10万部を超えるヒットとなっている、齋藤孝先生監修の『こども孫子の兵法』。子どもだけでなく、その親や、古典好きまでも巻き込んだベストセラーとなっています。その魅力の秘密はいったいどこにあるのでしょうか? この本を発行した日本図書センターの担当編集者、高野愛実さんにお話を伺いました。
監修 :齋藤 孝
出版社 :日本図書センター
「子どもの社会学習部門」のベストセラー『こども孫子の兵法』 – Chiik! – 3分で読める知育マガジン –
「孫子の兵法」を子ども向けに!
もうずいぶん前のことになりますが、論語などの古典を子ども向けにした本がブームになって、関連本もたくさん出ました。
それらは道徳的な内容のものが多かったので、古典をベースにしたもので、もっと現実的で実用的なものが作れないかと考えていました。
その過程で、「孫子の兵法」は単なる兵法書ではなく、現代も通じる処世術として使えるのではないかと思ったのです。
ーー「孫子の兵法」といえば、大人向けのビジネス書というイメージですが。
兵法ですから、国と国との争いにおいて、いかにして勝つかという内容です。ビジネスの世界にはぴったりですね。
これを、ビジネスの世界ではなく、今の子どもの世界に置き換えてみたいと思いました。学校内でのライバルだったり、受験だったり、子どもの世界でも、勝負や対立は存在しますから。
幅広い世代に受け入れられやすい作り
小学校中学年~中学生くらいまでを想定はしていますが、もっと小さいお子さんにも読んでもらえる作りになっています。
4~6歳の小さいお子さんは、まずはイラストから。
小学校低学年~中学年には、右ページの『こども訳』だけでもぜひ読んでほしいです。そのうち自然と、左ページにある解説も読んでみようと思ってくれるのではないかと思います。
ーーイラストが効いていますね。
子どもが手に取りやすいように、ユニークでかわいらしいイラストを入れました。のほほんとしつつ、ちょっぴり脱力系で温かみがあって、大人でもクスッと笑ってしまうようなイラストを目指しました。
強くしなやかに、うまく生きてゆく術を、優しく伝えたい
今の子どもたちは、大人になるまでの間に、いろいろな事を強いられていると感じます。もちろん個人差はあるのでしょうけれど、子どもだって、大人と同じように厳しい世界に生きているのです。その中で、正面から立ち向かってゆくだけでは、乗りこえるのが難しいこともあります。
だから、いつも正々堂々としていることだけが唯一の正解ではない、自分を守るためには逃げることだって決して悪くないと、そんなことを子どもたちに伝えられたらと思います。
オススメは「こども訳」
「こども訳」ですね。見開きの右ページにあって、大きな文字ですし、本を開いて真っ先に目に入る部分です。
この部分が、本書の最大の特徴ともいえますし、アピールポイントでもあります。
大人でもハッとさせられるような訳を心がけました。
小さいお子さんだと全部を読むのは難しいと思いますが、「こども訳」の部分だけでも読んでほしいと、オススメしています。
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