2025年01月15日 公開

詰め込みすぎに要注意! 親子のおでかけを成功させる5つの工夫

勉強が忙しくなったり、子ども同士の世界が主になる前に、存分に楽しんでおきたい「親子のおでかけ」。しかし、せっかく楽しみにしていたおでかけなのに、詰め込みすぎて仕事のようになってしまったり、不機嫌から親子喧嘩になってしまったり。今回の『新・家庭教育論 忙しい毎日の子育てコーチング』第41回では、親子のおでかけを成功させるための工夫を紹介します。

週末くらいは子どもと一緒に出かけたい。子どもの塾通いが始まるまでに、いろんなところに行ってみたい。親子のおでかけは、親にとっても子どもにとっても、かけがえのない大切な時間です。

しかし、せっかく予定を調整して出かけたのに、子どもが全然楽しめなかったり、最後は親子喧嘩になってしまったり…。なんだか後味が悪い終わり方になってしまうこともありますよね。備えあれば憂いなし。せっかくのおでかけを成功させるための工夫について考えてみましょう。

おでかけ先だからこそできる経験

子どもにとって、体験することの価値は言うまでもありません。図鑑で見る昆虫を実際に見てみれば、そこから「面白い」と好奇心が膨らみます。動く生き物からは様々な発見があるはずです。色とりどりの落ち葉を見れば、「なぜだろう」と探究心が湧いてきます。実際に手にとってみると、更に不思議な世界が広がります。子どもが主役のテーマパークでは非日常の世界を体験でき、お祭りに参加すれば熱気を五感で感じ取ることができたりします。

おでかけ先だからこそできる体験は、学びの宝庫。心が動く感動体験が詰まっています。自分を発散できるのも、「遊び」に没頭できるおでかけ先での経験です。子どもにとって、とても大切な時間です。

詰め込みすぎに要注意!

あれもやりたい、これもやりたい。貴重な機会と思えば思うほど、盛りだくさんの一日に…。しかし、詰め込みすぎには要注意。せっかくの遊び時間が、なんだか仕事のようになってしまうからです。

大切なのは、「経験の数」ならぬ「経験の質」。そして、遊びの主体は子どもです。子どもが自分のペースで動き、そして心から「楽しい」と思えることが第一です。子どもの様子を観察して、どんな経験が子どもを笑顔にさせるかな〜と想像して、一つのことにじっくり好きなだけ時間をとれるような、そんな予定を組むことがオススメです。「今日は〇〇を楽しむ」等、テーマを決めるといいかもしれません。

親子のおでかけを成功させる5つの工夫

ずっと自由に遊んでいられればいいのですが、実際には時間的制約があったり、公共の場での周囲の目が気になったり。幼児とのおでかけを楽しむためには、工夫も必要です。ここでは親子のおでかけを成功させるための工夫を5つにまとめます。

1.計画段階から子どもを巻き込む

子どもの興味は一人ひとり、その時々で違います。ネット情報に頼って親が行き先を決めるのではなく、どこに行くか、何をするか、計画段階から子どもの意見を聞いてみませんか。とは言え、「週末どんなことしたい?」と聞かれても、「わからない」と返って来るかもしれません。そんな時には、いくつかの選択肢を出しみましょう。「選ぶ」も「決める」。自分が決めた行き先なら、楽しさも倍増しそうです。

2.スケジュールには余白を入れる

幼児期の子どもは、予測をたてて考えることがまだ苦手。そういった子どもに計画をたてさせると、たいてい過密スケジュールになってしまいます。ですから、「自由時間」と称した余白の時間を確保しておきましょう。

突発的なトラブルがあるかもしれません、予想外に移動時間がかかるかもしれません。慣れない経験に疲れてしまうかもしれません。時間が余ればのんびり過ごせばいいだけです。おまけをもらった気分になることでしょう。

3.機嫌が悪くなった時への備え

自分で行きたい!と言ったのに、つまらないと言い出す。さっきまで楽しそうにしていたのに、突然仏頂面に…。子どもの心は気まぐれです。特に、いつもとは異なる環境では、大人には理解できない不機嫌が表れたりします。
子どもの機嫌が悪くなると、親の心情も不安定になります。さらに、「せっかく」おでかけの機会を頑張って作ってあげたのに…と、子どもの不機嫌が親の不機嫌へと発展してしまうことも…。

このような状況を回避するためにも、子どもの気分が変わることを前提に、準備をしておきましょう。食べ物、飲み物、退屈しないようなおもちゃ等。ちょっとしたアイテムがあれば、気分が変わるかもしれません。ポケットに入れていた小さな玩具が、救世主となることもあります。

4.手出し口出しは意識的に控える

おでかけとなると、親の期待も膨らみます。ついつい「こうやった方がいい」「それはやめて」等、口を挟んでしまいますが、いつもより一歩だけ離れて子どもを見てみませんか。
親の目にはモタモタして見えるかもしれませんが、それが子どもにとっての「楽しさ」なのです。危なげに見えるかもしれませんが、片目をつむってあげることで、子どもは挑戦できたりします。
おでかけ先では、できる限り自由に、好きなように。前に沢山進むよりも、そこでの経験を楽しむことに価値があります。

5.一緒に楽しむ

子育ては、「子どものため」からスタートします。しかし、後から振り返ってみれば、過ぎ去った「子どものため」の時間は、実は「自分のため」だったということに気づきます。
子どもがいるからこそ訪れることができる場所。子どもと一緒だからこそできる体験。大人だけではできない経験が詰まっているのが、親子のおでかけです。
一緒におでかけできる時期は、意外と短いもの。「子どものために」を外して、大人も一緒に楽しんじゃいましょう。疲れ気味の心を、美しい景色を見て解きほぐしてあげませんか。子どもの笑顔を見て、成長を実感して、「私は頑張っている!」と自分をほめてあげましょう。

最後は「楽しかったね」で終える

親子でおでかけの最後は、「楽しかったね」で締めくくりましょう。たとえ、途中にハプニングがあったとしても、終わりよければすべてよし。帰路においては、楽しかったことを思い出し、「あれが楽しかった」「美味しかった」と、できるだけポジティブな言葉を使って、おおらかな気持ちになれるといいですね。感情は、捉え方で変化します。
失敗経験だって、笑い飛ばしてしまいましょう。「あ〜楽しかったね」という言葉が、すべての経験を楽しかった経験に上書きしてくれるはずです。

■ライタープロフィール
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江藤真規
東京大学大学院教育学研究科博士課程修了 博士(教育学)
株式会社サイタコーディネーション代表
クロワール幼児教室主宰
アカデミックコーチング学会理事
公益財団法人 民際センター評議員
一般社団法人 小学校受験協会理事

自身の子どもたちの中学受験を通じ、コミュニケーションの大切さを実感し、コーチングの認定資格を習得。現在、講演、執筆活動などを通して、教育の転換期における家庭での親子コミュニケーションの重要性、母親の視野拡大の必要性、学びの重要性を訴えている。著書は『勉強ができる子の育て方』『合格力コーチング』(以上、ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『心の折れない子どもの育て方』(祥伝社)、『ママのイライラ言葉言い換え辞典』(扶桑社)など多数。
クロワール幼児教室

■江藤さんへのインタビュー記事はこちら↓
イヤイヤ期の言葉がけはタイプ別に!江藤コーチの子育てアドバイス①
子どもをやる気にさせるほめ術は?江藤コーチの子育てアドバイス②
学力向上ために6歳までにやるべき6つのこと。江藤コーチの子育てアドバイス③

■江藤さんの著書紹介

\ 手軽な親子のふれあい時間を提案中 /

この記事のライター

江藤真規
江藤真規

サイタコーディネーション代表。サイタコーチングスクール、クロワール幼児教室主宰。一般社団法人 小学校受験協会理事。東京大学大学院教育学研究科博士課程修了 博士(教育学)。皆が「子育ち」を楽しめる社会を目指して、保護者さまのエンパワメントを行っています。社会が大きく変化する中、幼児期の子育てにも新しい視点が求められます。子育ての軸をしっかりと築き、主体的な子育てに向かうためにお役立ちとなる情報を、コーチングの考え方を基軸に配信いたします。HP:https://croire-youjikyousitu.com/