2020年度入試(2019年実施)小学校受験の傾向を振り返ります。今回は、学校と受験者の意識の変化が見えてきました!人気校や注目校の情報もまとめたので、2021年度のお受験の参考になりますように!連載「『お受験』はじめました」vol.56です。
小学校受験の裾野は広がっている……!?
文部科学省の統計によると、令和元年度で公立小学校に通う児童は前年よりも6万人減り、過去最低の人数となりました。にも関わらず、私立小学校に通う児童は約400人増えています。
全小学校のうち私立小学校の割合は約1.2%しかないことを考えると、「お受験」をさせて小学校を選択する家庭が増えていることがわかります。
どんな小学校が人気を集めているか
近年、ニュースで公立小学校の不祥事が取り上げられることが増えました。公立校の不安な要素が多いせいか、安心して子どもを預けて教育できる環境が求められています。
具体的には青山学院初等部・慶応義塾幼稚舎・慶応義塾横浜初等部・早稲田実業学校初等部など大学附属校は特に人気を集めており、2019年実施においても高倍率をキープしました。
近年中学受験の人口が増えており、早くからの塾通いにより心身ともに疲弊する子どもが増えています。そのため受験戦争をできるだけ避け、のびのびと子どもを育てたいと考える家庭には、大学附属校はとても魅力的です。
注目の附属小学校は?
横浜英和小学校は2020年4月より青山学院横浜英和小学校と校名を変更し、青山学院大学の系属校となりました。
附属の青山学院横浜英和中学高校では一定の成績を収めた生徒は青山学院大学に推薦されます。そのため出願が増え倍率が向上しています。
東京農業大学稲花小学校は2019年開校の新しい小学校です。東京農業大学の附属校であることはもちろん、その教育内容が大きな注目を集めており、2019年実施の入試においても多くの志願者を集めました。
食と農・科学技術など、東京農業大学の持つインフラを最大限に利用した他にない教育を打ち出しており、今後も人気は継続すると思われます。
青山学院横浜英和小学校
https://www.yokohama-eiwa.ac.jp/shougakkou/
東京農業大学稲花(とうか)小学校
http://www.nodaitoka.ed.jp
「定番」が覆された慶應義塾横浜初等部
長年小学校受験を指導してきた塾ですら予想できなかったことが2019年に起きました。
それは慶応義塾横浜初等部の願書。通常は福沢諭吉の「福翁自伝」を読んだ上での記述が求められてきたのですが、2019年は願書に「伝記 小泉信三」を読んだ上での記述とテーマに変更されました。福沢諭吉は知っていても小泉信三を知っている方はどのくらいいるでしょうか?
慶応幼稚舎・慶応横浜初等部を受験する家庭では必読となっている「福翁自伝」。早くから購入し読み込んだ上で練りに練った文章を仕上げつつあった家庭には衝撃が走ったことでしょう。
その他、2019年に受験したお子さまを持つ保護者の方からは、お教室でも模試でも申し分ない成績で合格間違い無しとだれもが思っていたお子さまが不合格になるパターンが見受けられ、お教室の先生も戸惑っていたという話を聞きました。別の知り合いのお子さまも強く志望して対策を練り上げてきた学校が不合格になってしまいました(別の学校は合格したようでホッとしましたが……)。
毎回同じ募集方法・考査内容を行ってきた私立小学校ですが、少しずつ変化を見せる学校も増えてきています。受験日や時間・受験方法などを変更したりなど併願パターンが崩れる例も増え、頭を悩ませるご家庭も多かったかと思います。
小学校受験対策塾では学校別に「望まれる生徒の姿」に近づけるよう教え込みます。その「望まれる生徒の姿」が変容してきているのではないでしょうか。「多様性」という言葉をよく聞くようになりましたが、さまざまな角度から子どもと家庭をチェックしていこうとする傾向が垣間見えました。
顕著なのは「面接」において短い時間で多数の質問をし、付け焼き刃ではない真の姿を見極めようとする学校が増えていることでしょうか。
国立小学校の傾向(志願者数と倍率)
都内の国立小学校は全6校ありますが、どの学校も例年通りの高倍率となりました。
試験方法にも大きな変化はありませんでしたが、お茶の水女子大学附属小学校は2020年以降実施の入試から従来の試験方法から変更すると学校説明会で明言しました。
2019年までは1次抽選後の2次試験において約3時間におよぶ長時間の考査を行っています。ノンペーパーテストですが、ペーパーテストのような内容を口頭で答えさせるなど、小学校受験の準備をしていないと太刀打ちできない内容でした。
今後どのような試験内容になるか学校からの公式な発表が待たれます。
2021年度のお受験はどうなる?今改めて感じていること
2020年4月現在は新型コロナウィルスの影響もあり、入学式も行えていない小学校が多くあります。ただ、私立・国立ではこのような有事の際の判断がとても早いということも浮き彫りになりました。
その学校を希望し受験して入学しているので、保護者も学校の意向に従う方が多いです。加えて、公立小学校と違い文部科学省や自治体の意向ではなく学校の意向がすぐに反映されるので、「休校の判断が早く安心した」という声をたくさん聞きました。
今は、お教室も閉鎖になり、ご家庭での準備や対策も大変だと思います。そんな状況ですが、今年度の受験が滞りなくできるように祈っています。
学校からの公式情報を常にチェックし、素早く行動できる準備をしておきましょう。
次回もお楽しみに。
2020年小学校受験の動向予測。行動観察や身だしなみ・マナーに要注意「『お受験』はじめました!」
■執筆者プロフィール
ママミーヤ
フルタイムで働く1児の母。ワーキングママ×保育園児で塾に通うことなく小学校受験をパス。おうち学習テクやお受験対策・動向解説など、お受験の経験をいかしたコラム「『お受験』はじめました!」をChiik!にて連載中。また現在は英語学習にも力を入れており、小1で英検5級・4級に、小2で3級・準2級に、小3で2級に合格。次は準1級を目指し英語学習を継続中。英語学習に関するコラム【小1から英検チャレンジ】も好評連載中。