2022年12月22日 公開

子どものことを叱れない親からの脱却- 正しく叱る7つの視点

『新・家庭教育論 忙しい毎日の子育てコーチング』連載第18回は、恐れずに叱る、正しく叱るための「7つの工夫」をご紹介します。「叱る」を子どもの成長につなげていきましょう。

「子どもの気持ちを大切にしたい」という思いが、「親の意見を伝えない」という誤った解釈につながっていませんか?

「叱る」とは、相手のことを思い、間違えを正していく行為のこと。子どもが自立した大人になる過程においては、叱られる経験は必要です。子どもの気持ちを大切にしつつ、正しく叱るためには、「叱る」の意味を再確認するとともに、伝え方に工夫をしていくことが重要です。

恐れずに叱る、正しく叱るための「7つの工夫」をご紹介します。「叱る」を子どもの成長につなげていきましょう。

「褒める」と「叱る」の関係

「褒める子育てが良い」、こんな考え方が一般的に広まっています。確かに褒められれば、気分が上がりますし、自信もつくでしょう。褒められることで、もっとやってみようという気持ちも出てきます。

一方、「褒めよう」とする行為が、「叱ってはいけない」という誤解を生み出しているようにも感じます。「言い過ぎてしまった」「きつく言ってしまった」等、子どもに意見することを過度に気にしてしまうということです。

「褒める」とは、子どものいいところを見つけて伝える行為。子どもを受け入れ認める行為です。

他方、「叱る」とは相手のことを思い、間違えを正すために指導すること。相手の気持を聞きながら、対話を通して伝えていく行為が「叱る」です。「褒める」と「叱る」は対局にある考えではなく、共通して「相手に伝える」という行為です。相手のことを思い、相手にかかわっていくということです。

なぜ、我が子を叱ることができないの?

それでも、叱ることに抵抗がある親御さんは多くおいでになります。理由を聞けば、

・「子どもの気持ちを大切にしたいから」
・「子どもを傷つけたくないから」

等が聞こえてきます。

子どもを尊重する、子どもの気持ちを大切にする。相互に尊重しあう関係は、親子間においてとても重要です。しかし、「子どもを尊重する」は、「親の意見を伝えない」にはつながりません。

「叱る」とは、相手の間違えを正す行為であり、背景には、相手のことを思う気持ちがあります。相手の気持ちを聞きながら双方向に進めて行く行為ですので、正しく叱ることができれば、相手の気持ちを傷つけることはありません。いくら子どもの気持ちを大切にしたくても、子どもの取った行為が正しくない場合には、正してあげる人の存在が必要です。

また、働く母親も増えた今、親子で過ごせる時間は決して長くはありません。そんな大切な時間だからこそ、子どもの笑顔を見ていたい。できれば、子どもが嫌がることはしたくないし、泣き顔なんか見たくない。このような気持ちになることもあるかもしれません。仲良しでいたいということです。

しかし、親には子どもを育てる責任があります。子どもの気持ちを大切にしながら、上手に叱ることが求められます。

7つの視点で「正しく叱る」ことができる親になる

ここでは、子どもの気持ちを大切にしつつ、正しく叱ることができるようになるための、7つの視点をご紹介します。

1、子どもの未来を想像する

子育てのゴールは、子どもが社会で他者とかかわりながら生きていけるように育てること。子どもの自立とも言えるでしょう。様々な価値観を持つ人で成り立っている社会には、当然ルールがあります。失敗しても立ち直り、自分を高めていく経験が、自分と社会の成長につながります。
自立した子どもに育てるとは、子どもの社会性や感情をコントロールする力を育むということ。それが、子どもの幸せな未来につながるのです。

・この子が大人になった時に、どんな風に生きていくのだろう。

子どもの未来を想像してみましょう。子どもの行為や考え方が間違っている場合には、今伝えることがいかに重要かを、実感されることと思います。

2、不満ではなくリクエストする

何かを指摘する際に注意したいことがあります。それは「不満」として伝えないこと。「それは嫌だ」「そんなことをするのは酷い」と、相手への不満として伝えてしまうと、本当に伝えたいことが伝わらなくなってしまいます。相手の心との間に壁ができてしまいます。
間違っていることを伝える際には、不満ではなく、リクエストとして伝えましょう。

・それをするのをやめて、こっちにしてくれるかな。

不機嫌に不満を言われるのとは、受け取り方が大きく変わります。リクエストの理由や代替案があれば、更に伝わります。自分で考え、どうすればいいかがわかるからです。

3、自分の理解が合っているか聞く

よい聞き手になるためには、相手のメッセージを正確に理解する必要があります。故に、自分の理解が合っているかどうかを、確かめながら聞いていきます。

子どもを「叱る」際には、まずは状況に対する自分の理解が合っているかどうか、確認をするとよいでしょう。またその後の対話の中でも、子どもの気持ちを自分が正しく理解しているか、確認をしながら進みましょう。

・お母さんはこう理解しているけど合っているかな。
・それって、こういうことでよかったかな。

自分が理解されなければ、人は耳をふさいでしまいます。言葉を介して相手を理解するのは、なかなか難しいこと。確認をしながら進めていきましょう。

4、具体的行動に焦点を当てる

叱る際に注意したいのが、「人」に焦点を当てないということ。「あなた」が悪いのではなく、「あなたのとった行動」が間違っていたと伝えます。子どもを叱る際によく言ってしまう「なぜできないの」「どうしてわからないの」「どうしてそんなことをするの」、これらはすべて人に焦点が当たった表現です。

子どもを叱る際には、子どものとった具体的行動に焦点を当てましょう。子どもが間違っていたのではなく、とった行動が間違っていたということです。

・あなたのやった〇〇は、よくない行為だと思うよ。

自分が否定されるのと、自分の行動が正されるとでは、全く受け取り方が変わります。その後どうすればいいかを考えるエネルギーも湧いてきます。

5、次の行動とセットで「叱る」

叱る際には、叱りっぱなしではなく、次なる行動とセットで伝えましょう。特に、まだ経験の浅い幼少期の子どもに対しては、正しい考え方を教えてあげる必要もあります。

・それはやめよう。代わりにこうしてみたらうまくいくよ。

自分を変えるには時間がかかりますが、行動はすぐに変えることができます。どうすればよかったのか、正しい行動を本人に考えさせるもよし、提案してみるのもよし。叱る際に行動とセットにすれば、間違った経験から新たな行動が始まり、大きな成長につながりそうです。

6、相手の変化に気づき伝える

忙しい日常、私たちは伝えることばかりを意識し、伝えた後のことはあまり考えていないかもしれません。しかし、最も大切なのは、伝えた後のフォローです。叱るも同様です。叱られた後、子どもに少しでも変化があったなら、その変化を子どもに伝えてあげましょう。

・〇〇ができるようになったね

今あることを褒められる以上に、自分の変化を褒められた時に、子どもは大きな自信を持つはずです。子どもを見ていなければ、変化に気づくことはありません。叱る場合にも褒める場合にも、子どもを見ることが大切ということです。

7、相手を大切に思っていることを伝える

叱るとは、相手を思っての行為です。しかし、叱られた側には、その思いはなかなか伝わりません。子どもを叱る際には、子どものことを思っていることを、しっかり伝えましょう。言葉でもよし、表情等の言外で伝えるもよし。

・大好きだよ、とても大切に思っているよ

恥ずかしさもあるかもしれませんが、叱る際にこそ、大切に思う気持ちを伝えられるといいですね。真なるメッセージがきっと伝わることと思います。

叱ることを恐れず、叱ることから逃げず、子どもの未来に向かって、伝えるべきことは正しく伝える。今の時代、親にしかできないことなのかもしれません。

■ライタープロフィール
江藤プロフィール写真
江藤真規
東京大学大学院教育学研究科博士課程修了 博士(教育学)
株式会社サイタコーディネーション代表
クロワール幼児教室主宰
アカデミックコーチング学会理事
公益財団法人 民際センター評議員

自身の子どもたちの中学受験を通じ、コミュニケーションの大切さを実感し、コーチングの認定資格を習得。現在、講演、執筆活動などを通して、教育の転換期における家庭での親子コミュニケーションの重要性、母親の視野拡大の必要性、学びの重要性を訴えている。著書は『勉強ができる子の育て方』『合格力コーチング』(以上、ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『心の折れない子どもの育て方』(祥伝社)、『ママのイライラ言葉言い換え辞典』(扶桑社)など多数。
クロワール幼児教室

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この記事のライター

江藤真規
江藤真規

サイタコーディネーション代表。サイタコーチングスクール、クロワール幼児教室主宰。東京大学大学院教育学研究科博士課程修了 博士(教育学)。皆が「子育ち」を楽しめる社会を目指して、保護者さまのエンパワメントを行っています。社会が大きく変化する中、幼児期の子育てにも新しい視点が求められます。子育ての軸をしっかりと築き、主体的な子育てに向かうためにお役立ちとなる情報を、コーチングの考え方を基軸に配信いたします。HP:https://croire-youjikyousitu.com/