2018年3月30日 公開

【2018年施行】新「認定こども園教育・保育要領」の改訂ポイント

平成29年3月31日に告示、改訂された「幼保連携型認定こども園教育・保育要領」。平成30年の4月1日から施行されます。その背景と目的、何がどう変わるのか、幼稚園や保育園と異なるポイントはどこなのか。認定こども園に子どもを通わせる親目線で知っておきたいことをご紹介します。

幼保連携型認定こども園教育・保育要領

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認定こども園とは教育・保育を一体的に行う施設で、平成18年から制度がはじまりました。

保護者の就労状況に関わらず利用でき、就労状況が変わった場合も転園せずに継続して利用できるため、待機児童の解消策としても期待されています。

平成24年には認定こども園法(通称)の一部改正が行われ、平成27年4月からは子ども・子育て支援新制度のもとで運営されています。

平成29年4月時点で全国に5,081園(平成28年4月は4,001園)あります。

認定こども園の教育課程や保育内容に関する事項を定めた「幼保連携型認定こども園教育・保育要領」は、平成26年に内閣府・文部科学省・厚生労働省から第1号が告示され、平成27年に「子ども・子育て支援新制度」とともに施行されたばかりなので、幼稚園や保育園に比べると、今回見直された箇所はそう多くはありません。

今回は、同時に改訂(定)された幼稚園教育要領、保育所保育指針との整合性を図るという目的が主ではありますが、認定こども園の実践の進展や現状課題に合わせて改訂された箇所もありますので、ご紹介します。

認定こども園で特に配慮されるべき事項とは

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認定こども園の大きな特徴は、在園時間の異なる園児が一緒に生活していることです。

幼稚園のように約4時間の「教育課程に係る教育時間」のみを主に過ごす園児や、保育園のように長時間利用する園児など、一人一人の生活リズムが異なるなか、双方の生活が安定するための工夫が必要になります。

それぞれ無理せずに自己を発揮しながら、お互いに刺激し合い、育ち合う環境となるよう、特に園での配慮が求められることとして、以下の5点が明確になりました。

いずれも、預ける親としては気になるポイントばかりではないでしょうか。詳しく解説します。
・在園期間、時間の違いに配慮した発達と学びの連続性
・多様性に配慮した、園生活の連続性と1日の流れ作り
・教育時間とその他の時間の流れ作り
・2歳児から3歳児への移行期の配慮
・認定こども園の「教育及び保育」のあり方が明確に

発達の連続性、学びの連続性

認定子ども園への入園時期は、0〜1歳、2歳、あるいは3歳からなどさまざまです。また、3歳入園でも集団生活を経験している子とそうでない子がいます。

在園期間・時間が異なるなか、乳幼児期から小学校以降へつながる「発達や学びの連続性」を保つことが求められています。

特に、3歳以降は1号認定(教育のみ受ける)と2号認定(保育も必要とする)の子どもを原則として同じクラスで教育・保育します。それぞれの経験や発達の差を、保育者側がよく理解して把握した上で、皆に配慮することが必要なのです。

多様性に配慮した、園生活の連続性と1日の流れ作り

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園生活においては、子どもたち一人ひとりの流れを意識して、計画を組み立てる必要があります。どの子にも1日の連続性が大事だからです。

それぞれ異なる1日を過ごす園児たちが一緒に生活するからこそ得られる学びもあります。子どもたちの多様性がマイナスとして働かず、プラスに変わる豊かさを意識することがよりいっそう求められています。

保育者の意識がお迎えに来た保護者にばかりに向いてしまうと、残された園児が寂しさを感じてしまうなど、保育園と同様、あるいはそれ以上に認定こども園では大きな動きがあるので、登園・降園はよりいっそう配慮が求められる時間であると意識されています。

この辺も、実際に認定こども園が運営されていくなかで、クローズアップされてきた課題でしょうか。

教育時間とその他の時間の流れ作り

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3〜5歳のクラスでは主に4時間(一般的には午前9時〜午後1時頃)の「教育課程に係る教育時間」と、自然な活動の欲求を満たす「その他の時間」を一体的に捉えて自然な流れにすることが、改めて重要視されています。

午後2時頃に帰宅する子どもたちが、家庭や地域での充実した時間を過ごせるよう、家庭との連携や声かけが必要です。また、残る子どもたちには、長時間、園で過ごしていても、近しい体験ができるような指導計画を立てることが園側に求められています。

2歳児から3歳児への移行期の配慮

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満3歳以上になると、新入園児も含め、同一学年の園児による集団で過ごすようになります。ここで2歳児クラスから進級する園児も、新入園児も安定して過ごせるよう、徐々に交流の機会を作るなどの工夫をすることがとても重要とされました。

実は、4月はじめの認定こども園は、「混乱期」でもあるようです。

2歳児クラスから進級する園児は園での生活に慣れていますが、およそ6人に1人の保育者が寄り添う生活から20人に1人になるという変化があります。そこで、新入園児が親と離れて泣く姿を見ると、さらに不安が増すこともあるとか。

しかし、伸び伸びと遊ぶ進級児たちの姿に、新入園児も安心して慣れるのが早い、という面もあります。

子どもたちにも親にも個別に配慮しつつ、集団の中でともに生きる力を生み出していくという、プラスの面を強調できる保育・教育計画も、より求められているようです。

子育ての支援

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在園児や地域の子どもの保護者に対する子育て支援は、認定こども園法で義務付けられています。

特に、生活形態が異なる保護者間の相互理解や交流が深まる工夫、配慮の必要性について、さらに強調されました。

発表会や運動会など、教育・保育活動への保護者参加にあたっても、「働いているからその内容では負担が大きい」「働いている親の分まで負担するのはおかしい」などの不満や理解の行き違いがないよう、保護者と園が子どもの育ちを一緒に考える関係を築くことが求められています。

子どものプライバシーの保護や秘密保持等についても、充分に考慮される必要があります。

「教育及び保育」のあり方が強調

また、今回の改訂で、認定こども園ならではの着目ポイントは「教育及び保育」のあり方が強調された点です。

保育を必要とする子どもの「保育」は、「養護」と一体的に「教育」として展開され、それが小学校以降の学校教育につながる連続的な関係であるとされました。

園児の入園から卒園までを通して、教育と保育が一体的に行われ、発達や学びが連続していることに配慮が必要であることが強調されています。

認定こども園は、教育と保育を総合的に行いながら、成長を支援する施設であることが明確になったのです。

最後に

認定こども園は制度自体が新しく、施設も年々増加中という段階なので、園も保護者も手探りであるところが多いのかもしれません。お互いによりよくしていこう、という姿勢が大切そうですね。

そのほか、3〜6歳児の「教育課程に係る教育時間」や園児の評価の実施、全体的な計画の明確化、特別な配慮を必要とする園児(障害のある園児や海外から帰国した園児)への指導の充実や、子育て支援 、災害への備えなどは「幼稚園教育要領」と共通して追加されていますので、そちらもよく把握しておきたいですね。

また、特に0〜2歳児の保育については「保育所保育指針」と共通する箇所が多いです。乳児期、満1歳以上満3歳未満の園児の保育に関する視点や内容の新たな記述も追加されています 。

両方の知識についても深めておくと、親として参考になりますよ。
この記事は執筆時点のものですので、最新情報は公式サイト等でご確認ください。

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WRITER

志田実恵 志田実恵  エディター/ライター。札幌出身。北海道教育大学卒業(美術工芸)。中高の美術教員免許所持。出版社でモバイル雑誌の編集を経て、様々な媒体で執筆活動後、2007年スペイン留学、2008〜2012年メキシコで旅行情報と日本文化を紹介する雑誌で編集長。帰国後は旅行ガイドブック等。2014年6月に娘を出産。現在は東京で子育てしながらメキシコ・バスクの料理本の編集のほか、食、世界の子育てなどをテーマにwebを中心に活動中です。