2018年5月23日 公開

右から日本語×左から英語のDual絵本「すき!I like it!」

右から日本語、左から英語で楽しめるデュアル絵本『すき!I like it!』。子どもは自分が好きなものについて話すのが大好き、という特性に着目し、二言語に同時に楽しく触れられるように工夫された絵本です。絵本の作者、ほんえすんさんにインタビューしてきました。

『すき!I like it!』

日本語×英語Dual絵本「すき!I like it」 - ホーム | Facebook (94747)

タイトル:すき!I like it!
著者  :ほんえすん(作)、サタケシュンスケ(絵)
出版社 :教育画劇
“みんなの好きがぐるっとつながってきれいな『好き』の輪になる”がコンセプト。右から開くと縦書きの日本語で、左から開くと横書きの英語で読むことができるデュアル絵本が、2018年3月に発売されました。

優しい色合いと絵柄、軽快なリズムの文章が楽しく、0歳から6歳頃まで長く楽しめる絵本です。

全48ページで、約20cmの正方形に近い形。出産祝いや、誕生日祝い、入園祝いなどにも喜ばれそうですね。

作者のほんえすんさんにインタビュー!

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作者のほんえすん(洪愛舜)さんは、フリーランスの編集者・ライターで、編集プロダクションeconを主宰。小1の女の子と年中の男の子のお母さんでもあります。

『すき!I like it!』は、ほんえすんさんのはじめての絵本。ほんさんの生い立ちから、この絵本を作るまで、込めた思いを伺いました。

ーーほんえすんってステキなお名前ですね。名前の中に”えほん”が入っているなんて、絵本作家さんとしては理想的ですね。

ほんえすんさん(以下敬称略):自分では気づいていませんでした!親に感謝しないと、ですね(笑)。私は、日本生まれ日本育ちですが、ルーツは韓国。在日コリアンの3世で、日本にある朝鮮学校に幼稚園から高校まで通いました。日本と韓国、両方の文化に触れる中、両方の特徴を俯瞰して見てきたように思います。

日本語の絵本は、子どもの頃にはあまり触れる機会がなかったのですが、高校生の頃に好きになり、名作をよく読んでいましたね。

大学卒業後は出版社に就職して6年間仕事をし、多くの絵本作家さん達と接しました。フリーランスとして独立後は、絵本作家さんのアシスタントもしていました。

結婚・出産後5年間は育児に専念したのですが、常に絵本を傍らに置き、絵本の読み聞かせをするうち、絵本が子育てを助けてくれることに改めて感謝しました。

そのうち、「子どもと接している母親ならではの絵本を作りたい」「必要としている人に届けたい」という思いが強くなって。たくさんの絵本の企画を練って出版社に持ち込み、最初に形になったのが『すき!I like it!』なんです。

絵本が子育てを助けてくれる!?

ーー絵本が子育てを助けてくれるというのは、具体的にどんな時ですか?

ほん:わが家では、今は寝る前に絵本を一人1冊ずつと決めて、ほぼ毎日2冊ずつ読み聞かせをしています。それぞれ好きな絵本を選び、私の両サイドで寝ながら聞いています。年間700冊くらいにはなっているかもしれません。

でも、上の子が2歳頃までは、子どもが眠くなるまで読んでいたので、一晩で10冊を超え、1時間以上かかることもあり、大変でした。

そんな時、せなけいこさんの「ねないこだれだ」という絵本を読んだら、子どもが途中で震えだしたのです。それでも最後まで読んだら、泣いて、私の上に乗っかってきました。

「連れていかれちゃったね」「うん」「早く寝ないと連れていかれちゃうんだね」「うん……」って言って、その後はすぐ寝たんです。そして、それからは寝る前は一冊だけになりました。

絵本一冊でこんなに助かるんだと実感しましたね(笑)。著者のせなさんは、そんなつもりでこの絵本を作ったわけではないそうなのですが。

その後も、お着替えとかトイレトレーニングとか、大変な時に絵本に育児を助けてもらって、その度に感謝しました。

『すき!I like it!』を思いついたきっかけとこだわり

ーー『すき!I like it!』を作ろうとしたきっかけや意図を教えてください。

ほん:上の子が4歳、下の子が2歳くらいの時のことです。東京国際ブックフェアの原書コーナーで何気なくエリック・カールさんの英語の絵本を買って帰り、家で読み聞かせたところ、二人ともすごく食いついて(笑)。何度も「もう一回!」と喜んで、すぐに英語を覚えてしまったんです。

私自身は英語が得意ではなく、むしろ苦手なものだったのですが、子どもたちにとっては、きっかけ次第でこんなに楽しいものになるのだと驚きました。

絵本を読むうちに、単語を自然に覚えて、喋るようになったので、子ども用の英語の絵本を探したのですが……。原書はあまり流通されておらず、有名な絵本の翻訳版はあるけれど、自然な形で英語を楽しめる絵本が少ない、と感じました。

そこで、企画の下地を作って出版社に持ち込んだところ、興味を持ってくださり、ブラッシュアップして今の形になりました。

ーーどうしてデュアル絵本にしたのですか?

ほん:日本語ならではの特徴として縦書きがあります。でも最近は縦書きの絵本が少ないので、勿体無い。二つの言語を並べるからには、縦書きの美しさを大事にしたいと思い、自然な形を考えた結果、両開きになりました。

また、英文には、カタカナで読みを振りましたが、そうしない方がいいのでは、と最後まで悩みました。でも、英語が苦手な人でも難なく読み聞かせできるようにしたかったのです。

本ができた後ですが、うちの子が、英語版と日本語版の同じページを見比べて、カタカナと英語を照らし合わせながら読んでいたことに驚きました。「英語だけでも読みたかったんだ」と納得し、これで良かったな、と思いました。

作者お気に入りのオススメページは……?

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ーーお気に入りのシーンはありますか?

ほん:お母さんが好きなのは…というページですね。ここで盛り上がる、という親子もたくさんいらっしゃるようです。

出産後、お母さんは子どもの方ばかりになってしまって、寂しい思いをしているお父さんが多いという声をよく聞きます。うちもそうですが(笑)、あえて、声に出して「お父さんが好き」とお母さんが読むことで、お父さんも嬉しいかな?と。

そして、ここだけ、likeではなくloveなんです。

”なんで違うの?”という気づきや会話のきっかけになったらいいなあと思っています。わが家でも読み聞かせ中によく脱線しますが、どんどん脱線して会話を広げていって良いと思うんですよね。

日本語は絵本で覚えた!読み聞かせの魅力とは…

ーーお子さんたちは日本語と韓国語のバイリンガルとのことですが、どうやって教えているのですか?

ほん:夫は大学時代からの仲間で同じく在日コリアンの3世。夫婦で話し合って、自分たちのルーツや文化を学んで欲しいとの思いで、うちの子どもたちも、2歳から朝鮮学校・幼稚園に通っています。学校・園は基本的に韓国語。上の子は1年くらい通ったところで日常会話はほぼできるようになりました。4月から初級部に上がり、今は学校で読み書きも習っています。

ちなみに家の中での会話はすべて日本語ですが、日本語の読み書きは家でも教えたことがなくて……。

実は上の子が2歳の時に教えようとしたのですが、なかなか覚えてくれず、イライラしてしまって。「母親がイライラしていることほど子育てで良くないことはない!」と無理に教えることをいっさい止めました。

でも、そのおかげで、文字を読む前ならではの絵本の楽しみも満喫できたのです。

文字が読める前は、より音に敏感で、想像力も広がる時期。読めるようになると、ついつい文字ばかり追ってしまいますが、絵と音だけの情報をじっくり全部楽しめる貴重な時代ですよね。

そして、絵本の読み聞かせを続けるうちに、子どもたちが自然に興味を持って、文字の読み方を覚えたのです。英語も、絵本のおかげで、どんどん読めるようになっていますよ。

絵本のこんなところにも注目すると面白い!

ーーイラストも温かみがあってステキですね。

ほん:イラストレーターのサタケシュンスケさんは、雑誌の仕事でご一緒させていただいたことがあり、あたたかみがあって、はっきりした絵が魅力的だと思っていたので、イラストをお願いすることに。

2児のお父さんですが、絵本を描くのは、はじめてだそうです。子どもたちに英語と日本語の二言語に触れて欲しいと思っていたところだったそうで、一緒に楽しく作れました。

実は、英語のページと日本語のページのイラストは全く同じようで、よく見るとたくさんの違いがあります。間違い探しのように絵を見比べてみるのも楽しいですよ。

最後に

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ーー最後に、メッセージをお願いします。

ほん:読者の方からは、「英語の方もう一回読んで」と子どもに言われて驚いた、などの声をたくさんいただいています。

英語って楽しい!と思える出会いになればとても嬉しいです。私たちの世代は、英語は難しいもの、大変なものという印象を持っていた人も多いと思います。これからの子どもたちには、英語は楽しく喋れるものだと思えるきっかけになってくれれば幸いです。

また、ハングルなど他の言語で作らないの?という声もあるので、他言語もぜひ検討したいと思っています。

そして、今後はストーリーのある絵本を書いてみたいです。「お母さん目線」のたくさんの企画をあたためているところなので楽しみにしていてくださいね。

ーーありがとうございました。


日本語でも英語でも、まず自分の好きなものを伝えることができると、一気に距離が縮まるきっかけになりやすいように思います。幼児向けの英語教室でも、挨拶や名前の次に何が好きなのか言えるように導いているシーンを多く見かけます。この絵本は英語ではじめるコミュニケーションの1歩目としてとても良いように感じました。ぜひ、手にとって親子で楽しんでくださいね。
この記事は執筆時点のものですので、最新情報は公式サイト等でご確認ください。

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WRITER

志田実恵 志田実恵  エディター/ライター。札幌出身。北海道教育大学卒業(美術工芸)。中高の美術教員免許所持。出版社でモバイル雑誌の編集を経て、様々な媒体で執筆活動後、2007年スペイン留学、2008〜2012年メキシコで旅行情報と日本文化を紹介する雑誌で編集長。帰国後は旅行ガイドブック等。2014年6月に娘を出産。現在は東京で子育てしながらメキシコ・バスクの料理本の編集のほか、食、世界の子育てなどをテーマにwebを中心に活動中です。