2023年01月09日 公開
二十四節気 大寒 アイキャッチ

【冬の二十四節気】「大寒(だいかん)」は、一年で最も寒さが厳しくも、冬の締めくくりとなる頃、2023年は1月20日

「大寒(だいかん)」は最後の二十四節気です。一年で最も寒さが厳しい「寒の内」で冬の締めくくり。節分のあとは立春を迎えます。真冬ならではの遊びを満喫できる大寒に、子どもと楽しく過ごすアイディアを紹介します。

二十四節気 大寒 アイキャッチ

「大寒(だいかん)」は冬の六番目の節気で、最後の二十四節気です。一年で最も寒さが厳しい「寒の内」ですが、大寒は冬の締めくくり。節分のあとは立春を迎えます。真冬ならではの遊びを満喫できる大寒に、子どもと楽しく過ごすアイディアを紹介します。

二十四節気(にじゅうしせっき)って何?

みなさんは二十四節気という言葉を聞いたことがありますか? 約半月ごとに一年を二十四等分、つまり季節ごとに六つに分けて美しい名前をつけたのが二十四節気(にじゅうしせっき)です。江戸時代まで使われていた旧暦では、暦(こよみ)と実際の季節にずれが出ました。

そのため生活するのに不便になり、本来の季節を感じる目安として二十四節気を用いたのです。日本には春・夏・秋・冬の四季があるので二十四節気を知っていると季節の変化を敏感に感じられ、暮らしが楽しくなりますね。

二十四節気

二十四節気

春分や秋分は祝日となっており、夏至や冬至は季節の変わり目の大切な日です。このように二十四節気は日常生活に密着し季節を深く知ることができます。そのため多くの行事が二十四節気をもとに行われています。

雑節

二十四節気は中国から伝わった考え方ですが、節分や彼岸など「雑節(ざっせつ)」と呼ばれる、より日本の生活に根付いた考え方もあります。

二十四節気 雑記

七十二候

さらに二十四節気に関連して、七十二候(しちじゅうにこう)があります。二十四節気のひとつを「初候(しょこう)」・「次候(じこう)」・「末候(まっこう)」と三つに分け、季節の移ろいを表現したものです。花鳥風月を用いた具体的なことばなので、季節をより鮮明にイメージできますよ。

【解説】冬の二十四節気「大寒(だいかん)」ってどんな日?

冬の二十四節気の六つ目「大寒(だいかん)」は、「寒の内(かんのうち)」といわれる一年で最も寒さが厳しい時期です。寒の始まりの日を「寒の入り(かんのいり)」と呼び、小寒から立春までの30日ある寒の期間を「寒の内(かんのうち)」と呼びます。一月二十日の「大寒の日」や大寒最後の二月三日の「節分」など行事もあります。

今年の大寒はいつ?2023年の大寒は1月20日~2月3日

それでは2023年の大寒はいつでしょうか?二十四節気の二十三番目「小寒(しょうかん)」から、最初の二十四節気「立春(りっしゅん)」まで、1月20日~2月3日が2023年の大寒です。

暦にはずれが生じるため、二十四節気は毎年固定の日ではなくその年により前後します。2022年は立春が2月4日だったので、大寒も1月20日~2月3日までの15日間を指します。暦のずれについては、毎年2月に国立天文台が翌年の暦要項を発表しているので参考にしてください。
参考:国立天文台 天文情報センター 暦計算室

七十二候(しちじゅうにこう)で「大寒」の季節を知る

それでは、より季節を感じられる「七十二候(しちじゅうにこう)」で大寒の季節の移ろいを解説しましょう。

二十四節気 大寒 ふきのとう

■初稿 「款冬華さく(ふきのとう/はなさく)」
「フキノトウのつぼみが顔を出す」という意味です。フキノトウは雪が降っても元気に育つので「春の使者」と呼ばれています。
七十二候・第七十候(1/20~1/24頃)

■次候 「水沢腹く堅し(みずさわ/あつく/かたし)」
「沢に氷が厚く張る」という意味です。この時期は本当に厳しい寒さとなりますが、春のささやきも聞こえる頃です。
七十二候・第七十一候(1/25~1/29頃)

■末候 「鶏始めて乳す(にわとり/はじめて/にゅうす)」
「ニワトリが卵を産み始める」という意味です。鶏が卵を多く産み出すのは日が長くあたたかくなってから、と言われます。春を感じたニワトリから冬が去るのがわかります。
七十二候・第七十二候(1/30~2/3頃)

大寒の雑節(ざっせつ)「土用(どよう)」を知る

日本の生活に密着した節目の日を表す雑節に「土用(どよう)」があります。土用は土を敬う期間で、年に四回あります。立春・立夏・立秋・立冬の前の各十八日間を指し、土用が明けると新しい季節の始まりです。

夏の土用の丑(うし)の日と同様に、冬の土用の丑の日にもウナギを食べる風習があります。冬が旬のウナギは身が引き締まりとてもおいしいですし、体調を崩しやすい季節の変わり目に「寒(かん)のウナギ」を食べるのも良いですね。

土用には土いじりや引っ越しは避けたほうが良いとされています。寒いのであまり土いじりはしないと思いますが、転居する予定がある場合は気にしてみてください。

【豆知識】文学からみた二十四節気「大寒」

二十四節気は季語として俳句や短歌、時候の挨拶としても使われています。「大寒」「 スケート」も冬の代表的な季語です。時候の挨拶では「大寒の候」を手紙やお礼状を書く際に使うとよいでしょう。

季節をわかりやすく表現した俳句や短歌も多くあります。今回は大寒の時期をよく示した一句を紹介します。

スケートの ひも結ぶ間も はやりつつ
【作者】 山口誓子(やまぐちせいし)

「氷の上を早く滑りた持くて、気ちが急いています。」という意味です。「スケート」は冬を代表する季語でもあり、池や湖も凍る大雪の時期を良く表した一句ですね。

この時期にふさわしい自然の言葉に「春隣り(はるとなり)」があります。冬の終わりを表す季語でもあり「すぐそこまで春が来ている」という意味です。一番気温が下がる厳しい冬の最中でも、春は隣まで来ていると思えば希望を感じますね。

参考文献 :絵本ごよみ二十四節気と七十二候 冬―さざんかがはじめてひらき 著:坂東 眞理子(教育画劇)

旬な食べ物・花や鳥

大寒の時期は畑に霜が降り、これが野菜の糖度を増すそうです。ここでは大寒に見られる旬の食材や、花や生きものを紹介します。

食べ物

野菜 : 春菊、水菜、大根、ふき、小松菜、牛蒡(ごぼう)

果物 : 金柑(キンカン)
魚・貝 : 鱈(タラ)、真鯛(マダイ)、鮪(マグロ)、ワカサギ、
めひかり、鰤(ブリ)、寒サバ、赤貝、めかぶ、あまえび

生きもの

鳥 : あおじ、じょうびたき

花・植物

冬牡丹(ふゆぼたん)、寒梅(かんばい)、南天(なんてん)、福寿草(ふくじゅそう)、葉牡丹(はぼたん)

大寒は「ごぼう」がなごりの食材、「菜の花」がはしりの食材です。旬の始まりを「はしり」と呼び、季節の余韻を楽しめる旬の終わりの食材を「なごり」と呼びます。

大寒の時期の過ごし方

大寒は「三寒四温(さんかんしおん)」と言うように、寒い日ばかりではなく寒暖を繰り返しながらだんだんと春に向かう時期です。また一年の節目には色々な説があり、一月中はお正月としたり、立春からを新年とする旧暦の名残もみられます。ここでは大寒にちなみ寒い時期ならではの過ごし方を紹介します。

・“大寒たまご”をいただく
大寒はニワトリが卵を産み始める時期。この時期の卵は「大寒たまご」と呼ばれ、食べると病気をしないと言われています。最近では大寒の日に産んだ卵やその卵で作ったプリンやバウムクーヘンなどの食べ物が縁起物として出回っています。せっかくなので大寒の間に大寒の日に産まれた卵を頂きましょう。

・味噌を仕込む
味噌を仕込むのは寒い冬の時期です。特に「大寒の日に汲んだ水はくさらない」と言われていて、味噌などの発酵食品の仕込みに使われます。味噌だけでなく「寒仕込み(かんじこみ)」と称した大寒の日に仕込んだ酒も販売されています。

味噌は家庭でも作ることができるので、挑戦すると楽しいです。初心者がひとりで準備するには難しいですが、各地で催されている「味噌を仕込む会」に参加するのがおすすめです。地域のイベントを探してみましょう。

・節分行事をする(2月3日頃)
立春の前日にあたる「節分」には、豆まきをする風習があります。他にも、節分の日に食べると縁起が良いとされる「恵方巻(えほうまき)」を恵方(えほう)と呼ばれる、その年の神様がいらっしゃるおめでたい方角を向いて食べます。いわゆる「太巻き」なのですが、包丁で切ると縁が切れるとされ、おしゃべるせずに丸ごと一気に食べるのです。

関西地方では家庭で恵方巻を作って食べるのが一般的だそうですが、関東地方にはこの風習が浸透したのは比較的最近のこと。子どもの頃の節分メニューはちらし寿司だったという方も、お寿司屋さんで恵方巻きを注文したり、家族で手巻き寿司を楽しんでみたりするのも良いですね。「福がやってくる」という言い伝えにあやかり、季節の行事を楽しみましょう。

大寒の時期にある年中行事

二十四節気 大寒 節分

・二十日正月(はつかしょうがつ)
昔は、小正月(1月15日)に元旦にやってきた歳神二十日正月(はつかしょうがつ)といい、1月20日を正月祝いの締めくくりの日とし、仕事を休む習慣がありました。

元旦にやってきた歳神さまが元の場所に戻流時期が小正月(1月15日)。二十日正月は、それまで歳神さまへのお供え物だったお餅や、おせちなどの正月料理をすべて食べ切る祝い納めの日です。

小正月(1月15日)は、年末年始にかけて忙しかった女の人が休むために「女正月(おんなしょうがつ)」とも言われていました。地域によっては小正月から二十日正月にかけての時期が女性が体を休めたり実家に帰ったり、ようやくお正月気分を味わえる日として考えられていたんですよ。

・晦日正月(みそかしょうがつ)
「晦日(みそか)正月」とは一月三十一日のことです。「晦日(みそか)」は年の終わり(大晦日)や月の終わりに使われる言葉です。一月は正月の月なので、1月の最後の日を「晦日正月」と呼ぶのです。

正月の締めくくりとして正月中に尋ねられなかった人に挨拶に行ったり、だんごを作って家の入口に飾ります。地域によっては、大晦日のように蕎麦を食べるところもあります。

・節分(せつぶん)
昔は立春が一年の始まりだったことより、前日の二月三日頃を特に大事にし新しい年を迎える行事をしました。節分はもともと「季節が変わる日」のことで、春夏秋冬の節目を意味し一年に四回あります。旧暦では大寒の次の節気「立春(りっしゅん)」を一年の始まりとしていたので、冬から春に変わる節目の日である立春の前日を大晦日のように大切にしていました。

一年の悪い気を祓うという意味がある節分の「豆まき」。そして、ヒイラギの枝にイワシの頭を刺したものを家の玄関につるす「焼い嗅がし(やいかがし)」。いずれも鬼=邪気をはらう意味が込められています。関西発祥といわれる「恵方巻(えほうまき)」は福を招くための節分の風習として、全国的に浸透していますね。

大寒の時期にある祭事

神社や寺でその年初めて恒例行事が行われる日は、行事名に「初」をつけて呼ぶ特別な日です。また、神様や仏様が姿を現し力を示す日の「縁日(えんにち)」にお参りすると、ご利益があると言われています。大寒の時期には年が開けて初めての縁日が多くあります。

・「初大師」(1月21日)
平安時代のお坊さん弘法大師(こうぼうだいし)を奉るお寺では毎月二十一日に縁日があります。京都府の「東寺(とうじ)」や神奈川県の「川崎大師(かわさきだいし)」は厄除けを願う参拝者で賑わいます。

・「初天神」(1月25日)
一月二十五日は「天満宮(てんまんぐう)」の初天神です。ご祭神の菅原道真は平安時代の政治家でしたが、優れた学者・歌人として知られ、現在は学問の神様として広く親しまれています。ちょうど受験シーズンなので多くの受験生が参拝に訪れます。

・「初地蔵」(1月24日)
毎月二十四日は「地蔵菩薩」の縁日で、一月二十四日は「初地蔵(はつじぞう)」と呼ばれる初縁日です。子どもなど弱い人々の味方とされるお地蔵様。東京の巣鴨にある「とげぬき地蔵尊」はお年寄りを中心に大人気です。

・「初不動」(1月28日)
不動明王(ふどうみょうおう)は悪や災いを「護摩(ごま)」と呼ばれる火を焚き、焼き払ってくださいます。毎月二十八日が不動尊の縁日で、一月二十八日は「初不動(はつふどう)」と呼ばれ参拝者が絶えません。

子どもと楽しむ大寒

二十四節気はその季節がどんな時期かという目安です。せっかく四季のある日本で暮らしているからこそ、それにちなんだ知育や子育てにつながる取り組みをおうちでもしたいですよね。大寒ならではの子どもと一緒に楽しめるアイディアを紹介します。

・編み物をしよう!
編み物
寒さが厳しい大寒の時期、暖かい部屋の中で編み物をするのもおすすめです。毛糸は指で編むこともでき、同じ繰り返しなので小さな子どもでもできますよ。子どもは人形のマフラーを親は子どものマフラーを編むのも楽しいです。手編みのマフラーがあれば寒い冬もほっこりあたたまりますね。

・節分や鬼にちなんだ絵本を読もう!
節分には豆まきのイベントをする園も多いことでしょう。節分についてよくわかる絵本も多いので、行事の前に読んだり、家庭でする節分行事の参考にできますね。

この時期になると「鬼」にちなんだ絵本が出回ります。鬼は子どもにとってこわい存在ですが、鬼が出てくる物語のなかには長く読み継がれている名作も多いです。もし苦手意識があれば『泣いた赤鬼』がおすすめです。心の優しい鬼もいるとわかれば、恐怖心を克服できるかもしれません。

旬の食べ物でつくろう、食べよう!

大昔から旬のものを食べると健康に暮らせるといわれています。大寒におすすめの、旬の食材を使った献立を紹介します。

大寒の献立

大寒たまごかけごはん、ふろふき大根、鰤の照り焼き、わかさぎの天ぷら、大根と小松菜の味噌汁

今回は節分の献立にあう「茶碗蒸し」を紹介します。あたたかくて口当たりも良く、大寒たまごで作れば縁起もよいのでおすすめです。

「茶碗蒸し」(4人分)

二十四節気 大寒 茶碗蒸し

<材料>
・だし汁 600cc
・みりん 小さじ2
・卵 2個
・具材(鶏もも肉、ぎんなん、えび、かまぼこなどお好みで)
・みつば

<準備すること>
蒸し器をセットし湯を沸かしておく

<作りかた>
1 だし汁にみりんを加えてひと煮たちさせる
2 1が冷めたらよく溶いた卵に加えてザルなどでこす
3 具材を食べやすく切って器にいれる
4 3の器に静かに2を注ぎ入れる
5 蒸し器に器を並べて、7~10分蒸す
6 蒸しあがったらみつばを添える

節分の日はイワシやちらし寿司、恵方巻を頂きますが、茶わん蒸しも意外と簡単なので献立に困ったら一品足してみてください。

季節に合わせた工作をしよう!

寒さも厳しいので、おうち時間を楽しめる工作はいかがですか。今回のおすすめは愛らしい子鬼のおめんのクラフトです。かわいい子どもの鬼のおめんなので、小さな子どももこわがらずにすみそうです。他にも節分や季節の工作アイディアがたくさんあるので、お気に入りを見つけてださい。

参考:Creative Park
おめん(子鬼)

季節を感じにおでかけをしよう!

二十四節気 大寒 雪国

真冬にあたる大寒の時期ですが、都心でもスケートリンクができたりウィンタースポーツが楽しめます。ここでは冬を満喫できるおすすめのおでかけ場所を紹介します。

・雪国へ遊びに行こう!
豪雪地方と呼ばれる秋田県や新潟県では、その地方独特の雪対策を知ることができます。雪が落ちやすいように傾斜が急な屋根や電車の先頭車両にも耐雪用の機材がついているなど、様々な工夫もみられます。また霜柱や軒先の氷柱(つらら)など都心と雪国では大きさが違うので、子どもも驚くことでしょう。雪国の冬の生活について調べるのも楽しいですね。

・「樹氷(じゅひょう)祭り」へ行こう!
大寒の時期には各地で「樹氷祭り」が開催されます。樹氷とは冬山の樹木に氷が付着したもので冬の風物詩となっています。「蔵王樹氷祭り」(山形県)や「西湖樹氷祭り」(山梨県)が有名です。寒さの厳しい場所へ出向けば「氷柱(つらら)」や凍った滝を見ることができます。この頃にしか見ることができない自然現象を楽しみましょう。

・ウィンタースポーツをしよう!
大寒はウィンタースポーツが楽しめる貴重な時期です。スキー場に行くのも良いですね。北海道釧路市の阿寒湖(あかんこ)はこの時期、湖が凍って天然のスケートリンクになるそうです。これまでやったことのないウィンタースポーツに挑戦するのも面白そうです。

【まとめ】冬の二十四節気「大寒」は寒さが一番厳しい時期だが、少しずつ春に向かう時期

大寒は二十四節気の最後の節気、次の「立春」からは春の節気が始まります。冬から春になる季節の節目でもあり、一年の節目とする考え方も残っています。二月三日までにやり残したことを済ませ、新たな気持ちで立春を迎えましょう。

親子で二十四節気に興味を持てたら、こんなかわいい本もあるので参考にしてくださいね。

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この記事のライター

RINAKO
RINAKO

東京都在住、マイペースな4歳児のせっかちな母。子育てのベースはモンテッソーリ教育。伝統文化を大切にしながらも、効率よく子育てするのが目標。子連れで行ける遊び場所にも詳しく、子どもの習い事の半分は自分の好奇心というゆるい子育てを採用中。