新感覚のデジタルツールとして注目を集めている「MESH」。ブロック型のタグを組み合わせ、インターネットに接続。プログラムとは何か? を直感的に学ぶことができます。楽しみ方や親子で遊ぶためのヒントをソニー株式会社の萩原丈博さんに聞きました。
「MESH」はどんなことができるの?
「人の動きを検知する人感タグ、様々な色に光るLEDタグ、ボタンを押すとアクションにつながるボタンタグ。「MESH」には様々な条件に対応する全7種類のタグが揃っています。これらを組み合わせることで、いろんな仕組みが作れるんです。ボタンタグ+LEDなら『“ボタンを押したら”光って知らせる』、動きタグを起点にして「“振ったら”効果音を出す」といったものですね。『こんな仕組みがあったら面白いな、便利だな』という想いを自分で実現できる。そんなコンセプトなんですよ」(萩原さん 以下同)
こんなのなかった!新感覚ツールが生まれたきっかけ
「僕は朝が弱いので、目覚まし時計のスヌーズボタンが洗面所にあったらいいのにな……と考えたんです。枕元に置いてたら、知らない間に止めてしまうことがあるのですよね(笑)。
あと、トイレや冷蔵庫のドアに動きを検知するモーションセンサーを付けられたらいいな、とか。出張や単身赴任していても、遠く離れた家族の家の冷蔵庫のドアの開閉を、メールで自動通知が来ることで、家族が元気に暮らしているかなどが、簡単にわかります。こんな風に、モノに対してコト(情報)を追加できたら面白い。それがネットにつながったらなおよし、です。動かないモノにコトを追加して、アイデアを出せる……このように考えていくうち、今の『MESH』が次第にできあがってきました」
子どもに分かりやすいよう、ツールを「魔法のブロック」と言い換え、楽しさをプラス。遊んでいくうち、「魔法の中身=プログラミング」に自然に関心が向くようになるのではないかと考えているんです。
参考:出かけてから安心できる コンセント抜き忘れ確認機能 | MESHレシピ
メカには強くなくとも……バッチリ楽しめます!
たとえば「ボタンを押したらLEDが点灯する」仕組みを作るなら? 何と、ボタンタグのアイコンと、LEDタグのアイコンをアプリ画面上で指でつなぐだけでOK! 実際にボタンタグを押すとLEDタグがピカリと光ってくれます。
「私たちが開催しているワークショップには親子はもちろん、カップルやシニアまで様々な世代の方が参加して楽しんでいます。とにかく直感的に理解できるのがポイントですから。
『MESH』を試した方に持って帰っていただきたいのは、今までにない考え方、新しい視点です。家に帰った後、ドアやコップを見ながら『これが動いたら面白いな』と思ってもらう。そうなったら、今までと違った風景が見えるようになるでしょう。あとは魔法をどうやってかけるか。つまり、モノにどうやって情報のやりとりを追加するかを考えていただけたら最高ですね」
親と子どもが一緒になって楽しめるのが魅力!
「座ったら変な効果音が出る……ブーブークッションみたいな仕組みを作ると、子どもも引きつけられるかもしれませんね(笑)。
『MESH』は決められたゴールに向かってステップ通りに進めていくものではないので、最初は大人と一緒に簡単なしかけを作ったりしながら、しかけを作る楽しみを知ってもらうきっかけ作りは重要です。その後は簡単なテーマがあれば、子どもたちがどんどん自分たちで遊んで、楽しみながら色々試していきますね。」
パパ、ママと子ども、どっちが夢中になるかな? 手を動かしながら、自然なコミュニケーションが取れそうです。
「レシピ」をチェックしたり、投稿したりもできる
鍵に「動きタグ」をつけ、施錠しているかどうかがチェックできる「鍵かけ忘れ防止」。
ティッシュを引き出すと、残量をLEDで示す「残量が一目でわかるティッシュ箱を作ってみた。」。楽しく、それでいてお役立ちなレシピは見ているだけでも楽しい!
「あるご家庭では、子どもが主導して『サンタクロースの写真を撮る仕掛け』を作ったそうです。それが意外に凝っていて、人感センサータグを用い、夜中、ツリーの付近で動きを検知すると『サンタさん、これ食べてね』と音声を出すしかけで、サンタをお菓子でツリーに誘導。『サンタさん大好きー』というメッセージで油断させ、カメラでパチリ。という、なかなか考え抜かれたものでした。作成を手伝わされたお父さんも、その仕掛けの巧妙さにはうなったそうですよ(笑)。
今後はレシピコンテストを定期的に開催し、いろいろなアイデアが共有できるようにしていきたいと思っています。まずは身近なところを変える、楽しくするアイデアから。そこから外に飛び出していけば、いずれは世の中を変える仕組みを生み出す発想につながるかもしれません」
「プログラミング教育」「電子工作への一歩」などと構える必要は一切なし! まずはパパ・ママがトライして、子どもを誘ったら……? あっという間に「MESH」の世界のとりこになるのは間違いなさそうです。