2023年06月02日 公開
二十四節気処暑アイキャッチ

【秋の二十四節気】「処暑(しょしょ)」は残暑が和らぎ、暑さが峠を越えるころ、2023年は8月23日

秋の二十四節気、二番目は「処暑(しょしょ)」です。残暑が和らぎ秋らしさを感じる時期です。実りの秋を目前に雑節「二百十日」台風に注意する日もあります。新学期前後の処暑に子供と過ごすアイディアをお伝えします。

二十四節気処暑アイキャッチ

秋の二十四節気の二番目は「処暑(しょしょ)」です。厳しい残暑もようやく和らぎ、朝夕は涼しさも感じられる頃です。ただ農家にとっては台風が多く警戒する時期。今回は子供に伝えたい処暑の楽しい過ごし方、処暑に旬の食材や子供と作る献立を紹介します。

二十四節気(にじゅうしせっき)って何?

みなさんは二十四節気という言葉を聞いたことがありますか? 約半月ごとに一年を二十四等分、つまり季節ごとに六つに分けて美しい名前をつけたのが二十四節気(にじゅうしせっき)です。江戸時代まで使われていた旧暦では、暦(こよみ)と実際の季節にずれが出ました。

そのため生活するのに不便になり、本来の季節を感じる目安として二十四節気を用いたのです。日本には春・夏・秋・冬の四季があるので二十四節気を知っていると季節の変化を敏感に感じられ、暮らしが楽しくなりますね。

二十四節気

二十四節気

春分や秋分は祝日となっており、夏至や冬至は季節の変わり目の大切な日です。このように二十四節気は日常生活に密着し季節を深く知ることができます。そのため多くの行事が二十四節気をもとに行われています。

雑節

二十四節気は中国から伝わった考え方ですが、節分や彼岸など「雑節(ざっせつ)」と呼ばれる、より日本の生活に根付いた考え方もあります。

二十四節気 雑記

七十二候

さらに二十四節気に関連して、七十二候(しちじゅうにこう)があります。二十四節気のひとつを「初候(しょこう)」・「次候(じこう)」・「末候(まっこう)」と三つに分け、季節の移ろいを表現したものです。花鳥風月を用いた具体的なことばなので、季節をより鮮明にイメージできますよ。

【解説】秋の二十四節気「処暑(しょしょ)」ってどんな日?

稲の花
処暑は残暑が和らぎ、暑さが峠を越えるころです。「処」は「落ち着く」や「止まる」という意味で、厳しい残暑が和らぎ、朝夕は涼しさも感じられます。「秋暑(しゅうしょ)」といって暑さがぶり返し、夏の疲れが出やすくなるのもこの時期。夏を惜しみながらも、秋への準備を始める目安です。

少しずつ穀物が実り始めるのもこの時期です。「収穫の秋」まではもう少しですが、台風が多いので農家にとっては注意が必要です。

今年の処暑はいつ?2023年は8月23日~9月7日

それでは2023年の処暑はいつでしょうか?二十四節気の十三番目「立秋(りっしゅう)」から、十五番目の「白露(はくろ)」まで、8月23日から9月7日が2023年の処暑です。徐々に秋を感じるようになります。

暦にはずれが生じるため、二十四節気は毎年固定の日ではなくその年により前後します。今年は立春が例年通り2月4日だったので、処暑も8月23日~9月7日までの15日間を指します。暦のずれについては、毎年2月に国立天文台が翌年の暦要項を発表しているので参考にしてください。
参考:国立天文台 天文情報センター 暦計算室

七十二候(しちじゅうにこう)で「処暑」の季節を知る

それでは、より季節を感じられる「七十二候(しちじゅうにこう)」で処暑の季節の移ろいを解説しましょう。

■初稿 綿柎開く(わたのはなしべ/ひらく)
「柎」とは、花のガクのこと。綿を包む花のガクが開くという意味です。
七十二候・第四十候(8月23日~8月27日頃)

■次候 天地始めて粛し (てんち/はじめて/さむし)
ようやく暑さが鎮まるという意味です。「粛」には弱くするという意味があり、涼しくなることを「暑さが弱まる」と言い表したのです。この時期は自然の全てが夏から秋へと変化します。
七十二候・第四十一候(8月28日~9月1日頃)

■末候 禾乃登る (こくもの/すなわち/みのる)
稲が実り穂を垂らすという意味です。実った稲を刈り取る大切な時期です。
七十二候・第四十二候(9月2日~9月6日頃)

処暑の雑節(ざっせつ)「二百十日(にひゃくとおか)」を知る

処暑の雑節(ざっせつ)「二百十日(にひゃくとおか)」は、立春から数えて210日目のことで、新暦の9月1日ころにあたります。「風の厄日」といわれ台風が来る日と警戒されています。稲の花が咲く時期なので強い風が吹くと花粉が散り、実りが悪くなってしまうのです。そのため農作業や漁業をする人に注意を呼びかけ無事を祈ります。

【豆知識】文学からみた二十四節気「処暑」

二十四節気は季語として俳句や短歌、時候の挨拶としても使われています。「処暑」も秋の代表的な季語です。時候の挨拶では「処暑の候」「秋暑の候」を手紙を書く際に使ってみてください。

季節をわかりやすく表現した俳句や短歌も多くあります。今回は処暑の時期を示した一句を紹介します。

くろがねの秋の風鈴鳴りにけり
【作者】飯田蛇笏(いいだだこつ)

「しまい忘れた風鈴の透き通った音に秋を感じた」という意味です。夏と秋が混在するこの時期がよくわかる句です。

この時期にふさわしい自然の言葉に「野分き」があります。野原や草木を吹き分ける強い風のことで、秋の季語です。これは今でいう「台風」のこと。他にも、秋の雨を「秋霖(しゅうりん)」、処暑の時期のように夏と秋が混じる空を「行合(ゆきあい)の空」と呼びます。

参考文献 :絵本ごよみ二十四節気と七十二候 秋―すずかぜがふけば 著:坂東 眞理子(教育画劇)

旬な食べ物・花や鳥

二十四節気 処暑 百日紅

処暑の時期は夜になると秋の虫が賑やかに鳴き始めます。それを合図に、夏を惜しみながら秋への準備を始めるのです。それでは処暑に見られる花や昆虫、旬を迎える食材を紹介しましょう。

食べ物

野菜:なす
果物:いちじく・すだち・ざくろ・なし・ぶどう・りんご
魚・貝:しまあじ・はぜ・いわし・するめいか・かさご

昆虫・生きもの

ツクツクボウシ・あんどんくらげ・マツムシ・鈴虫・赤とんぼ

鳥・花

鳥:イソヒヨドリ
花:フヨウ・百日紅(さるすべり)・撫子(なでしこ)・桔梗(ききょう)

処暑の時期には「百日紅(さるすべり)」が美しく咲きます。幹の樹皮がつるつるしていて木登りが得意なサルでも滑りそうだから「さるすべり」と呼び、開花時期がとても長いことから「百日紅」と表記されるようになったそうです。

処暑は「りんご」がはしりの食材です。旬の始まりを「はしり」と呼び、季節の余韻を楽しめる旬の終わりの食材を「なごり」と呼びます。疲れを癒すクエン酸が豊富な「かぼす」が処暑のなごりなので今のうちに楽しみましょう。

処暑の時期の過ごし方

処暑に入ると夏休みも終盤、いよいよ新学期です。夏の疲れが出やすい時期なので、ゆっくり休んで新学期を迎えたいですね。穀物の収穫までもう一息ですが、全国的に台風が多く注意したい時期です。

・夏の思い出を作品にする
夏休みに出かけた思い出を絵に描くのはいかがですか。浜辺や河原で拾った貝殻や石があれば紙粘土を使ったフォトフレームを作ったり、タコ糸に通してタペストリーを作るのも楽しいです。おでかけ先の土地の文化や歴史をまとめれば、旅育にもなりますね。

・雨具の見直し
処暑のころは台風のシーズンです。雨靴やレインコートなど、シーズン前に見直しておけば安心です。雨の日に自転車に乗ることを想定した専用の雨具を揃えておくのもよいですね。

・防災用品の見直し
9月1日は「防災の日」です。この日を含む1週間は防災週間とされています。台風などの風水害と地震では避難方法やタイミング、避難場所や避難経路が違うのをご存知ですか?防災用品や備蓄の見直しと一緒に家族でハザードマップを再確認し、話し合う時間を作るとよいでしょう。

処暑の時期にある夏の名残のある行事

夏休みが終わると台風の気配がし、日本列島を覆っていた厳しい暑さもおとろえます。去りゆく夏を惜しむように、夏の名残のある行事もみられます。江戸時代には屋形船で夕涼みをする粋な風習が盛んでした、京都の鴨川など現在でも夕涼みの風習が残っています。

・地蔵盆(近畿地方) 8月23日~24日ころ
関西を中心に行われる、夏の終わりを告げる子どもが主役の行事です。京都が発祥で、8月23、24日の地蔵菩薩の縁日を中心に行います。子どもたちを守ってくれるお地蔵様をまつり、子どもたちはお坊さんが唱えるお経にあわせて大きな数珠を回す「数珠繰り」をしたり、すいかやお菓子を貰って楽しく過ごします。ゲームをしたり盆踊りをする地域もあるそうです。

・おわら風の盆(富山県) 9月1日~3日
全国的に農作物を風害から守るために神に祈る風祭(かざまつり)が行われます。特に富山県富山市の「おわら風の盆」が有名で、もの悲しくも美しい唄の調べにあわせて、風神様の魂を鎮める踊りの列がしめやかにつらなります。

・エイサー(沖縄県) 旧盆明け最初の金曜から日曜
エイサーは沖縄に古くから伝わる盆踊りの一種です。1956年からはエイサーを競う華やかな大会も広まりました。今では沖縄の名物の一つとなり、旧盆明けに行われ、太鼓を鳴らし踊りながら町を歩きます。

処暑の時期にある行事「八朔祭」

二十四節気 処暑 八朔祭

八朔祭(はっさくまつり)は9月の第1日曜日に京都の松尾大社で行われる有名な行事です。雑節「二百二十日(にひゃくはつか)」を控え、稲の実りと家族の安全を祈ります。空也上人が躍ったと言われる念仏踊りや八朔相撲が行われます。「八朔」とは旧暦の八月一日(朔日)のことです。

子どもと楽しむ処暑

二十四節気はその季節がどんな時期かという目安です。せっかく四季のある日本で暮らしているからこそ、それにちなんだ知育や子育てにつながる取り組みをおうちでもしたいですよね。大昔から旬のものを食べると健康に暮らせるといわれています。処暑におすすめの、旬の食材を使った献立を紹介します。

処暑の献立

いかめし・はぜの天ぷら・秋ナスの味噌汁・いちじくのタルト

「はぜ」は店に並ぶことは少なく、自分で釣って食べる魚ですが、てんぷらや佃煮にするととてもおいしいです。入手が難しければ、刺身がおいしい旬の「シマアジ」をカルパッチョにしてもよいですね。

「秋ナス」は夏に収穫した後、枝を切ることで秋に再び実がなります。身がしまって特においしく、ことわざにも登場しますね。「いちじく」は不老長寿の果物としてあがめられていました。栄養価も高く胃腸を整える効果もあるので旬の時期に食べたい食材です。

今回紹介するレシピは「するめいか」です。北海道の郷土料理で、中に米をつめて炊いた駅弁でも人気のメニューです。
いかめし

「いかめし」

<用意するもの>
・するめいか 2杯
・米     40g
・もち米   40g
A
・酒    小さじ2
・みりん  小さじ2
・しょうゆ 小さじ2
B
・酒    100ml
・みりん  50ml
・しょうゆ 50ml
・砂糖   大さじ1/2

<準備>
するめいかは足・わた・軟骨を取ってきれいに洗う。

<作りかた>
1)するめいかの足を1cm幅に切る。
2)米・もち米を洗って水気を切り、いかの足・Aを混ぜる。
3)いかの胴に(2)を入れ、つまようじで閉じ、フォークで穴を数か所あける。
4)鍋に(3)・Bを入れ、いかがかぶる程度に水を加えて強火で加熱する。
5)煮立ったら落としぶたをして、途中でひっくり返しながら弱火で約40分間煮る。

食べやすい大きさに切って器に盛ればできあがりです。いかがですか?いかの処理ができれば簡単で見栄えよくできるので、食卓も華やぎます。冷めてもおいしいのでお弁当にもどうぞ。

参考:ニッスイ・レシピ「いかめし」

季節に合わせた工作をしよう!

夏の疲れが出るこの時期は、のんびりとおうち時間を楽しめる工作はいかがですか。

今回のおすすめはペーパークラフトで作る風が吹くとゆらゆら揺れるハンギングデコレーションです。他にも楽しい季節の工作アイディアがたくさんあるので、お気に入りを見つけてださい。

参考:くらげのモビール

季節を感じにおでかけをしよう!

処暑になると秋の気配を感じ始め、暑さも落ち着くので活動しやすくなります。庭や公園の身近な植物を楽しむお散歩も楽しいですね。草花も元気に咲き始め、いちじくなど果物もみられます。また農作物の刈入れがはじまるので豊作を願う祭りが各地で行われます。これを「秋祭り」とか「風祭」と呼びます。

・秋の七草を探そう
「秋の七草」はすすき(尾花)・おみなえし・ききょう・萩・藤ばかま・なでしこ・くずのことで、日本の野山で見られる秋の美しい草花です。「万葉集」で山上憶良が詠んだ和歌が広まり、浸透したとも言われています。身近な草花なので散歩がてら秋の七草を探すのも楽しそうです。

・梨狩り
味覚狩りはたくさんありますが、その中でもこの時期におすすめなのはみずみずしいもぎたての梨が食べられる「梨狩り」です。梨は茨城県、千葉県、栃木県が収穫量上位を占めており、梨狩りができる場所がたくさんあります。皮の色が赤い「幸水(こうすい)」系、青い「二十世紀」系の2種類があるので、食べ比べてお気に入りを見つけてください。

・秋祭りに行こう「大曲(おおまがり)の花火」
夏の花火大会のシーズンは過ぎましたが、花火師の頂点を目指す有名な全国花火競技大会「大曲の花火」があります。秋田県大仙市で8月の第4土曜に開催される明治時代から続く祭りで、毎年70万人以上の観光客が訪れます。夜風には夏の余韻も感じられ、真夏の花火大会とはまた違った雰囲気です。

【まとめ】秋の二十四節気「処暑」は暑さは残るが、秋の気配がし始めるころ

いかがでしたか?処暑に入ると夏休みはもう終盤、すでに学校が始まる地域もありますね。新学期に向けて生活リズムの立て直しをはじめましょう。防災対策もお忘れなく。

立秋の次の節気は「白露(はくろ)」です。朝晩の空気に冷風が混ざる頃。それまでは処暑におすすめの過ごし方を参考に、季節を意識してお過ごしください!

親子で二十四節気に興味を持てたら、こんなかわいい本もあるので参考にしてくださいね。

 

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この記事のライター

RINAKO
RINAKO

東京都在住、マイペースな4歳児のせっかちな母。子育てのベースはモンテッソーリ教育。伝統文化を大切にしながらも、効率よく子育てするのが目標。子連れで行ける遊び場所にも詳しく、子どもの習い事の半分は自分の好奇心というゆるい子育てを採用中。