子どもがいても、自分たちの時間を大切にするフランス。小さい子どもをベビーシッターに預けて、ママが働きに出たり、夫婦2人でデートしたりすることも一般的です。そんなフランスで重宝されているベビーシッターについて、実際にかかる費用など、気になる点を具体的にご紹介します。
フランスでもある!保育園の待機児童問題
「保育園の待機児童問題はナシ」と思われる方も多いかもしれませんが、実はフランスでも保育園の空きは少なく、待機児童の問題は日本同様にあります。
妊娠がわかると同時に、早めに保育園のウェイティングリストに登録をしても、なかなか空きが出ずに1〜2年ぐらい待つということも多々あります。
……がしかし、保育園の空きが出るまで働かないというママは少数派です。
育休が終わる産後3カ月半過ぎに保育園に預けられない場合は、ベビーシッターに預けるという人が多いのです。
フランス在住の筆者の働くママ友たちも、保育園の空きが出ないのでベビーシッターに預けているという人が数多くいます。
フランス政府公認のベビーシッター!?
フランスのベビーシッター【ヌヌ】とは
フランスで、ベビーシッターは“ヌヌ”と呼ばれています。“ヌヌ”は大きく分けて「政府公認の“ヌヌ”」と「その他の“ヌヌ”」の二種類に分けることができます。
「その他の“ヌヌ”」とは、いわゆる一般的な「ベビーシッター」で、学生がやっていることもあります。特に子どもを預かる上で資格や許可は持っていません。ベビーシッターさんにより、金額もさまざまですが、時給8〜13ユーロ(約1,000〜1,700円)ぐらいが一般的です。
日本にも最近保育ママなどと呼ばれる、保育園代わりとして個人に毎日預ける制度があるようですが、政府公認の“ヌヌ”もそのような感じでしょうか。基本は毎日の契約です。
それに引きかえ、その他の“ヌヌ”はもっとフレキシブル。【親が出かける数時間】だったり、【保育園後親が帰ってくるまでの間】、もしくは【ついでに家事もお願いしたい】などなど、契約次第でさまざまな要望とマッチするベビーシッターを探せる、というメリットがあります。
その分割高な場合もありますが、月極で毎日という需要だけでもないので、どちらの“ヌヌ”もフランスでは必要不可欠でしょう。
フランス政府公認のベビーシッター【アシスタント・マテルネル】
1人の「アシスタント・マテルネル」に付き、最高4人まで子どもを預けることができます。さらにこの「アシスタント・マテルネル」に子どもを預ける場合、両親は国からシッター代にかかる費用の援助をしてもらえます。
政府公認というと、何か特別な資格を持っているのか、と思われるかもしれませんが、専門的な職業資格が問われるわけではありません。そのかわり、60時間の職業教育を受けることが義務づけられています。そのカリキュラムで、保育の訓練を受け、それぞれの育児、教育スキルの評価も審査された上で、正式に認可されます。
このようなベビーシッターの政府公認制度も、フランスのパパママにベビーシッターが抵抗なく活用される理由かもしれませんね。
実際いくらかかる?フランスのベビーシッター費用
世帯年収35,000ユーロ(約470万円)の場合
しかし、政府や会社からの補助金や税の控除があり、実際に支払う保育料は差し引き、年間 2,100ユーロ(約28万円)、月額だと177ユーロ(約2万3500円)にまで抑えられます。
※上記はあくまで一例で、家庭の状況や年収によっても、補助金の支給額の変動などがあります。
ベビーシッターに預けているママの感想は……?
そこで、「子どもをベビーシッターに預けている」もしくは「預けたことがある」筆者のフランス在住ママ友の、リアルな感想をご紹介します。
よいベビーシッター探しは難しい
条件面や子どもとの相性など諸々のことを考慮しないといけないベビーシッター。まさにピッタリというベビーシッターに一度で巡り会えればよいですが、なかなかうまくいかないことも多いよう。
また、評判のよいベビーシッターは常に人気で、なかなか空きがでないこともしばしば。なので友人たちは、家族や知人の口コミや紹介で探すという人も多いです。
筆者が2人目を出産したときも、「必要だったらうちのベビーシッター紹介するよ」といってくれたママ友がおり、「持つべきものは友」だと思いました。
時間、場所の融通がきく
仕事の時間帯が不規則だったり、保育園まで少し遠いところに住んでいるママは、苦労して保育園に通わせるよりも、ベビーシッターに預けるという選択をしていました。
ほかの子どもと遊べる環境もある
フランスだと1人のベビーシッターにつき最大4人まで子どもを預けられるので、複数の子どもを預かっているベビーシッターに預ければほかの子どもと触れ合う機会があります。また、ベビーシッター同士の横のつながりもあり、行政のコミュニティハウスや公園などでは、預かっている子どもたちを連れた、ベビーシッターたちが集まっている場面をよく見かけます。
保育園より費用が高いのがネック
「仕事の関係でどうしても子どもを預けなくてはならないからベビーシッターに預けているけど、金銭的に一番負担の少ない、公立の保育園の空きが出たら入れたい」と思っているママもいました。
最後に
フランスで保育園に空きがない場合、ベビーシッターに預けるのに抵抗がないというパパママが多いのは、政府公認の制度があり、【金銭的な面での負担が少ない】のも理由といえるかもしれませんね。