2022年02月25日 公開

小学生までに行いたい家庭学習の習慣づくり:5つのポイント

『新・家庭教育論 忙しい毎日の子育てコーチング』連載第8回は、小学生までに行いたい家庭学習の習慣づくりをお届けします。幼児期の「学び」から「学習」へ、家庭学習を習慣づける5つのポイントを解説します。

           
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新・家庭教育論家庭学習

子どもは学ぶことが大好きです。学ぶことが楽しい!と感じる今、家庭学習の習慣を作りましょう。
学習には、知識を身につける学習と、思考力を育む学習があり、前者は成果を可視化することで、後者は親子の対話をすることで備わっていきます。

子どもの学習に関する悩みで多いのが、「取りかかるまでに時間がかかる」というもの。家庭学習を習慣にできれば、スイッチ切り替えのハードルが下がります。

5つの習慣化のポイントを参考に、小学生生活が始まるまでに楽しく習慣づくりをしてみてください。「自分には継続力がある」と思えれば、それは今後の学習を支える大きな財産にもなるでしょう。

子どもはみんな学ぶことが好き

新・家庭教育論家庭学習

言葉を覚え始めたころの子どもは、「これは?これは?」とモノの名前を知りたがります。
「知る」ことがとても楽しいのでしょう。たまに、違う名前を言ったりすると「違う」と訂正してきます。聞いたことをしっかり覚えている様子です。「これは何かな〜?」と聞くと、「〇〇!」と嬉しそうに答えます。「当たり!〇〇ちゃんはすごいね」と驚いてみせると、「もう一回やる」となります。褒められることが嬉しいのでしょう。

これらは全て学びの原点です。新しいことを知り、覚え、それを褒められることで、もっとやりたくなる…。子どもは好奇心の塊であり、知ることが大好き。子どもは皆、学ぶことが大好きなのです。

しかし、そんな楽しい学びに、大人がネガティブな言葉をかぶせてしまうことがよくあります。「頑張って覚えたら、あとでおやつにしてあげるからね」、こんな言葉かけは、子どもに「学びとは大変でつまらないもの」という認識を植え付けてしまいます。
さらに、「お友達はできるのに…」「ほら、また間違った」、このような言葉かけは、子どもを傷つけるのみならず、学びに対する意欲を低下させてしまいます。

小学生になり、勉強が本格化する前に、自分が発する言葉は子どもにはどう届いているか、一旦立ち止まり見直してみる必要があるかもしれません。

「学ぶことが大好き!」、このような気持ちをもって小学校に上がってもらいたいですね。

幼少期の子どもに求められる2つの学習

ここからは学びを「学習」に置き換え、家庭学習について考えていきましょう。

学習には知識や手法を身につける学習と、思考力を育てる学習があります。従来の日本の教育では、どれだけの知識を持っているかが問われたため、子どもは学習時間の多くを「暗記」に費やしてきました。
ところが昨今は、どれだけ思考し、自分の言葉で表現できるかが問われるようになりました。ネット上にある情報に、いつでもアクセスできるようになったこと、社会的課題が複雑で重層的になってきたことが、背景にあるようです。

実際に、点数や偏差値に置き換わる新しい学力の基準が作られたり、体系的に思考力を育てる取り組みが始まったりしています。(参考:首都圏中学模試センター https://www.syutoken-mosi.co.jp/column/entry/entry000668.php)

知識を身につける学習を否定するわけではなく、思考力を育てる教育にも意識を向けて取り組んでいく。つまり、2つの学習が共に必要になってきたということです。

1、知識を身につける学習

幼少期の子どもの原動力は「楽しい」です。学習においても楽しさが追求されます。知識を身につける学習には「正しい」「正しくない」があるため、成果を可視化することが簡単にできます。正解ならポイントをゲット、ポイントがたまったらご褒美等、その取組み自体が楽しくなるような工夫を凝らしてみましょう。

また、習得した知識を披露する場も作りましょう。子どもは褒められ、認められることが大好きです。喜んで覚えていくはずです。

2、思考力を育てる学習

この学習に必要なのは、対話です。言葉のキャッチボールをしながら、子どもの考えを引き出していきます。まだ自分の考えがあまりないお子さんでも、空想をすることは大の得意。空想の世界のことも含めて、子どもの言葉を沢山引き出してみましょう。

子どもらしい発想を楽しむ気持ちで、対話をしてみてください。それが、思考力、表現力につながっていきます。

今作りたい家庭学習の習慣

新・家庭教育論家庭学習

早い段階で家庭学習の習慣をつくることは、この先の学習を楽しくスムースに展開するために非常に重要です。

なぜ習慣化が大切なのか、それは習慣ができていれば、考えずして行動することができるからです。「取りかかるのに時間がかかる…」、子どもの勉強に関してはこんなお悩みが多くありますが、習慣ができていれば、遊びから勉強へのスイッチ切り替えのハードルが低くなります。親子喧嘩も減りそうですね。

家庭学習の習慣づくり 5つのポイント

では、どのようにして家庭学習を習慣化することができるのでしょう。5つのポイントをご紹介します。

1、毎日やる

習慣にするために、恐らく最も重要なことが「毎日やる」こと。やりたいかどうかを考える以前に、当たり前として行動できるような環境を作っていくということです。
夜9時になったら寝る、食事をしたら歯ブラシをする、これらの基本的生活習慣は、「毎日行いながら」習慣とされてきましたよね。

学習習慣を作るのも同じです。小学校お受験をされるお子さんは、毎日、毎日プリント学習をされています。大人の目には「かわいそう」と写ってしまうこともあるかもしれませんが、お話を伺うと、本人はとても楽しく取り組んでいるとか…。毎日プリント学習をすることが習慣となっている故でしょう。

2、楽しくなる工夫をする

 楽しいことに没頭している子どもの表情を見たことがありますか?まるで息遣いが聞こえてくるような真剣な表情で取り組んでいます。楽しさは集中力も生み出すようです。

周囲の大人は、子どもが楽しく没頭できる環境づくりを工夫しましょう。その子が興味を持っている世界を見つけ、広げていくのがおすすめです。「どうしてだろうね。もっと調べてみようか」と投げかければ、探究心がくすぐられ、子どもは楽しく学習することでしょう。
楽しい経験は次につながります。子どもが自分で習慣化していきます。

3、できたことを出来たと伝える

子育ては日常、毎日見ていると小さな成長は見えづらくなりますし、忙しい日々を回していくには、常に先を考え、段取り良く進めていく必要があります。直接成果につながるわけではないことは、排除される傾向にあります。
また、大人の意識は常に「できないこと」に向いているため、できていることは放置されそうです。いちいち言う必要はない、ということです。

しかし、子どもは一つひとつ言ってもらいたいのです。大人からの反応が嬉しくて、次なる行動が始まります。できていることこそ見逃さずに「できたね」と伝えてあげましょう。
 

4、成果を可視化する

継続力を育てるためには成果の可視化が効果的です。紙に書くもよし、ホワイトボードを利用するもよし。ぱっと見て、「継続できている自分」がわかるものがおすすめです。
子どもに任せて作らせるのも良いでしょう。自分で作ったツールなら楽しく利用できそうです。

毎日続けられている自分、長く継続できている自分を見ることが、明日もやってみようという気持ちを起こします。自分には続ける力がある、と思うことができれば、それは間違いなく、将来の学習を支える大きな力となるはずです。

5、嫌なときには丁寧に説明

親目線で習慣化させたいことでも、子どもが受け入れないこともありますよね。子どもの気持ちの尊重と親の願いの間で、ジレンマを感じてしまいます。

諦めずに、子どもに丁寧に説明をしましょう。時間はかかりますが、いつかはきっと伝わります。子育てとは根気のいる営みです。子どもを信じて伝え続ける姿勢は重要なのです。  

とはいえ、子どもが理解するのを待っていられない場面もあるはずです。そういった時には、親のコントロールもやむを得ないとし、それでも説明だけは忘れずに…。
「つべこべ言わずにやりなさい!」ではなく、「あなたの気持ちもわかるけど、今は急いでいるからお母さんやってしまうね」という具合です。
まだ小さいから伝わらないだろう、これは子育てには禁物です。

親子で学ぶことの価値

新・家庭教育論家庭学習

家庭学習の習慣づくりにおいて、もう一つ重要なことがあります。それは親も学習者となることです。子どもはお父さん、お母さんと一緒に何かをするのが大好きです。子どもの勉強時間を作るなら、その時間を、皆さんの学習時間としてみてはどうでしょう。

とはいえ、忙しい毎日では、子どもが勉強をしている間に、たまった家事を片付けなければなりません。毎日隣に座って親も勉強…、これは今どきの子育てには当てはまりません。
しかし、親の学習時間を情報収集の時間とすれば、「今日はお母さんも一緒に勉強するね」と、静かな時間を共有することができそうです。

学校での勉強が始まる前だからこそ、新しいことを知る喜び、思考する楽しさを、親子で共に感じることができるといいですね。

■ライタープロフィール
江藤プロフィール写真
江藤真規
東京大学大学院教育学研究科博士課程修了 博士(教育学)
株式会社サイタコーディネーション代表
クロワール幼児教室主宰
アカデミックコーチング学会理事
公益財団法人 民際センター評議員

自身の子どもたちの中学受験を通じ、コミュニケーションの大切さを実感し、コーチングの認定資格を習得。現在、講演、執筆活動などを通して、教育の転換期における家庭での親子コミュニケーションの重要性、母親の視野拡大の必要性、学びの重要性を訴えている。著書は『勉強ができる子の育て方』『合格力コーチング』(以上、ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『心の折れない子どもの育て方』(祥伝社)、『ママのイライラ言葉言い換え辞典』(扶桑社)など多数。
クロワール幼児教室

■江藤さんへのインタビュー記事はこちら↓
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WRITER

江藤真規 江藤真規 サイタコーディネーション代表。サイタコーチングスクール、クロワール幼児教室主宰。東京大学大学院教育学研究科博士課程修了 博士(教育学)。皆が「子育ち」を楽しめる社会を目指して、保護者さまのエンパワメントを行っています。社会が大きく変化する中、幼児期の子育てにも新しい視点が求められます。子育ての軸をしっかりと築き、主体的な子育てに向かうためにお役立ちとなる情報を、コーチングの考え方を基軸に配信いたします。HP:https://croire-youjikyousitu.com/