通う期間や条件など、日本とは違う点も多い、スペインの保育園。食事をする時間や食文化も異なるので、特にお昼事情は大きく異なります。今回は、息子がお世話になったバレンシア州のトリソル保育園を改めて訪問し、取材に伺いました。現在のスペインの保育園事情をリポートします。
働く親が優先ではなく、先着順で入園が決まる
とはいえ、やはりワーキングマザーにとっては、働いている間にわが子を預かってもらえるありがたい場所。どの園も、働く親が優先的に入園できるわけではなく、先着順です。しかし、不況と失業率の高さで、筆者が住んでいるような田舎町の保育園は常に空きがある状態のようです。
無料で預けられる公立保育園や、ほぼ無料に近い半公立保育園もありますが、主流は有料の私立保育園です。
また、スペインの育児休暇の取得は出産後4カ月までということもあり、多くの保育園では生後4カ月から幼稚園入園前の3歳児までを預かります。
取材に伺った、バレンシア州のトリソル保育園は8カ月からの入園。2017年現在は0~1歳児が8人、1~2歳児が13人、2~3歳児が20人と計31人が在籍する小さな保育園でした。
お昼は一旦帰宅してご飯を食べ、再登園する子が多い!
トリソル保育園では、家で昼食を食べてから再登園する子が3分の2を占めるとのこと。
スペインでは、親が働いている家庭でもおじいちゃんやおばあちゃんなどの親戚が迎えに来てくれて、そこでお昼を食べるということも珍しくはないのです。3食の食事の中では昼食が一番重要で、できるだけ家族揃って時間をかけてフルコースをゆっくり食べる習慣があるせいですが、家族愛の強さも感じますよね。
ちなみに、近くに家族親戚がいない共働き家庭では、給食+送り迎えはベビーシッターにお願いすることが多いです。
給食は残してもOK!?
フルーツもみんなよく食べるそうです。が、問題は野菜。無理矢理食べさせるのはよくないので、原型を残さないポタージュにしたり、細かく切ってほかのものと混ぜる等の工夫をしているとのことでした。
この日のメニューは、前菜が野菜とチキンで出汁をとったスープパスタ。メインはハンバーグ、デザートがミックスフルーツでした。日本の給食から考えると、食べ物の品目が少ないかもしれないですね。
また、日本のように一粒残さず食べる習慣がないので、少々残しても注意はしません。食べ終えた子には「えらいねー!」「よく食べたねー!」と笑顔で声をかけます。
愛情いっぱいのオリジナル給食!でも意外と高い給食費!?
筆者が取材に伺った日は固形食を食べている子ばかりでしたが、ミルクや離乳食、アレルギー食にも対応しているとのこと。
大人用の大きなスプーンを使って一生懸命食べる子、機嫌が悪く愚図って食べない子、手でつかもうとして直される子などいろいろで、10人相手に4人の先生が対応していました。人数が少ないせいか、とてもアットホームな雰囲気でした。
気になる給食費は保育料の他に別途必要で、1カ月で100ユーロ(現レートで約1万2,500円)と安くはありません。私立の幼稚園や小学校もこんな感じです。ほかに、1食8ユーロ、5食35ユーロ、10食60ユーロのチケットを買うこともできます。
これも自宅昼食が多い理由の一つかもしれないですね。
時間外保育も充実!
また、基本保育時間以外にも、7時45分から9時、12時から13時、17時以降も有料で対応してくれます。息子が保育園に通っていた当時は時短だったものの正社員勤務で、近くに家族親戚がいなかったため、延長保育があるのは大助かりでした。
スペインの保育園は、両親が働いている子どもだけが対象ではない、というものの、頼れる人のいない、働くママには必要不可欠な場所です。また、スペインは幼稚園もかなり長時間なのが一般的。保育園から幼稚園に移行しても、それほど支障がないという事情もありますよ。