夏休みがやってくると、子ども以上に親の脳裏にこびりついて離れないのが「自由研究どうしよう問題」ではないでしょうか?楽しい夏休みにするためにも宿題は早く片づけさせたい。でも、ワークブックや日記などと違って決まった内容がないだけに、自由研究はどうしたらいいのやら……。
筆者は現在小学4年生(長男)と新1年生(次男)の母です。長男が1年生の頃を思い返すと、それはそれは力が入っていました!次男の初めての夏休みを前に、この3年間の紆余曲折と、自由研究のヒントをまとめました!
小学校の自由研究。目的と決まりは?
具体的な自由研究のテーマを考える前に、そもそもの目的やルールについて確認しておきましょう。
自由研究は子どもの探求心を伸ばす最大のチャンス
勉強の本当の楽しさは、好きな時に好きなテーマに集中して取り組めること。ですから、夏休みの自由研究はお子さんの学力を伸ばす最大のチャンスです。~ドラえもんの理科おもしろ攻略自由研究アイディア集 巻頭あいさつより~
これは、今回の記事を書くために本を読んでいた際に出合った、とても心に響く言葉でした。学校に入るとどうしても教科や単元の枠にとらわれ、提示されたものを学ぶ形になりますが、自由研究というのは本来は子どもにとってワクワクするようなもの。過度な期待をかけると親子ともにしんどくなりますが、本人の興味や段階に合わせて活用できたら素晴らしい機会になることが、本にも書かれていました。
筆者が息子の小学1~3年生を通して感じたのは、自由研究は「自由に研究することの面白さを子どもが知ること」。どうか気を張りすぎず、日常のささいなことでもいいので、お子さんと知の冒険に出てみてください!
参考:息子の通う学校の自由研究のルール
ちなみに息子が通う東京都品川区の公立小学校では、工作系は3年生まで、その後は研究をという目安があります。そのため、低学年のうちに工作系をやってしまおうというご家庭が多いです。また、小学1年生の自由研究は、学校からも親のサポートもぜひお願いします、というスタンスでした。
体験談①息子が1年生のときに取り組んだこと、感じたこと
第一子の初めての夏休み!ということで力の入っていた筆者。夏休みの課題も「ちゃんと」子どもが提出できるよう、時間をかけて取り組みました。
でも、提出した課題の評価・反応はいまいち。
先生からも、可もなく不可もなく、という感じで、小学1年生の視点としてはマニアックすぎたかな?と思ったりもしていたのですが、作品を持ち帰った息子からは衝撃の一言が。
「誰も僕の作品は見てくれなかったよ」
息子が1年生の頃に行った自由研究の内容や進め方。クラスメイトの作品例などについてシェアさせていただきます。
小1息子の自由研究~構想から提出まで~
はじめての自由研究ということで張り切っていた母!このような流れで息子のサポートをしていきました。
1:テーマは息子の好きなものを相談して設定(セミ)
2:夏休み1か月じっくりかけてテーマを深める
3:自由研究の本で大事なポイントを研究(担当母)
4:写真を撮って、レポートにまとめて、考察を加えて、いざ提出
親から見て、かなりレベルの高いものになっていたと思います。
小1息子の自由研究~お友達の作品例~
ちなみに1年生は、キットになっている工作、編み物、紙粘土、ビーズの工作、遊べるおもちゃ、夏休みの旅行をフォトブックにまとめたものなど、身近なところからテーマ設定された方が多かったです。中には非常に作りこんであるものもあり、親御さんの熱意も伝わってきました。
学校中に展示されているので一通り足を運ぶと、高学年になるにつれ、文章が多く研究っぽいものが増えていきました。
小1息子の自由研究~やってみての苦労と学び~
小学1年生の夏、好きなことを好きなだけやっていいよー!ということで、毎日、本当によく飽きないなと思うくらい息子はセミ取りをしていました。どこをどうまとめるかなど気にせず遊んでいた数週間は本当に驚きの連続。普段ならただ見ている私も「この穴掘ってみる?」「これはなんで〇〇なんだろうね?」ともう1歩深めるような会話を意識したこともあり、親子でどんどんセミの世界に深入りしていきました。
材料は十分にそろって、写真も撮って、いざレポート作成へ。
ここからが本当に大変でした。息子は文字を書くのもまだたどたどしく、それだけでもものすごく苦労していました。うまく書けるように鉛筆で線を引いたり、下書きをしたり、間違えては消したり斜めになって嫌になったり……ボツになった原稿も何枚もあったと記憶しています。親にも負担は大きく、レポート作成だけでも3日間くらいかかりっきりだったような……。
一緒に「好き」を深めていた時間は、いきいきしていましたが、形にして提出するフェーズは親子とも、とても消耗しました。
そして満を持して提出した夏休み明け。
冒頭の息子の衝撃の一言です。
「誰も僕の作品は見てくれなかったよ」
そうです。筆者は、先生の評価や作品の体裁といった大人の目線と、自由研究を通して息子がどう成長するか?という息子視点しか持っていなかったのですが、彼にとって一番大事だったのは、お友達の反応でした。
遊べる大型おもちゃにはたくさん人が集まって、順番に「やらせて~」という状態だったのに対し、薄っぺらい文字の多いレポートを出した息子のものは、誰も読んでくれなかったそう。
すごく夢中になって取り組んだのに、なんだか寂しかった1年生の夏休みでした。
体験談②小学2年生の自由研究で取り組んだ、感じたこと
さすがに2年目。夏休みの宿題の全体像が分かり、少し親の気持ちに余裕が出た2年生…さて自由研究は?!
今年は少し引いてみてみよう
去年の教訓を活かして、2年生の夏休みに母は極力手を出さずに見守ることにしました。息子が選んだテーマは変わらずセミでしたが、今回は彼なりのコンセプトがありました。それは「お友達みんなも楽しめて、セミが身近になったり、知らなかったことを知れるもの」という内容です。
さて、どうなったでしょうか。
小2息子の自由研究~こんな作品作りました~
「発砲スチロールある?針ある?油性ペン貸して」という彼のリクエストに応じたところ、見た目には、なんじゃこりゃ(内緒)なものができあがりました(笑)
「クラス全員が欲しいって言ってもあげられるように30個入れた」
「今年はレポート形式はやらない」「大きめの方がいいから大きい発泡スチロールで」
「セミの不思議を伝えられるように、4種類のセミ×4種類の抜け殻をセットして、サイズ感や色、違いを見てもらえるようにした」
など随所にこだわりが満載です。標本の知識もなく、ただ見様見真似で手芸針を刺しているので、ときどき落ちてきます(笑) それでも完成!
小2息子の自由研究~お友達の反応と本人のコメント~
さて夏休みが明けて提出すると…学校からの評価は変わらず可もなく不可もなく(もしかしたら去年より低いかも)ですが、息子はとても達成感に満ちた表情で帰宅しました。
お友達からの反応がものすごくあったようで「このセミなんて名前?」「うわ―――気持ち悪い!」「触っていい?」など会話があったそう。息子は自分がセミが好きなこと、夏休み中セミ取りをしていたこと、セミの世界の多様性や不思議をお友達と会話する機会に恵まれました。
作品を持ち帰ってきたときには、半分以下になっていたセミたち…(笑)
欲しいと言われたお友達に東京ではレアなセミをあげたり、抜け殻の強度を伝えるために一緒に潰してみたりしたそうです。セミが好きなら一緒に遊ぼう!と放課後遊びを新しいお友達とするようになる、思わぬ副産物も。子どもなりに考えているんだな、と私の方が学んだ自由研究となりました。
小2息子の自由研究~クラスメイトの作品を見て、感じたこと~
2年生のときも、クラス全員分の作品展示があり、見に行きました。
なんとびっくり、わが家だけでなく、他のご家庭にも多少なりとも似たようなドラマがあったのか?!去年よりも子どもらしい、肩の力が抜けている作品が多かったです。親が頑張ってパワポ資料にまとめた…というような作品はなくなり(笑)、子どもがメインで作ったものが多くなっていました。1年生と2年生では、学校生活への慣れ、文字を書くことへの慣れ、発表への慣れ、全てが違うのだなと実感しました。
体験談③小学3年生の自由研究で取り組んだこと、感じたこと
もう息子なら大丈夫、ということで、3年生は完全放置。テーマが決まるまでそわそわしなかったと言えば嘘になりますが、心穏やかに見守っていました。すると全く内容が決まらないまま8月も後半に。
結局、夏中遊んでいたセミにはもう飽きたようで、自由研究には旅行先で採ったクワガタの標本を選びました。2年生の頃はやり方を知らずに発砲スチロールにぶさぶさセミを刺したので、今回は標本の作り方を知りたいとのこと。8月28日頃?に滑り込みで標本教室に行き(ここは親の必死のリサーチ!)、仕上げてきました。
3年間で1番時間をかけず(笑)他力を山ほど使った作品となりました。
小3息子の作品はこちら
かっこいいクワガタが残せたので、本人は大満足。作品に対する愛着がすごくありました。標本をやってみたい!という意思表示から、専門家に教えていただく機会にも恵まれ、はじめての道具を使ったり、標本のあれこれを学ぶことができて、とても有意義な時間だったようです。
そしてなんと…。
ふぅ間に合った、やれやれと腰を下ろした夏休み最終日。突然「紙にまとめたい」と言い出したのです!
標本だけで終わるのかと思ったら、画用紙に写真をペタペタ貼りながら、カラーペンでコメントを添えたレポートを作りはじめました(ミラクル!)文字数にして、1年生の頃の1/10くらい(苦笑)字も大きくて、内容も薄くて(笑)でも、のびのびやっていました。このくらいが今の彼にちょうどいいボリュームだったのか、と私も理解することができました。
晴れて新学期、セロテープで留めた(正確には、端っこが留まりきっていない…)レポートと標本を持参しました。
小3クラスメイトの作品例
クラスのみんなは…さすが3年生。細かいものを作るのが得意な子、しっかり読み応えのあるレポートを書いている子、など圧巻。同級生の顔が分かることもあり、作品展示の場所に何時間でもいれそうだと思うくらい、面白かったです。
ですが、何よりの変化は、私が他のご家庭の作品と比べなくなったということでしょうか。
パパっとやったな、というようなものもあれば、ものすごく学術的にもレベルが高いもの、テーマ設定や切り口が面白く思わず見入ってしまうもの、色々ありましたが、みんな違ってみんないい。息子のぐちゃぐちゃな字もとってもいい!そんな心境でした。そしてぐちゃぐちゃながらも一応形になっているのは、1年生の夏に型を学んだからかもしれないと思うと、無駄なことは何もないですね^^
3年生の息子は、目的やテーマやどのくらいのやる気を出すか(笑)も委ねられた自由研究を、満喫できたのではないでしょうか。
まとめ:自由研究は何のため?経験から思うこと
そんな3年間を経て、筆者は今自由研究を「自由に考え取り組む楽しさを学ぶ場(うまくいくこと、思い通りにいかない経験も含めて)」と考えています。正解がなく決まりもない、テーマも提出方法も、自分で考えて決めて出す。これが自由研究。これらは、その後の人生にとても大きな意味を持ってくるのではないでしょうか。
自由研究という名前がたいそうなので、まじめなパパママには悩みのタネですが、一緒に作って交流を深めるもよし、やりたい!を応援するもよし、実はほどほどな見守りでもよいのかもしれません。
低学年の自由研究 テーマ設定のポイント
低学年の自由研究のテーマ設定のポイントとおすすめテーマ例を以下、挙げてみました。
それでも決まらない!というご家庭は、ぜひ参考にしてみてくださいね。
小学1年生: 身近な観察、実験
(特に男の子は)大きな字で名前が書けて、自分で作った作品の説明ができたらハナマル!!夏休みの思い出を切り取ったり、遊んでみたい!と自分が思うオモチャを作ってみるなど身近なところからテーマを探すことをおすすめします。個人差があるとは思いますが、習いたての字を書くのは子どもには大変なこと。レポート形式にする際は、時間と心の余裕がマストです。
<おすすめテーマ例>
朝顔の色水、押し花、リースなど楽しい遊び4つ!自由研究にも
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小学2年生:好き&興味の入り口を深める
子ども自身も「自由研究ってなんだ?」から「こういうものか!」が分かっている段階です。去年やりたくてやれなかったことを思い切りやるもよし、かっこいい&可愛いにこだわるもよし、少し落ち着いて取り組む子どもを信じてあげましょう。観察日記など、変化を見ながらじっくり取り組めるものもいいですね。
<おすすめテーマ例>
自然が先生!野菜のきれはしを育ててみよう
うんこ好きを知育に徹底活用!生き物の生態に詳しくなろう
アゲハチョウの幼虫を育てよう!好奇心を育てて理科デビューにも
小学3年生:やや考察や深掘りが高度
2年生で時刻と時間、表やグラフ、単位など学習します。学校で学んだことを実践で使ってみるのもおすすめです。手先もだいぶ器用になっているので、研究の準備や工作なども段取りが上手になり、イメージ通りに仕上がることが多くなっているかと思います。
<おすすめテーマ例>
夏休みのセミとりは知育の宝庫。楽しみ方と観察のポイント
ペットボトルで雲を作る簡単実験!お天気を身近に感じてみよう
折り紙とつまようじで回して遊べるこまを作ろう!
市販のキットであっても、どんな視点でその工作や研究と向き合うか、それを通してお子さんがどんな成長をしているかをぜひ見てあげてください!
わが家も、今年小学校に入学した次男には、のびのび取り組ませたいと思っています。
おまけ:まじめなパパママの心のお守りに、自由研究のポイント10
最後に、筆者が思う、自由研究の見栄えが上がる&省エネかつ大事なポイントをまとめておきます。
① “わが家流”自由研究の目的を明らかにする
ちょっと焦っているなと思ったら、まず目的に戻ることが大切です。ご家庭によって違うとは思いますが、作品展に出すこと?子どもに経験させること?子どもを知ること?とりあえず出せばクリア?そんなことを問うてみてください。
(わが家は、心トキメいて行動する、が自由研究の定義。そのため、30分で完成しても、2か月かけても、苦労しても、他人に力を借りても、オールOKと考えています)
② 体験・体感に意味がある!
特に小学校低学年はたくさんの経験、5感を使って感じることがとても大事です。それを形にして提出することはおいおいブラッシュアップしていけばOK!くらいの気持ちで見守ると、実は子どもたち、とても貴重な体験をたくさんしていますよ^^
③ 今あるものを活用する・発展させる
新しいことに挑戦するのも素晴らしいですが、実は普段の生活や楽しい夏休みの中に、もう既に自由研究の種はたくさんあるかもしれません。思い出をまとめたり、もう一歩深める選択肢も考えてみましょう。
④ 写真の威力はすごい!
作成&体験途中の写真を撮っておきましょう。字を書かなくても、絵があると伝わる量はものすごく増えますし、思い出す際にも有効です。
⑤ アルバムに入れるだけでも立派な見栄えに!
模造紙にまとめる作業は正直ハードルが高いです。一番省エネだと感じるのは、ミニアルバムに入れて、でこること。タイトルを書くだけでも十分立派な作品に!
⑥ 作品提出がゴールじゃない!
学校では、1人ずつ発表することもあります。子どもが作品について語れるようにしておきましょう(工程をパパママが全部やってしまわないように)。
⑦ 想いと感想を入れよう!
なぜ選んだ?どこが好きなの?やってみてどうだった?例え同じ題材でも、ここがオリジナルな自由研究につながります。
⑧ 子どもが興味のあるテーマなら何でもOK!
キャラクター図鑑を書き写す、などでも立派な研究です!ちなみに「やってみたい!」は好きと同じ。理由などなくても大丈夫です(まだ低学年では言葉にできない子も多いです)。やっているうちに、ここが面白い~!というポイントが見つかれば万々歳ではないでしょうか。
⑨ テーマに迷ったら、たくさん事例を見せよう!
本やネットの作品集を見るだけでも、これやってみたい!が意外と出てきます。まず本人の好きをちゃんと見つけて課題設定して…とやっていると、袋小路に入るのでご注意を(経験済)。
⑩ 感想には良かったことも盛り込んで!
市販のテキストなどを見ていると、感想欄には〇〇がうまくいかなかったという”反省文”が並んでいます…。失敗を次に生かすのはもちろん大事ですが、まずは答えのない世界にチャレンジしたことを褒めたいところ。ご家庭では「できたこと」「見つけたこと」「あなたの素敵」にも視点を当ててみてくださいね。
そして最後にー。
大丈夫。安心してください。バタバタはどこのご家庭も一緒です(笑)
皆さんの自由研究が、お子さんの「好き」を刺激し、親子の絆を深めるものでありますように!