をよく示した一句を紹介します。

かくれんぼ 三つ かぞえて 冬となる
【作者】 寺山修司(てらやましゅうじ)

「三つ数えている間に冬になった」という意味です。知らぬ間に季節、生活、環境が変わっていたというように、立冬が季節の変わり目であると伝わる一句ですね。

この時期にふさわしい自然の言葉に「小春日和(こはるびより)」があります。冬の初めのぽかぽか暖かくおだやかで春のような晴天の日のことです。同じような日でも冬の後半は「冬日和(ふゆびより)」と別の名前で呼びます。こんな日は日向ぼっこをするのもよいですね。

参考文献 :絵本ごよみ二十四節気と七十二候 冬―さざんかがはじめてひらき 著:坂東 眞理子(教育画劇)

旬な食べ物・花や鳥

二十四節気 立冬 マヒワ

立冬は冬の最初の節気です。秋の収穫も終わり、これまで栄養をたっぷり蓄えた食べ物が出回ります。ここでは立冬に見られる旬の食材や、花や生きものを紹介します。

食べ物

野菜 : ごぼう、山芋、かぶ、ほうれん草
果物 : りんご、かりん、ラ・フランス、柿
魚・貝 : 牡蠣(かき)、カニ、ホタテ、くえ

昆虫・生きもの

みの虫

鳥・花

鳥 : 真鶸(まひわ)

花 : 山茶花(サザンカ)、水仙(スイセン)、つわぶき、ヒイラギ

真鶸(まひわ)はスズメより小さく、顔や胸が黄色い鳥です。「冬を教えてくれる鳥」と呼ばれ、立冬のこの頃に北から渡ってくる渡り鳥です。群れになって木にとまるので探してみてください。

立冬は「蟹(カニ)」「帆立(ホタテ)」がはしりの食材です。旬の始まりを「はしり」と呼び、季節の余韻を楽しめる旬の終わりの食材を「なごり」と呼びます。越前ガニやズワイガニなどはこの頃に漁が解禁され、まさにこれからが旬の「はしりの食べ物」です。

立冬の時期の過ごし方

秋には「つるべ落とし」と呼ばれた日の入りが、立冬になるとさらに慌ただしく暮れていきます。太陽の存在が貴重に感じられる初冬、この時期におすすめの過ごし方を紹介します。

・暖房器具を出す
朝晩の冷えが増す立冬の時期、まだ暖房器具を出していなければ早めに準備しておきましょう。寝る前に布団に湯たんぽを仕込んでおくのもよいですね。布団が暖まると入眠を促しますし、最近ではかわいらしいぬいぐるみの湯たんぽも売っているのでおすすめです。

暖房器具に出すのが良い日として「亥の子の日」があります。2023年の「亥の子の日」は11月1日です。この日に暖房器具を出すと火事にならないと言い伝えられています。石油ストーブが主流だった頃の名残を感じますね。

・冬にまつわる絵本を読む
立冬は季節の変わり目なので、冬にまつわる絵本を読み始めるのに良い時期です。季節のイベントも多いですが、「冬眠」や「冬支度」といった冬ながらの内容の本を選びましょう。囲炉裏やこたつなど現代では見る機会が減ったものに触れておくと、昔話などで出てきても楽しめます。

・あたたかい食事をする
立冬を過ぎると肌寒い日が続きます。体が冷えると免疫力も落ちるので、鍋料理をしたり、スープやホットミルクなどあたたかい飲み物を飲みましょう。

立冬の時期にある神事

立冬の頃は秋の収穫も終わり、五穀豊穣を願う神事も落ち着く時期。「収穫への願い」から「収穫の感謝」をする神事に変わります。他にも「七五三」や「酉の市」といった年中行事があります。

・嵐山もみじ祭り(京都府)
立冬は冬の始まりですが、まだまだ紅葉が美しい時期です。11月1日~3日に京都府の嵐山で開催される「嵐山もみじ祭り」は、川に舟を浮かべ、平安時代の踊りをするなど風情と歴史を感じる素敵な祭りです。

・出雲大社「神在祭(かみありさい)」(島根県出雲市)
神無月(かんなづき)である10月は「神様がいない月」とされています。これは全国の神様が出雲の国(島根県)に集まるからと言われており、島根県では10月を「神在月(かみありづき)」と呼びます。暦がずれますが出雲大社では旧暦のまま、新暦の11月にたくさんの神事が行われます。

立冬の時期にある年中行事「酉の市(とりのいち)」

二十四節気 立冬 酉の市

酉の市(とりのいち)は、毎年11月の酉(とり)の日に行われる開運招福・商売繁盛を願う大きな縁日です。様々な大きさの熊手(くまで)が並び、売る人にも買う人にも運が向いてくるようにします。熊手は落ち葉などを掃き寄せる道具ですが、いつしか幸運を「かきこむ」縁起物としてみなされました。

日本全国の神社で行われ、熊手が売り買いされると手拍子を打つ三本締めが威勢よく行われます。前年より大きな熊手を買い翌年の発展を願う人も多く、特に商売をする人々の毎年の恒例行事です。

東京では「浅草おおとり神社」や新宿の「花園神社」、大阪では「大鳥神社」の酉の市が有名で、2023年の酉の日は11月11日と23日にあたります。

立冬の時期にある年中行事「七五三」

11月15日は七五三です。子どもの成長の無事を祝い神社へお参りする年中行事で、数え年で三歳と、さらに男の子は五歳、女の子は七歳のときに祝います。昔は三歳で髪を伸ばす「髪置き(かみおき)」、男の子は五歳で袴を着ける「袴着(はかまぎ)」、女の子は七歳で着物を帯でしめる「帯解き(おびとき)」の儀式をしました。

千歳飴(ちとせあめ)は江戸時代、浅草の飴売りが紅白の長い棒状の飴を「千年飴(せんねんあめ)」「寿命糖(じゅみょうとう)」と名付けて長い袋に入れて売り歩いたのが始まりだそうです。医学が進んでいなかった当時の子どもたちに「長生きして欲しい」という願いがこめられています。

立冬の時期にある風習

立冬の時期には冬の始まりらしい風習があります。寒さが厳しくなると身構えるより、これから始まる冬の寒さを楽しみたいですね。

・鍋の日
寒くなってくると鍋料理が恋しくなります。11月7日は「い・い・なべ」ということで、「鍋の日」になったそうです。この日は湯豆腐や水炊き、おでんなどあたたかい鍋料理であたたまりましょう。

・こたつ開き
「亥の子の日」に「こたつ開き」をする風習があります。昔から亥の子の日に火を入れると火事にならないといわれており、この日にこたつや囲炉裏(いろり)に火を入れるようになったそうです。茶道では「炉開き」を行うところが多いのも同じ理由で、お茶菓子に「亥の子餅」をいただくのが風習です。2023年の「亥の子の日」は11月1日なので、こたつなど暖房器具を出す目安にしてください。

・十六団子の日
稲刈りが終わると、田の神様は山へ帰り山の神様になると考えられています。農家では豊作を願って、春に山から下りてきた神様を16個の団子でもてなします。11月16日は「十六団子の日」と呼ばれ、感謝を込めて16個の団子をお供えして神様が山へ帰るのを見送ります。

子どもと楽しむ立冬

二十四節気 立冬 ミノムシ

二十四節気はその季節がどんな時期かという目安です。せっかく四季のある日本で暮らしているからこそ、それにちなんだ知育や子育てにつながる取り組みをおうちでもしたいですよね。立冬は寒さも加わりますが、まだ秋の雰囲気が漂う頃。初冬のこの時期ならではの、子どもと一緒に楽しめるアイディアを紹介します。

・秋の素材で工作をしよう!
秋の名残があるこの時期、公園は工作になる素材がたくさんあります!紅葉(もみじ)や銀杏(いちょう)の葉を拾ってみませんか?

きれいな葉を選んで、貼り絵にしたり、手紙に貼って送っても季節を感じられて素敵です。どんぐりや松ぼっくり、小枝をちりばめたリースを作るのも楽しそうです。落ち葉やどんぐりの種類の違いを観察するのも面白いですね。

・焼き芋をしよう!
落ち葉や枯葉を集めて「落ち葉焚き」をするのによい時期です。さつまいもをアルミホイルにくるんで焚き火の中に入れ、焼き芋を作るのも楽しいです。最近ではバーベキューができる公園も増えているので、この時期ならではの体験ができますよ。

・ミノムシを育てよう!
この時期になると見かける「ミノムシ」は、枯葉などをまとった「ガの幼虫」です。いわゆる垂れ下がって蓑(みの)を被ったミノムシは、すべてオスなのだそう。そして枯葉などで作った蓑にくるまって冬を越します。

ミノムシを捕まえたら、虫かごの中に毛糸や新聞紙を刻んだものを置いておくと、ミノムシがこれらを使って蓑にする様子を見ることができます。カラフルな毛糸のミノムシに出会える、この時期ならではの楽しみですね。

旬の食べ物でつくろう、食べよう!

大昔から旬のものを食べると健康に暮らせるといわれています。立冬におすすめの、旬の食材を使った献立を紹介します。

立冬の献立

秋そば、山芋とごぼうの天ぷら、ほうれん草の胡麻和え、ホタテと大根のサラダ

この時期は「新そば」がおいしいです。春に収穫された「春そば」と秋に収穫された「秋そば」があり、その年に収穫されたばかりのそばを新そばといいます。冬野菜のゴボウや山芋の天ぷらと一緒にあたたかい新そばはいかがでしょうか。

このように立冬の時期には、秋のあいだ土の中や木の枝でたっぷり栄養を蓄えた食材が出回ります。今回はこの時期に旬の果物「かりん」で作るシロップ漬けを紹介します。

「かりんのシロップ漬け」
二十四節気 立冬 かりん

<材料>
・かりん  4個くらい(500gくらい)
・はちみつ 500gくらい
かりんとはちみつを同量と計算します。

<作りかた>
1)かりんをお湯で良く洗う。
2)縦半分にカットして、芯と種を取り除く。
3)皮がついたままで薄切りする。
4)塩水に5時間くらい置いてあく抜きする。
5)水で洗って水気をしっかりと拭き取る。
6)保存瓶にかりんとはちみつをいれて3日置く。時々瓶を振る。

かりんは春に花が咲き、晩秋に黄色く大きめの実がなる、公園でも見かける身近な植物です。のど飴もあるように咳やのどによいとされています。かりんはかぼちゃのように硬さがあり、種は粘着気味で下準備は大変ですが「かりんのシロップ漬け」は冬にあるとうれしい保存食。

これがあれば「かりんジュース」も作れますよ。炭酸水で割ってもおいしいですし、お湯で割ってあたたかいかりんジュースにしても良いですね。咳やのどの不調時に備えた冬支度として、ぜひ作ってみてください。

季節に合わせた工作をしよう!

少し寒くなってきたので、おうち時間を楽しめる工作はいかがですか。今回のおすすめはデコレーションができる「スノーマン」です。立冬からは冬の節気になるので、秋から冬の装飾に模様替えをするのも楽しいです。他にも季節の工作アイディアがたくさんあるので、お気に入りを見つけてださい。

参考:Creative Park ストリングデコレーション(スノーマン)

季節を感じにおでかけをしよう!

二十四節気 霜降 紅葉 

立冬の時期は秋の気配が残りつつも冬を実感する頃。まだ紅葉が楽しめるので、公園で落ち葉を拾うのも楽しいです。この時期におすすめのおでかけ場所を紹介します。

・紅葉狩り(もみじがり)
山が鮮やかに色づき、その美しさを眺めに行楽へ行くことを「紅葉狩り(もみじがり)」と言います。紅葉の名所は、明治神宮外苑のイチョウ並木や京都の嵐山のトロッコ電車、兵庫の高源寺、栃木県日光のいろは坂など全国各地で見られます。

・りんご狩り
味覚狩りはたくさんありますが、その中でもこの時期におすすめなのはみずみずしいもぎたてのりんごが食べられる「りんご狩り」です。

りんごは青森県、長野県、岩手県が収穫量上位を占めており、りんご狩りができる場所がたくさんあります。焼きリンゴにしてもおいしいので、バーベキュー場が併設されたところもおすすめです。

【まとめ】冬の二十四節気「立冬」は作物の収穫も終わり、冬が始まる頃

いかがでしたか?立冬は暦の上で冬の始まり。日暮れが早くなり、冬らしい寒さを初めて感じるこの頃、家の中の冬支度によい時期です。

立冬の次の節気は「小雪(しょうせつ)」です。冬の二十四節気も二つ目になり、寒さが深まります。季節の変わり目は体調を崩しやすいので、おすすめの過ごし方を参考に、体をあたためながら楽しく立冬の時期をお過ごしください!

親子で二十四節気に興味を持てたら、こんなかわいい本もあるので参考にしてくださいね。


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この記事のライター

RINAKO
RINAKO

東京都在住、マイペースな4歳児のせっかちな母。子育てのベースはモンテッソーリ教育。伝統文化を大切にしながらも、効率よく子育てするのが目標。子連れで行ける遊び場所にも詳しく、子どもの習い事の半分は自分の好奇心というゆるい子育てを採用中。