平成29年3月末に告示、改訂(定)された「幼稚園教育要領」「保育所保育指針」「幼保連携型認定こども園教育・保育要領」の3法令。平成30年の4月から施行されました。どんな背景と目的で何がどう変わるのか、親目線で知っておきたいことを4回に分けてご紹介します。まずは共通して変更されたポイントを見てみましょう。
そもそも3法令って何?
内閣府と文部科学省、厚生労働省が連携して、共通課題を明確にしているのが大きな特徴で、今までにない、大規模の変更が行われました。
基礎知識が無いと原文を読んでもわかりにくいので、さまざまな解説本が、幼稚園教諭や保育士向けに多数出版されています。
何が変わったのか、今それぞれの園で何が求められているのか、保護者目線でも知っておきたいことがたくさんあるので、まずは3〜6歳の幼稚園と保育園、こども園それぞれに共通する変更とポイントをまとめてみました。
改訂(定)の背景:なぜ同時に見直されたの?
昨今は、共働き家庭が増え、保育園の需要が増加。年齢や地域にも寄りますが、平均すると、幼稚園と保育園の就園状況はほぼ半々といえます。平成18年に認定こども園制度がはじまって以来、こちらも増加中。
幼稚園は文部科学省の管轄下、保育所は厚生労働省の管轄という違いがありますが、子どもが三つのうち、どの園に通っても、同じ質と内容の幼児教育・保育が保証されることが求められているのは当然です。
この社会状況と制度の変化に応じつつ、共通する目標や狙いを改めて見直し、確立する必要があったのが今回の背景です。
幼児教育の意識と小学校後のフォローを明確化
幼児教育の目的を明確にし、共通化する
就学後のつながりを明確にし、共通化する
小学校に入学する際は「幼稚園出身者は○○」「保育園育ちは○○」など、その差異が親の間で噂されると聞きます。その差は何か、足りないのは何かと焦る保護者の声も多く耳にします。今回、共通の目的と見通しが明確化されたことでその溝が埋められていくことも期待されるのではないでしょうか。
世界的に重要視される「幼児教育」とは
さらには研究によって、乳幼児期に非認知能力を育てることの重要性が明らかに。よって、さまざまな国で幼児教育が見直され、義務教育をスタートする時期(主に3歳以降へ)も再考されているのです。
日本でも、平成18年に教育基本法が改訂され、「幼児期の教育は生涯にわたる人格の基礎を培う重要なもの」として幼児教育の重要性が改めて位置づけられています。
今回は「幼児教育」についてより掘り下げられ、何を目的・狙いとするのかが、具体的に定められました。
幼児教育において育みたい資質・能力の3本柱とは
・知識及び技能の基礎
・思考力、判断力、表現力等の基礎
・学びに向かう力、人間性等
幼児期の終わりまでに育って欲しい10の姿とは
その「10の姿」は以下のとおりです。
「健康な心と体」「自立心」「協同性」「道徳性・規範意識の芽生え」「社会生活との関わり」「思考力の芽生え」「自然との関わり・生命尊重」「数量・図形・文字等への関心・感覚」「言葉による伝え合い」「豊かな感性と表現」
アクティブ・ラーニング:主体的・対話的で深い学びとは
「主体的・対話的で深い学び」と言い換えられています。子どもが、普段行っている遊びや活動に、「主体的な学び」か、「対話的な学び」があり、それが「深い学び」になっているかという視点が求められています。
「主体的な学び」とは
「対話的な学び」とは
「深い学び」とは
「21世紀にふさわしい教育作り」に幼児教育施設も参加
今後、小学校入学前の子どもたちを”未就学児”とは呼べなくなってくるかもしれませんね。
では、どういうカリキュラムを組み、普段の活動に反映させていくのか、という落とし込みは、それぞれの園次第。しかし、家庭内でも意識してみると良いのではないでしょうか。
幼児教育というと、読み書き計算、詰め込みの早期教育を連想・混同する認識がまだまだあるような気がしますが、そこも変わっていくかもしれません。
その他、幼稚園、保育所、こども園、それぞれの変更点はまた詳しくご紹介していますのでそちらも是非読んでください。