集団遊びの定番といえば、「鬼ごっこ」。道具も要らず、走り回れるスペースさえあれば、すぐできます。しかも鬼ごっこにはメリットがたくさん!体力・運動能力の向上はもちろん、協調性が育ち、コミュニケーション能力を高める効果も。1日60分を目安に鬼ごっこで遊びましょう。
鬼ごっこで子どもの心と体が育つ
といっても、ただ単に外遊びをさせれば、体力がつくというものではありません。子ども自らが楽しんで体を動かし、それを継続することで体力は向上していきます。
そこで、おすすめなのが、「鬼ごっこ」なのです。子どもの遊戯と侮るなかれ。鬼ごっこは、子どもを夢中にさせるだけでなく、運動面でのメリットがたくさんあるんですよ。
たとえば、
・走って逃げたり追いかけることで体力面が強化される
・いろいろな体の部位を使うことで体幹が鍛えられ、バランス感覚が養われる
・全身を使っての運動により持久力が身につく
・俊敏性が身につき、足さばきがスムーズになる
など、多様な運動刺激は、子どもの運動能力の向上にも役立ちます。
文部科学省の幼児運動指標によると、幼児期は運動機能が急速に発達する時期であり、楽しく体を動かす時間を確保することが重要であるといいます。
しかも、1つのスポーツを続けるより多様な動きを経験することが大切だと結論づけています。
幼児にとっての遊びは、特定のスポーツ(運動)のみを続けるよりも、動きの多様性があり、運動を調整する能力を身に付けやすくなる。幼児期には体を動かす遊びなどを通して多様な動きを十分経験しておくことが大切である。体を動かす遊びには、先に挙げたように多様な動きが含まれる。例えば、鬼遊びをすると、「歩く、走る、くぐる、よける」などの動きを、夢中になって遊んでいるうちに総合的に経験することになる。
協調性が育ち、コミュニケーション能力の発達にも
鬼ごっこは、一人ではできません。複数のお友だちとルールを共有することで、成り立つ遊びです。
子どもたちは、鬼ごっこのルールを覚えながら、集団行動においてルールやマナーを守ることが大事だと学び、ルールやマナーは、お互いが気持ちよく過ごすためにあるものだと、より理解を深めていきます。
そして「鬼から逃げる」という1つの目標に向かって、みんなで助け合うことで協調性が育ちます。さらに仲間が置かれた状況や、いま、自分がどうするべきなのかを瞬時に判断して、それに伴った行動ができるようになり、他者を思う気持ちを知る経験につながります。
このように、遊びを通じて、人との関わり合いを重ねることで、子どものコミュニケーション能力が磨かれていくのです。
鬼ごっこは何歳からできる?
2~3歳児の場合は、ルールを守ることより、追いかけっこを楽しむ目的で遊んでみてはいかがでしょうか。「おばけが来たぞ~」と逃げたりするだけでも、足腰が鍛えられますよ。
【年齢別】おすすめの鬼ごっこ
【3歳~初級編】
一見、難しそうに感じますが、当時3歳だった筆者の息子も「だるまさんが転んだ」が好きで、家のなかでも一緒に遊んでいました。鬼が振り返ったときに動いていたらアウト!という単純なルールなので、理解できたら似たようなルールの「氷鬼」でも遊べますね。
1.鬼がうしろを向き「だるまさんがころんだ」と言っている間に、参加者はできるだけ鬼に近づきます。
2.鬼がセリフを言い終わって振り向いたときに、動いていた人はアウト。鬼に捕まってしまいます。
3.鬼がこちらを見ていないうちに参加者の誰かが「切った」と捕まった人の手をタッチすると、全員が逃げられます。
4.しかし鬼が「ストップ」と言ったら、みんなその場で止まらなくてはいけません。
5.鬼が決められた歩数だけ動いて、その範囲で誰かをタッチできると、次はその人が鬼になります。
しっぽを付けた鬼ごっこです。鬼以外の全員が、タオルやカラー帽子などをズボンに挟んで、鬼から逃げます。全員しっぽを取られたら、おしまい!しっぽを取られないように逃げるだけなので、小さなお子さまでも遊べます。
【4歳~中級編】
想像力が豊かになり、ごっこ遊びが大好きな4歳児には、この「けいどろ(どろけい)」がおすすめです。
警官チームと泥棒チームに分かれて遊ぶ鬼ごっこです。まず牢屋となるエリアを決め、警官が10秒数える間に、泥棒は逃げたり隠れたりします。
警官にタッチされた泥棒は牢屋エリアへ連れていかれます。しかし、まだ牢屋に入っていない仲間の泥棒にタッチされれば、逃げ出すことができます。
警官が泥棒を全員牢屋へ入れることができたら、ゲーム終了です。
鬼が指定した色を探して、見つけて触るだけですが、なかなか見つからずヤキモキする鬼ごっこです。いろいろな色を知っていると、より面白さが増しますね。
「赤」など、鬼が好きな色を指定したらスタート。
鬼がその場で10秒カウントする間に、鬼以外の子は逃げます。はじめに鬼が「赤」と指定していた場合、赤色のものに触れている子にはタッチすることができません。赤色のものに触れていない子を探してタッチします。
タッチしたら鬼を交代。もし、全員が指定する色に触れていたら、引き続き同じ人が鬼となり、違う色を指定します。
原っぱのような場所より、カラフルな遊具の多い公園などで行うのがおすすめです。
【5歳~上級編】
参加者が多い場合は、鬼を3~4人ほど決めます。あとは普通の鬼遊びのように、鬼は逃げる子どもにタッチ。 タッチされた子どもは鬼と手をつなぎながら、他の子どもを追いかけて、最後まで残っていた子どもが勝ち。
手をつなぐ人数が多くなると、なかなか動きづらいのですが、それが手つなぎ鬼の面白いところです。偶数になったら半分に分かれるなど、戦略を考えて追いかけてみるのも楽しいですよ。
・高鬼
高低差がある遊具がある公園で遊ぶと、盛り上がる鬼ごっこです。高いところを移動したり、登ったりするため、安全に遊べる5~6歳以上がおすすめです。
基本的なルールは鬼ごっこと同じですが、「鬼は高いところ(安全地帯)にいる子にはタッチすることができない」という決まりがあります。とはいえ、これでは鬼が不利なので、安全地帯にいる子のそばで鬼が10秒数える間に、その子は降りて逃げなければいけません。
鬼にタッチされたら、鬼役の交代です。
安全地帯にいても、鬼の手が届けば鬼交代という地域(あるいはサブルール)もあります。