2019年7月19日 公開

月刊科学絵本「かがくのとも」50周年記念『かがくのとものもと』

幼児向けの科学絵本「かがくのとも」が2019年に50周年を迎えました。記念出版本では、科学絵本の面白さや魅力、意味、親の寄り添い方がよくわかります。「なぜ?」「どうして?」の質問が爆発する「なぜなぜ期」に特におすすめ!連載「話題の育児書」7回目です。

50年に渡って愛されてきた幼児向け科学絵本

Tatiana Bobkova / Shutterstock.com
「かがくのとも」は1969年4月に創刊されて以来、2019年で50周年を迎えた歴史ある月刊科学絵本です。絵本の題材は毎号違い、身近な生きものや植物から、乗り物など暮らしに関わる物事の仕組み、宇宙、数学の基礎、身体の不思議、遊びの提案まで多岐に渡ります。今注目されているSTEM教育(科学・技術・工学・数学の教育分野)絵本ともいえるでしょう。

筆者が保育園に通っていた頃、保育園から毎月持ち帰っていた「かがくのとも」「こどものとも」が大好きでした。もう40年近く前のことです。田舎だったせいもあり、近くに図書館や大型書店もありません。今ほど絵本が溢れている生活ではなかったということもあり、気に入った絵本は何度も何度も読み返していました。そのうち何冊かは今も手元にあり、娘に受け継いで読み聞かせをしています。

特に科学について扱った絵本は数少なく、たくさんの不思議や自然、世の中の仕組みに興味を持つための扉を開いてくれたのが「かがくのとも」でした。

その「かがくのとも」が2019年4月号(3月2日発売)で創刊50周年を迎え、記念Webサイトをオープン。記念誌や記念絵本セットを4月に刊行し、8〜9月にかけては記念展も開催すると知って胸が高鳴りました。記念誌や記念絵本セットはすぐに予約し、発売を心待ちにしていました。

自分が子どもの頃に読んでいた絵本を振り返りたい!どうやって内容を選び、作っているのか知りたい!わが子にどんな絵本を選んで見せたら良いか知りたい!など期待が膨らんでいました。

早速手に入れたので詳しくご紹介します。

月刊科学絵本「かがくのとも」50周年記念出版

タイトル:かがくのとものもとー月刊科学絵本「かがくのとも」の50年
編集:かがくのとも編集部
出版社:福音館書店
「かがくのとも」50周年記念誌『かがくのとものもと』は、増刊号を含む601作品すべての表紙とあらすじを掲載。また、1冊の「かがくのとも」ができていく過程や工夫をたっぷり紹介しています。

安野光雅さんや谷川俊太郎さんなど、第一人者たちの語る科学絵本観も読み応えがあります。特に、かこさとしさんの「私の科学絵本論」の言葉は染み入りました。

また、「かがくのとも」は109点と、全作品の6分の1程度がハードカバーになっていますが、バックナンバーはもう手に入らないものも。図書館で読みたい本を探す時にも役立ちそうです。

子どもの頃お気に入りだったけれどその存在を忘れていた、「ながぐつのすずめ」1981年11月号)、「だましっこ」(1982年2月号)「こうしがうまれた」(1983年1月号)は、どれも表紙を見た途端に、その内容や感じたことを思い出しました。

25×23cmの大きさで212ページ。大切に取っておきたい本です。

幼児の科学教育:科学の魅力の入り口は絵本から

Haywiremedia / Shutterstock.com

なぜこの本を「育児本」として紹介したかったかというと、子育て中のパパママが読んで欲しいメッセージがたくさんあるからです。

ママ友の間でも「最近はなんでもどうして?なんで?なの。答えられないことばっかりで困るよね」なんて話がよく出ます。

「人はどこから来たの?」「雨はどうして振るの?」という科学的な疑問や哲学的な質問までさまざまな「なぜ?」「どうして?」がたくさん出てくる幼児期。

ついつい、全てに正しい情報を与えてあげないといけないような気になりますが、知識を与えるだけではせっかくの好奇心の芽が摘まれてしまい、思考力も育ちません

「かがくのとも」に関わる人たちは、子どもたちの好奇心の芽を育んで花開かせるためにはどうしたらいいか、ということに心を砕いています。「かがくのとも」の絵本は物事の正解を子どもにわかるように簡単にして伝えるのではなく、心の中に優しい種をまいて、育てられるように導いてくれるのです。

特に、科学の絵本では、安易で最終的な結論があり、それを覚えさせるようなことをしてはむしろいけないのだということが述べられています。

子どもの目線で、遊び、心から楽しめるように。
教えられるのではなく、自ら学びたいという意欲が育つように

日々出会う自然や生活に関わる物事の仕組みについての関わり方を、親の側も一緒に絵本で学べるのだ、ということに気づかされました。

そして、科学絵本は、子どもたちが自ら冒険に踏み出す時の扉であり、道を照らすランプのようなものなのかもしれません。

福音館の月刊絵本

毎月1冊、1年間で12冊の絵本がそろう月刊絵本。月刊絵本を購読する魅力は、自分ではなかなか手に取らないジャンルや内容の絵本に出会えることです。

特に月刊科学絵本は、知りたいことを調べる図鑑のような役割ではなく、何気ない物事を別の視点や方向から見たり試してみたりするための入り口のような役割も担っています。

また、科学の世界は日進月歩。できるだけ新しい本を手にすることで最新の切り口に出会えるのも魅力です。

福音館の月刊絵本は、かがく絵本とものがたり絵本とがあり、子どもの年齢と興味にあわせて8つのシリーズから選べます。

かがく絵本は3〜5歳対象の「ちいさなかがくのとも」、5〜6歳対象の「かがくのとも」、小学校3年生からの『たくさんのふしぎ』があります。

ちなみにものがたり絵本は『たくさんのふしぎ』『母の友』『こどものとも0.1.2.』『こどものとも年少版』『こどものとも』というラインナップです。

購読料金は、年間購読(12カ月分・税込)で、幼児向けシリーズが年間5,280円 / 毎月440円(税込)、たくさんのふしぎで年間9,240円 / 毎月770円(税込)です。
※web申し込みの場合は別途送料110円がかかります。幼稚園・保育園・書店で受け取る場合は不要です。

かがくのとも50周年記念セット 子どもとはぐくむかがくの芽

タイトル:かがくのとも50周年記念セット 子どもとはぐくむかがくの芽
出版社:福音館書店
これまでに刊行された「かがくのとも」全600冊から、厳選された8冊がハードカバー化されてケース付きでセットになり、『かがくのとも50周年記念セット 子どもとはぐくむかがくの芽』として『かがくのとものもと』と同時に記念発売されました。

こちらも購入しましたが、五味太郎さんの絵本作家デビュー作『みち』など秀作揃いで、バリエーションも豊かな内容でオススメです!1冊ずつの購入もできるので、8冊の中ですでに持っている絵本がある方はその他だけを買い足すこともできますよ。

正直、普段の我が子の興味対象からは外れているものも多く、手が伸びるような内容ではなかったのですが、読み進めると子どもが夢中に。笑ったり考えたり、へーっと驚いたり。特に『めのはなし』(堀内 誠一 作)が面白かったようで、発想や疑問の広がりがこれまでの絵本には無い反応で驚きました。これが識者に厳選されたものを信じる醍醐味だな、とも感じました。

特別イベント:かがくのとも創刊50周年記念展も開催!

月刊科学絵本「かがくのとも」創刊50周年記念として、親子でもっと科学を楽しめる特別イベント、<かがくのとも創刊50周年記念展「あけてみよう かがくのとびら>も開催されます。こちらも楽しみにしています。

かがくのとも創刊50周年記念展「あけてみよう かがくのとびら」
会期:2019年8月23日(金)~9月8日(日)午前10:00〜午後9:00
会場:3331 Arts Chiyoda メインギャラリー  東京都千代田区外神田6丁目11−14

子どもとはぐくむ かがくの芽(全8冊) かがくのとも50周年記念セット (かがくのとも絵本) | 西内 久典ほか, 安野 光雅ほか |本 | 通販 | Amazon

「かがくのとも」50年、600冊から、厳選された8冊がハードカバー化してセットに。 『かずくらべ』(西内 久典 文 / 安野 光雅 絵)、『まるのおうさま』(谷川 俊太郎 文 / 粟津 潔 絵)、『のうさぎ』(高橋 喜平 文 / 藪内 正幸 絵)、『みち』(五味 太郎 絵・文)、『めのはなし』(堀内 誠一 作)、『むかしのしょうぼう いまのしょうぼう』(山本 忠敬 作) 、『やぶかのはなし』(栗原 毅 文 / 長 新太 絵)、『せんせい』(大場 牧夫 文 / 長 新太 絵)。
この記事は執筆時点のものですので、最新情報は公式サイト等でご確認ください。

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WRITER

志田実恵 志田実恵  エディター/ライター。札幌出身。北海道教育大学卒業(美術工芸)。中高の美術教員免許所持。出版社でモバイル雑誌の編集を経て、様々な媒体で執筆活動後、2007年スペイン留学、2008〜2012年メキシコで旅行情報と日本文化を紹介する雑誌で編集長。帰国後は旅行ガイドブック等。2014年6月に娘を出産。現在は東京で子育てしながらメキシコ・バスクの料理本の編集のほか、食、世界の子育てなどをテーマにwebを中心に活動中です。