2023年06月23日 公開

【実録・中高一貫校】入学前に対策?「学力推移調査・中1」の難易度

中高一貫校の中学生向け全国テスト「学力推移調査」。入学して初めて受ける第1回目は、どんな内容なのでしょうか。体験談をもとに、中学1年・第1回の学力推移調査の難易度や、内容、調査結果からわかることをご紹介します。

娘の入学した私立中高一貫校は小テストを含めると、毎日テストがあります。実は、筆者は入学前のオリエンテーションで学年主任の先生の話を聞くまでは、「テストが毎日ある」ことを認識していませんでした。(娘よごめん。)

さらに「入学式後の初日から国語・算数・英語のテストがある」と聞いた時は、「娘がつぶれてしまわないか!?」と、早くも心配になりました。(かなりのんびりとした小学校生活を送ってきたため、毎日テスト対策をすることに疲れてしまいそうで。)
他の親御さんの中にも、不安を感じた方がいらっしゃるようで、会場内が少しざわめきました。

しかし先生の「今までの学力の定着度を見る全国規模のテストです。年3回実施します。今回1年生の第1回目は成績に関係ありません。」という言葉に、皆さんややほっとした様子になりました。

ですが、続けて先生が、このテストが全国の中高一貫校の中学生を対象とした「学力推移調査」(ベネッセ)であると説明すると、再び会場はざわめいていました。

そして学力推移調査は
「成績に関係がないのは今回の第1回目のみ(娘の通う学校は)」
「成績順位をすべて貼りだす」
全国順位、校内順位がわかる」
「現時点での学力と見合う大学名がわかる」
   
ものだそう。

娘も私もすっかりテンションが下がりました。
「オリエンテーション後は猫カフェに行こう♪」と約束していましたが、娘は「帰って勉強する・・・」と暗い顔。(帰宅後、ゲームしてました・・・)

入学まで1週間程度ありましたが、娘は算数の過去問に1時間ずつ2日取り組んだだけで、学力推移調査を受けることになりました。

学力推移調査とは?

中高一貫校の中学生向けの全国テスト。
2021年度 1年生 第1回目受験者数は約59,000人でした。
基礎学力の習熟度、学習習慣、生活習慣、勉強に対する意識などを測ります。全国と学校における自分の学力レベルの他、苦手科目、苦手単元、今後の学習における改善点などがわかります。
分母が全国なので、6年後の大学受験に向けての課題や成績の推移をより客観的に知ることができます。

1年生の第1回目は入学直後

娘のはじめての学力推移調査は入学式後、はじめての登校日でした。
入学ガイダンス後から、小学校の復習をしてテストに備えているクラスメイトもいたようです。

これから中高一貫校に入学される方には、春休み中に小学校の英語の教科書を確認したり、国語と算数の過去問を解いたりして、「勉強脳」のウォーミングアップをおすすめします。
娘は志望校合格後、かなりのんびりしてしまったので、学力推移調査直前の勉強が辛そうでした。
(もちろん受験後も変わらず、コツコツ頑張れるお子さまも多いと思います!)

第1回目の試験科目は国・算・英

学力推移調査はマークシート方式。テストされる科目は、国語・数学(第1回目は算数)・英語です。
英語はリスニングがあります。小学校の英語の授業レベルで対応できる内容です。小学校のリスニングテストができているならOK。

難易度は?

中学1年生の第1回目は、小学校で学んだことの確認でした。
娘が言うには
「中学入試問題よりは簡単だけど、カラーテストよりは難しい。」とのことでした。

※学力推移調査の問題は回収されてしまうので、返却まで娘の手元にはありません。返却後も出題内容、成績等を漏洩させることは厳禁なので、ここに資料として載せることはできません。娘の感想で申し訳ないのですが、参考になれば幸いです。

【娘の見解】

国語・・・長文読解が2つ出た。時間がかなり余る。

算数・・・わからない問題はないが、少し考えないと間違えてしまいそうな問題も出たようです。

英語・・・小学校の授業でやった内容が身についていれば問題ない。

1年生 第1回目は、基礎学力があればできるものだったようです。

年に何回ある?

春(4月)、秋(9月)、冬(1月)の計3回行われます。新学期始まって、すぐに行われることが多いので、長期休み期間も油断できません。
小学校で夏休みにあまり勉強してこなかった場合、中学校最初の夏休みが辛く感じるかもしれません。

ただ中高一貫校は夏期講習、冬期講習など、長期休み期間中に登校して勉強する日があることが多いです。クラスメイトや先輩たちが、休み期間中もストイックに勉強を続ける様子を目の当たりにすることで意識が変わっていくでしょう。

結果が出るのはいつ?

生徒に返されるのは実施後1カ月半~くらい。娘の学校では4月上旬に受けたものが、5月下旬に返される予定とのことでした。
遅くとも2カ月後には返却されるはずです。

「学力推移調査」入学前の対策は必要?

学力推移調査に関しては、国語・算数はお手持ちの入試問題の過去問を解いておくと良いでしょう。

中学入試問題は、小学校の学習内容を発展させた応用問題がほとんど。小学校の授業だけでは難しい「論理的思考力」「ひらめき力」が求められます。また中学・高校で学ぶ内容が試験問題となることも珍しくありません。(特に理科・算数)

つまり中学受験に向けて取り組くんだ過去問に再チャレンジすることが、小学校の総復習にもつながります。

英語に関しては、小学校の教科書を読む、YouTubeの英検のリスニング問題対策を視聴するなど「小学校で習った内容」をおさらいしておくと良いでしょう。

学力推移調査でわかること

中学受験時に全国模試を受けられた方は多いかと思います。学力推移調査も同じように、全国の中高一貫校生の中での自分の順位がわかります。
他者と比較した自分の学力が見せられることは、子どもにとってはプレッシャーですが、競争心向上心を高めることにもなります。
また以下のことが、明確に提示されるので、今後の目標設定や学習の進め方を決めやすくなります。

・基礎となる学力の定着度
・学力の土台となる生活習慣
・日々の学習習慣
・勉強への意識

全国順位

各教科の全国の平均点・偏差値・順位がわかります。
毎回50,000人を超える公立・国立・私立の中高一貫校の生徒たちと競うことで、大学受験を意識した、能動的な学びを促します。

学年順位

各教科の校内における平均点・偏差値・順位がわかります。全国よりも、学年順位の方が子どもにとっては緊張感があるかもしれません。

成績順位を貼り出す学校、成績上位者のみ貼り出す学校など、「成績」を明らかにして、追い込みをかける学校も珍しくありません。

娘の学校は1位から最下位まで順位を貼り出すそうです。

教科のバランスと成績の推移

各教科の学力バランスを三角形のグラフで表示。2回目以降からは、各教科の学力バランスと、全国偏差値の今回と過去の成績の推移も見ることができます。

得意・不得意科目の点差が極端にならないように、学習計画を見直すきっかけにしましょう。

大学受験では各教科バランスの良い学力が求められます。
得意科目は特に学習法に工夫せずとも、成績が伸びやすいです。このまま自分のペースで勉強していけば良いでしょう。
一度つまずくと成績が急激に落ちやすい不得意科目は、学力推移調査結果を基に学習時間を増やすなどして、積極的に学習しましょう。

各教科の成績詳細

問題ごとの得点を校内平均点と比較できます。
各教科、問題ごとに「◎、〇、▲」が表記されています。

「◎、〇」は「よくできていた」
「▲」は「復習してほしい」
を表します。

苦手分野が一目でわかるので、どの単元を重点的に振り返るべきかがわかります。

大学入試を意識できるGTZ(学習到達ゾーン)

学力推移調査の結果から全国における学力レベルをS1~D3の15段階で評価したもの。GTZの学力ランクに対応する大学名(入試結果を参考)が書いてあるので、中学生のうちから大学受験を意識して、学べるようになります。
このGTZは進級時や内部進学時のクラス分けに使われることが多いです。
例:S1~A2までが特進クラス

学習・生活に関するまとめ

各教科の成績への総評を確認して、今後復習して補強した方が良いものを確認できます。
また生活や学習についての調査「学習実態調査」の回答から、起床・就寝・勉強時間について考察ができます。
規則的な生活を送ることが健康状態と学習環境を整えていきます。

難関大学合格者は睡眠不足ではない

入学オリエンテーション時に生活指導部の先生が学力推移調査にある「学習実態調査」に触れて、「昨年度、難関大学に合格した先輩のほとんどが起床時間・勉強時間・就寝時間を決めて、規則正しい生活をしていた。」とおっしゃっていました。

例えば東京大学に進学した先輩たちは
「朝7時に起きて、授業終了後、学校で19時まで勉強。帰宅後 1時間半勉強して、就寝は23時までに。」

「朝5時に起きて、学校の自習室で7時から8時15分まで勉強。授業終了後18時まで勉強。帰宅した後は勉強せずに22時に就寝」

というような、規則正しい生活サイクルを高校生になってからも崩さず続けていたそうです。
彼らに共通するのが、起床時間・勉強開始時間・就寝時間そして食事時間いつもほぼ同じであるということでした。

また生活指導の先生が強調したのが「睡眠時間の確保が勉強の効率を上げる」ということ。
受験に備えて、夜遅くまで勉強して、学校の授業が眠いようですと、受験勉強もはかどらず、体調も崩しがちになるので、睡眠スケジュールと勉強スケジュールは、中学生のうちから固定して「睡眠時間は7時間以上確保」すると良いとのことでした。

■幼少期から身につけたい!睡眠時間のおすすめ記事はこちら

あくまで現時点の学力。良くても悪くても次につなげよう!

学力推移調査は、回によって成績にバラツキが出る子も多いです。入学直後の第1回目が非常に良い成績でも、2回目以降に急落する子も珍しくありません。その逆もあります。
あくまでも現時点での学力です。1回の成績だけで「S2だったから難関大学を志望校にできる!」、「B1だから○○大学は無理だ。」などと一喜一憂し過ぎないようにしたいですね。学力推移調査は「今までの学習の定着度を確認し、今後の学習方法について見直す資料」と考えましょう。
成績が良くても、悪くても、有効活用できるものです。

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この記事のライター

KOMETA
KOMETA

ライター業と服飾関係のフリーランスで働く兼業主婦です。南関東在住。小6・秋に中学受験を決意した娘の数カ月間の奮闘をまとめました。途中生活リズムが崩れたり、情緒不安定になったりもありましたが(親子共に)、無事、志望校の私立中高一貫校に合格。中学受験のスタートが遅れてしまった、受験が近づくにつれて自信がなくなってきた、勉強のモチベーションが保てない…親御さん、お子さま方の不安が解消出来たら嬉しいです!