『勉強ができる子の育て方』という著書が大ヒットした、子育てコーチングのプロ、江藤真規さん。実は幼少期をどのように過ごすかで、小学生以降の学習能力が大きく変わってくるんだそう。早期教育よりもっと大事な「学ぶ力」の育て方について、たっぷりと語っていただきました。
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「学ぶのが楽しい!」という感覚を育てよう
でも、「勉強する力」というのは、実は一朝一夕に身につくものではありません。
江藤さんは「いわゆるいい高校、いい大学に合格する子、そして合格後も勉強し続けることができる子は、『学ぶことは楽しい!』『勉強が好き!』という感覚が体に染み込んでいるんです」と言います。
そして、学びを楽しいものにするのも、逆につまらないものにするのも、親から受ける影響が非常に大きいんだそう。
では、親は具体的に何をすればいいのでしょうか。
6歳までに家庭でやっておきたい6つのこと
①体験させる
たとえば一緒に歩いているとき、「空気が冷たくなってきたね」「あ、葉っぱが赤くなってるよ」なんて話しかけてみる。最近の子は忙しいので、そういう季節の変化に気づきにくくなっているそう。親が声を掛けることで、子どもが自分で“感じる”ことのサポートをしてあげることができますよね。
「今、どんな気持ち?」と問いかけて、うれしいとか悲しいという感情をしっかり味わってもらうことも大切、とのこと。そうやって、頭ではなく、体や心で感じ取る経験から、自然に好奇心が芽生えてくるんですね。
②視野を広げる
だから、幼いうちから日常生活のさまざまな場面で、当事者意識をもたせるようにしましょう、と江藤さん。親が指図するのではなく、子ども自身に考えさせるのです。そうすることで視野が広がっていきます。
③お手伝いをさせる
「日常生活のいろいろな場面に関わることで、状況を読み取る力が養われていきますよ」。
④本を読む
「よく『子どもが本を読みたがらない』という悩みを聞くことがありますが、これは親が読ませたい本と子どもが読みたい本が違うからだと思います」と江藤さん。親が思ういい本よりも、まずはどんなものでもいいから、「子どもが読みたい本」を読ませてあげることが肝心とのこと。
「大きくなったのに、赤ちゃん向けの絵本しか読まない」と嘆かなくても大丈夫。とにかく文字に触れる、あるいは文字のない絵本でも、表現の楽しさを知ることができる、そういった観点で本との触れ合いを親子で楽しんでいくとよいそうです。
⑤対話をする
子どもの答えを聞いて「そうなんだ」で終わってしまってはもったいないですよね。「どうしてそう思うの?」「じゃあ、もし○○だったらどうなるかな?」などとさらに聞くことで、深く考える習慣が身につきます。
「こう言ったら、この子はなんて答えるかな?」と、親も楽しみながら会話を深めてみましょう。それが探究的な学習の基盤になるはずです。
⑥決まった時間に何かをする習慣をつける
「日々の生活習慣の中で、時間を決めやすいものは決めてみる。これを積み重ねていくと、勉強の習慣も抵抗なく身につけることに繋がりますよ」。
親も学び続けることが大事!
特にこれからの時代は、単なる知識の詰め込みではなく、自らの頭で考え、臨機応変に対処していく力が求められます。家庭でこうした力を養ってあげるためには、ある意味では、より「親力」が問われる時代ともいえるでしょう。
親自身も昔の常識や自分の考えに固執せず、わが子をよく観察し、その子に合ったアプローチを考えていかなければいけません。子育てを通じて親も学び、柔軟に対応していくことが大切ということですね。
江藤真規さん主宰「マザーカレッジ」
子育てコーチングお悩み解決!よりよい子育てを学ぶ「マザーカレッジ」
東京都生まれ。教育コーチングオフィス「サイタコーディネーション」代表。マザーカレッジ主宰。お茶の水女子大学卒業後、東京電力株式会社に入社。結婚後に退職し、娘二人を出産後、夫の仕事に伴い、アメリカ合衆国に7年間滞在。帰国後は主婦業の傍ら、英語講師として100人以上の親子に英会話を指導。2006年、長女が東京大学医学部に現役合格。2008年、次女が東京大学文学部に現役合格。自身の子育ての経験からコミュニケーションの重要さを実感し、コーチングの認定資格を取得。2010年に「マザーカレッジ」を創立し、家庭におけるコーチングの指導、母の社会的役割を広げる活動や講演、執筆活動を行っている。現在、東京大学大学院教育学研究科博士課程在学中。主な著書に『勉強ができる子の育て方』『思春期の女の子の育て方』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『“ほめすぎる”くらいほめると本当に子どもは変わる!』(PHP研究所)、『「心が折れない子ども」の育て方』(祥伝社)など多数。