2018年01月24日 公開

【2018年施行】幼稚園・保育園・こども園の法令改訂のポイント

平成29年3月末に告示、改訂(定)された「幼稚園教育要領」「保育所保育指針」「幼保連携型認定こども園教育・保育要領」の3法令。平成30年の4月から施行されました。どんな背景と目的で何がどう変わるのか、親目線で知っておきたいことを4回に分けてご紹介します。まずは共通して変更されたポイントを見てみましょう。

平成29年3月末に告示、改訂(定)された「幼稚園教育要領」「保育所保育指針」「幼保連携型認定こども園教育・保育要領」の3法令。平成30年の4月から施行されました。どんな背景と目的で何がどう変わるのか、親目線で知っておきたいことを4回に分けてご紹介します。まずは共通して変更されたポイントを見てみましょう。

そもそも3法令って何?

「幼稚園教育要領」、「保育所保育指針」、「幼保連携型認定こども園教育・保育要領」。幼稚園、保育園、こども園向けに、それぞれ目指すべきところを規定したものですが、平成29年(2017年)の3月に告示された、それぞれをまとめて「3法令改訂(定)」としています。

内閣府と文部科学省、厚生労働省が連携して、共通課題を明確にしているのが大きな特徴で、今までにない、大規模の変更が行われました。

基礎知識が無いと原文を読んでもわかりにくいので、さまざまな解説本が、幼稚園教諭や保育士向けに多数出版されています。

何が変わったのか、今それぞれの園で何が求められているのか、保護者目線でも知っておきたいことがたくさんあるので、まずは3〜6歳の幼稚園と保育園、こども園それぞれに共通する変更とポイントをまとめてみました。

改訂(定)の背景:なぜ同時に見直されたの?

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日本の就学前の子どもは、義務教育ではないものの、9割以上が幼稚園、保育園、こども園のいずれかに通っています。

昨今は、共働き家庭が増え、保育園の需要が増加。年齢や地域にも寄りますが、平均すると、幼稚園と保育園の就園状況はほぼ半々といえます。平成18年に認定こども園制度がはじまって以来、こちらも増加中。

幼稚園は文部科学省の管轄下、保育所は厚生労働省の管轄という違いがありますが、子どもが三つのうち、どの園に通っても、同じ質と内容の幼児教育・保育が保証されることが求められているのは当然です。

この社会状況と制度の変化に応じつつ、共通する目標や狙いを改めて見直し、確立する必要があったのが今回の背景です。

幼児教育の意識と小学校後のフォローを明確化

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段階別にみると、特に以下の二つの時期が大きく意識されています。

幼児教育の目的を明確にし、共通化する

特に3歳以上の「幼児教育」に狙いと内容を改めて設定し、共通の資質と能力を育てるという目標が明確にされました。

就学後のつながりを明確にし、共通化する

幼児教育から小学校以上の教育のつながりも明確にされました。

小学校に入学する際は「幼稚園出身者は○○」「保育園育ちは○○」など、その差異が親の間で噂されると聞きます。その差は何か、足りないのは何かと焦る保護者の声も多く耳にします。今回、共通の目的と見通しが明確化されたことでその溝が埋められていくことも期待されるのではないでしょうか。

世界的に重要視される「幼児教育」とは

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長年、日本をはじめ、世界中の多くの国では “教育”は、ほぼ6歳から行われてきました。しかし、社会状況や家族のあり方の大きな変容があり、6歳までに家庭内と地域社会だけで必要な能力やスキルを身につけるのは困難になってきています。

さらには研究によって、乳幼児期に非認知能力を育てることの重要性が明らかに。よって、さまざまな国で幼児教育が見直され、義務教育をスタートする時期(主に3歳以降へ)も再考されているのです。

日本でも、平成18年に教育基本法が改訂され、「幼児期の教育は生涯にわたる人格の基礎を培う重要なもの」として幼児教育の重要性が改めて位置づけられています。

今回は「幼児教育」についてより掘り下げられ、何を目的・狙いとするのかが、具体的に定められました。

幼児教育において育みたい資質・能力の3本柱とは

幼児期に育みたい資質や能力は以下の三つに整理されました。いずれも園での生活や遊びを通して、総合的な指導の元、「知的な力」と「情意的な力」が身につけられることを目指しています。

・知識及び技能の基礎

遊びや生活の中で、豊かな体験を通じて、何かを感じたり、気づいたり、わかったり、何かができるようになる力。

・思考力、判断力、表現力等の基礎

遊びや生活の中で、考え、試したり工夫したり表現したりできる力。

・学びに向かう力、人間性等

さまざまなことに意欲を持ち、粘り強く取り組み、目標に向かって頑張っていける力。思いやりや安定した情緒。
いずれも小学校以降に求められる三つの資質と能力「知識・技能」「思考力、判断力、表現力等」「学びに向かう力、人間性等」につながるものとして意識されています。

幼児期の終わりまでに育って欲しい10の姿とは

以上の資質・能力を育てるとき、具体的にどのような点に注意して指導すれば良いかをまとめたのが「10の姿」です。ただし、幼児期に完成し、100%できるようになる必要はなく、小学校教育と連携し、入学後も継続されることが明記されています。

その「10の姿」は以下のとおりです。

「健康な心と体」「自立心」「協同性」「道徳性・規範意識の芽生え」「社会生活との関わり」「思考力の芽生え」「自然との関わり・生命尊重」「数量・図形・文字等への関心・感覚」「言葉による伝え合い」「豊かな感性と表現」

アクティブ・ラーニング:主体的・対話的で深い学びとは

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この「10の姿」を育てる際の指導で重要視されているのが「アクティブ・ラーニング」です。

「主体的・対話的で深い学び」と言い換えられています。子どもが、普段行っている遊びや活動に、「主体的な学び」か、「対話的な学び」があり、それが「深い学び」になっているかという視点が求められています。

「主体的な学び」とは

周囲の環境に興味や関心を持って積極的に働きかけ、見通しを持って粘り強く取り組み、自らの遊びを振り返って、期待を持ちながら次につなげること。

「対話的な学び」とは

自分の思いや考えを言葉にして保育者や友達と共有し、伝え合うこと。子ども同士にそれぞれの考えがあることを知り、協力するなどして自分の考えも広め、深められること。

「深い学び」とは

試行錯誤を繰り返す体験を通して、ものの見方や考え方を働かせ、生活や環境の意味や法則性に気づいていくこと。

「21世紀にふさわしい教育作り」に幼児教育施設も参加

小中高大それぞれの教育期間で盛んに議論され、挑まれている課題「21世紀にふさわしい教育作り」に、未就学児である、6歳未満が通う機関も参加することが意識されたのことも、今回の大きな特徴です。

今後、小学校入学前の子どもたちを”未就学児”とは呼べなくなってくるかもしれませんね。

では、どういうカリキュラムを組み、普段の活動に反映させていくのか、という落とし込みは、それぞれの園次第。しかし、家庭内でも意識してみると良いのではないでしょうか。

幼児教育というと、読み書き計算、詰め込みの早期教育を連想・混同する認識がまだまだあるような気がしますが、そこも変わっていくかもしれません。

その他、幼稚園、保育所、こども園、それぞれの変更点はまた詳しくご紹介していますのでそちらも是非読んでください。

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この記事のライター

志田実恵
志田実恵

エディター/ライター。札幌出身。北海道教育大学卒業(美術工芸)。中高の美術教員免許所持。出版社でモバイル雑誌の編集を経て、様々な媒体で執筆活動後、2007年スペイン留学、2008〜2012年メキシコで旅行情報と日本文化を紹介する雑誌で編集長。帰国後は旅行ガイドブック等。2014年6月に娘を出産。現在は東京で子育てしながらメキシコ・バスクの料理本の編集のほか、食、世界の子育てなどをテーマにwebを中心に活動中です。