小学校で学年が上がるにつれて苦手な子が増える算数。
算数、数学の得意、不得意は生まれ持った特性によるものだから、個人差があるのは仕方がないと考える親御さんも多いでしょう。確かに数量感覚、空間認識力などの、いわゆる「算数センス」は遺伝の影響もあります。
しかし「算数センス」は後天的に伸ばすことも可能です。特に未就学児のうちでしたら、遊びながら算数センスを育むことができます。
「うちの子は算数に向いてない脳なのね。」
「パパは算数が得意だったけど、ママは苦手だった。○○はママに似たのね。」
などと決めつけてしまうのはもったいないですよ。
算数センスを伸ばすには?
「算数センス」を伸ばすのに、必要なのは数量感覚、空間認識力、図形感覚などを伸ばす遊びです。
算数や数学が得意な子に育てたいなら、幼児期に立体パズル、数字パズル、そろばん型玩具、トランプなどで遊ばせるのがおすすめです。
これらは視覚、触覚を使って数、図形、立体の感覚を体得できます。また自分が意図した数や形を、試行錯誤して表すことで論理的思考力も養われていきます。
子どもが楽しみ、遊ぶことで算数センスは育まれます。
算数の理解度に差がつき始めるのは中学年から
小学校中学年以降になると「授業を真面目に聞き、公式や表の読み方、図形の名称などもしっかり覚えているのに、文章題や応用問題になるとどう解いて良いのかわからない。」と言う子も出てきます。
一方で公式、知識、解法を一度学んだだけで、切り口の違う応用問題も解けてしまう子もいます。
前者の能力が低いわけではありません。数量感覚、空間認識力、図形感覚が感覚として体に身についていないだけです。算数センスが育っていないのです。
後者のような算数が得意な子は、問題を見た瞬間に「算数センス」を使って先読みしたり、問題の意図を見抜いたりすることができます。
例えば、
・この立体なら裏面の形は長方形なはずだと感覚でわかる。
・図形を折り曲げた時の折り目が脳内でイメージできる。
など、数や図形、立体を感覚でとらえることができるのです。
算数が得意=「知識と算数センス」を使いこなせている
学校や塾では公式、名称、計算方法など「算数の知識」を教えています。
基礎知識を学んだ後、基本問題や応用問題を数回解いて一つの単元は完了します。授業をしっかり受けていれば知識は身につくはずです。
しかし算数センスが十分に育っていない場合、時間が経過してから、文章題、応用問題を解こうとしても「解き方」がわからないことがあります。
算数センスは知識をうまく使いこなすための算数の能力とも言えます。
知識と算数センス、両方バランスよく育っている子は算数が得意になりやすいです。
中学、高校、大学受験で出される算数、数学の問題は、「問題の主題を短時間で見抜く能力」も必須です。問われていることに対して、どの知識をどう使えば良いかがすぐに気づけることが明暗を分けます。
算数センスの伸ばし方
できれば未就学児のうちから、百玉そろばん、立体パズル、パズル、トランプ、ブロック、積み木などで繰り返し遊ぶと良いでしょう。見て、触れて、数・形・立体の感覚を磨くことが算数センスを高めます。
もちろん小学生以降のお子さまにも効果があります。小学校高学年向け~大人向けの知育玩具を使って、算数センスを鍛えましょう。
「算数センスが足りない!」と実感した時が、中学生であっても大丈夫。いつからでも算数センスを伸ばすことはできます。
脳トレ遊びとして気軽に取り入れることで効果があります。
算数センスを磨く知育玩具8選
「夢中になって遊ぶ」だけで算数センスを伸ばせるおもちゃがあったら嬉しいですよね。
この章では「算数センスを支える4つの能力別」におもちゃをご紹介いたします。
数量感覚・立体感覚・図形感覚・論理的思考力が伸ばせる、人気の知育玩具8選です。
「これで遊びなさい」と押し付けてしまうと、遊ぶ楽しさは半減してしまいます。ぜひ親子、兄弟で一緒に遊んで、考える楽しさを共有しましょう。
リビングや子ども部屋に置き、いつでも遊べるようにすることが、算数センスアップのコツ。
できるだけ早い時期に数、形、立体の感覚を鍛えておくことで、小学校中学年以降の算数の理解がかなり楽になるはずです。
数量感覚
くもんの玉そろばん120
商品名:くもんの玉そろばん120
販売元:くもん出版(KUMON PUBLISHING)
玉を指ではじきながら120まで数えることで数量感覚が身につきます。背面に入れる数シートを変えることで、さまざまな数遊びができます。
数シートは4種類。「120の数表」、「60の数表」、「助数詞の表」、「かぞえていくつ」をお子さまの理解度に合わせて使います。ひき算、たし算の考え方を「自分の手で玉を動かして確認」できるので理解しやすいです。
仕切り板を使えば2人でも遊べます。
Learning Resources MathLinkシリーズ 算数アクティビティセット キューブ ブロック
商品名:ラーニングリソーシズ (Learning Resources) 算数おもちゃ MathLinkシリーズ 算数アクティビティセット キューブ ブロック 115個入り
販売元:ラーニング リソーシズ(Learning Resources)
数量感覚はもちろん、たし算やひき算、空間認識力、面積や体積などの概念を養えるブロック。
ブロックの各面にいろいろな形の切り抜きがあり、全面ジョイントOK!ブロック遊びをしながら立体感覚、想像力、創造力、発想力が伸ばせます。
論理的思考力や問題解決力のトレーニングができる、アクティビティカード付き。
立体感覚(含む空間認識力)
立体4目並べ
商品名:立体4目並べ
販売元: 平和工業(Heiwa Kougyou)
2人で遊ぶ木製の立体4目並べです。
先手後手を決めたら、黒と白の球を順番に棒に刺していきます。自分の球が縦・横・斜めのいずれかに4個揃うと勝ち。
さまざまな方向から確認して、どこに置けば自分に有利か試行錯誤することで空間認識力が鍛えられます。
また相手の置き方を予想しながら遊ぶことで、論理的思考力も養われます。
賢人パズル
商品名:賢人パズル
販売元:エド・インター
空間認識力トレーニングの定番。カラフルなブロックを木製の台の上に積み上げて、いろいろな立体を作って遊びます。
56種類のパターンが掲載されたテキストブックを見ながら立体づくりに挑戦しましょう。前後、左右、上と視点が変わるごとに、見える形が違うことに気づけます。
立体の一面を見て、見えていない面も頭の中で予想できる力が伸ばせます。
図形感覚
くもん 図形モザイクパズル
商品名:くもん 図形モザイクパズル
販売元:くもん出版(KUMON PUBLISHING)
カラフルな4色の正方形、直角二等辺三角形のピースを組み合わせて、模様、動物、乗り物などの形を作って遊びます。
ガイドボードをヒントに行うパズルやモザイク作りで、図形の合成・分解・回転の感覚や、面積の基礎を身につけます。
ガイドボードを使わずオリジナルの作品を作ってもOK。図形の形、数を考えながら、デザインすることで図形感覚、創造力が育まれます。
マッチングエッグ
商品名:マッチングエッグ
販売元: EdutoysLand
巧緻運動をしながら図形感覚と色彩感覚を養います。
三角形、四角形、六角形、台形、ひし形、丸形、ハート形、矢印、正符号、花形、星形の12種類の形状と6色のカラーを組み合わせて、可愛い卵を作ります。
乳幼児から就学前まで長く遊べます。子ども園、保育園、幼稚園の教材としても人気。
論理的思考力
学研 頭のよくなるゲーム アルゴ ベーシック
商品名:学研 頭のよくなるゲーム アルゴ ベーシック
販売元:学研ステイフル(Gakken Sta:Ful)
相手のカードの数字を推理して当てるゲーム。1人~4人で遊べます。論理的思考能力、集中力、記憶力、分析力が鍛えられることで算数センスが高められます。
算数オリンピック委員会 若杉栄二氏を中心に、東京大学数学科の学生有志、 第一回数学オリンピック優勝者ピーター・フランクル氏らが共同で発明・開発した世界的ベストセラー玩具です。
シンプルなルールですが、奥が深い!子どもから大人まで楽しめます。
くもん出版 ぴたっとめいろ
商品名:くもん出版 ぴたっとめいろ
販売元:くもん出版(KUMON PUBLISHING)
マグネットボードにピースを貼って、迷路作り&ボール転がしを楽しみましょう!
ピースを組み合わせて自由に迷路を作ることで論理的思考力、創造力が伸ばされます。
難易度の違うガイドシートに従った迷路作りも楽しめます。ガイドシート通りのコースを作って、ボールをゴールまで転がすことで達成感と挑戦意欲が育まれます。
算数センスを磨く!トランプ遊び
数字と図形が書かれたトランプカード。幼児にもできる簡単なゲームで算数センスを育てることができます。
3歳前後からできるトランプ遊びをご紹介いたします。
繰り返し遊ぶことで数の概念、数量感覚と図形感覚が養われます。
戦争(推奨人数2~4人)
1.ジョーカーを除いたカードを等分して配ります。あまりのカードはよけておきましょう。
2.カードは裏向きに置きます。掛け声とともに全員一斉に手持ちのカードの一番上を出します。
3.一番大きい数を出した人が勝ち。全員が出したカードをもらえます。
ルールとしては、「Aが一番強く、2が一番弱い(強い順に並べるとA、K、Q、11,10,9,8,7,6,5,4,3,2)」が一般的ですが、幼児の場合はAが一番弱く、Kが一番強いとした方がわかりやすいでしょう。
4.1~3を手札がなくなるまで繰り返し、一番カードが多かった人の勝ちとなります。
※一番大きい数字が同時に出たら、勝利者同士で「決闘」します。
決闘する人たちは次のカードを一斉に出し、その数字の大小で勝敗を決めます。
一休さん(推奨人数2人~6人)
1.ジョーカーを除いたカードを裏向きにして円状に並べます。
2.ゲームをする順番を決めたら、1人ずつカードをめくって中央に出します。
3.1,9,3どれかの数字が出たらカードの上に手をのせます。(突き指や擦り傷に注意!)
4.一番遅かった人(手が一番上だった人)の負け。中央のカードをすべて引き取ります。
5.円状のカードがなくなるまで続けて、手持ちのカードが一番多かった人が負けです。
※ゲームを始める前に全員爪を切っておきます。
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外遊びでも算数センスを鍛えられる
数量感覚や空間認識力などを養う遊びと言えば、今まで紹介したインドアな遊びをイメージされる方が多いでしょう。しかし普段の外遊びでも算数センスが鍛えることが可能です。
保育園、幼稚園の園庭、近所の公園、ママパパとのお散歩・・・日常の野外活動には算数センスが育まれる要素がたくさんあります。
遊びの例 | 育まれる能力 |
---|---|
葉っぱの形、花の形、建物の形などを観察して、親子で話し合う。 | 図形感覚 |
鳥の数、虫の数を数える。 | 数量感覚 |
友達と泥団子でお店屋さんごっこをする。 | 数量感覚 |
ジャングルジムやアスレチック遊具での遊び | 空間認識力 |
砂場での水遊び(目的の場所まで溝を掘り水が流れるのを観察する。) | 論理的思考力 |
かくれんぼ、おにごっこ | 数量感覚、論理的思考力 |
数や図形に興味を持つきっかけは、ママパパが作ってあげましょう。
「この葉っぱと似ている葉っぱはあるかな?」
「電線にとまっている雀さんを一緒に数えてみよう。」
「四角いケーキと丸いケーキをください。」(おままごとのオーダー)
などと、声がけしながら一緒に遊ぶと良いですね。
算数を得意にするのは親次第
これは遺伝と言う意味ではなく、親が「子どもに算数センスを磨く機会を与える」ことが、算数を得意にするということです。
算数が得意な子は、考えることに楽しさを感じていることが多いです。問題を考えることが楽しいと思えるには、算数の知識だけではなく、センスが必要です。
算数の知識とセンスを自転車の練習に例えてみましょう。「自転車の部位の名称」「乗る時の姿勢」「ペダルの踏み方」「ブレーキの使い方」などの知識を知ってるだけでは乗ることはできません。実際に自転車にまたがり、時には転びながら「乗り方を体得」することで乗れるようになります。
「知識+実技トレーニングで得た感覚=自転車が乗れる」
この体得できた感覚こそが算数センスです。
算数のセンスを磨く、実技トレーニングが百玉そろばん、立体パズル、トランプ遊びなどにあたります。
勉強をさせると思うと親も気が重くなります。数、図形、立体を使った遊びを一緒に楽しむ感覚で、気負わず算数センストレーニングをしましょう。