脳を活性化する調理体験。「自分で考え、行動する力」も育つので、幼児期のうちから積極的に体験させてあげたいですね。
ただ親としては、やけどや切り傷など怪我の心配や準備・後かたづけの煩わしさが気がかりですよね。怪我のリスクと、面倒臭ささえなければ料理に挑戦させたい親御さんが多いのではないでしょうか。
今回の記事では怪我のリスクと手間(ママパパの)を抑えた「子どもが一人で作れるおやつ」をご紹介します。幼児でも慣れれば1人で作れる簡単レシピです。
「自分で作れた!」
「美味しいって言ってもらえた!」
おやつ作りで得られる成功体験が自己肯定感を高め、「他の料理も作ってみたい!」という挑戦心を育みます。調理体験をきっかけに、生活習慣、家庭学習にも自立心が芽生えるでしょう。
料理は非常に効果的な脳トレ
レシピを見て理解する、材料を準備する、食材を切る、調味料を計量する、火の通り具合を見ながら炒める、美味しく見えるように盛り付ける・・・
さまざまなことを考えながら、いろいろな動作を行う料理は、まさにマルチタスク。
料理を一番おいしい状態で食卓に出すようにするには、事前に調理手順を考えて無駄のない動きをしなくてはなりません。また限られた調理スペースを有効活用して、スムーズに調理を進めるには、調理器具をかたづけながら作業をしていく必要があります。
料理を完成させるためには、巧緻性、計算力、論理的思考力、ワーキングメモリなど、複数の能力を使います。調理タスクをこなすことで、脳はフル活動します。
料理は非常に効率的な脳トレ。
教育、療養現場でも「学習、ケア、トレーニングの一環」として採用されています。
・ワーキングメモリ=情報を脳の中で一時的に保管して、作業に合わせて取捨選択して活用する力
【献立~盛り付け】すべての調理タスクで脳が活性化!
大阪ガス株式会社エネルギー・文化研究所 京都府立大学共同研究員 山下 満智子氏が北大学未来科学共同研究センターの川島隆太教授と共同で行った研究によると、「献立を考える、野菜を切る、炒める、盛り付ける(被験者は30~60歳の主婦)」、「ガスコン ロでパンケーキを焼、パンケーキを盛り付ける(被験者は8歳か~10歳の小学生)」の調理タスクすべてにおいて脳が活性化されることがわかりました。
また作業工程ごとに違う部位が反応していて、脳全体が使われていることも確認されました。
また子どもの被験者は保護者と一緒に調理を行いましたが、親が指示しながらの作業でも脳の広範囲の活性が見られました。
調理中の全ての被験者で左右の 大脳半球の前頭連合野,特に概念や戦略的思考を担う背外 側前頭前野の活性化が確認された。先行研究や本研究の結 果から,親子調理中の会話や,料理の手順を考え準備する ことなどによって,子どもの前頭前野機能が,鍛えられる のではないかと考えられた。また子どもの頭頂連合野機能, すなわち両手の協調作業を担う脳も,包丁を使って材料を 切る,火加減をする,盛り付けるなどの調理の様々な行為 で鍛えられるのではないかと考えられた
引用:山下 満智子.脳科学的アプローチによる調理をすることの効果に関する研究.日本調理科学会誌,2014,P6.
資料URL:https://www.jstage.jst.go.jp/article/cookeryscience/47/1/47_1/_pdf
お子さま一人でも作れるみかんゼリー(年長くらいから)
みかん缶を使ったスタンダードなゼリー。市販品より甘さ控えめで、みかんたっぷりです。水分量でゼリーの固さが調整できます。
桃缶、フルーツミックス缶でも美味しいですよ!
【材料(直径10cmのゼリー型4個分)】
みかん缶 (総量400g前後)
ゼラチンパウダー 5g
砂糖 大さじ1
【作り方】
1.みかん缶はみかんとシロップに分けておく。シロップは大きめのボールに入れる。
2.耐熱容器に水を200ml~250mlを入れて、電子レンジ600wで40秒ほど加熱して70度以上に温める。
3.2にゼラチンパウダーを入れてよく混ぜる。
4.シロップの入ったボールに3をゆっくり注ぎ入れて、よく混ぜる。
5.砂糖を加えて溶かす。
6.ゼリー型にみかんをお好みの量入れる。
7.ゼリー型に静かに5のゼリー液を注ぐ。
8.冷蔵庫で1時間以上冷やしたら完成。
野菜嫌い克服、野菜とチーズのおやき
じゃがいもをベースにした野菜のおやきです。チーズを入れることでにんじんやピーマンの匂い、苦みが抑えられています。
ゆでたほうれん草、ブロッコリー、かぼちゃ・・・水気を切った野菜なら何でもOK!
【材料(20個分)】
じゃがいも 4個
にんじん 1/3本
ピーマン 1個
プロセスチーズ 50g
片栗粉 大さじ2
牛乳 大さじ3
塩 小さじ⅓
無塩バター 大さじ2
しょうゆ 大さじ1
みりん 大さじ1
【作り方】
1.にんじん、ピーマンはみじん切りにして耐熱容器に入れて、電子レンジ600wで1分加熱する。
2.プロセスチーズを1cm角に切る。
3.じゃがいもは皮をむき、一口大程度に切る。耐熱容器に入れて柔らかくなるまで電子レンジで加熱する。
4.片栗粉は牛乳に溶かし、1のじゃがいもに加える。
さらに塩を加えて、すりこ木などでじゃがいもが滑らかになるまですりつぶす。
5.3のじゃがいもに1のにんじん、ピーマンと2のチーズを加えて混ぜる。
5.一口大の平べったい丸型にする。
6.フライパンで軽く焦げ目がつくまで焼く。(焦げやすい場合は薄く油(分量外)をひく。)
7.しょうゆ、みりんを回しかけ、焦げないうちにバターを入れる。
8.水分が残っているうちに火を止めて完成。
型不要。ラップで作る蒸しケーキ
ラップの上に生地を広げてレンジで加熱するだけ!ふわふわモチモチの蒸しパン風ケーキが、10分で完成します。
チョコチップ、角切りサツマイモ(加熱したもの)、プロセスチーズなどを生地に混ぜ込んでも良いですね。
もちろん何も入れなくてもOK。プレーン生地は朝食にもおすすめ。ジャム、メイプルシロップとも合いますよ。
【材料(ココア生地・10cm丸型2枚)】
ホットケーキミックス 100g
牛乳 70cc
ココアパウダー 大さじ2
お好みの食用油(ごま油以外)大さじ1
チョコチップ 適量
【作り方】
1.材料をすべて合わせてよく混ぜる。
2.耐熱皿にラップをピンと張り、生地の1/2量を丸く広げる。
3.電子レンジ600wで1分30秒加熱。火が通らないようであれば10秒ずつ加熱する。
4.ラップからはがして盛り付けます。すぐに食べない場合はラップにくるんで冷蔵庫へ。
ちぎってたたいて♪簡単野菜サラダ
ちぎる、たたくだけでOK。楽しく作れてすぐに食べられるこのサラダ、筆者の家では定番おやつです。市販のお菓子、特に甘いものと一緒に出すと、互いの味を引き立てるようで、子どもが良く食べます。
野菜が苦手なお子さまも自分が作ることで、食欲が湧くことも多いです。
トマトはプチトマトを使えば、包丁を全く使わずに作れます。
【材料 2人分】
お好みの葉物野菜 6枚
きゅうり 1本
プチトマト 6個
その他ヤングコーン、缶詰のコーン、豆類、ブロッコリーなど
お好みの野菜
「ドレッシング」
オリーブ油 大さじ1
塩 小さじ½
砂糖 小さじ⅓
酢 大さじ1
こしょう 少々
お好みですりおろしにんにく
【作り方】
1.野菜は洗って水気を切っておく。
2.ドレッシングの材料をすべて合わせてよく混ぜる。
3.葉物野菜を手で食べやすい大きさにちぎる。
4.きゅうりはすりこ木でたたいてひびをいれ、食べやすい大きさにちぎる。
5.3と4、その他のお好みの野菜を皿に盛り付ける。
6.食べる直前にドレッシングをかける。
オリーブ油をごま油に、塩をしょうゆに変えると中華風に。
酢の代わりに無糖ヨーグルトもおすすめ。
簡単なおやつ作りで食育
農林水産省が定義する食育とは
生きる上での基本であって、知育・徳育・体育の基礎となるものであり 、様々な経験を通じて「食」に関する知識と「食」を選択する力を習得し、健全な食生活を実現することができる人間を育てること
引用:農林水産省公式サイト「食育の推進」https://www.maff.go.jp/j/syokuiku/index.html
健全な心身の成長には、健全な食生活が必須です。すべての学びの土台となる健康を支える「食」を学び、経験することは子ども達の生きる糧となります。
食育と言うと「必須栄養素」「調理方法」「調理器具の名称」などを覚えて、「食の知識を増やす」イメージをお持ちの親御さんもいらっしゃるかもしれません。
もちろんそういった知識を覚えることも食育の一部ですが、配膳の準備、簡単な調理、あとかたづけなどの「おてつだい」でも立派な食育となります。
子どもの大好きなおやつの時間は、食育のチャンス。時には手作りをして、食材に触れ、調理をする体験をお子さまにさせてあげましょう。
食育で得られるメリット
知的好奇心と学習意欲が育つ |
食材、調味料、調理器具を実際に見て、触れて調理を行うことで知的好奇心が刺激されます。 「トマトとミニトマトの種って、どう違うのかな?」 「ピーマンとパプリカは同じ種類の野菜っぽいけど、どうなのかな?」 「料理酒はなぜ料理に入れても酔わないの?」 興味や疑問に対して、ママパパが答えたり、自分で図鑑や辞典で調べたりすることで学習意欲も育まれます。 |
栄養素について学ぶことで「好き嫌い」が減る |
食材の持つ栄養素について簡単に教えてあげることで、子どもの食欲が増進することもあります。 「ピーマンはビタミンCとβカロテンが含まれていて病気にならなくなるよ」 「お肉のタンパク質は筋肉を強くしてくれるよ。」 「さばに含まれるDHA(ドコサヘキサエン酸)やEPA(イコサペンタエン酸)は頭を良くしてくれるよ。」 などと、具体的な「効果」を簡単に教えることでその食材のイメージがアップ。 苦手な食材や料理が食べられるようになることもあります。 農業体験や産地直売会などで、新鮮な野菜、肉、魚を食べるのも「好き嫌い克服」につながります。採れたての旬の食材は、臭みや癖が少なく、旨味が強いので「味覚が敏感な子ども」もすんなり食べられることも多いです。 |
食事のマナーが身につく |
調理、盛り付け、配膳、あとかたづけまで、一連の流れを体験させましょう。すべての作業の楽しさと面倒さを知ることで、食べることの尊さを実感できます。 また食材がどうやって作られて、どのようにして私たちのもとへ運ばれてくるのかもぜひ教えてあげましょう。生産者・輸送業者・小売業者など、たくさんの人が関わっていることを知ることで食べ物への敬意も育ちます。 植物、動物の命をいただく気持ちを持つことで、食事のマナーも身につきやすくなります。食べ物に感謝の気持があれば、汚い食べ方はできないはずです。正しい姿勢、箸の持ち方、美しい食べ方で「いただく」習慣をつけたいですね。 |
ママパパが助手になることで自主性アップ
子どもに調理体験で気をつけたいのが、親の過剰サポート。危なっかしい手つきや、手順の悪さに思わずママパパが手を出し、口を出してしまいがちです。
巧緻性が成長途中の未就学児は、頭で理解している動作をスムーズに行えないこともあります。しかしじっくり考えて、ゆっくり作業することで「手順通りに作業できることも多いので、親は慌てず見守ってあげると良いでしょう。
「自分でできた」という成功体験は、大きな自信となります。危険な場合を除き、ママパパは助手に徹して子どもの仕事を取らないようにしましょう。