子どもの成長は早いもので、【英国すくすくレポ】の連載を始めた当時6歳だった長女は、現在12歳。今月末で13歳といわゆるティーンエイジャー目前になりました。次女は現在10歳でイギリスの小学校最後の学年です。連載を始めた初めのころに、次女のトイレトレーニングについて書いたあの頃が夢のようです(笑)。
イギリスの幼稚園や小学校生活のことを、過去に何度か【英国すくすくレポ】で取り上げさせていただきましたが、今回の記事では、その後の進学先であるセカンダリースクールについてや、成長に伴う子ども自身の変化についてレポートしていきたいます。
学校のことが、急にわからなくなった…
イギリスの教育システムは公立の場合、誕生日にもよりますが4歳からレセプション(小学校準備学年)、5歳からYear 1(小学校1年生)が始まり、10~11歳のYear 6(6年生)でプライマリースクール(小学校)が終わります。
続いて、セカンダリースクールと呼ばれる学校に進学します。入学試験はありませんが、地域に複数のセカンダリースクールがある場合は、既定の期日までにカウンシル(地方自治体)に希望の学校と優先順位をオンラインで伝えます。(学校を選ぶためにオープンスクールも開催されます)
春ごろに進学先の学校が発表されると、同じ学校に進学する同級生と一緒に、新しい学校の体験日(Transition Day トランジションデー)に参加します。そして、夏休みをはさんで9月から新学期が始まります。進学しても入学式というものはなく、1日目から子どもだけで登校します。そのため、学校の雰囲気やほかの生徒さんの様子、担当の先生がどんな方々なのかを親が直接見ることは難しいです。(オープンスクールの日が、学校のことを知る数少ないチャンスとなります。)
長女は今年セカンダリースクール(中学校と高校が繋がったような5年間の教育システム)の2年目、学年はYear 8です。昨年は、仲が良かったお友達と別の進学先になったり、新しい環境に馴染むために、すこし心細さを感じていたようでした。「学校に行きたくない」という日も度々ありましたが、今年は2年目ということもあって学校にも慣れ、新しい友達もでき、学校に楽しく通えているようでほっとしています。
学習面ですが、イギリスの学校には日本のような教科書がありません。授業に使うノートも教科ごとに集めて各教科の部屋に置いておくため、家で子どもたちの学習内容を確認する機会は少ないです。宿題はChromebookを使ったオンライン形式で出題され、期限までにオンラインで回答するシステムです。宿題を覗くことで、「今何を習っているのか」がなんとなくわかるものの、パラっとめくって確認できる教科書がないのは、日本育ちの筆者としてはなんとなくまだ慣れないものがあります。
学校からの連絡や、その週の宿題や課題などの連絡は、学校選定のアプリや登録したメールで確認することが可能です。しかし、筆者はあまりしっかりした親ではないので、ほとんど子どもにまかせきりになっているのが正直なところです…。
イギリスの学校には、日本の学校面談のようなペアレンツイブニングというものがあります。これは、親と先生が日頃の学習面(または生活態度面など)で気になることを共有する面談で、子どもは参加しません。小学校のときは学校に出向き、担任の先生と10分程度会話をする機会がありました。しかし、セカンダリースクールでは、各教科の先生とオンライン通話で5分だけ、しかも生徒が多い為、希望者が多い教科は早い者勝ちという日本だとあまり考えられないようなシステムです。
上記のような理由もあり、セカンダリースクールの学校生活は、子どもから話を聞く以外はあまりよく分からないという印象です。Year 10と11にはGCSEというとても大事な学力テスト(受験はYear 11の最後)が待っているので、もしかしたら、その時期が近くなるともっと学校との関わりが変わってくるのかもしれません。
冷静でいたいのにお互い感情的に
思春期の子育ては大変と聞きますが、今まさにそれを日々実感しています。今までの育児書とは全く違う、10歳~12歳頃からの脳の発達に伴う変化で、子どもとの関わりは違うステージに突入したと痛感していて、大人の自分が冷静でいるべきなのに、ついプチっと切れてしまうような言い返しや言い訳などに感情的になって口喧嘩に発展してしまうこともしばしば。(猛省)
また、12歳なんだから、これくらいはできるだろうとか、一般的なマナーは分かってくれているはずと親の方で勝手に期待値を上げてしまい、期待に合わない結果になったときに「私の育て方が悪かったんだろうか…」と自己嫌悪を感じることもあります。今、まさに脳も心身も成長の途中なのだから、もっと広い心で受け止めてあげられる母親でるべきなのですが。
また、親からのアドバイスはうるさく感じる時期なのかなと感じることも多く、「雨が降るから傘を持って行ったほうがいいよ」とか、「寒くなるからコートがいるんじゃない?」と言った子どもを思って言う言葉も、日によっては口喧嘩の火種になることがあります。困ったら自分で何とかするだろう、そこから何か学ぶだろうと気持ちを切り替えて、グッと言葉(小言)を飲み込む
修行の日々です…。
こういう時は、思春期以降を対象にした育児書がとても役立つと感じています。幼い頃の育児とは違って、態度は大人顔負け、でもまだまだ不安定なこの時期の子ども達とどう接するか、心がざわついたときには数行でも読むようにしたり、犬の散歩のときにオーディブルで聞きながら、子どもへの感情の揺れをフラットに戻すように心がけています。
今までに読んだリ聞いたりした本で、とても良かったものをいくつかリストアップします。どれも、思春期という難しい時期に実例を挙げながら、こんな時にどう対処するかがわかりやすく、学ぶ事が多いと感じる書籍です。
麹町中校長が教える 子どもが生きる力をつけるために親ができること
悩んだとき、不安になったときに繰り返し読みたくなる良書。教師としての立場、親としての立場からのアドバイスが響きます。
ウチの子、最近、思春期みたいなんですが親子でイライラせずに乗り切る方法、教えてください!
悩みが出てきたら、その都度繰り返して読みたくなる本。親が今日からできることにハッとさせられます。
うちの子、このままで大丈夫?がスーッと消える 科学的に正しい子育ての新常識
まさに「うちの娘達、このままで大丈夫?」と思っていたときに出会った一冊。子育ての悩みは世界共通。
▼Chiik!でのおすすめ育児書記事2つご紹介します!
11歳(7年生)から16歳(11年生)までが一緒にいる環境の影響
今月末で13歳になろうとしている長女ですが、興味関心面でも変化を感じることが多くなりました。小学校卒業してセカンダリースクール1年目までは、なんだかんだ言っても興味の方向が子どもらしいところが多かった長女。しかし、セカンダリースクールに入ってからは、洋服やアクセサリー、ヘアスタイルやメイクなどの外見に興味を強く惹かれるようになりました。
年上の兄弟姉妹がいるお友達からの情報や、学校内ですれ違う16歳までの高学年の先輩たちにインスパアされてか、いろいろなオシャレ情報を手に入れてきます…。これも、そういう時期なのだろうと思いつつ、「いやいや、まだ日本だと中学生だよね!?早くない…?」とか、「日本の中学~高校だったら、もっと厳しい校則があるはずなのだけどなぁ…。」と自分の学生時代を回想しては複雑な気持ちに。
少し前までは(いや、今もかもしれません)、あまり早い時期にファッションやメイクに興味を持ってほしくないという、漠然とした考えがありました。けれど、それはどうしてなんだろう?と自問自答したときに「自分が通った学校の校則に照らし合わせて、良い悪いを考えているかも」ということに気がつきました。ファッションやメイクを楽しむこと自体は良い事でも悪い事でもなく、ニュートラルなものであるはず。最近では、メイク動画などで自分の生き方を個性的に発信している素敵なYouTuberさんが活躍する時代でもあります。自分の「あたりまえ」と思っていた固定観念もリニューアルする時期が来ているのかもしれませんね…。
次女は現在10歳ですが、長女が取り入れた流行が気になるようす。「お姉ちゃんのスタイルを真似したい!」と髪型やアクセサリーを試したりすることもときどきありますが、まだまだ本気で興味があるわけではないようで、数日で飽きるようです。この違いを見ても、やはり脳の成長の段階によって、違いがあるのだと感じずにはいられません。
成長に伴って子どもが変化していくことは嬉しい反面、親にとっても未知の領域なので不安や心配を感じることもありますが、まずはその興味を持つに至った『子どもの成長』という部分を喜んで、なるべく冷静に受け入れていければと思っています。
■いしこがわ理恵さんのイギリス漫画レポートの記事はこちら↓↓↓