2022年05月30日 公開

海外子育てを通して平和教育を考える【英国すくすくレポ】

みなさんは「平和教育」というと、何を思い浮かべますか?日本で考えるところの平和教育と海外の平和教育に違いはあるのでしょうか?今回は海外の子育てを通して考える現代の平和教育についてレポートします。

           
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平和教育というと、何を最初に思い浮かべますか?

今年に入っての世界情勢などもあり、戦争問題や平和について意識を向ける機会が増えてきました。特に現在はロシアとウクライナの問題から、イギリス在住の筆者にもその影響が出始めています。
まず日本行きの飛行機の便がかなり減っており、またロシアの上空を飛ぶことができないため遠回りをして数時間長いフライトとなっていることや、日本からの便も減っているためか、現在は小包をイギリスへ送ることが制限されています。日本の食材を送ることも、キーホルダーひとつ送ることさえ難しいとのこと。また、光熱費や食費の値上がり、ヨーロッパ内の物流にも影響が出ています。
とは言え、今現在、戦地になって非難を余儀なくされていたり、被害を受けられた現地の方々の事を思うと大変気の毒で、自分はまだ幸せな方だと思わざるを得ません。

ところで、みなさんは「平和教育」というと、何を思い浮かべますか?
筆者自身は長崎出身ということもあり、一番最初に思うのは「原爆」の怖さ、戦争の悲惨さであり、このことを二度と繰り返してはならないという想いです。
長崎では原爆投下があった8月9日11時2分に、低いサイレンの音が鳴り響き、1分間の黙祷を捧げます。それは、もうこの先の未来に誰も戦争で悲しい思いをすることなく、人々がいつまでも平和で幸せに生きていけるようにとの祈りを込めた1分間です。
長崎市内で育った筆者の学校は、夏休みの登校日がこの原爆投下の日だったこともあり、学校での黙祷や被爆者の方々のお話を直接聞く時間が設けられていました。幼い頃から戦争の恐ろしさと悲しさ、平和の大切さを繰り返し学んだ学生時代でした。

日本で行われる平和教育のほとんどは「悲惨な歴史を忘れず、今後の平和のために私たち一人一人が何をできるか?」ということを改めて考えるきっかけとなる内容なのではないでしょうか。

イギリスの学校に平和教育はある?

イギリスの学校にも平和教育はあるのでしょうか?答えは「学校や地域による」です。

小学校の現役教師の方にインタビューさせていただいたところ、Year 6(6年生)で第二次世界大戦について学びますが、日本とは少し内容が異なり、また「戦争をやめよう!平和を守ろう!」という平和教育よりも、学校ではまず「ブリティッシュバリューズ」の考え方に取り組むのだそうです。

このブリティッシュバリューズ(英国的価値観)とは「国籍に関係なく、イギリスに住んでいる限り守ってほしいこと」です。これには近年問題となっているテロリズム脅威に対する防御を強化する意味が含まれています。その一方で、異なる宗教や信条を持つ自由は保護されていること、それらが差別や偏見の要因になってはいけないということも含まれています。

子どもが関わる世界で例を挙げれば、「宗教や服装・肌の色や国籍などで、誰かをいじめたり嫌がらせをすることはいけないことである。」逆に、「宗教や信条があっても、イギリスに住む人間としてイギリス国家の法律に従うべき」ということを学校で学びます。

現在、ロシアとウクライナの戦争が継続していますが、ロシア人だからというだけの理由で、嫌がらせや心無い言葉をかけられる人々がいる悲しい状況が起こっています。イギリスは移民も大変多い国ですから、同じ学校にロシア人とウクライナ人の生徒が通っていることも珍しくありません。メディアから得た状況や印象で「〇〇(国・人)はひどい」と子どもたちが言う状況に遭遇したこともあります。しかしこれは差別に当たりますし、ブリティッシュバリューズの考え方にも反します。子どもたちがお互いに思いやりの気持ちを持ち続けられるように、集会を開いた学校もありました。

このように、ブリティッシュバリューズを学ぶことによって、子どもたち一人一人が、クラスメイトや他の人々の事を尊重し、相手の事を理解すると同時に、イギリス国家の法律に従い、安全で平和な生活を築いていくことが結果的に平和教育に結びついているのではないかと、現地の先生がおっしゃっていました。

Remembrance Day(リメンブランス・デー)とは?

イギリスにはRemembrance Day(リメンブランス・デー)という終戦記念日があります。第一次世界大戦終結日である1918年11月11日に、イギリス国王ジョージ5世によって定められました。

毎年11月の第2週目の日曜日には、ロンドンで戦没者追悼記念式典が執り行われます。英国王室、首相、軍の代表者が献花を捧げ、ビックベンの鐘が鳴る中、人々は黙祷を捧げます。もともとこの日は第一次世界大戦での戦没者の追悼の日として行われていましたが、現代では第一次世界大戦のみならず、それ以降のすべての戦争・紛争の戦没者たちを追悼し、これからの平和を祈る日として認識されています。

この11月11日当日だけでなく、10月末から11月にはイギリスのいろいろな場所で、赤いポピーの花飾りを見かけます。赤いポピーは戦争で命を落とした兵士・戦没者の象徴です。クリスマスリースのような大きさの輪に赤いポピーの花が並べられているもの、車につける飾り、ブローチなどがその代表例です。

この時期にはスーパーマーケットやショッピングセンター、人が集まるいろいろな場所で、水色の箱(ポピーのブローチが入っている)と赤い募金箱を持った現役軍人・退役軍人・その関係者の方々を見かけることが多くなります。募金をすると、赤い紙で作られたポピーのブローチがもらえます。
日本の赤い羽根共同募金に少し似ているかもしれません。

過去には対戦国として戦った日本とイギリスですが、その悲惨な歴史をもう繰り返さないこと、これからの未来は人類が手を取り合って平和な時代を継続させていくことを祈りながら、私自身も毎年ポピーのブローチを身につけています。

平和教育に関わるさまざまなキーワード

日本に住んでいたときは、原爆の恐ろしさや戦争の悲惨さのインパクトが大きく、「こんなことは二度と繰り返してはいけない」という強い思いで子ども時代から過ごしてきました。それは今でも変わらない気持ちなのですが、イギリスという多民族国家に住んでみて思ったのは、戦争というものの背景にあるのは国対国という単純なものではなく、もっと深いものが絡み合っているということ。

人種や宗教、受けてきた教育や文化で見える側面が違ったり、信じてきたものや知識も人それぞれ。また歴史の裏のまだ知らないことを紐解いていくと、驚くような理由が隠されている場合もあることを知りました。それを踏まえたうえで、これからを生きる私たち親世代や、未来を生きる子どもたちは何ができるのか?どのように平和を創造していけるのか…。

海外移住や留学、国際結婚なども増えてきている現代、そして日本への外国人移住者も増えてきている現状の中で、平和教育はさらに多様化していく時代なのかもしれませんね。

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WRITER

いしこがわ理恵 いしこがわ理恵 在英12年目ハンドメイド好きの2児の母。武蔵野美術大学卒業。現在は教育に携わる仕事の他に、日本にルーツのある子どもたちを対象とした日本語子ども会活動・児童文庫活動も行っています。興味の範囲が幅広いので、常にいろいろな方向にアンテナをはりつつ情報収集が日課です。ハッピー子育てに役立つ情報をみなさまにお届けできれば嬉しいです。Instagram @rie.ishikogawa