お子さんの心と体の成長にフォーカスした「シュタイナー教育」。多くの有名人がお子さんを通わせており、メディアでも取り上げられる機会が多くなりました。そんなシュタイナースクールに実際に通っているお子さんに、シュタイナーの魅力をたっぷりと語っていただきました。
シュタイナースクールとは?
現在、世界には1,000以上のシュタイナースクールがあります。特に多いのは発祥の地であるヨーロッパですが、アメリカやアジアにも広がって来ています。『果てしない物語』や『モモ』などの作品で有名なドイツの児童文学作家のミヒャエル・エンデや日本では芸能人の黒柳徹子さん、斎藤工さんが通っていたことでも知られています。
お子さまの心と身体をはぐくむシュタイナー教育 – Chiik! – 3分で読める知育マガジン –
木村さんファミリーにお話を伺いました
シュタイナースクールにお子さんを入れた理由を、お父さんは「木を大事にする教育に惹かれた」と教えてくれました。ご自分が子供の頃に遊んだ山や森での楽しい体験を、お子さんにも教えてあげたかったそうです。お母さんの章鼓さんの答えは「感覚を大事にするところ」。特に、シュタイナー教育には曲線や円の概念が多く取り入れられており、そうした有機的な教育方法が決め手となったそうです。
次章からは、ユウタくんとサラちゃんのお話を元に、シュタイナースクールでの日常を紹介します。
シュタイナースクールの日常:幼稚園編
また、ユウタくんはごっこ遊びや見立てがとても得意。後ほど詳しくご紹介しますが、シュタイナースクールには遊具がほとんどありません。これは、お子さんの想像力が最大限に発揮されるようにとの配慮。お話を聞いている間も、リビングルームの扉を竜の洞窟に見立てて遊んでいました。
幼稚園は体を作る大事な時期
シュタイナースクールの日常:小学校〜中学校
メインレッスンと通常授業
一方、通常授業は日本の小学校と同じように、曜日ごとに科目が決まっています。こちらの科目はドイツ語、フランス語、古代ギリシャ語、木工、音楽、オイリュトミー(体育芸術)など。一見とても難しそうですが、こちらも体を使うことや創造力を伸ばすことに主眼が置かれています。
たとえばドイツ語の授業では、手を叩いてリズムを取りながらゲーテの詩を暗誦します。こうすることで、内容が分からなくても自然に口が回るようになったり、語学ではリズムが大事だということが分かったりするそうです。
教科書のない授業
サラちゃんが見せてくれた6年生のエポックノートは、1年でこれだけの厚さがありました。中は色とりどりのクレヨンで描いた絵に、綺麗な筆記体で文字が綴られています。写真は、アレキサンダー大王の経歴をまとめたもの。シュタイナースクールには成績がありません。自分の考えを、自分だけの絵や文章にすることが重視されているのです。
ディベートで人を尊重することを学ぶ
ここでも、自分の考えを持つことが重視されています。でも、事前の勉強や、正解にたどりつくことが必要な訳ではありません。 たとえば疑問を口にするのも立派な発言の一つです。 一方、他の人の発言をさえぎると先生に注意されるそう。自分の意見と同じように、相手を尊重することが求められます。こうしたやり方はレリジョンに限らず、あらゆる授業で行われているそうです。
なお、ディベートのトピックは、生徒がアイデアを出した中から先生が決めます。サラちゃんのクラスが最近扱ったものは、イスラム国、アメリカ大統領選、食品の消費期限表記など、とても高度なラインアップ。こうした話題に小学校のうちから興味を持ち、話し合えるのも、シュタイナー教育ならではといえるでしょう。
シュタイナースクールの授業から見えてくること
もう一つは、一般的な学校とシュタイナースクールにおける先生の役割の違いです。シュタイナースクールでは、先生は生徒の意見をまとめたり、補足したりすることがほとんど。決まった答えを教えたり、どっちが正しいと判断したりすることはしません。子どもの想像力を信じ、助けてあげるのが役割といえるでしょう。
休み時間は3歳から18歳までが一緒に遊びます!
木と遊ぶ!
サラちゃんに木から落ちたことがあるかと聞いてみると、答えは「イエス」。でもけがや痛い思いをしても、もう登りたくないとは思わなかったそうです。どうやれば落ちないか、どうすれば効率よく登れるかを考え、前の経験を乗り越えようと思ったと話してくれました。
また、木の上や周りに作る「木の家」も大切な遊び場。自然や自分たちで作ったもので十分に休み時間を満喫していることがうかがえるエピソードです。
ちなみに、こうした遊びで先生に怒られることはまずないそうです。「危ないからやめなさい」ではなく、木と触れ合うことで学べることの方を重視しているようです。
想像力が一番の遊具
想像力の世界では、わずかな道具があらゆるものに変化します。サラちゃんが語ってくれた話では、たとえばお芝居で家の扉が必要な時、生徒たちは先生に借りた布を広げ、手で持って扉にします。その布は扉の役割が終われば、すぐに別のものに変化します。もちろん、たくさん使うので布は汚れてしまいますが、洗って返せば怒られることもありません。
なおシュタイナーでは、こうした道具もすべて木や綿布、羊毛といった天然由来のもので作られています。子どもたちも道具も、自然に一番近い形というのを大事にしているのです。
家族の協力も不可欠
食はオーガニックを推奨
テレビをだらだら見せない
ちなみに、サラちゃんに「教室での話題についていくためにテレビを観たくなったりしない?」と聞いたところ、同級生もテレビを観ないし、テレビやゲームがなくても遊ぶ方法を知っているから、そういうことは起きないそうです。
睡眠とベッドタイムストーリー
素朴なおやつを作ってみよう!『シュタイナーのおやつ』って? – Chiik! – 3分で読める知育マガジン –
サラちゃんが語る、シュタイナーの良いところ
良いことと悪いことが決められていた一般校
「シュタイナースクールでは自由だと感じる。疑問はどんどんぶつけられるし、何かを成し遂げたという達成感を覚えることが多い。シュタイナーでは、3次元でものごとを考えている感じがする。ドイツ語の詩を覚えるのにリズムを取るように、色々なことを組み合せて教えてくれる」
シュタイナーでは根っこから育ててくれる
もっとシュタイナーを知りたい人へのオススメ書籍
もっとシュタイナー教育を知りたいという方のために、お母さんの章鼓さんオススメのシュタイナー関連書籍を紹介して頂きました。また、シュタイナースクールに通った経験のある映像作家Stewart Sugg氏に行ったインタビューの記事も教えてくださいました。まだまだ日本には少ないシュタイナースクールですが、是非そのエッセンスを日々の生活に取り入れてみてください。
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著者: Barbara J. Patterson (原著), Pamela Bradley (原著), 渡部 まり子 (翻訳)
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