保護者の就労、病気、介護などによって、昼間、自宅での保護が困難な児童を預かる学童保育。
生活指導を行ったり、遊びの場を与えたり、学習指導を行ったりして、子どもが健全かつ安全に過ごせる場を提供する保育事業です。平日の放課後、長期休み期間を学童指導員の指導監督の下過ごすことで、規範意識と学習習慣が身につきます。
特に低学年のお子さまを持つ親御さんにとって、学童保育は生活の支えとなっているでしょう。
学童終了後の居場所は?共働き家庭が「小4の壁」を乗り越える鍵
公的な学童保育と民間学童保育の違い
民間学童保育は、費用は週5で月額50,000円~。施設やオプションによっては、100,000円を超えることも。個別指導塾、学習塾、英語塾のような、本格的な学習指導をしている施設も多いです。またプログラミング、運動指導、自然体験などの体力・知力を育むアクティビティが体験できる「習い事」も一緒にできる施設もあります。
小学6年生まで受け入れ可能で、利用時間も18時以降(22時までの施設も!)OKな場合が多いです。
公的な学童保育(放課後児童クラブ)は、費用は週5で月額3,000円~10,000円。
預けられる学年は自治体によって違います。小学1年生~3年生までの自治体もあれば、6年生まで受け入れている自治体もあります。お迎え時間は基本17時まで、自治体によっては19時(延長含む)まで預かり可能なことも。
宿題、集団遊び、工作遊びなどをして放課後の数時間を過ごします。
小学校4年生から学童保育に通う子が減る
小学6年生まで預かり可能な施設であっても、下校時間が遅くなる小学4年生から通う子は減る傾向があります。
この時期は同じ年の仲間との結束が強くなる時期(ギャングエイジ)です。学童内で同学年が減り、低学年が増えていくことも、学童をやめるきっかけとなります。
クラブ活動、委員会等があると、下校が16時半近くになることもある上、塾に通い始める子も増えるので学童の需要が減るのでしょう。
小学4年生以上になると自立心が育ち、1人の時間を持つことを望むようになるため、放課後や長期休みの留守番をそれほど、不安に感じなくなります。
以下のことをお子さまと話し合い、ルールを決めることで留守番は可能でしょう。
・父母、祖父母等の電話番号を固定電話、携帯、スマートフォンに登録しておく。
緊急時の連絡先を知らせておく。
・防犯意識を高める。(火を使わない、戸締りの徹底、来訪者対応はしないなど)
・緊急時の行動を決めておく。(連絡先、集合場所)
・かかりつけ医の場所と連絡先を知らせておく。
・困った時に頼れる近隣の家を知っておく。
・火を使わないで済む食事の用意
子ども任せの長期休みは生活リズムが狂いやすい
平日の放課後は学童なしで問題がないご家庭でも、長期休みには、学童に入れたいと思う親御さんも多いかと思います。特に長い夏休みは、自宅で1人、あるいは子どもだけで過ごすことで、生活リズムや学習習慣が崩れやすくなります。
毎日決まった時間に通い、学童指導員が宿題や勉強を促し、遊びや学びを先導してくれる学童。休み中も規則正しい生活をキープさせられるありがたい存在です。
自治体の決まり、家庭の事情、お子さまの意思によって、学童に預けられない場合は、親御さんが生活、学習のサポートをしなくてはなりません。
小学4年生以降で学童なしで、夏休みを充実させるには、どんな工夫をすれば良いでしょうか。
学童なしの夏休みは朝に「やるべきこと」を入れてしまおう
まずは夏休み前に話し合い、午前中に「学校の宿題」、「塾の夏期講習」、「水泳」、「習字」などの、勉強や習い事を入れるようにしましょう。
午前中は脳の処理能力が高く、勉強やスポーツに取り組むと、学習効果が高いでとす。
特に起床後2~4時間後は、睡眠をとり記憶が整理され、脳が新しい情報を取り入れやすい状態なので、集中力が高く、習熟度も高くなります。
1日のスケジュールは大雑把でもOK!
1日のスケジュールを細かく時間ごとに区切るよりも、「学校や習い事の宿題・自主学習」等のやるべきことのスタート時間だけ決めて、後は自由にしたほうが、達成感を得やすいです。
9:30~10:00「漢字ドリル 2ページ」
10:00~10:45「自由研究の観察と数値」
のように、やることと時間を決めてしまうと、時間通りに進めることに重きを置きがち。 また予定通り進まないと、達成感が感じづらいことも。
やるべきことと、開始時間を決めておき、それが完了したら、後は自由に時間を使うようにするのがおすすめ。
毎日の「やりきれた!」の積み重ねが自己肯定感(自分そのものに価値があると認められる)と自己効力感(自分には目標や課題を達成する能力があると信じられる)を育てます。
やらなくてはいけないことを、その日の感情に関係なく、淡々とやり続けることで、集中力・忍耐力・自発性も鍛えられます。
夏休みを充実させる習い事、イベント
学校のある平日は、決まった時間に起きているが、休日は寝坊している・・・というお子さまは、夏休みになると生活サイクルは乱れる可能性が高いです。
1日の中に「外出する、人と関わる予定」が入ることで、気が引き締まり、先を見越して行動するようになります。
この章では、夏休みに生活にメリハリがつくイベント、習い事、生活習慣を紹介します。
サマースクール(英語、サイエンス、野外活動など)
夏休みの1日~数週間、子どもたちが集まり、講師や指導員の元、教科学習やスポーツ、自然体験、芸術活動などを体験、学習するプログラムです。
料金は1日10,000円前後~、5日間100,000円前後、2週間500,000円~のものなど、開催期間や学習内容によってさまざま。
非営利団体、学校法人、自治体が行うサマースクールの中には、1日数百円~3,000円で参加できるものもあります。
さまざまなアクティビティがあるので、お子さまが得意なこと、やってみたいことから選んでみましょう。地域や学年を超えた交流ができることで、視野が広がり、思考力や思いやりの気持ちが育ちます。
・すべての活動を英語で行うスクール
・縄跳びや鉄棒を個別指導するスクール
・ゲーム・マインクラフトで遊びながらプログラミングを学べるスクール
・科学館で実験や工作で科学を学ぶスクール
・・・
保護者も参加できるものもあります。新しい学びと出会い、お子さまの可能性を広げてみませんか。
塾の夏期講習
通塾はしていなくても、学習習慣キープのために、夏期講習だけ受講するご家庭も多いです。約2週間で、費用は30,000円台~200,000円前後。学年が上がるほど、費用は割高になります。
「中学受験に向けて応用力をつけたい」
「苦手科目を集中的に学びたい」
「1学期の総復習をしたい」
「特定の教科だけ学びたい」
お子さまが目指す学力に合わせて、中学受験専門塾・学習塾・英語塾算数塾などから、学力や適性の合う塾を選びましょう。
近くに行きたい塾がないなど、通塾が難しい場合は、オンライン授業を行っている塾を検討してみては。
可能であれば午前中に授業を入れましょう。朝学習のサイクルが定着します。
塾によっては夏期講習受講中に、自習室が使用できる場合もあります。講習時間外に学校の宿題、塾の予習復習を自習室で取り組むのもおすすめ。
勉強に集中する同世代に囲まれていることで、学習意欲が高まります。
オンラインの習い事
ピアノ、習字、英会話、ダンス、中学受験講座・・・大抵の習い事がオンラインでできるようになりました。
天候にとらわれず、自宅で安全に受講できるオンラインの習い事。送迎、先生へのお茶出しなしで、マンツーマン指導または少人数レッスンを受けられて、受講料もリーズナブル。
熱中症が不安な運動系の習い事も、涼しい自宅で水分補給しながらできるのが嬉しいですね。
スケジュールも比較的自由に組めるスクールが多いので、夏休みのすきま時間をうめるのにおすすめです。夏休みだけの短期受講も可能です。
筆者のおすすめは「オンライン家庭教師」。宿題や自由研究のサポート、1学期の総復習、中学受験を見据えた学年を超えた先取り学習など、お子さまのニーズに合った講座が、週1回60分、10,000円前後~で受講できます。
レッスン後に授業の様子や指導内容が送信されるので、親御さんが学習進捗状況を把握できて安心。
自治体のイベント
・子どもスポーツ教室(卓球、バドミントンなど)
・公民館で夏休みの宿題に取り組む会(市民ボランティアが指導、読書感想文の相談にものってもらえる。)
自治体が主催する、夏休みの子ども向けイベントは自由研究の題材になるものが多いです。また、猛暑で運動不足になりがちな子どもたちに、涼しい屋内でスポーツ指導を行っている自治体もあります。
学習サポート、スポーツ講習、料理教室、工作教室、科学実験教室などに、無料もしくは材料費のみで参加できます。
自治体職員、ボランティアの指導・監督の元、涼しい児童館・公民館・地区センター等でさまざまなアクティビティができるとあって、応募者多数で早期締め切りになることも。事前申し込みや抽選があるイベントも多いです。
祖父母宅に行く、祖父母に来てもらう
夏休みの数日間、祖父母宅にお泊り、あるいは祖父母に来ていただくことで、お子さまの生活リズムが整います。
おじいちゃん、おばあちゃんに良い所を見せたい気持ちから、宿題やお手伝いに意欲が出やすくなるでしょう。
親御さんにとっては、気苦労があるかもしれませんが、お子さまにとっては普段会えない祖父母と過ごすことは新鮮で楽しいものです。
祖父母は子育ての先輩です。共に過ごすことで親子共に生活態度や学習習慣に気づきあるかもしれません。
・親御さんはいつでも迎えに行けるようにしておく。
・祖父母宅のルールに従う。
・お手伝いをする。
・挨拶をする。
・祖父母から離れて行動しない。(子どもだけで行動しない。)
・暑さを我慢しないように伝えておく。(祖父母世代と子どもの体感温度は大きく違う。祖父母宅で熱中症になることも。)
・祖父母のアドバイスを、親子共に素直に聴く姿勢を持つ。
・子どもが過ごす場所の冷房温度を上げないようにお願いする。(子どもが熱中症になることも)
・子どもを1人で遊びに行かせないようにお願いする。
・アレルギー、投薬については、祖父母にしっかり伝えておく。(文書にして渡すと良い。不明点は連絡して聞いてもらうようにする。)
・基本的には子どもにしっかり自己管理するように言い聞かせておきます。
おてつだいで家庭内での役割を
玄関掃除、お茶碗洗い、掃除機かけ、お風呂掃除などから、お子さまにまかせられるものを「ルーチンワーク」としてお願いします。家庭内で役割を与えることは、責任感・自立心を育みます。
慣れるまでは30分~60分はかかるかもしれません。任せた家事は、できるだけ親御さんが口出し、手出ししないようにします。
気になる点があったら、おたつだいへの感謝を伝えてから、手短に言いましょう。小学校中学年以降であれば、改善点を教えるだけで、作業過程を見直すことができます。
思考力を育てたいなら、仕事を任せてしまうことです。
宿題や家庭学習は「少しずつ毎日」で学習定着率アップ!
2015年に東京工業高等専門学校が発表した「長期休暇用課題への取り組み方と学力との関係」の研究報告書 によると、夏休みの課題を休み期間中に「まんべんなく取り組んだ」生徒の方が、「夏休み終了間際に集中して取り組んだ」生徒よりも学力定着率が高いことがわかりました。
学力定着率は、「前期定期試験の平均の得点率に対する夏休み明け 試験の得点率の割合」となります。
長期休暇中の課題への取り組み 方について,長期休暇が始まってすぐや次の授業期間が始まる直前の一部の期間のみに集中して課題に 取り組むのではなく, 長期休暇課題に全く触れない期間を作らず少量ずつでも継続的に課題に取り組み続ける事が重要である事がわかった.
引用:東京工業高等専門学校研究報告書 『 長期休暇用課題への取り組み方と学力との関係 』2015年,P6
集中力が高い状態で繰り返し学習することが、学習定着率を高めます。長時間、勉強するよりも短時間、繰り返し勉強した方が、記憶に残りやすいです。
子どもの集中力持続時間は、小学校低学年までの子であれば「年齢+1分」、中学年以降であれば30分程度です。
夏休みの課題は1学期の復習。一気に取り組むと、やり切った感はありますが、学習内容が残りにくいです。毎日、少しずつ取り組むことが習熟度を高めるでしょう。
夏休みは子どもの好きなこと、得意なことを見つけるチャンス
自然体験、農業体験、科学実験教室、工作教室・・・平日ではできない体験を、時間がたっぷりある夏休みにさせてあげたいですね。
スポーツ、遊び、料理、演劇、どんな活動でも知的好奇心、集中力が高い状態で取り組むことで、脳を活性化させます。興味のあることを実際にやってみることで、自分の得手不得手に気づきます。また、努力が必要であっても、それを苦とは感じない「好きなこと」が見つかるかもしれません。
親は勉強系の教室や体験を進めてしまいがちですが、「勉強系」ではないものでも、お子さまの興味がある、やってみたいことがあったら、参加させてみてはいかがでしょうか。