子どもの読書活動を推進する児童・青少年資料サービスを行っている都立多摩図書館の魅力を伝えるインタビューの最終回は、担当の浅沼さゆ子さんに、とっておきのおすすめ本4冊を教えていただきました。読み聞かせの絵本選びなど、悩んだ際に参考になさってみてはいかがでしょうか。
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新・都立多摩図書館がすごい!①親子で1日楽しめるその魅力とは? – Chiik! – 3分で読める知育マガジン –
新・都立多摩図書館がすごい!②あの人気絵本の挿絵が昔と違う!? – Chiik! – 3分で読める知育マガジン –
世界で読み継がれるベストセラー「はらぺこあおむし」
著者:エリック・カール(作)/ もりひさし(訳)
出版社:偕成社
おなかをすかせたあおむしが、りんご、なし、すもも……といろいろなものを食べていくお話です。ページをめくるたびに、どんどん食べる量が増えていくのが楽しくて、「次はどうなるんだろう?」とワクワクします。
「定番中の定番ですけど、やっぱりこの本はおすすめです。単純明快なストーリーで、色彩も鮮やかで美しい。ところどころにしかけもある。絵本を楽しむ要素がそろっているんですね」と浅沼さん。
色彩がはっきりしているので、0歳の赤ちゃんでも楽しめます。
裏表紙まで楽しめる!「おつきさまこんばんは」
著者:林 明子(作)
出版社:福音館書店
真っ暗な夜の空に、だんだんとおつきさまの顔が出てきます。でも、途中で雲が出てきてしまい……。
「これも単純なストーリーです。定点からおつきさまの様子を見ているので、絵にも大きな動きはありません。だから地味といえば地味なんですけど、この少しずつ変化していくところに、子どもは釘づけになるんです。最後の裏表紙がまたよいんですよ。こうやってアカンベーってしてるじゃないですか。これを見て、子どもたちが大喜びするんです」
短いお話なので、夜、寝る前にちょっと1冊……というときにもおすすめです。
生き生きとした表情が楽しい!「ゆかいなかえる」
著者:ジュリエット・ケペシュ(文・絵)/石井桃子(訳)
出版社:福音館書店
卵から孵った4匹のかえるが、一緒に泳いだり、遊んだり。外敵がやってくると、機転をきかせてかくれんぼ。単純なストーリーの中に、自然界のサイクルがきちんと描かれています。
「ブルーとグリーンが基調の本で、ちょっと渋めな感じですが、この色味が好きなんです。ストーリーがしっかりしているので、絵柄が多少地味でも、子どもたちはちゃんと耳を傾けてくれます。このかえるくんたちの絵が、どことなくユーモラスな感じなのもよいんですよね」
落ちついた色味だからこそ、生き生きとした表情が際立っていて、大人でも楽しめます。
春の喜びがあふれ出す絵本「はなをくんくん」
著者:ルース・クラウス(文)/マーク・シーモント(絵)/木島 始(訳)
出版社:福音館書店
深い雪の中で冬眠していた動物たちが、次々と目を覚まし、はなをくんくんさせながら、何かを目指して駆けていく。その先で見つけたのは……。
「同じようなシーンの繰り返しで単純なストーリーですが、たくさんの動物がどんどん駆け出していく様子がワクワクしますよね。絵はずっとモノクロなんですが、最後の最後にみんなが見つけたお花だけが黄色なんですよ。この春の喜びにあふれている感じが大好きなんです」
読み終わるとパッと気持ちが明るくなる、素敵な絵本です。
何度も何度も読み聞かせたい絵本
でも、どの本も落ちついた雰囲気で、心にスーッとしみ込んできます。
大きな山場があるわけでもなく、淡々と話が進んでいくのですが、不思議と何度でも読みたくなる。そして読み終わると、ふっと笑顔になる……。そういう本だからこそ、ずっとずっと読み継がれていくのでしょうね。
みなさんもぜひ読んでみてくださいね。