PISAとは、主にOECDに加盟する国々で行われる、子どもの学習到達度調査のことです。2003年、41カ国・地域が参加するこの調査において、日本の「読解力」などの順位が大幅に低下したことが「脱ゆとり」の教育改革につながったといわれています。PISAとはどのような調査なのか、詳しくご説明しましょう。
PISA(学習到達度調査)とは?
学習到達度調査といっても、その目的は「学習したことを生活全般に活用することができるかどうか」を測ること。教科書で学んだ知識がそのまま問われるわけではありません。
PISAで出される問題
※国立教育政策研究所が公表している問題を要約しています。
【問題】
船はディーゼル燃料を使用しますが、燃料を節約するために、船に凧のような帆をつけて、風力も利用しようとしています。帆の高さを150mまで上げると、風速がデッキ上より25%速くなります。
船のデッキ上の風速が時速24kmだった場合、帆はどれくらいの風速を受けることになるでしょうか。
【答】
時速30km (24 × 1.25 = 30)
計算自体は小学校で習った式を使って解くことができます。しかし、式を立てるまでに、問題を読み込む力が必要とされるのがPISAの特徴です。
PISAの結果を受けて「脱ゆとり」へ
授業時間を減らし、「総合的な学習の時間」などが導入されましたが、この流れに大きな衝撃を与えたのが2003年のPISAの結果でした。前回8位だった読解力の結果が14位へ、数学的活用能力が1位から6位へと順位が低下したのです。
このことが大きく報じられ、政府は「脱ゆとり」への指針を打ち出すこととなりました。
教育に力を入れるシンガポール
特にシンガポールでは、2010年に「21 世紀型のコンピテンシーと生徒のアウトカムに関するフレームワーク」という教育方針を決定し、教育に力を入れてきました。たとえば、理科では生徒自身の疑問に基づいて推測し、理論を組み立てたり実験したりすることができるような授業を導入。生徒に考えさせる指導をしています。
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考える力を育むには?
パパママがしてあげられることは、会話を通して、子ども自身が考えられるように導くこと、本が身近にあるような環境を整えてあげること、などでしょうか。PISAの考え方は、どんな力を身につけていけばよいのか、教育におけるヒントをくれるかもしれません。