2019年5月20日 公開

『「非認知能力」の育て方』で学ぶ!2020年教育改革で必要な力

「全米最優秀女子高生コンテスト」で優勝した娘を持つボーク重子さんが、子どもの強い心を育み、問題解決力をつける教育方法をまとめた『「非認知能力」の育て方 心の強い幸せな子になる0〜10歳の家庭教育』。感想やポイントをレビューします。連載「話題の育児書」4回目です。

世界の教育:今の主流は「非認知能力」を育てること

Natewimon Nantiwat / Shutterstock.com
昨今話題の「非認知能力(非認知スキル)」。英語では Non-cognitive ability や Non-cognitive skills と呼ばれ、21世紀を生き抜くためのスキルとしてアメリカやヨーロッパ各国など世界中で重要視されているキーワードです。日本でも2020年教育改革で求められる力として注目されています。

非認知能力とは、テストやIQなど数値で表せる従来の「認知能力」に対して、生きる力ともいえるもの。

具体的には、主体性や柔軟性、創造性、自制心、自己肯定感、コミュニケーション力、問題解決能力、やり抜く力、くじけない心、我慢する力、回復力、協同力などが挙げられます。特に、簡単には折れにくいしなやかな心と、逆境から這い上がれる回復力は「レジリエンス"resilience"」と呼ばれ、大変注目されている非認知能力です。

非認知能力は、現在、そしてこれからの社会を生き抜く力であり、子ども達の将来の幸せと成功に大きく寄与しているということがノーベル経済学賞受賞者のジェームズ・ヘックマン教授の研究など、さまざまな研究結果で証明されています。

そして、この非認知能力が最も伸びるのは0〜10歳までだそう。

では、家庭ではどう育てていくべきなのでしょうか。データに基づいた考察と実践、提案がまとまっていてわかりやすい『「非認知能力」の育て方心の強い幸せな子になる0~10歳の家庭教育』を紹介します。

『「非認知能力」の育て方 心の強い幸せな子になる0~10歳の家庭教育』

タイトル:「非認知能力」の育て方 心の強い幸せな子になる0~10歳の家庭教育
著者:ボーク重子
出版社:小学館
娘スカイさんが「全米最優秀女子高生コンテスト」で優勝したことで、その子育て方法が注目され、さまざまなメディアでも取り上げられたボーク重子さん。

ご自身の体験から、子どもの強い心を育み、自分でさまざまな問題を解決して幸せな力をつけられる10歳までの教育をまとめられているのがこちらの本です。

SNSで話題になっていたこと、書店でも平積みになっていたことで手に取りました。その後、全ての著作を購入し、Webの記事も読み、すっかりファンになってしまったほど。どの本も魅力的ですが、特に『「非認知能力」の育て方』はよくまとまっていてポイントが掴みやすく、参考にしやすい箇所も多いと思います。

著者:ボーク重子さん

ボーク重子さんは福島県出身。イギリスの大学院で現代美術史の修士号を取得後、結婚してアメリカ・ワシントンDCに移住、出産。2004年にワシントンDC初のアジア現代アート専門ギャラリーをオープンし、2006年にはアートを通じての社会貢献が評価され、オバマ大統領(当時は上院議員)と共に「ワシントンの美しい25人」に選ばれたことも。現在は国際コーチング協会認定ライフコーチ、アートコンサルタントとして活躍し、執筆・講演活動も行われています。娘のスカイさんは全米最優秀女子高生(Distinguished Young Women of America 2017)で優勝し、現在はコロンビア大学に在学中。

著書に『誰だって「なりたい自分」になれる ワシントンDCの女性が教えてくれた私らしく輝く方法』(2016年、海竜社)、『世界最高の子育て–「全米最優秀女子高生」を育てた教育法』(2018年、ダイヤモンド社)、『世界最高の子育てツールSMARTゴール』(2018年、祥伝社)、『世界基準の子どもの教養』(2019年、ポプラ社)。

今すぐ実践したい、家庭でできる非認知能力の育み方

arka38 / Shutterstock.com
こちらの本では、家庭でできる非認知能力の育て方として「我が家のルール作り」「対話の仕方」「遊び方」「自己肯定感とレジリエンスの育て方」「好きの見つけ方」の5つを軸にコツやポイント、具体的な方法を展開しています。

参考にしたいこと、心がけたいことは山のようにあるのですが、実践できそうな5つのチップスを紹介します。

●自分で決めるという経験を積ませること
小学校に上がる頃までは常に3つ程度の選択肢を与えるのが最適。何でもいいことにすると決めにくいそうです。

●色々なことに挑戦させ、子どもをよく観察すること
どんなものに興味を持つか、子どものパッションを見つけるために、挑戦の機会を増やすこと。また、フロー状態(熱中している)を見逃さないこと。

●どんな時にも欲しいものは1回目で買わないこと
買う買わないをまず考え、買う時にも一番良い方法で買う道を探す習慣をつけることで、衝動買いを防ぎ、我慢する心を育てていたそうです。

●子どもの意見によく耳を傾けること
人前で表現する自信をつけるためには、親が子どもの話を遮ったり無視したり、正しさをジャッジしたりしないこと。

●自然の中での外遊びやスポーツを楽しむこと
身体能力も高まりますが、さらに、スポーツは必ず負ける経験をするので、失敗から立ち上がるレジリエンスを学べる良い機会だそうです。

親の非認知能力も鍛えよう

Liderina / Shutterstock.com

ボークさんがこちらの本はもちろん、他の著書でも繰り返し伝えていることの一つに、母親も非認知能力を鍛えること、特に自己肯定感を高めることの重要さがあります。

そもそもボークさんは、娘さんの活躍後に書いた子育て本で有名になった方ではありません。子育て中に起業し、そこでのご自身の活動が高い評価を得ている方です。

ただし、出産後、専業主婦であった期間に、自分に対する失望や人生への焦り、苛立ちを感じた挫折経験があるそうです。

子育てのプレッシャーを感じすぎてイライラし、ストレスで幸福度も下がり、それが子どもにも悪影響を与えたこともあるとか。

そして、「母親の幸福度が下がると子どもも不利益を被る」「親の幸せも不幸も伝染する」と気付き、親になっても自分自身の人生を捨てず、子どもの成功で自分の成功を測らないことを徹底していらっしゃいます。自分の幸せを追求し、そのための線引きやルールも決めています。

著書では「家庭での子どもの自己肯定感を育む12の方法」として、子どもの話をよく聞く、感謝する、よく見て褒めるなど具体案をさまざまに提示していますが、同時に、「親の自己肯定感を高める」方法にも触れていて、とても参考になりますよ。

全てを実践するのは難しいけれど……

実は、最初にネットでボーク重子さんと娘さんの記事を見かけたときには、ワシントンDCでの私立校、美貌! など、元々の条件や環境も大きく違うので、何にも参考にならないのではと思ったことを告白しておきます。

一通り読ませていただいた後も、金銭的なことでも、状況的にも、真似できることとできないことも多いし、そうでないことは、人間ができていないから無理かも……と焦りすら感じました。

しかし、全てを持っているかのように見えるボークさんでも、常に悩み、迷いつつ工夫しているのです。例えば「子どもを他の人と比べない」ために、比べてしまいそうな場にはいかないことを徹底するなどしています。

要するに、自分のことを認められなければ、子どものありのままの姿も愛せず、無いものねだりをしがちになるのですよね。

大事なことは何度も読み、忘れないようにしたいなと思っています。
この記事は執筆時点のものですので、最新情報は公式サイト等でご確認ください。

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WRITER

志田実恵 志田実恵  エディター/ライター。札幌出身。北海道教育大学卒業(美術工芸)。中高の美術教員免許所持。出版社でモバイル雑誌の編集を経て、様々な媒体で執筆活動後、2007年スペイン留学、2008〜2012年メキシコで旅行情報と日本文化を紹介する雑誌で編集長。帰国後は旅行ガイドブック等。2014年6月に娘を出産。現在は東京で子育てしながらメキシコ・バスクの料理本の編集のほか、食、世界の子育てなどをテーマにwebを中心に活動中です。