子どもの遊びとして、トランプの出番は少なくなってきました。しかしトランプ遊びには、お子さまの能力を高めたり親子のきずなを深めたりなど、魅力的な効果がたくさんあります。ここでは、トランプを使ったおすすめの遊び方やその効果を詳しくご紹介します。
トランプ遊びの魅力
最近はゲームというと、スマホなどのデジタルゲームを思い浮かべる方が多いかもしれません。しかしトランプゲームをはじめとするカードゲーム、ボードゲームなどのアナログゲームには、スマホのゲームとは違った楽しさや効果があります。
トランプの最大の魅力は、お金をかけずに年齢問わず楽しめる点です。ルールが簡単なものなら小さなお子さまも楽しむことができ、親子のコミュニケーションにも役立つでしょう。楽しさを共有することで、親子の絆も深まるのではないでしょうか。
またトランプ自体は小さなサイズなので、ポケットやカバンの中に忍ばせて気軽に持ち運びできるところもポイントです。一緒に遊ぶ相手さえいれば、旅行先や外出先などいつでもどこでも手軽に楽しむことができます。
トランプ遊びで伸ばせる能力や知育効果は?
トランプは基本的に2人以上で楽しむ遊びです。スマホゲームとは違い、多くの場合に人とのやり取りが発生します。そのためトランプ遊びを通じてコミュニケーション能力が養われるかもしれません。
また、人との対戦には勝敗がつきもの。勝つときもあれば負けるときもあります。負けたときの悔しい気持ちは、子どもの精神的な成長を促してくれるでしょう。「悔しいからもっと強くなりたい」「どうすればうまくできるんだろう」と心の中で葛藤することは、頑張る気持ちや忍耐力を育ててくれます。
ルールに従ってゲームを進めることや、相手の出方などをうかがいながら駆け引きすることから、注意力や判断力を養うこともできそうです。それと同時に、ゲームごとに異なる能力を高められるのも、トランプの魅力です。
トランプには数字が書かれているので、遊び方を工夫することで算数の土台が身につくと考えられます。たとえば「七並べ」は数字の感覚を養うのにピッタリです。「神経衰弱」では、短期記憶を鍛えることができるでしょう。記憶力は今後、お子さまの学習の支えになります。
トランプカードをめくる動作は、指先の巧緻性を高めてくれることも。「スピード」など素早さを要求されるゲームでは、反射神経なども鍛えられるのではないでしょうか。
幼児から楽しめるおすすめのトランプ遊び
小さなお子さまでも楽しめるトランプ遊びには、どのようなものがあるのでしょうか?
以下に一般的な遊び方8つをご紹介します。
それぞれの知育効果は下表を参照ください。
トランプで得られる知育効果
ぶたのしっぽ | 神経衰弱 |
巧緻性、集中力、記憶力、図形認識力、判断力 | 記憶力、集中力、推理力、数的概念 |
ババ抜き | スピード |
数的概念、判断力、コミュニケーション能力 | 巧緻性、集中力、数的概念、判断力 |
15点 | ニックネーム |
集中力、数的概念、計算力、暗算力 | 記憶力、集中力、数的概念 |
七並べ | ダウト |
数的概念、判断力、論理的思考力、忍耐力 | 集中力、数的概念、推理力、判断力、論理的思考力 |
今回ご紹介する遊びは「ぶたのしっぽ、神経衰弱、ババ抜き、スピード、15点、ニックネーム、七並べ、ダウト」です。
このうちのどれかで、遊んだ経験があるママパパは多いかと思います。どれもルールが簡単なので、小さなお子さまにも説明がしやすいはず。
シンプルなルールで繰り返し遊べる、これらのゲームで育つ能力は10個以上!
すぐに飽きてしまう場合は、カードの枚数を減らしてもOK。
5歳未満のお子さまの場合は15分以内でゲーム終了した方が集中力が続きます。
ぶたのしっぽ
【最適な人数】
3~6人
【使用カード】
ジョーカーを除くすべてのカード
【遊び方】
カードをすべて裏返して、輪になるように広げておきます。
1.親の左隣の人が、並べたカードの中から好きなカードを一枚めくって出します。
2.時計回りに、同じようにカードを1枚ひいて出すことを繰り返しましょう。出したカードが前に出した人と同じ数字か色のカードだった場合、その場にあるカードをすべて自分の手札とします。手札がある場合、手札の中から好きなカードを1枚出してください。
3.丸く広げたカードがなくなるまで繰り返し、手札が一番少ない人の勝ちです。
神経衰弱
【最適な人数】
2~6人
【使用カード】
ジョーカーを除くすべてのカード
【遊び方】
カードはよくシャッフルしておきます。カードが重ならないように気を付けながら、すべてのカードを裏向きに並べましょう。
1.じゃんけんで親を決め、親の左隣の人から時計回りでゲームを進めます。神経衰弱は順番があとのほうが有利なので、親が一番最後です。
2.プレーヤーは裏向きのカードのなかから自由にカードを2枚選び、表向きにします。2枚のカードの数字が同じなら自分のものにでき、さらにカードを2枚裏返すことが可能。数字が違った場合は、そのまま裏返しの状態に戻します。
3.これをカードがなくなるまで順番に繰り返していきます。一番多くの枚数をとった人が勝ちです。
お子さまの年齢に合わせて、少ない枚数からスタートしてもいいですね。
ババ抜き
【最適な人数】
3人以上
【使用カード】
ジョーカー1枚と52枚のカード
【遊び方】
すべてのカードを裏向きにして、同じ枚数ずつ配ります。プレイヤーは手持ちの札を確認し、同じ数字があれば2枚ペアにして捨ててください。
1.カードをおうぎ形に広げて持ち、親の手札を左隣の人が引いて自分の手札に加え、同じ数字がないかをチェックします。同じ数字があれば捨て、なければそのままにします。
2.これをどんどん繰り返し、最後にジョーカーを持っていた人が負けです。
2人で楽しめるトランプ遊び
次に、2人でも遊べるトランプゲームをご紹介します。
スピード
【最適な人数】
2人
【使用するカード】
ジョーカーを除くすべてのカード
【遊び方】
カードを赤と黒に分けよくシャッフルし、赤のカードを使うプレイヤー、黒のカードを使うプレイヤーを決めます。それぞれ手にしたカードの束の上から4枚をとり、自分の前に表向きに並べましょう。
1.「スピード」という掛け声とともに、手札から1枚カードをひき中央に出します。
2.自分の場札から、中央のカードに続く数字のカードを素早く重ねます。色は関係ありません。場札の空いたところには、手札のカードを足していきます。
3.カードを出すのは早い者勝ちです。お互い出せる札がなくなったら、また掛け声と同時に手札からカードを出します。
4.すべてのカードが早くなくなったほうの勝ちです。
15点
【最適な人数】
2人~
【使用するカード】
ジョーカーを除くすべてのカード
【遊び方】
親は1人1枚ずつカードを配り、残りはそのまま中央に置き山札とします。
1.子は手札を見て、勝負する手札を作ります。合計数が10点以下なら10点を超えるまで、1枚ずつ山札からひきましょう。合計数が10点以上であれば、山からひかなくても大丈夫です。親も同様に手札を作ります。
2.手札を見せ合い、最も15点に近い人が勝ちです。ただし15点を超えた場合は負けとなります。
ニックネーム
【最適な人数】
2~7人
【使用するカード】
ジョーカーを除くすべてのカード
【遊び方】
じゃんけんで親を決めます。親はすべてのカードを裏向きに配り、配られたカードはそのままの状態にしておきましょう。
1.プレイヤーは自分にニックネームを付け、それぞれのニックネームを暗記します。
2.それぞれの札の一番上のカードを同時に1枚表向きに出し、同じ数字のカードが出るまで繰り返してください。
3.自分と同じ数字を出した人がいたら、その人のニックネームを言います。先に間違わずに言えた人が勝ちです。勝った人は自分の捨て札をすべて相手に渡すことができます。これを繰り返し、自分の手札を一番早くなくした人の勝ちです。
3人以上だと楽しいトランプ遊び
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はじめてトランプを手にするお子さまには、大好きなキャラクターのものもオススメですよ。
3人以上で遊べる、たくさんの人数で盛り上がりたいトランプゲームをご紹介します。
七並べ
【最適な人数】
3~8人
【使用するカード】
ジョーカーを含む54枚、もしくはジョーカーを除いたすべてのカード
【遊び方】
じゃんけんで親を決め、親はカードを裏向きにしてすべて配ります。配り終えたら各プレイヤーは、手札の中から7を出して場に置きましょう。
1.親の左隣の人から、時計回りにカードを1枚ずつ出します。出せるカードは、7に続く6か8のカードです。また、同じマークのところにしか出すことができません。
2.同じように、どんどん数字が連なるようにカードを出していきます。出せるカードがない場合は3回までパスが可能です。ジョーカーを持っている場合、ジョーカーを置くこともできます。4回パスすると失格です。
3.手元のカードがすべてなくなった人が勝ちです。
ダウト
【最適な人数】
3~7人
【使用するカード】
ジョーカーを除くすべてのカード
【遊び方】
じゃんけんで親を決め、親はプレイヤー全員にカードを配ります。
1.親が「1」といいながらカードを裏向きにして出します。このとき出すカードは、Aでも違うカードでも構いません。
2.順番に数を数えながらカードを出していきます。同じように、読み上げた数字とカードの数字が違っていても構いません。パスはできないので、読み上げた数字を持っていなくてもカードを出さなければなりません。
3.13になったらまた1に戻ります。誰かがカードを出している最中、「読み上げた数字と出した数字が違う」と感じたら「ダウト」と言いましょう。言われた人は、カードを表向きにします。
4.表向きにしたカードと読み上げた数字が違った場合、カードを出した人が場のカードをすべてもらいましょう。数字が同じだった場合は、「ダウト」といった人がカードをすべてもらいます。一番最初にすべてのカードがなくなった人が勝ちです。
わざと負けてあげるのはNG?
親子でトランプを楽しむ際、まともに対戦するとどうしても親のほうが勝ってしまいます。そこで迷うのが「わざと負けてあげたほうがいいの?」ということ。
子どもは負けてばかりで勝てないと、自信を失いトランプ遊びが嫌いになってしまうこともあります。遊び始めのうちは、たまには負けてあげることも、お子さまのやる気を失わせないコツです。もちろん、お子さまの理解力に合わせたものから始めることも大切です。最初は運要素の強いババ抜きなどから始めてみましょう。
大泣き、癇癪・・・どうする?負けた時の対処法
トランプ遊びで負けてしまった時、悔しい気持ちが抑えられずに大泣きしてしまう幼児は多いかと思います。
トランプカードを放り投げる、並んだカードをめちゃくちゃにする、勝った子を叩く、暴言を吐く・・・泣きながら起こす癇癪行動も困りますよね。
ついつい叱ってしまう、無視してしまうママパパもいらっしゃるかと思います。
子どもの自己肯定感を高めながら、セルフコントロール能力を育む対処法をご紹介いたします。
※セルフコントロール能力(自発的に感情・思考・行動を統制する能力)
無視はNG!親が寄り添って
兄弟やお友達の前でギャン泣きする子どもに対して、甘やかさないようにあえて「知らんぷり」するママパパも多いかと思います。
この知らんぷりは、子どもに疎外感(親から見放されている、愛されていない感覚)を与えます。自分は親にとって「注意を引かない存在である」と感じさせてしまうので、自己肯定感も低くさせてしまいます。
また「負けた悔しさを泣いて騒いでアピールする。」ことを、親が放置することでその行動パターンが日常化していきます。
負けた時に泣き始めたら、親が寄り添い感情の爆発を受け止めてあげましょう。
子どもの興奮を鎮める3ステップ
1.声をかけて側に寄り添います
2.できるようなら、抱っこします。(何らかのスキンシップで安心させます。)
3.子どもの話を聞きます。悔しさ、怒りを共感して受け止めます。
2歳からできるアンガーマネジメント法
勝負に負ける、友達と喧嘩する時に、冷静でいられる子どもはほとんどいないはずです。
特に幼児は感情のコントロールを司る「脳の前頭前皮質(ぜんとうぜんひしつ)」の発達が未熟なため、癇癪を起しやすくなっています。
子どもがトランプで負けて、手が付けられないほど癇癪を起してしまったら、「怒りのコントロール術」アンガーマネジメント法を行ってみましょう。
ママパパと一緒に行えば、2歳からでもできます。
数を数える
人の怒りのピークは6秒で過ぎ去ります。
怒りを感じたら、とにかくゆっくりと6までカウントします。上手に数えられない場合は、ママパパが一緒に行います。
1.子どもが泣き出し、暴れはじめたらまずはママパパが抱っこするなり、別室に連れていくなりして落ち着かせると良いでしょう。
2.数を数えられるくらいになったら、ママパパと一緒にカウントをはじめましょう。
数え終わるころには怒りが収まってきているはず♪
深呼吸でリラックス
ママパパと一緒に深呼吸することで交感神経(緊張時に活発)を鎮めて、副交感神経(リラックス時に活発)を優位にします。泣きわめいて呼吸が乱れている時は、落ち着かせてから行います。1.ゆっくり息を吐き切ります。2.ゆっくりめいっぱい息を吸います。これを何回か繰り返すだけです。※吐く方に意識を向けると、上手にできます!
友達とゲームする時の心得
子ども同士でトランプ遊びをすれば、言い争いや喧嘩が起きることは避けられません。
特に子どもが未就学児だけの場合は、「譲り合い」は難しいです。順番、勝ち負けを巡って、取っ組み合いになってしまうこともあります。
大人が一人「審判」として、公平な立場で見守ると良いでしょう。
自分の子だから厳しくする、お友達だから甘くすると言うことはせず、「ルールに従って」遊べるように導きましょう。
まずは、みんなで仲良く遊ぶことを約束させます。
例えば、
トランプを始める前に「楽しく遊ぶための3ルール」を決めておくのもおすすめです。
・喧嘩になったらゲームはストップ。
・審判(大人)の指示に従う。
この3つを伝えると、揉め事は減らせるはずです。
負けた時友達を叩いてしまったら?
たとえ友達の方が先に暴言を吐いてきたとしても、手を挙げてしまったことに関しては必ず謝罪させましょう。
自分の子が大泣きして癇癪を起しているようであれば、一旦友達から離れさせます。親が先に友達に謝ってから、子どもを落ち着かせると良いでしょう。
その後、子どもからも謝罪させます。
友達の暴言がきっかけでのトラブルの場合、子どもが納得しないこともあります。
先に謝罪した上で、暴言に傷ついたことを「子どもが」伝えましょう。
その場で友達に気持ちが伝わらなくてもOK。意思表示することに意味があります。
トランプ遊びで親子のきずなを深めて
トランプはただ楽しいだけではなく、お子さまのさまざまな能力を高めることが期待できます。また親子一緒に取り組むことで、家族のきずなも深めてくれそうです。たまにはスマホを置いて、家族みんなでトランプ遊びを楽しんでみてはいかがでしょうか。