2024年09月18日 公開

「うちの子、このままで大丈夫?」と悩んだら読みたい!注目の育児書

思いやりのある子どもに育てたいと願う親は75%。しかしその方法を知る親は少ないのが現実。子どもの幸せのために親ができる事を詳しく解説し、幼児期から思春期まで育児のバイブルとして使える『科学的根拠に基づいた一冊』をご紹介します。

親になる、親である喜びはあれども、ふと頭をよぎる「うちの子、このままで大丈夫?」。
そんな悩みを感じたらぜひ読みたい! 今回は実際に読んで本当におすすめできる注目の育児書をご紹介します。

子どもに大切なこととは?

突然ですが、今これを読んでいる皆さんは、お子さんにどんな人になってほしいですか?

3歳~12歳の子を持つ親と4歳児~小学6年生を担当する教師の合計2500人以上を対象にしたアンケートでは、「勉強ができること」よりも「やさしさ・思いやりがあること」という回答が全体の約4分の3(約75%)にものぼりました。(非営利団体セサミワークショップ調べ)

しかしながら、別のアンケートでは親の約43%が「自分の子には思いやりがあるとは言えない」と答えたのです。この結果から見えるのは、親は子どもにやさしい人になってほしいと願いながらも、「子どもをそのように育てる方法を知る親が少ない」ということになります。

たしかに、やさしさや思いやりがある子に育てたいと思っても、どういう接し方や育て方をしたらいいのか、実はハッキリわからず試行錯誤の日々だというご家庭は意外と多いのではないでしょうか。基本的なことはちゃんと小さい頃から教えているはずなのに、願ったように育ってない気がする…というのは、子育てあるあるかもしれません。

今回は「一体どうすればいいの?」と頭を抱えたくなる状況への処方箋になればと願って書かれた書籍をご紹介したいと思います。

うちの子、このままで大丈夫?がスーッと消える
科学的に正しい子育ての新常識

育児書:うちの子、このままで大丈夫?がスーッと消える 科学的に正しい子育ての新常識
著者: メリンダ・ウェナー・モイヤー

この本の著者は科学ジャーナリストとして、子どもの発達・子育ての研究を9年続けてきた専門家であり、自身も育児中の母親でもある、メリンダ・ウェナー・モイヤー氏。

彼女は、「親が学べば子育てはもっとうまくいく」と信じ、子育てでよくある困った場面を「脳の発達状態」「言動の理由や原因」を解説したうえで、子どものよい性質を育む「科学的アプローチ」や「科学的根拠のある改善プログラム」を解説してくれています。子育てにおけるさまざまな問題の対策として、家庭でできる取り組みを各項目ごとに3つ~5つほど詳しく紹介してあるので、状況にあったものをすぐに試してみることができるでしょう。

また、本書を読むことで、困った場面が起る理由も客観的に知ることがでます。解決するにはまず親が感情的にならず、状況を冷静に受け入れたうえで、子どもとコミュニケーションを図ることが大切です。理論を知っているのと知らないとでは、実際に問題が起こったときの、感情の揺れ幅に大きな違いが出るでしょう。本書の対象となる子どもの年齢は、幼児から思春期と幅広く網羅されており、子育て中の親にとって長く繰り返し付き合える書籍なので、子育て中のどの時期から読み始めるのにもおすすめです。

この本は、書籍・電子書籍(Kindle等)・オーディオブック(オーディブル等)で読む・聞くことができます。項目ごとにしっかり読みたい場合は文字で読むことで頭に入りやすくなりますし、忙しいご家庭では、家事や通勤の間などに音声として聞くことで、時短でポイントを掴むことができますよ!

わがまま・きょうだい喧嘩・嘘への対応

わがまま・自己中心的な行動

子ども(特に幼児は)、前頭葉の一部が未熟なため、自分の言動が相手にどう影響するかを理解するのが難しいと言われています。小学校以降でも、まだまだ自己中心的な行動を起こすことは珍しくありません。けれども、年齢的なものだからしょうがないと諦めるわけではなく、「人に共感する練習」や「やさしい行動」を意識してさせるようにトレーニングすることで、少しずつ改善することができると言われています。

「人にやさしくすることで、自分自身も幸せな気分になる」ということが研究結果からわかっており、子どもがそういった体験を日頃からすることで、思いやりのある言動がとれるようになります。また、相手が「どう感じているか」「何を望んでいるか」を表情や仕草から読み取るトレーニングとして、読み聞かせ中に感情について声かけをしたり、感情を表す言葉をリストにしてみたり、その日のできごとについての感情を言葉にする練習をすることでも、他人を気づかう力が高まると発達心理学者は述べています。

きょうだい喧嘩

きょうだい喧嘩が頻繁で、親の方が疲弊してしまっているというご家庭はありませんか?本書では、子どもたちが何をめぐって争うのかという原因について、
①物をめぐって争う
②親をめぐって争う
これらを2大要素としています。

②の親をめぐって争うというのは、親を取り合うというだけではなく、親がどちらかをひいきしているように子どもに感じさせてしまっている場合や、親がきょうだい同士を比べたり、違いを強調してしまっていること(たとえ無意識や肯定的な表現であっても)が、当てはまります。逆に言えば、こういったことを親が気をつけることで、きょうだい間の争いを平和的かつ公平に解決できるとしています。

本書では、きょうだい喧嘩解決プログラムとして、家庭でできる取り組みが5つ紹介してあります。その中の一つに「相手にはこう見える、自分にはこう見える」という相手の考え方への理解を促す練習があります。

「他人の視点で見る」という練習は、幼いうちはなかなか想像がつかないことなので、例えば兄妹間で喧嘩になったら、親が間に入って兄に「妹はどう考えていると思う?」と聞きます。兄が思う意見を述べさせたら、本当にそうなのかを妹に尋ねます。予想が当たっている場合もあるでしょうし、「ぜんぜん違うよ!私はこう思っていて悲しかった!」と違う意見を言うかもしれません。しかし、それでいいのです。妹側の気持ちも聞いたら、今度は「お兄ちゃんはどう考えていると思う?」と妹に質問し、続いて兄側の気持ちも聞きます。自分が考えていることと、相手の気持ちがちがったということも大きな発見に繋がる年齢です。

トレーニングを通して、親がどちらが正しい間or違っているということをジャッジするのではなく、お互いの気持ちに寄り添う機会を作り、徐々に相手の気持ちや考え方を予想できるように導いていくのです。

嘘をつく

子どもが嘘をついたことが発覚したら、親はまずショックを受ける事でしょう。とはいえ、脳の発達の面を視野に入れてみると、嘘をつく能力は複雑なスキルを要し、脳の発達なくしては不可能な行為です。つまり、脳が正常に発達している証拠でもあります。子どもの嘘には年齢的な3つの段階があり、内容や理由が異なります。また、嘘はだめと教えがちですが、「白い嘘」と呼ばれる、人を守るためや傷つけないためにつく嘘というのも存在し、そういったものを完全に禁止にすることは難しいでしょう。

子どもが正直に話したとき、親の心の中に不満や葛藤があったとしても、まずは正直に話した点を褒めること、子どもの前で大人が嘘をつかないようにすること(大人が嘘をついている姿を見ると、子どもも嘘をつきやすくなるという実験結果があります。)、そして、利己的な嘘がいけないと伝えることが大事です。

ネット・いじめ・思春期によくあるトラブルの対応

本書では、全項目でご紹介したような「きょうだい喧嘩」や「嘘をつく」など、幼い頃から起こる可能性がある子育てのピンチについても多くの内容が取り上げられていますが、同じく思春期以降で起こる可能性があるトラブルへの親の対応や改善プログラムも多く解説されています。たとえば、ネットやスマホ依存などの現代社会で問題とされている事柄はもちろん、性教育やアダルトコンテンツ、子どもの交際についてなど、親側が少し尻込みしてしまいそうなことにも言及されています。もちろん、それらに対する上手な対応策も書かれています。

他にも、自己肯定感の育み方や、習い事をやめたいと言ったときにどうするか、勉強やスポーツのやる気を出させるにはどうすればいいか、現代社会で注目されているジェンダーの多様性、子どもがいじめの加害者になった場合と被害者になった場合の子どもとのかかわり方など、成長に伴って複雑になってくる子育ての悩みを一通り網羅している一冊と言えるでしょう。

今まさにそれが悩みだということを解決するためのヒントとして読むこともできますし、将来の心づもりとして読むのもおすすめです。

1歳から10代後半まで広く実用的な内容

アメリカ発の書籍なので、日本とは多少異なる子育てシーンもあるかもしれませんが、ここまで多くの科学的研究をまとめた最新の育児書はなかなか見つからないのではないでしょうか。まだお子さまが未就学児だとしても、すでに思春期に入っているとしても、本書を手に取った瞬間から役に立つ内容であることは間違いありません。

今回書籍を読み、さらにオーディオブックも聞いて、自身の子育てや周りから聞く悩みと照らし合わせながら、いくつも参考になる箇所があり、出会えて良かった一冊でした。今後子育てを続けていく中で、「もしも、こういったことが起ったら、このように対応したい」と心の準備にもなりましたし、今まさに日常で頭を悩ませている子育ての悩みについても、本書で数多く紹介されている改善プログラムをぜひ実践しようと思える実践的な内容でした。

現在本書は日本のアマゾンでKindle Unlimited、およびオーディブルの聞き放題としてご利用できます。生活スタイルに合わせて、ぜひお手に取ってみてはいかがでしょうか。

\ 手軽な親子のふれあい時間を提案中 /

この記事のライター

いしこがわ理恵
いしこがわ理恵

在英16年目の2児の母。現在は日本語教育に携わる仕事とライター・イラストレーターとして活動中。興味の範囲が幅広いので、常にいろいろな方向にアンテナをはりつつ情報収集が日課です。ハッピー子育てに役立つ情報をみなさまにお届けできれば嬉しいです。Instagram 無料プリント @uk_warakado プライベート @rie_emily2023