2021年12月21日 公開
新・家庭教育論上手なほめ方

上手なほめ方を身につけて、子どもの自己肯定感を育もう

『新・家庭教育論 忙しい毎日の子育てコーチング』連載第6回は、実はとても難しい、上手なほめ方をお届けします。ほめるときに気をつけたいポイントやほめる技術についても詳しく解説します。

新・家庭教育論上手なほめ方

ほめる子育ての重要性はよく言われますが、「ほめる」行為は実は難しいもの。「ほめ」に対する知識をもって、子どもが自立にむかえる様、適切にほめていく姿勢が求められます。
子どもを見る視点を増やし、利用する語彙を増やし、様々な角度からほめていきましょう。物事は表裏一体、イライラ言葉を言い換えてみれば、素敵なほめ言葉になったりもします。
自分をほめることも忘れずに、親子で自分にOKを出していきましょう。

ほめる子育てが良い理由

新・家庭教育論上手なほめ方

学校授業の一コマです。「では、みんなの意見を聞かせてくれる?」教師の問いかけに手を挙げる子、挙げない子がいます。手を挙げる子は、いつも挙げるでしょう。挙げない子は、指名されない限り自分から手を挙げることはありません。

両者の違いはどこにあるのでしょう。

自分の意見を言うのが好き・嫌い等、個人の性格の違いはもちろんですが、「人から自分がどう思われるか」、「人と違うことを言ったら恥ずかしい」等が気になり、発言出来ないという子どもも多くいます。
自分軸で自由に物事を考えられるか、常に他人軸に照らし合わせて考えてしまうかの違いであり、自分にOKを出せるか否かの違いと捉えることもできるでしょう。

主体性がより一層強く求められるこれからの社会では、前者が重要であることは明らかであり、グローバル化される社会を生きるにあたっても、自分軸で考える習慣はマストです。

自分にOKを出せる背景には、認められる経験の積み重ねがあります。正解・不正解ではなく、「あなたの考えは面白い」「あなたらしい」と個性を尊重される経験、「何があってもあなたの味方」と受容される経験、「あなたならできる!」と勇気づけられる経験等が認められる経験です。広義でほめられる経験とも言えるでしょう。

ほめられると気分が良くなり、確かに子どもは伸びていきます。しかし、ほめられるから人は伸びるというわけではなく、ほめられ認められ自分にOKを出すことで、自分に制限をかけなくなる。故に、子どもは自由に伸びていくということです。

ほめる子育てが良い理由は、子どもが自分でぐんぐん伸びていく土壌を作ることができるから。子ども期にたくさんの「ほめられ経験」をさせてあげたいものです。

ほめる際に気をつける5つのポイント

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ほめるとは、相手を受け入れ、相手の良い点を伝える行為です。しかし、伝えたつもりが、伝わっていなかった、むしろ逆の意味に伝わってしまったということもよくあります。

子どもをほめる際に気をつけたい5つのポイントを見ていきましょう。

1. 具体的にほめる

ほめる際には、具体的に伝えることがおすすめです。大人でも「●●さん、アクセサリーのセンスがいいですね」と言われれば、そこからアクセサリー選びがもっと楽しくなりますよね。「●●さん、美しいですね」と言われるのとは異なります。

忙しい毎日、「すごいね」「素晴らしいね」で終わってしまいがちな子どもとの対話に、是非「具体的に何がどういいのか」を加えてみてください。
人は、「いいね」と言われた部分を伸ばしていきます。自分では気づかないことを言われるから、可能性が広がります。

2. 他者との比較をしない

自信をなくしている子どもを元気づけてあげよう、こう思って子どもをほめることもよくあります。
そんな時についつい行ってしまうのが「他者との比較」です。ほめる行為を横展開で捉え、「周囲の誰かより優れている」と伝える行為は大変分かりやすく、そして簡単です。

しかし、このほめ方には危険が伴います。常に他者と自分を比較しながら生きていく人生、個性の違いを優劣として見てしまう人生につながってしまうからです。

誰かより優れていることだけを目指してしまっては、今後の正解なき時代に求められる「生きる力」は育まれません。自立した子どもを育てるためにも、このほめ方は避けるべきと考えます。

3. おだてるとの区別

親の望む行動をとってもらいたいがためにほめるのが「おだてる」です。子どもに今すぐ動いてもらうためには、効果抜群。「●●ちゃんはいい子だからお片付けできるよね」等、日常的に使っている方も多いと思います。

しかし、このほめ方だけを続けているのは問題です。子どもは優越感を感じることにしか興味がなくなってしまいます。例えば「上手にお片付けできて気持ちいいいね」「ありがとう、お母さん嬉しいよ」等に置き換えていくと良いでしょう。
「ほめる」と「おだてる」は区別して考えましょう。

4. 評価と承認を区別する

親の目は、往々にして子どもの行為の結果に向いてしまいがち。良い結果が見えれば「良くできたね」とほめ、思うような成果が見えなければ「ダメだったね」と伝えます。無意識に親は評価者になってしまっているのです。

しかし、ここにも注意が必要です。親が評価者になってしまえば、子どもは親を超えることができなくなってしまいます。自分の考えを大切にするのではなく、親の考えに合っているか否かを大切にするようになります。子どもが親を超えていってこそ、良い子育てともいえるはず。子どもを評価するようなほめ方は修正しなければなりません。

「良くできたね」改め、「がんばったね」「楽しかったね」に。親のものさしに照らし合わせて、良い・悪いというのではなく、子どもの気持ちに寄り添った言葉をかけてあげるのが良いでしょう。

5. 「叱る」も必要

ほめるとは、叱らないということではありません。

叱る行為も当然子育てには必要です(叱るについては次回の記事で扱います)。ほめる際には思いっきりほめ、叱るべきタイミングでは覚悟を決めて叱る。自立した人間へと育むために必要な考え方です。

叱るとの対比ではなく「ほめる」を捉え、いいと思ったことをいいと思った時に伝えていきましょう。日常生活をともにする親だからできることです。

今日からあなたもほめ上手

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コミュニケーションのゴールは「相手に何が伝わったか」。相手への伝わり方を高めるためには、語彙力が必要です。子どもをほめる際にも語彙力が求められます。

気づけば「すごいね」しか言っていないと思われる方は、是非以下の2つのポイントを意識し、ほめ言葉のレパートリーを増やしてみてください。きっとほめ上手になるはずです。

3つの承認を利用する

承認とは、ほめること、認めること。ここでは「ほめる」を「承認」に置き換え、3つの枠組みを解説します。

承認には3つの種類があります。人の行動の結果を認める「結果承認」、プロセスを認める「経過承認」、人のあり様に着目した「存在承認」です。

結果承認とは、「●●ができたね」「上手だね」と、行動の結果を承認する行為です。目に見えるものを伝える行為ですので、比較的やりやすい承認かもしれません。
頑張った先にいい成果を出した時に一緒に喜んでもらえるのは嬉しいこと。一緒に喜びを共有してあげると良いでしょう。しかし、先に述べた「評価」につながらないよう、注意も要します。

経過承認は、プロセスを見て承認する行為です。
「毎朝頑張っているね」「夏に比べて随分できるようになったね」等、今に至るまでの経過に目を向けて伝えます。子どもは成長している自分を実感することができ、誇らしい気持ちになるでしょう。

存在承認は、上記の2つの行動承認とは異なり、相手のあり様を認める行為です。
「今日は赤い服を選んだんだね」「よく食べたね」と、相手の存在自体に言葉をかけていきます。上手だ、素晴らしい等の称賛とは異なり、「見ています、気づいています」を伝えるメッセージです。
大人でも髪を切った時に、「髪切ったんだね」と気づいてもらえれば、嬉しいですよね。毎日一緒にいる親子の間柄でも、ここは端折らずに伝えていきましょう。家庭が、より一層安心・安全な場となるはずです。

以上、3つの承認を利用すれば、きっとほめ言葉も増えるはずです。

イライラ言葉言い換え術

最後にお伝えしたいのが、リフレーミングという技術です。リフレーミングとは「枠組み」を変えること、一つの事実を異なる角度から見てみるということです。事実は変わらなくても、枠組みを変えることでものの見方が変わります。ネガティブにとらえていたことの見方が変わり、「イライラ言葉」が、「ポジティブ言葉」に置き換わります。

例えば、動作が遅い子どもに対して、親は「グズグズしている」とイライラしてしまいがちです。自分の力量で考えれば、すぐにできることですし、その次にやってもらいたいことがあるなら、イライラしてしまうのも当然です。ここでリフレーミングです。「グズグズしている」が「丁寧に動いている」に置き換わります。「丁寧に動くことができる我が子」として見ることで、こういう資質も悪くないかも、と思えるのではないでしょうか。

リフレーミングはイライラ言葉をポジティブ言葉に言い換え、親子の心を穏やかにするために大いに役立ちます。以下、言いがちなイライラ言葉を、リフレーミングしてみましょう。

おとなしい ⇒ 優しい
頑固 ⇒ 意思が強い
すぐに飽きる ⇒ 好奇心旺盛
自分の意見を言えない ⇒ 人の話を聞くのが上手
注意散漫 ⇒ いろいろなことに興味がある

言葉を変えれば、気持ちが変わります。

リフレーミングで子どもの行為をポジティブに表現するとともに、子どもに対するほめ言葉も増やしてみてください。

自分のこともほめよう!

子どもをほめる際には、親の心の安定が求められます。子どもをほめるばかりでなく、自分のこともたくさんほめてあげましょう。

毎日当たり前のように流れていく子育ての日々には、報酬が発生するわけでもなく、特別にほめてもらうということもありません。親になったら当然のごとく始まる、長期的ないとなみです。しかしそこには、ただならぬ努力や苦労もあるはずです。

自分をほめてあげましょう。
あなたは頑張っている、あなたは努力していると、自分に声をかけてあげましょう。

自分をほめ、認め、そして受け入れることから、きっとより良い子育てが始まり、ほめ体質の自分になるのだと思います。

■ライタープロフィール
江藤プロフィール写真
江藤真規
東京大学大学院教育学研究科博士課程修了 博士(教育学)
株式会社サイタコーディネーション代表
クロワール幼児教室主宰
アカデミックコーチング学会理事
公益財団法人 民際センター評議員

自身の子どもたちの中学受験を通じ、コミュニケーションの大切さを実感し、コーチングの認定資格を習得。現在、講演、執筆活動などを通して、教育の転換期における家庭での親子コミュニケーションの重要性、母親の視野拡大の必要性、学びの重要性を訴えている。著書は『勉強ができる子の育て方』『合格力コーチング』(以上、ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『心の折れない子どもの育て方』(祥伝社)、『ママのイライラ言葉言い換え辞典』(扶桑社)など多数。
クロワール幼児教室

■江藤さんへのインタビュー記事はこちら↓
イヤイヤ期の言葉がけはタイプ別に!江藤コーチの子育てアドバイス①
子どもをやる気にさせるほめ術は?江藤コーチの子育てアドバイス②
学力向上ために6歳までにやるべき6つのこと。江藤コーチの子育てアドバイス③

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この記事のライター

江藤真規
江藤真規

サイタコーディネーション代表。サイタコーチングスクール、クロワール幼児教室主宰。東京大学大学院教育学研究科博士課程修了 博士(教育学)。皆が「子育ち」を楽しめる社会を目指して、保護者さまのエンパワメントを行っています。社会が大きく変化する中、幼児期の子育てにも新しい視点が求められます。子育ての軸をしっかりと築き、主体的な子育てに向かうためにお役立ちとなる情報を、コーチングの考え方を基軸に配信いたします。HP:https://croire-youjikyousitu.com/