2024年06月18日 公開
タミータイム

【解説】今広まりつつある「タミータイム」ってどんなもの?

赤ちゃんがうつぶせの体勢を取りながら過ごす「タミータイム」のメリットや注意点、安全に実践する方法などを細かくご紹介していきます。

タミータイム

赤ちゃん「タミータイム」ってなに?

皆さんは「タミータイム」という言葉をご存じですか?
「タミー」とは英語で「お腹」と言う意味。
赤ちゃんが お腹を下にした うつぶせの体勢を取りながら過ごす時間のことを「タミータイム」というのです。

「うつぶせ遊び」「腹ばい練習」という言葉で馴染みがある方も多いのではないでしょうか。
「うつぶせ」と聞くと、窒息のリスクや乳幼児突然死症候群のイメージと結びついて心配になる方もいるかと思いますが、アメリカ小児学会でも2017年から「遊びの時間にはうつぶせで」と推奨するほどメリットが多く、発達の上でも良いことだらけなんですよ♪
重要なのは正しい知識・情報のもとでタミータイムを行うこと。
今回の記事ではそんなタミータイムのメリットや注意点、安全に実践する方法などを細かくご紹介していきたいと思います。

うつぶせの体勢にはメリットがたくさん!

いわゆる「ねんね期」といわれる自分では自由に動けない時期の赤ちゃんは、一日の多くを横になって過ごします。
そんな赤ちゃんにとってタミータイムはとても大切な時間。
日課として取り入れることで期待できるメリットが こんなにあるんですよ。
タミータイム

①見える風景が変わり脳の刺激になる
うつぶせになることで、いつもと同じ空間でも見える景色が、文字通り180°変わります。
「あれはなんだろう?」と、今までは気付かなかった発見があり、興味を持つことで好奇心や探求心を育む機会となります。
後に詳しく記載しますが、おもちゃ やコミュニケーションを上手に取り入れることで、更に効果が期待できますよ♪

②血流を良くする
同じ姿勢で長時間過ごすと、筋肉が固まったり血流が悪くなったりというのは、大人も同じですよね。
特に赤ちゃんは多くの姿勢を取れないため、いつも身体の同じヵ所に負荷がかかりがち。
姿勢を変えて体を動かすことにより、血流が良くなり身体的なリフレッシュにもなります。

③筋力・運動能力アップ!
首すわり・寝返り・ハイハイに必要な筋肉(首・背中・肩や腕など)を自然と鍛えることができます。
首がすわる前の赤ちゃんでも、うつぶせにさせると頭を持ち上げようとしたり、横に向けようとしたり…という動作が確認できます。
この動きが、首から背中にかけてや肩甲骨周辺の筋肉の発達を促したり、体幹を鍛えていきます。
筋力が増加えると更に広い部位を動かせるようになり、発達において良い循環になるのです。
また、グラグラ揺れる首を支えたり、ずりばいで前に進んだり…という動作は、一見単純そうに見えて、案外コツがいるもの。
うつぶせの体勢で身体を自由に動かしていく中で、徐々にコツを身に付けて、次の成長ステップへスムーズに進みやすくなります。

④頭の形が良くなる
赤ちゃんの頭は8個の骨で形成されているのをご存じですか。
乳幼児期に急速な成長を遂げ、大人になる頃には癒合されて1個になります。
成長前の骨は8個それぞれが完全には癒合しておらず、骨の位置がずれやすい=頭の形が変わってしまう「頭蓋変形」が起こりやすい時期でもあるんです。

一日中仰向けだと どうしても頭の一部が圧迫されるので、形のクセがつきやすく、結果的に頭の形が歪んでしまうケースも。
その予防としてタミータイムが有効なんです。
1日の中で頭を地面から離す時間を設けることは、頭蓋変形のリスクを減らしたり、改善に繋がるといわれています。
ちなみに、この頭蓋変形ですが…
タミータイム以外でも、授乳の時に頭の向きを入れ替えたり、向きグセがある子にはベッドに寝かせる際 頭側と足側を入れ替えてみたり、向きグセと反対側から声をかけてみたりと…工夫することでも予防・改善が期待できるそうですよ。

⑤呼吸器の発達
タミータイム中は背中が圧迫されないため、仰向けで寝ているときよりも肺が広がりやすくなり、楽に呼吸ができる体勢と言えます。
たくさん深い呼吸をすることによって、呼吸器の発達に繋がるだけではなく、フーッと吐く力でお口の周りの筋肉も発達していきます。
このことから、うつぶせの体勢に慣れている赤ちゃんは、口をきちんと閉じて腹式呼吸を行いやすくなるとも言われているんですよ。
口を閉じて鼻呼吸をするという行為は、感染症の予防を始め、虫歯・歯並びの歪み・口臭への予防と…様々な健康衛生面においても大きなメリットなんです。
体勢一つで身体の色々な部分に良い影響があるなんて、嬉しいことですよね♪

いつ頃から始められる?

タミータイム

悩ましい開始時期ですが、おうちの生活にも慣れてきた生後一ヶ月頃から始める人が多いようです。
ただし、これについては情報がまちまちで退院後すぐに始めたという方もいますし、寝返りをうち始めてから取り入れる方もいるようです。

我が家においては、産後まもない頃から日に数回、カンガルーケアの時のようにお腹とお腹をくっつけて寝転ぶ時があり…当時は自分の身体を休める目的で行っていたのですが、今思えばそれもタミータイムだったのかな?と思います。
身体同士で密着している分、赤ちゃんがリラックスしてくれているのが伝わり、「これはWin-Winでいいぞ!」と感じながら、自然と取り入れていました。
この お腹に乗せて行うタミータイムの方法も、後程詳しくご紹介しますね!
意識的にタミータイムをさせているのは生後2ヶ月からでした。
きっかけは身体を仰け反って寝返りをうちたそうな動作をする様子が頻繁に見られるようになったことです。
寝返りをするようになると窒息や怪我といった心配が増えるので、今のうちにあえてうつぶせ姿勢をたくさんさせて慣れておいてもらおうという目的で開始しました。
最初は首がグラグラしてバタッと顔から突っ伏してしまうことも多々でしたが、いつからさ「顔を横向きにして一休みする」という知恵もつきつつ、だんだんと首を長時間 上げられる筋力がついてきました。

タミータイム
一休み中♪
タミータイム
数週間続けると、顔も足もよく上がるようになりました!

安全の為の注意点

ここからは、安全にタミータイムを行う上で注意すべきポイントをお伝えしていきます。
タミータイム中に一番気を付けるべきことは目を離さないことです。
すぐ側で大人が見守ることで、窒息や怪我のリスクを大幅に減らすことができます。
必ずすぐ側で見守り、短時間であっても離れる時は一旦タミータイムを中断させて、赤ちゃんを安全な場所・仰向け体勢に整えてから移動しましょう。

【ふかふかな場所では行わない】
まだ首の筋力が発達していない赤ちゃんは、首を自由動かすことが困難です。
窒息事故を避ける為にも、突っ伏した時に顔が埋もれてしまうような柔らかい布団やマットレス、絨毯等の上は避けましょう。
床にバスタオルを強いたり、ジョイントマットやベビージム、高反発マットレスの上など、安全な場所を選んで行うことが大切です。
また、タミータイムを行う際は周りにふわふわのぬいぐるみやクッション、枕などがないか確認し、予め退けておきましょう。

【高い場所で行う時は要注意】
乳児期に多い事故の一つが高い場所からの転落です。
ベッドやソファーの上に置いた赤ちゃんが寝返りをしたり、遊んでいるうちに転落してしまったというエピソードを周りでもよく耳にします。
まだまだ自分の力では移動できないと思っていた赤ちゃんも、いきなり寝返りをうったり、手足をバタバタさせているうちに場所が変わっていたりと…案外 移動ができてしまうものです。
床との段差がある場所でタミータイムを行う場合は、特に目を離さないよう注意し、常に安全な位置であることを確認して行いましょう。

【眠ってしまったら仰向けに!】
タミータイム

遊んでいるうちに疲れてそのまま眠ってしまうこともありますよね。
中には あえて うつぶせ寝をしたがる赤ちゃんも。
日々背中スイッチと闘っている親としては、そのまま寝かしておきたい…その気持ちは痛いほどわかるのですが…
うつぶせ寝をさせることはSIDS(乳児突然死症候群)を起こすリスクがありますので、必ず仰向けの姿勢に直すようにしましょう。
眠そうだなと事前に気付けた場合は、その時点でタミータイムを中断し、ねんねモードに切り替えてしまいましょう。
▫️参考URL『タミータイム(うつぶせ遊び)』赤ちゃんの発達を促す⁉ | 鎌倉市大船の小児科 すくすくまことくりにっく 

タミータイムに必要な物を準備しよう♪

タミータイムを行う際必要なもの、あると便利なものをいくつかご紹介します。
行う場所によって必要なものも変わってくるのですが、ポイントとしては

・よだれ対策
・怪我(打撲等)や事故(窒息等)の対策
・娯楽

を考えながら準備すると良いでしょう。
状況別にご紹介しますね!

【床でタミータイムを行う場合】
ふかふかな場所だと窒息の危険があるとはいえ…
固い床の上に直接赤ちゃんを置くと、それはそれで心配ですよね。
まだ頭がグラグラな赤ちゃんは突然床に突っ伏すこともありますし、そんな時に痛い思いをしないよう、プレイマットやジョイントマット敷くと安心です。
タミータイム

水汚れを拭き取れるタイプや洗濯機で気軽に洗えるものだと、よだれでベトベトになってしまっても、お手入れが楽ですよ♪

サイズや分厚さも多種多様なので、環境に合うものを探してみてくださいね。

【ベッドや布団で行う場合】
ベッドや布団のマットレスをそのまま使う場合には、まず布団のシーツそのものを防水シーツに変えておくことをお勧めします!
タミータイム

よだれだけでなく、ねんね中のオムツ漏れにも安心ですし、後々トイレトレーニングが始まった時には おねしょ対策に大活躍しますよ。
(一人目の時は途中までこの防水シーツの存在を知らず、布団が汚れるたびに大変な思いをしてました…)
毎晩眠るのに使う場所でもあるので+αで
バスタオルやマットを敷いて対策すると、更に安心ですね。

【おもちゃがあると もっと楽しい!】
タミータイム
おもちゃがあると、更にタミータイムの楽しみが広がります。
ぶつけてしまっても怪我をしない素材や形のものを選びましょう。



ウォータープレイマットだと、赤ちゃんの動きに合わせて中のパーツが動くので、低月齢の子でも楽しく遊ぶことができますよ!

「丁度良いおもちゃが手元無い」という場合は、目線の少し先に鏡を置いてみるのもおすすめです♪
赤ちゃんは鏡が大好き。
夢中になって自分のお顔を眺める子が多いんです。

タミータイム
自分の顔を見つけてニコニコ~♪

そして…万能なのがベビージム!
仰向けでもうつぶせでも楽しい仕掛けやおもちゃがたくさん備わっているだけでなく、物によってはプレイマットも一体となっていたり、足を使って蹴り遊ぶギミックがついているものもあります。
タミータイム

困った時はこれをひとつ買えば安心ですね。


実際にタミータイム(うつぶせ遊び)をやってみよう

タミータイム

さぁ、それでは実際にタミータイムを行う方法をご紹介していきましょう。
安全な場所でうつぶせにして、タミータイムのスタートです♪

タミータイムを行う時間の目安

朝やお昼寝後の機嫌の良い時間帯を狙ってタミータイムを行っていきましょう。
授乳の直後だと吐き戻ししやすいので注意してくださいね。

タミータイムは一日の中で合計30分ほどが理想と言われていますが、開始してからの期間や月齢で時間の長さや内容が異なりますので、以下はあくまでも参考までに。
子どもの無理のない範囲で行ってください。

また、タミータイムを行う際は、必ずそばで様子を見守りながら行ってくださいね。
産後間もない赤ちゃんには うつぶせの姿勢が苦手な子も多く、初めは嫌がって泣いてしまう子もいます。
そんな時は「頑張ったね~」と声をかけて早々に切り上げて大丈夫です。
平気な様子であれば、始めは数十秒からスタートして、徐々に時間を延ばしていきましょう。

【~3ヶ月】
毎日数分間のタミータイムを目標にチャレンジしてみましょう。
まだ筋力が無く、長時間うつぶせ体勢を取ると疲れてしまう月齢なので、数分したら一旦止めて一日の中で何度か行うと良いでしょう。

体勢がきつそうなら、丸めたタオル等を胸元に入れて体勢サポートしてあげると安定しますよ♪

タミータイム
胸が上がり、両腕がつきやすくなります

【3~6ヵ月】
首が座ってくる(または座りきる)月齢なので、一度に数分間タミータイムを取っても大丈夫です。
3ヶ月以前の時と同様、一日の中で数回行います。
様子を見ながら、余裕がありそうなら少しずつ時間を長くしても良いですよ!
4ヶ月頃からは、筋力がつき モゾモゾと移動ができる子も多いので、
ソファーの上など段差がある場所で行う際は充分に注意しましょう。
できれば床やマットの上で安全に行ってくださいね。

【6ヵ月以降】
この頃になるとお座りが上手になる子もいるでしょう。
寝返り返りもできるようになり、ゴロンゴロンと転がったりずりばいが始まっている子もいるかもしれませんね。
この頃になると、すっかり筋力もつきタミータイムを卒業する子も増えてきますが、うつぶせ体勢が好きな子のリラックスタイムや親子のスキンシップの一貫として引き続きタミータイムを取り入れても良いですね♪

おもちゃを使ってみよう

うつぶせの姿勢に慣れてきたら、おもちゃを使って遊んでみましょう。

生後すぐの赤ちゃんは視力が未発達で、0.01〜0.02程度。
認識できる色は、黒・白・グレーのみといわれています。
そんな赤ちゃんでも、20cm程度までなら おもちゃが見えるので、程よい距離の場所に興味の引きそうなおもちゃを置いてみましょう。
タミータイム

ぼんやりと見えるおもちゃが気になり、一生懸命 自分のところへ寄せたり、なめたりしながらタミータイムに集中してくれるはずです。
時々気分に合わせておもちゃを変えたりしなから楽しい気持ちで行えるように工夫しましょう。

おすすめのおもちゃに関しては、前記した「必要なものを準備しよう♪」の通りです。
ベビージムや鏡など、子どもの楽しめそうなものを準備してくださいね。

色々な場所でうつ伏せに挑戦!

タミータイムは床やマットレスの上で行うイメージが強いですが、仰向けになった大人のお腹や胸の上でうつ伏せ体勢をとる方法もあります。
タミータイム

この体勢だと、 お腹(または胸)とお腹をくっつけるので、抱っこされている時の感覚に近く、赤ちゃんがリラックスした状態でタミータイムをすることができます。
常に目が合いやすい場所に大人の顔がくるのもメリットの1つです。
両腕で赤ちゃんをしっかりと支えながら お喋りをしたり、面白い顔をしてみたり、顔同士を近づけてみたり、コミニュケーションを取りながら親子のリラックスタイムを過ごせます。

パパやママとコミニュケーションを取りながら遊ぼう

タミータイム

床などの上でタミータイムを行う際も、色々なふれあい方があります。
まず、大人も横になって子どもに目線の高さを合わせてあげると良いでしょう。
大好きなパパやママの顔が見えるだけでご機嫌な赤ちゃんも!
声をかけてあげながら、一緒に遊んでみましょう。
例えば、こちょこちょと身体をくすぐってみたり、「ママの鼻はここ!〇〇ちゃんの鼻はここ!」と顔や身体のパーツをツンツンしたりしながらコミニュケーションを取ります。
音楽が好きな赤ちゃんなら、お歌を歌ってあげるのも良いですね。
パパやママのの歌声は、きっと気持ちもリラックスさせてくれます。

生後5ヶ月からは いないいないばあ遊びもおすすめです。
「いないいないばぁ」は単純な遊びですが、実は発達段階に大きく関係しており、「見えないけど顔が隠れてる」ということが短期記憶の発達により理解できるようになるのが、5ヶ月頃からだと言われています。
手やタオルで顔全体を覆い、「いないいないばぁ」をしてみましょう。
親の顔が見えたり、また隠れたり…という不思議な現象に興味津々になるはずです。

期間限定のタミータイムの「遊び姿」を一緒に楽しもう

これからタミータイムを始める方は、習慣付くかどうか不安な方もいらっしゃるかと思いますが、赤ちゃんの成長は凄まじい速さです。
生後半年程でずりばいが始まり、あっという間によちよちと歩き出すのがことを考えると…このうつぶせ遊びができる時期はほんのわずかなんです。

親としては目が離せず大変な時期ではありますが、無理のない範囲でコミニュケーションを取りながら楽しんでいきましょう。

▫️参考URL
『タミータイム(うつぶせ遊び)』赤ちゃんの発達を促す⁉ | 鎌倉市大船の小児科 すくすくまことくりにっく 

\ 手軽な親子のふれあい時間を提案中 /

この記事のライター

ちばまり
ちばまり

飲食業界→水族館→アクセサリーデザイン…と不思議な経歴を経て、現在は男の子を育てています。「経験は宝」と、自身のこれまでを重ねながら…キャンプや工作、科学実験等…親子で日々 色々なことにチャレンジしています! さぁ、どんな好奇心の種が育つかな…?