2018年10月4日 公開

7年間の育児生活の中で見つけた、本当に「寝かしつけに役立つ絵本」

ママ絵本作家のほんえすんです。今回は「寝かしつけに役立つ絵本」をご紹介します。ライター、編集者、絵本作家として活動しながら2人の子どもを育てている私自身が、寝かしつけで悩む日々を助けてくれたと感謝している絵本ばかりです。連載『絵本はお友だち』Vol.05です。

寝かしつけを助けてくれる絵本

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実際に子育てをするまでは、「寝かしつけ」というものがこんなに大変だとは知りませんでした。子どもなんて、放っておけば勝手に寝ると思っていたのです。

わが家には2人の子どもがいます。2人とも、「添い寝してしっかり寝かしつけ」をしないと寝ないタイプ。上の子が7歳になった今でも、まだ添い寝生活です(そして自分も一緒に寝落ちしてしまう日の連続)。

そんなわが家では、寝る前に1人1冊ずつ絵本を選び、読み聞かせするのが習慣になっています。7年におよぶ私の「寝かしつけ生活」で、いったい何冊の絵本を読んできたことでしょうか……。

寝かしつけの絵本を選ぶとき、悩ましい「永遠の課題」があります。それは、「絵本は楽しい」ということ。「さぁ、寝ようね」と絵本を読んでいると、絵本が面白くて子どもはどんどん楽しくなってきて、頭は冴えて目もぱっちり。読み終わっていざ寝ようと思っても全然寝ない!

そうならないために「楽しくない絵本」がいいのかというと、それだと子どもは興味を持ってくれなくて、「つまらない」と言わんばかりにベッドで遊びはじめることも。

理想は、「楽しく読めて眠くなる絵本」ですよね。あるんです、そんな理想的な絵本が!

今までの「寝かしつけ生活」の中で、特に私自身が「寝かしつけを助けてくれた!」と実感する絵本をご紹介します。
photo by author (115017)

わが家では寝る前に絵本を読むのが日課。最近は読み聞かせに入る前に自分たちでたっぷりと読むのが楽しいようです
via photo by author

「楽しく読めて眠くなる絵本」の決定版

「おふとん かけたら」

おふとんかけたら | かがくい ひろし |本 | 通販 | Amazon (115018)

タイトル:おふとん かけたら
著者:かがくい ひろし
出版社:ブロンズ新社
一冊目はこちら。ほっこりと温かみのある表紙の絵を見ているだけでも、ちょっと眠くなってきませんか……?

作者は「だるまさんシリーズ」などが大人気の、かがくい ひろしさんです。子どもにとってもなじみのある絵柄なので、世界にすっと入っていけるのではないでしょうか。
「たこさん たこさん おふとんかけたら」
「くーるくる」
「ソフトさん ソフトさん おふとんかけたら」
「とーろとろ」
と、動物や身近なものたちが敷布団に寝転がっていて、掛け布団をかけたら変化する、という展開が続きます。

2見開きずつ同じ展開の繰り返しというシンプルな絵本なのですが、ありはとっても小さく、トイレットペーパーはながーく伸びる、豆はたくさん並んでいて……という変化が面白くて、子どもは「次は?次は?」と夢中になってくれます。

しかし、楽しくて興奮してくるかというと、反応が少し違います。優しいタッチで描かれた絵と、今にも寝そうな表情を見ていると、読んでいるうちに不思議と眠くなってくる……。

そして、最後のページを読み終わったころには、子どもの目もとろーんとしてきて……。

「楽しく読めて眠くなる絵本」の決定版です。

パパの寝かしつけにもオススメ!

「パパとニルス おやすみなさいのそのまえに」

パパとニルス おやすみなさいの そのまえに (講談社の翻訳絵本) | マーカス・フィスター, 那須田 淳 |本 | 通販 | Amazon (115022)

タイトル:パパとニルス おやすみなさいのそのまえに
著者:マーカス・フィスター(作)、那須田 淳(訳)
出版社:講談社
※品切れ・重版未定
子どもって、「さて、寝ようか」というときになると、「お茶飲みたい!」「おしっこ!」「〇〇(ぬいぐるみやおもちゃなど)と一緒に寝たい!」とか、いろいろ言ってきませんか!?

うちの息子がまさにこんな感じなのです。

そのたびに寝かしつけは中断され、また目が冴えて寝る時間がどんどん遅くなって……と焦ります。この絵本の主人公であるカバの子ども・ニルスも、このタイプ。寝かせようとするとお話を読んでほしいだの喉が渇いただの、次々とリクエストを飛ばすニルス。

「抱っこして踊って!」とまで要求するのだから、うちの息子より上手ですね。

この絵本を読んだとき、「わ、ニルスって〇〇(息子の名前)にそっくりだね!」と言ったら、息子はバツが悪そうな顔をしていました。どうやら、本人にも自覚があったようです。

それ以来、あれこれ要求しようとしたら「ニルスみたいだね~」とぷぷっと笑いながら言うと、スッと取り下げることも。ありがとうニルス……!

作者は、キラキラ光る魚の絵本『にじいろのさかな』が有名な、マーカス・フィスターさん。マーカスさんは、4人のお子さんを持つお父さんです。

この絵本を読んでいると、マーカスさんもこんな風にお子さまを寝かしつけしていたのかな?と共感してしまって、なんだか嬉しい気持ちになります。

そう、この絵本では、ニルスを寝かしつけするのはママではなくパパなのです(タイトルを見るとわかりますね)。ですので、パパが寝かしつけする際に読むのにもオススメします!

読んでいると不思議と眠くなってくる絵本

わたし、お月さま

わたし、お月さま | 青山 七恵, 刀根 里衣 |本 | 通販 | Amazon (115024)

タイトル:わたし、お月さま
著者:青山七恵(文)、 刀根里衣(絵)
出版社:NHK出版
この絵本は、いわゆる「寝かしつけ」のジャンルに分類される絵本ではありません。私もそんなつもりではなく、「物語の絵本」として選んで買いました。

それなのに、寝る前にこの絵本を読むと、必ずと言っていいほど娘は途中で寝るのです。その確率、ほぼ100%!つまり、娘はまだ一度も起きたままこの絵本を最後まで読めていないのです。「寝かしつけの絵本」や「眠りを誘う絵本」として作られたわけじゃないのに、なぜなのでしょうか?

理由のひとつは、優しく語りかけるように書かれた文章にあるように思います。この絵本の作者は、芥川賞や川端康成文学賞などを受賞されている小説家の青山七恵さん。本作がはじめてのオリジナル絵本です。

ストーリーは、宇宙に1人でぽっかりと浮かんでいるのがさみしくなったお月さまが、ぽーんと小さくなって地球に飛んでいき、地球のさまざまなものと触れ合っていくというもの。ぽそりぽそりとつぶやくように語るお月さまの口調がどこかセンチメンタルなのですが、読んでいると心がじんわりと温まってくるような感覚になります。

そして、刀根里衣さんが描く絵が、また素晴らしいのです。刀根里衣さんは、日本の美術大学を卒業後、作品がイタリア人編集者の目に留まってイタリアで絵本を出版、それが日本に「翻訳絵本」として「逆輸入」されたという、異色の実力派絵本作家。本作にも刀根さんの絵の魅力がぎっしりと詰まっています。

お月さまのお話なので全体的に夜っぽい雰囲気の絵が多いのですが、「暗い」という印象は全然なくて、それぞれのページがどこかぼんやりと輝いている印象。それが、光に包まれているような気持ちになって、とても心地いいのです!

この「読むと100%寝てしまう現象」がうちの娘だけなのか、それともこの絵本に不思議な効力があるのか、ぜひ一度、お試しいただければと思います。

【番外編】実は意外と寝かしつけには向いていない!?

ねないこだれだ

ねないこだれだ (いやだいやだの絵本) | せな けいこ |本 | 通販 | Amazon (115026)

タイトル:ねないこだれだ
著者:せな けいこ(作・絵)
出版社:福音館書店
「寝かしつけ絵本」というと、必ずと言っていいほどラインナップに入ってくるのが、この『ねないこだれだ』ではないでしょうか。

しかし、実は「寝る前に読む本」としては、あまり適していないのでは?と私は感じています。以前何かの記事で読んだことがあるのですが、幼い子にとって「寝る」というのは「恐怖が伴うこと」なのだそうです。目を閉じると独りぼっちでママもパパもいない、真っ暗な闇の中に1人で吸い込まれていく……そんな感覚なのだとか。

このように、寝ることはただでさえ「恐怖」なのに、この絵本によって「おばけに連れていかれちゃう!」とさらなる恐怖に追い込まれると、子どもは寝るどころか眠れなくなってしまうかもしれません。それは困りますよね。

しかし、寝る直前以外のときに読むのはおすすめです。
この絵本を読み終わったあと、「ねぇ、遅くまで起きてると、こんな風におばけの国に連れていかれちゃうんだって」「どうしようか?」など、子どもと話してみてください。お子さまは自分から「はやく、寝る!」と言い出してくれるはず。これはわが子でも実証済みで、こちらのインタビューでもそのお話をさせていただきました。
この絵本で時計の時刻を「9時」に描いてくれたことに、母として感謝するばかりです。「9時なんて全然『夜中』じゃないのに」と以前は思っていたのですが、子どもはやっぱり9時に寝るのが理想ですから。
(作者のせなけいこさんによると「しつけのつもりでつくったわけではない」とのことなのですが、この絵本が育児を助けてくださったことに違いはありません……!)

絵本の力を借りて、楽しい寝かしつけライフを!

「寝かしつけで苦労している」という話をすると、「そんな時期も今だけだから」とよく言われます。その今がツラいんですけど、と返したくなりますよね。

でも、こうやって子どもたちの体温や息遣づかいを感じながら寝かしつけするのは、本当に限られた時期だけのことです。私はあと何年かな……?

いつかこの「寝かしつけライフ」を思い出したとき、「大変だったけど、楽しかったな」と思えたらいいな、と思っています。

「大変なことを楽しくする」、これ、絵本の得意技なのです。

だから、大変な寝かしつけを助けてくれる絵本が、いつもあなたと共にありますように。
この記事は執筆時点のものですので、最新情報は公式サイト等でご確認ください。

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WRITER

ほんえすん ほんえすん  1977年大阪府堺市生まれ。ライター/編集者。一女一男2児の母。ママ絵本作家。 出版社勤務を経て、フリーランスの編集者に。絵本の編集や絵本作家のアシスタントを通じて、絵本の世界の扉を開ける。2018年3月、ママ目線でつくったはじめての絵本「すき! I like it!」(教育画劇)を出版。