2019年10月16日 公開

小学生の英語教育が変わる2020年!家庭でするべき対策は?

2020年から始まる小学生の英語教育改革。現在5、6年生が「外国語活動」として学んでいる英語ですが、早期化・教科化が進められます。外国語活動は3年生から始まり、5年生から教科として必修化が決まりました。具体的な変更点と小学生のうちに行いたい対策をご紹介します。

2020年から始まる小学生の英語教育改革。現在5、6年生が「外国語活動」として学んでいる英語ですが、早期化・教科化が進められます。外国語活動は3年生から始まり、5年生から教科として必修化が決まりました。具体的な変更点と小学生のうちに行いたい対策をご紹介します。

2020年度からはじまる「英語教育改革」とは?

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今までの英語教育は「大学受験を見据えた英語学習」の傾向がありました。語彙力・文法力などの向上のため「読む(reading)、書く(writing)」に重点置いた学習内容です。しかし2020年からは「世界の人とコミュニケーションを取れる英語力」の育成を目指します。

改革の目的と背景

文部科学省が進める小・中・高一貫の英語教育改革が、2020年から本格的にスタートします。また小学生・中学生の英語教育の改善は、2018年から東京オリンピック・パラリンピックを視野に入れて段階的に進められてきました。

急速に進むグローバル化に対応するため、国際共通語である英語の教育目標・内容が改訂され「コミュニケーション能力の強化」を目指しています。国民の英語力アップさせることは「国力維持・向上」に直結し、アジア諸国のなかでトップクラスの英語力を身につけることで国際競争力強化を狙う考えです。

小学校~高校までの英語教育をより実践的な内容に見直す

【小学校】 
3年生から外国語活動が始まります。3、4年生は年齢でいうと8歳~10歳。この時期の子どもの聴力は「周波数の高い英語の子音」を聞きとることが可能です。英語特有の発音・発声を学ぶため、英語の音声に慣れ親しませる授業内容となります。英語を話すことへの抵抗をなくし、コミュニケーション能力の素地を養うことを目指すのが大きな目的です。

高学年となる5年生からは、日常生活をテーマに基礎的な英語表現を使って「聞く、話す」技能を磨きます。加えて英文を「読む、書く」練習もスタート。英語の語彙力・文章力を培います。6年生では「自己紹介文を自分で書き、発表し質疑応答を受ける」という一連の流れを英語でできるレベルを目指します。

【中学校】
小学校で身につけた英語4技能「聞く、話す、読む、書く」を使い、身近な話題について友だち・先生と意見を交わします。「自分の意見を伝える、相手の意見を理解する、簡単な情報交換ができる」レベルのコミュニケーション能力が目標です。英単語の暗記量・文法訳読の正しさに重きを置き過ぎない、コミュニケーションを楽しむカリキュラムが増えます。

【高等学校】
政治・経済・文化など、幅広い分野からテーマを決めて自分の意見を発表する、グループディスカッションによって英語による論理的思考力・表現力を高めていきます。英語を使って「自分の意思を的確に伝える」「相手の意見を理解したうえで交渉する」など高度な言語活動を行うことで、総合的に英語力を強化します。

「聞く」「読む」「話す」「書く」の4技能の力を積み上げる

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英語教育改革の主軸は「英語を使って何ができるようになるか」です。かつての英語教育は語彙力・文法力に重きを置いた「書く(Writing)」主体のものでした。授業・テスト・試験では「聞く(Listening)」「話す(Speaking)」「読む(Reading)」が2の次となり、成績は「書く」能力の高さで判断される傾向があったのです。

しかし経済・文化の急激なグローバル化によって、国際共通語である英語を使いこなせないことは国としても個人としてもデメリットが大きくなってきました。国際社会で自分の意見を主張し、理解を得るには「聞く、話す、読む、書く」の4技能を総合的に高める必要があるでしょう。

語彙力・文法力・正しい発音などの個別な能力に偏らず、4技能を積み上げることで「世界に通用する英語力」が育まれていきます。

大学入試も4技能の力が試される

これまでの大学入試センター試験に代わって、2020年度より「大学入学共通テスト」の導入が決まりました。センター試験はマークシート方式が採用されていましたが、大学入学共通テストは数学と国語に記述式問題が加わります。

英語は「読む(Reading)、聞く(Listening)、話す(Speaking)、書く(Writing)」の4技能を測る民間資格・検定試験が入学テスト。語彙力・文法力はもちろん、読解力・論理的思考力・表現力も試されます。大学入学共通テストとして採用された英語資格・検定試験は以下の8つです。

・ケンブリッジ英語検定
・TOEFL iBTテスト
・IELTS
・TOEIC Listening & Reading TestおよびTOEIC Speaking & Writing Tests
・GTEC
・TEAP
・TEAP CBT
・英検

なお2023年度までは、民間資格・検定試験と大学入試センターが出題する問題が併用されます。2024年度より民間資格・検定試験の一本化となる予定です。

2020年度、小学生の英語教育は具体的にどう変わる?

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2020年より始まる戦後最大規模の教育改革。英語は教科化され、国語・算数などと同様に通知表に成績がつくようになります。週1回1コマ(45分)の授業は週2回2コマ(90分)となり、学ぶ内容がより実践的なものに変わります。
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英語学習が小学3~4年生からスタート

これまでの英語教育は「外国語活動」として、小学5年生から週1コマ程度「英語に慣れ親しむ」ために行われていました。2020年度からは、小学3年生から「外国語活動」がスタート。3~4年生は英語に慣れ親しみながら、4技能の基礎を身につけます

そして5年生から「外国語」として教科となり(通知表に成績がつく)、コミュニケーション能力を高めたり、語彙力・文法力を伸ばす指導が行われます。

2018年度4月からすでに移行措置期間

移行措置期間である2018年度・2019年度は、すべての公立小学校で小学3、4年生の外国語活動において年間最低15コマの授業時間が必須。5、6年生では外国語活動の授業時間は年間50コマとなっています。学習内容に「新学習指導要綱に基づく新しい学習カリキュラムの一部を加える」ことも必須条件です。

年間35単位時間(週1コマ程度)の「外国語活動」

移行措置期間が終了する2020年度より小学3、4年生の「外国語活動」の学習時間は週1コマ、年間35コマとなります。これまで「総合的な学習の時間」を使うなどして、地域・学校の裁量で行われていた中学年の英語教育。地域・学校により学習内容・レベルに大きな格差がありましたが、今回の大変革でそれがなくなることも期待されています。

小学5~6年生は「外国語(=教科としての英語)」として年70コマに増加

小学5年生からは「外国語」として教科化され(通知表に成績がつく)週2コマ、年間70コマの学習時間となります。「聞く、話す」を中心とした活動に、「読む、書く」を加えた英語授業が行われるでしょう。

2020年度の英語教育改革で重要視されることは?

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英語を使ってコミュニケーションをとるためには、「インプット=語彙・文法など英語の知識を覚える」「アウトプット=インプットで得た知識を使って会話・作文する」の両方が必要です。

これまでインプット「読む(reading)、書く(writing)」中心だった英語教育が、「聞く(Listening)、話す(Speaking)」力の育成にも力を入れ始めています。

「聞く」「話す」力のレベルの向上

国境を越えて学び、働く機会を得るには「英語での意思疎通」が欠かせないもの。従来のような「書く(Writing)」に偏った英語学習では、中学卒業時までに「日常会話ができるレベル」に達することが難しいという意見も少なくありません。

新学習指導要綱では「語彙・文法の知識を身につける」ことに偏らず「聞く、話す」能力の育成に力を入れる指導を促しています。アルファベットの識別と発音、簡単な挨拶を覚える、自己紹介文を書いて発表する……。段階的に英語力を高めていくことで、「英語でコミュニケーションをとる能力」が習得できるカリキュラムです。

「聞く」「話す」力の向上のため家庭でできることは?

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「聞く(Listening)」「話す(Speaking)」を向上させるには英語を使う時間を増やすことが大切です。英会話教室に通うのも良いですが、家庭で日常的に英語学習を行うことが英語上達への近道でしょう。

間違ってもいいので、英語をたくさん話す機会を作る

日本人が英語を習得するのに必要な時間は「約2,000時間~3,000時間」と言われています。週1回・50分の英会話レッスンに通った場合、2,000時間学ぶためには約46年間通う計算になります。なるべく早く英語をマスターして使いこなすには「日常的に英語を話す」ことです。

文法・単語が間違っていても良いので、家庭で英語を使ってコミュニケーションをとりましょう。まずは親御さんが率先して英語を使ってみてください。挨拶や天気、食事などの身近な話題を英語で話し合ってはいかがでしょうか。

仕事などで時間がとれない場合は、放課後の保育・預かりを英語で行う英語学童・アフタースクールもおすすめです。

英語アプリを活用し、楽しく学ぶ

パソコン・スマホ・タブレットを使った英語学習なら、いつでも好きな時間に学べます。お子さまのペースに合わせて無理なく学習が進められるのは大きなメリットでしょう。正しい発音を繰り返し聞くことができるのも魅力です。

楽しみながら4技能を伸ばせる英語アプリはたくさんあります。「ゲーム感覚で単語が覚えられる」「クイズ形式で文法が理解できる」「キャラと会話をしながらストーリーを進めていく」「予約不要でネイティブとの会話ができる」……。お子さまの興味を引く、続けられる英語アプリがきっと見つかるはずです。

シャドーイングを取り入れて英語耳を養う

「シャドーイング(Shadowing)」とは、英語を聞きながら、聞こえてきた音声をそのまま真似していく学習法です。英文を聞き終わってから繰り返すのではなく、話し始めたらそのまま少し遅れ気味に追いかけていきます。

話し手の音声に「影(shadow)のようにぴったりくっついて発音する」このトレーニングは、翻訳・同時通訳者が取り入れているもの。英語の発音を聞き分け、言語として認識する能力をつけるなら「耳の発達の臨界期とされる8歳~12歳」までに行うと良いでしょう。

英語アプリ・youtube・海外アニメ・シャドーイング教材などを使って「真似っこ遊び」感覚で挑戦してみてはいかがでしょうか。

オンライン英会話を活用する

マンツーマンレッスンをリーズナブルな価格で受けられるオンライン英会話。1レッスン数百円から受講可能です。講師・時間を自由に決められるので、お子さまの特性・スケジュールに合わせてレッスンが受講できます。

お子さまが恥ずかしがって、黙り込んでしまっても大丈夫。先生が優しく話しかけて、緊張をほぐしてくれるでしょう。会話ができなくても、生の英語を聞くだけでリスニング能力のトレーニングなります。

気の合う先生が見つかれば英語で話すことが楽しくなるはず。お友だちとおしゃべりする感覚で英語力アップが目指せるでしょう。

家族で日常的に英会話レッスンを

赤ちゃんが母国語を習得するには「親からの言葉のシャワー」と「赤ちゃんの発声・動作に対する親の反応」が必要不可欠。英語の習得も同様です。まずは親が英語を使うことに慣れていきましょう。

正しい発音・文法で話せなくても構いません。臆せず英語を使ってコミュニケーションをとる姿を見せることがポイントです。挨拶やちょっとした会話を英語で行うことから始めてはいかがでしょうか。

「What would you like for dinner?」(今日の夕ご飯は何がいい?)
「Where are you going?」(どこへ行くの?)
このように子どもが答えやすい質問をするのもおすすめ。日常的に接する英語の量を増やし、子どもが英語を使う機会を意図的に増やしてみてください。

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この記事のライター

AOTANAOAO
AOTANAOAO

2015年よりライターと鞄・アパレル雑貨メーカーのWEBモデルの仕事をしています。Chiik!!では幼稚園入試、英語学童、インターナショナルスクール、親子で作れる知育玩具などの記事を執筆。 教育・健康・レジャー・ファッションなど、「日常生活がより豊かに楽しく送れる」ような情報記事を書いております。