「中学受験のために小学校を欠席する」
受験日の欠席は許されても、受験勉強のための欠席となると・・・一般的には望ましくないとされています。
しかし感染症リスク、受験勉強時間の確保、情緒の安定などを鑑みて、3学期に「自主欠席」をして、受験勉強に専念するお子さまは珍しくありません。
受験スケジュール、子どものメンタル、通っている小学校の方針などから、休む期間は、各家庭の判断となるでしょう。
「受験で休みづらい学校なので受験日前日だけ休む」
「受験日の1週間前から休む」
「3学期は始業式だけ出て、その後、受験が終わるまで断続的に休む。」
筆者の娘は、1月の上旬から2月の上旬まで、計2週間程度「自主欠席」しました。ただし連続して休むわけではなく、主要な学校行事のある日にはピンポイントで出席していました。
小学6年生の出欠の記録を確認したら、受験のために休んだのは計13日でした。
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我が家が受験前の自主欠席を選んだ理由
「受験日当日を万全の状態で臨むため」に受験前に学校を休ませるという選択。賛否両論ありますね。
実際、筆者の周りでも
「義務教育である小学校の勉強をおろそかにしてまで中学受験の勉強をするのはおかしい。」
「学校に行かずに勉強して受からなかったら残念過ぎる。」
という意見がありました。
確かにその通りです。学校の授業は大切ですし、友達と過ごす時間は有意義なのもの。また学校に行くことで生活と勉強のリズムが整っている部分は大きいと思います。
それを踏まえた上でも、やはり休ませることを決断したのは、「体調不良で受験できない」リスクを減らしたかったからです。娘の通う小学校では12月中旬くらいから、コロナ、インフルエンザ等による学級閉鎖が出てきていました。受験シーズン1月~2月は、インフルエンザ等の感染症が猛威をふるう時期。どんなに気をつけていても体調を崩すことはあり得ます。娘なりに頑張ってきた受験勉強。万全な状態で臨んで欲しいと考えました。
受験日が複数ある、条件付きで別日に受験可能な中学校もありますが、公立・国立中学では受験日は1日のみ。
また受験日が複数あっても、合格率を考えると、できれば予定通りの日程で受験したいですよね。
我が家は「感染症にかかるリスクを最小限に抑えて、計画通りのスケジュールで受験するために学校を休む」選択をしましたが、休ませずに学校に通うご家庭もありました。近隣の親御さん、学校のお友達からの「自主欠席」に関しての疑問や否定的な意見も耳にしました。どの意見ももっともだったので、正直、少し心が揺れました。
娘は受験勉強をはじめたのが遅く、学力の伸びが足りていませんでした。その上、喉を痛めると必ず高熱が出てしまう体質。我が家の選択としては「自主欠席」で良かったと思っています。
受験前に学校を休むメリット
【感染症のリスクが下げられる】
受験シーズンはインフルエンザ、コロナ、風邪等が流行する時期。受験勉強中は睡眠不足で、免疫力が落ちていることも。自宅で勉強することで、感染症にかかるリスクが下がります。
【受験勉強に集中できる】
学校を休むことで宿題をする時間以外、すべてを受験勉強に当てられます。
【周囲の雑音に惑わされにくい】
娘の通う小学校では、「誰がどの中学受けるか」いつのまにか噂になって学年全体に知られていました。そうなってくると聞きたくない噂や陰口も、耳に入ることもあります。
ナーバスになりがちな受験直前は、普段なら気にならないことも気になりがち。学校に行かないことで、気兼ねなく勉強できます。
受験前に学校を休むデメリット
【宿題がたまる】
漢字ドリル、計算ドリル、プリント、理科の実験まとめ、卒業制作の工作・・・学校に行かなくてもこれらに課題はこなさなくてはなりません。
学校に登校している時と同じ分量を、毎日こなしていけば問題ないのですが、数日ためてしまうと大変。
【受験終了後に大量のテストが待っている】
休んでいる間にも授業は進み、単元ごとのテストが実施されていきます。
娘の場合は、受験が終わって登校したら、計20枚以上のテスト、小テストが待っていました。
受験生のお子さまは、既に小6の勉強が終わっているのでテストの難易度的には、問題がないと思いますが、量に疲れてしまうかもしれません。
受験日何日前から休むのが一般的なの?
まず筆者の娘の周りですと、把握していた10人の受験生のうち、学校を休んだ子は5人、休まなかった子5人と半々でした。
休み方は
1月の上旬から2月の上旬まで、断続的に計2週間程度・・・3人(娘含む)
1月の下旬から2月の上旬まで、断続的に計1週間程度・・・2人
でした。
娘が受講していたオンライン家庭教師の先生にも「受験前に学校を休む」ことについて相談したところ、受け持っていた5人の生徒さん全員が自主欠席されるとのことでした。
中には「3学期始業式から受験がすべて終わるまで約1か月間、断続的にお休み」する生徒さんも。
ちなみに先生は「自主欠席」推奨派。
理由は以下の3つとおっしゃっていました。
「学校の授業は3学期に新たに学ぶことが少ないまとめの時期」
「中学受験を理由に休んだ日の一部、ないしすべてを出席停止扱いにできることもある。(学校によります。)」
「3学期の欠席数や成績は中学受験の調査票(既に受験校に提出済みなので)にはひびかない。」
先生が中学受験をした際は、クラスの3分の2が受験組だったそう。受験組のだいたいのご家庭が「3学期始業式から受験がすべて終わるまでの1か月程」断続的に休んだとのこと。
中学受験による休みは「出席停止」扱いになるのか?
一般的には受験する日のみが出席停止。自宅で受験勉強するための「自主欠席」は欠席になります。
受験校数3校の予定だった娘は、出席停止は3日で後は欠席扱いになるはずでした。中学受験のために学校を休むのは、自己都合。いままでにない欠席数となるのは覚悟の上、中学受験のために休むことを担任の先生に伝えました。
出席停止の判断基準は学校による
娘の通う小学校(公立)では、12月中旬に「私立中学校等受験の出願、受験日等で登校しない日は出席停止扱いとする」と通達がありました。
出席停止とは「校長が出席しなくても良いと認めた日」のことで欠席にはなりません。
娘の場合は、受験日当日を含む、まとまった期間のお休みを申し出たら、すべて出席停止扱いとなっていました。受験日以外は欠席扱いを覚悟していたので意外でした。何校も受験するご家庭もあるので、「すべて受験日」と受け取っていただいたのかもしれません。行事や委員会などがある日は登校しながら、計13日間お休みしました。
また娘の小学校では、受験する学校を事前に報告するルールはなく、最終的にどの中学に進学するのかを報告すればOK。担任の先生には3校受験する予定であることは伝えていましたが、「受験日以外のお休みは何なのか?」とは聞かれませんでした。
私が伝えた申請事由は「中学受験のため」でした。
自治体、学校によって「出席停止」ルールにはグレーな部分がありそうですが、基本は受験日が出席停止扱い、受験日以外は欠席扱いです。
「受験勉強をしたいので出席停止にしてください」と正面切って言うのはタブー。中学受験のための休みの扱いは学校にお任せしましょう。
受験で学校を休む際、担任の先生へどう伝える?
「A中学、B中学、C中学の3校を受験する予定です。〇日~✕日、△日~◇日にお休みします。」と包み隠さず伝えるのが良いでしょう。
できれば先生に直接お会いして、口頭と書面で伝えられると良いですね。もちろん親御さんのと先生の都合もありますので、電話でもOK。(我が家は電話)
病気でもないのに学校を休む罪悪感から、伝えづらく感じるかもしれませんが、できだけ早めに伝えましょう。
中学受験で自主欠席する生徒さんはたくさんいます。毎年のことで、先生も慣れているので、気負わなくても大丈夫です。
休む期間を早めに知らせることで、先生も宿題や卒業制作等のスケジュールを立てやすくなります。
受験前 学校を休んだ日の学習スケジュール
思い切って学校を休んだのだから、受験勉強に集中したいですよね。効率的な学習の基本は、規則正しい生活と十分な睡眠です。学校に行く日と同じ時間に起床、食事、就寝することで、生活リズムをキープしましょう。
特に注意したいのは「夜遅くまで勉強して、起床時間が遅くなっていく」こと。遅寝遅起きが定着してしまうと、受験日までに元に戻すのが大変です。
また自由な時間が増えることで、ゲーム、スマホなどでダラダラしてしまうリスクも高まります。
筆者が13日間の自主欠席の中で、気をつけていたこと、気づいたことをご紹介いたします。
学校に行く日と同じ時間に起床しよう
生活リズムは起床時間を固定することで整いやすくなります。夜遅くまで勉強してしまったとしても、学校に行く日と同じ時間に起床しましょう。
決まった時間に起きることで食事、就寝の時間も定まってきます。
精神科医、杏林大学名誉教授である古賀良彦氏は著書『睡眠と脳の化学』で、受験をクリアするための生活リズムについて以下のように述べています。
つまり、夜はたっぷり眠り、昼間は起きているという形に戻していかないと、受験 当日、最高のパフォーマンスを発揮できない可能性が高まります。大学や高校の入試 は必ず昼間に実施されます。その時、夜型の生活リズムが体に浸透していると、ケアレスミスなどで思わぬ結果になることも。
さらに、受験勉強で不規則な生活を長期間続けていると、たとえ志望校に合格して も、授業に遅刻する、居眠りばかりする、欠席が多くなる、そして、最後は不登校になるというケースも少なくありません。
結局、いくら受験に合格しても、長い目で見ると、まちがった生活リズムが人生を狂わせてしまうのです。大学や高校に入学後、充実した学生生活を送るためにも、受験日の最低1週間前から正しい生活リズムを作ることが大切なのです。
古賀良彦『睡眠と脳の科学』祥伝社,2014,P91
時間を小分けにして勉強
時間がたっぷりあるからこそ、集中力を保ちながら効率よく勉強しなくてはなりません。そのためにも「子どもの集中力が続く時間」で時間を区切りながら、勉強をすることです。
大人でも集中力が持続するのは50分程度。さらにその中でも深く集中できるのは15分と言われています。小学生であれば集中力が持続するのは、長くて30分くらいでしょう。30分~60分ごとに学習内容を変えながら勉強することで、集中力が持続しやすくなります。
例えば、「社会の問題集に30分取り組んだ後は、算数の過去問に60分取り組み、その後15分の休憩を挟んで、その後30分で過去問の答え合わせ、解き直しをする。」
のように30分~60分ごとに「違う教科、内容」の勉強をすることで集中力低下が防げます。
2時間、3時間連続で勉強することは効率が悪いので、避けましょう。
22時までに就寝しよう
小学6年生なら8時間以上の睡眠時間を確保しましょう。例えば朝7時に起きるのであれば遅くとも23時までには就寝したいですね。
23時~2時に深い睡眠に入ることで、脳と体の疲労回復をさせ、筋肉や骨の成長を促す「成長ホルモン」の分泌が活発になります。
中学受験では大量の知識を暗記しなくてはなりません。日中、学習した内容を脳に定着させるには、十分な睡眠が必要です。
「睡眠時間を削って深夜まで勉強」は効率的ではありません。
学校の宿題はためないように
漢字ドリルや計算プリントなどの宿題は、休んでいる間もたまっていきます。その他にも教科ごとの課題や提出物は日々、増えていきます。毎日コツコツ取り組んで、出席している生徒と同じ量をこなしましょう。
受験勉強の合間に、学校の宿題に取り組むことは気分転換にもなります。
ためてしまうと、受験終了後がかなり大変です。娘は途中3日ほど、宿題をやらなかったせいで、受験終了翌日に、2時間かけて漢字ドリルと計算ドリルに取り組んでいました。3日分でも、筆記量が多く疲れていましたね。
親と離れる時間を作る
受験勉強中は親子で家にいることが多いと思います。思春期に入っている子どもにとって、1日中親と一緒であることは息苦しさを感じるかもしれません。
それは親御さんも同じではないでしょうか。受験に向けて不安や苛立ちを感じているお子さまを見守り、サポートすることは決して楽ではありません。
特に追い込み時期は、勉強漬けで家にこもりがち。
1日30分でも良いので、お子さまが1人になれる時間を作ることが、親子共に息抜きになるはずです。
親が買い物に出かける、散歩に出かけるなどして、お互いが1人の時間を持つことをおすすめします。
迷いましたが・・・自主欠席に悔いなし
受験勉強のスタートが遅く、勉強不足だった娘。「学校を休んでまで受験勉強をする」ことに、親子共に抵抗感はありました。しかし、志望校の合格率が少しでも上げられるなら「自主欠席」を選ぶことを家族会議で決めました。
13日間の自主欠席期間は娘の人生史上、もっとも集中して勉強していたと思います。その姿を見て、「不合格になっても、ここまで頑張れたことは決して無駄ではない!」と前向きな気持ちになりました。
この期間の勉強で特に伸びを感じたのが記述力と計算力。(娘比)社会・理科の記述式問題や算数の文章題を解くスピードが上がりました。
また学校を休むことで感染症リスクを減らし、万全な体調で受験当日が迎えられました。娘の場合は自主欠席という選択をして良かったと思っています。