2019年9月24日 公開

フィンランド教育の特徴は?内容やメリット、問題点を詳しく解説!

学校の授業時間が短いにも関わらず、世界トップクラスの学力を維持しているフィンランド。教育レベルだけでなく、子どもの幸福度も非常に高いことから、今注目が集まっています。フィンランド教育の特徴や、メリット・デメリットをご紹介します。

世界一のフィンランド教育とは?

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2000年代の初頭、フィンランド教育に大きな注目が集まりました。

経済協力開発機構(OECD)は、3年ごとに学習到達度に関する国際調査「PISA(Programme for International Student Assessment)」を実施しています。この調査は、各国の15歳児を対象に、読解力、数学的リテラシー、科学的リテラシーを測定するものです。

PISAの国際ランキングにおいて、2006年の調査では、フィンランドは読解力は2位、数学的リテラシーは2位、科学的リテラシーは1位と、世界トップクラスの成績をおさめました。​

また、2018年の国際英語能力ランキングも8位と非常に高く(日本は49位)、多くの国民が英語を話せます。

1960年代には低迷していたフィンランドの子どもたちの学力ですが、学校や教師に大きな裁量権を認めるといった先進的な教育改革を進めた結果、学力の大幅な向上に成功したのです。

フィンランドの教育制度

Riku Makela / Shutterstock.com

フィンランド教育の主な特徴についてみていきましょう。

大学まで授業料は無償

フィンランド教育の最大の特徴は、義務教育も大学も無料ということです。

フィンランドでは、初等教育の1年前から始まる就学前教育学校から大学院まで、学費はかかりません。

お金の心配をすることなく、子どもたちは教育を受けられます。

なおフィンランドにおいては、有料にはなりますが、親の就労状態に関わらず0歳から保育園に通うことが可能です。

就学前教育学校(エシコウル)が保育園と小学校をつなぐ

初等教育の1年前から始まる就学前教育学校のことを、エシコウルと呼びます。

エシコウルは、年長児(6歳児)を対象とした、小学校入学前の準備教育をする施設です。

保育園や小学校に併設されていることが多く、子どもたちが幼児教育から学校教育へスムーズに移行できるよう配慮されています。

7~16歳までが基礎教育(Basic Education)

フィンランドの基礎教育は9年間で、小学校が6年間・中学校が3年間と、日本と同じ長さです。

多くの学校は小中一貫校で、基本的に同じ学校で9年間過ごします。

高等教育は単位制

基礎教育を終えると、子どもたちは大学進学を目指す「普通高校」か、職業訓練を行う「職業高校」のどちらかに進学します。

普通高校は、大学のような単位制です。生徒は自分で学習計画を立て、3年ほどかけて必要単位を取得します。

職業高校では、学校や職場などで職業訓練を受け、就職に必要なさまざまな資格の取得を目指します。

大学は学士課程と修士課程がセット

フィンランドの大学では、学士課程と修士課程はいずれも学部の学位です。大学ではさらに、博士の前の学位である上級修士と、博士の学位が取得できます。一般的に、学士課程は3~4年間、修士課程は2年間です。

実践的な力を重視する応用科学大学(ポリテクニック)もあり、こちらは3~4年半かけて学習・実習を行い、学士号取得後に3年以上就労すると、修士課程への出願が認められます。

フィンランド教育の特徴

Per Bengtsson / Shutterstock.com

フィンランド教育には、次のような特徴があります。

平等主義・格差のない教育

フィンランドにおいては、「国民の誰もが公平な教育機会を得られるべき」という理念のもと、就学前教育から大学院まで授業料を無償としています。

また、各学校で優劣が生じないよう、均一のレベルを保つための制度も整えられています。

どのような経済状況でも、どの地域に住んでいても、子どもたちが平等な教育を受けられるように配慮されているのです。

優秀な教員による自律性の確保

フィンランドでは、学校の先生は人気の職業です。

大学の教育専攻に合格できるのは10~50%程度ともいわれており、教員は高度な教育を受けた専門家として尊重されています。

全国共通のカリキュラムはあるものの、学校の教員の裁量権は大きく、教員の自由な発想や計画で教え方を決めることができます。

「ボランティア追加基礎教育(Voluntary additional basic education)」が設置

フィンランドの教育システムは、学問の修了時期がとても柔軟な点にも特徴があります。

通常、基礎教育課程は9年間ですが、もう少し勉強をしたい、自分のキャリアについてもっと考えたいといった場合は、ボランティア追加基礎教育(Voluntary additional basic education)という「10年目」を追加できます。

ボランティア追加基礎教育は、留年のようなマイナスイメージではなく、学びの質を担保するためのセーフティネットであり、ポジティブなものとして受け止められているそうです。

成功したゆとり教育

フィンランドの年間授業日数は、約190日。日本よりも40日ほど少ない日数です。授業時間も小学1~3年生では半日ほどしかありません。宿題もほとんど出ないそうです。

他国と比べると学校で過ごす時間が短いため、子どもたちは脳を十分に休ませて、自由な時間を楽しむことができます。

クロスカリキュラム

フィンランドでは、「クロスカリキュラム」(複数の教科・科目を横断・総合した学習)を行っています。

実際の社会で起きる問題は、複合的な要因がからみあっているものです。各教科の内容を連携させて効果的に理解させるとともに、得た知識を組み合わせて問題解決のために使うことで、より実践的な学習が行えます。

フィンランド教育を支える力

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フィンランド教育が学習効果を上げている理由として、次のような点が指摘されています。

読書量が多い

フィンランド人の読書への関心や読書量は、世界の中でもトップクラスといわれています。

図書館も多数あり、自由時間も多いので、自発的に自分の興味のある本を選んで読む子どもたちが多いようです。

マインドマップ導入で高度な読解力が身につく

フィンランド教育では、マインドマップが積極的に取りれられています。

マインドマップとは、紙の中心に主題を書き、そこから放射状に線とキーワードを書いていく、思考プロセスを反映したノート術のこと。

マインドマップを活用することで、子どもたちは読解力や思考力を鍛えることができます。

フィンランド教育のデメリット・問題点

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メリットの多いフィンランド教育ですが、次のようなデメリットもあるといわれています。

校則やルールがほとんどなく自由すぎる

フィンランドの学校は校則やルールがほとんどありません。

そのため、授業中におしゃべりをしたりスマートフォンを触ったりする生徒も中にはいます。

もちろん教師は都度注意をしますが、生徒の自主性にゆだねられている部分が多いため、厳しくしかることは少ないようです。

競争意識が低い

フィンランドの学校では16歳になるまで、全国統一テストがありません。

マイペースに勉強が進められるという点ではメリットですが、競争意識が育ちにくいという意味においては、デメリットともいえるかもしれません。

天才が生まれにくい

落ちこぼれを作らないことに重きを置いているカリキュラムのため、天才が生まれにくいともいわれています。

そのため、より高度な教育を求めて海外の大学を目指す学生も少なくないようです。

日本の公教育とフィンランド教育の違い

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日本の公教育とフィンランド教育には、次のような違いもあります。

子ども中心の教育

日本では、義務教育中に留年することはほとんどありません。子どもが授業内容を理解できていなくても、学校に通ってさえいれば進級・卒業できます。

一方で、フィンランドでは義務教育のときに留年するのは珍しいことではありません。「わからない部分があるのならきちんと理解してから上の学年に上がった方がいい」と、留年は前向きにとらえられています。

日本の「履修主義」に対して、フィンランドは「修得主義」。フィンランド教育では、「すべての子どもが等しく理解するまで学べる」仕組みを大切にしています。

「違い」「個」を大切にするフィンランド教育

日本の教育においては、「集団行動ができる」ことを高く評価する傾向があります。

一方でフィンランド教育は、子どもたちの違いや個性を引き出し、伸ばすことに重きを置いているそうです。

美術や演劇、音楽といった「正解のない科目」を、フィンランド教育では大切にします。

子どもたちが自分の創造力を思う存分発揮して、それを互いに認め合うことで、豊かな個性を尊重できる人の育成に努めているのです。

日本でフィンランド教育が受けられる園

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2015年、東京・赤坂に、日本ではじめて本格的なフィンランド式幼児教育が行われる「ムーミン インターナショナル キンダーガーデン」がオープンしました。

ムーミンのキャラクターを「大使」として採用し、子ども1人ひとりに合わせた教育(パーソナライズド・ラーニング)をベースに、質の高い早期教育の実践を目指しています。

幼児教育の重要性に注目が集まっている今、フィンランド教育を取り入れた園も増えてくるかもしれませんね。

フィンラインド教育のメリットを取り入れてみよう!

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日本にいながらでも、家庭でフィンランド教育のエッセンスを取り込むことはできます。

・読書の機会を増やす
・子どもの進度にあった学習ペースを守る
・マインドマップを活用する
・創作活動や芸術に触れる機会を設ける


こういった方法を通じて、フィンランド教育が大切にしている「子どもを中心とした学び」の環境を整えることができるでしょう。

家でできそうなことから、ぜひ取り入れてみてはいかがでしょうか。
この記事は執筆時点のものですので、最新情報は公式サイト等でご確認ください。

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WRITER

青海 光 青海 光  都内在住、二児の母。大学卒業後、子育てをしながらIT企業でフ ルタイム勤務をしていましたが、夫の海外赴任に伴い退職。カオスなインドで3年ほど暮らしました。帰国後はライターとして 、育児やライフスタイルに関する記事を中心に執筆しています。楽しく・読みやすく・有益な情報をお届けします!