子どもがなかなか本を手に取ってくれない、そんな悩みをおもちのお母さんにおすすめ、タイトルもユニークで楽しいキャラクターがたくさん登場する斉藤洋さんの児童文学をご紹介します。
読書が好きになるきっかけは楽しい本との出会い
みなさんは子どもの頃本を読むことが好きでしたか?好きだった記憶がある方はきっと本が好きになるきっかけの一冊があったことでしょう。
ふと立ち寄った本屋さんでカラフルな絵本を買ってもらったことがきっかけで、挿絵のキレイな本に惹かれるようになった。お母さんが読み聞かせてくれた本が面白く、いつもわくわくして聞いていた。図書館でふと手に取った本が面白く、時間を忘れるほど読みふけった。
どれも一冊の本との出会いがきっかけだったことでしょう。今回は本を読むことが好きになる、そんなきっかけを子どもに与えられそうな斉藤洋さんの著作を6選ご紹介します。
子どもが喜ぶ楽しい作品をたくさん書かれている斉藤洋さん
斉藤洋さんはドイツ文学者であり、児童文学作家です。代表作である「ルドルフとイッパイアッテナ」はデビュー作だそうです。魅力的なキャラクターの登場人物、思わず引き込まれてしまう動きのあるストーリー、そして楽しい会話の数々。これほど完成された作品がデビュー作であるとは驚きですね。映画化されたことも記憶に新しいでしょう。
斉藤さんは他にもユニークな動物が主役となっている楽しい作品を多く出版されています。タイトルも独特なものが多く、思わず手に取ってみたくなることでしょう。登場人物のキャラクターに魅力があり、シリーズを通して全て読みたくなるというのも斉藤作品の特徴です。自然に本を読む時間が増えていくことでしょう。
斉藤洋さんの代表作「ルドルフとイッパイアッテナ」について
映画化されたことも記憶に新しい「ルドルフとイッパイアッテナ」ですが、どのような内容の物語なのでしょうか。少しご紹介します。
飼い猫ルドルフはひょんなことがきっかけで、生まれ故郷から遠く離れた町に行くことになります。いつか家族のもとに帰ることを夢見ながら、新しい町でノラ猫として奮闘する、という冒険のお話です。
先輩猫「イッパイアッテナ」は頼りになる強いボス猫。出会いの場面では、ルドルフが名前を聞くとイッパイアッテナは「おれの名前はいっぱいあってな」と答えます。「いっぱいあってな」が名前だと思い込んでしまうルドルフのあどけなさがかわいくもおかしいエピソードです。実際は「いっぱいあってな」は名前ではなく、ノラ猫なのでいろんな場所でいろんな名前で呼ばれている…という意味なのですが。
子どもと一緒にくすくす笑ったり、冒険にはらはらしたり、最後は友情に感動したり。最高のエンターテイメント作品です。ぜひお子さんと一緒に楽しんでください。
斉藤洋さんの世界、魅力と特徴
「ルドルフとイッパイアッテナ」シリーズはもちろんのこと、斉藤さんは数多くの児童文学を書かれています。年齢の低い子ども向けの物も多くあります。どの作品も斉藤さんらしいユニークな物語ばかり。
思わず子どもが引き込まれるストーリーテリングでもあります。
「ルドルフ」がきっかけで斉藤洋さんの作品に夢中になる(体験談)
わが子が「ルドルフ」に出会ったのは、私が読み聞かせたことがきっかけです。当時まだ小学校1年生。読み聞かせるにはまだ早いかと躊躇したのですが、「ルドルフとイッパイアッテナ」にすっかり魅了された私は思いきって読み聞かせてみることにしました。冒頭のルドルフがトラックで東京まで運ばれてしまう場面から、子どもはすっかり魅了された様子。その後、毎日少しずつ読み聞かせました。
毎日読み聞かせタイムを楽しみに心待ちにしていました。わくわくして聞いている子どもの顔は今でも忘れられません。
魅力のある物語なら、長くても集中して聞くことができることを実感した出来事です。すっかり斉藤さんの本のファンになった子どもは、自分で読み進めるようになりました。
低学年におすすめ斉藤洋さんの著作5選
斉藤さんの物語はちょっとしたひねりがあったり、おちがあったり。そうきたか!と思うような意外性があります。タイトルを見ているだけでもワクワクするような作品ばかり。その中でも特におすすめしたい5冊を紹介します。
ペンギンハウスのメリークリスマス/講談社
ある港町の小さなレストラン。このレストラン「ペンギンハウス」はクリスマスになるとカウンターの一席にペンギンの置物が置かれます。実はこのペンギンには秘密があり…。クリスマスの可愛らしい心温まるお話です。
店の主人とペンギンの会話もユーモアたっぷり。動きのある派手な物語ではありませんが、挿絵もかわいく温かみがあり、忘れられないクリスマスの思い出の一冊です。
しばらく絶版になっており、がっかりしていましたが、復刊しました。多くの方に読んでもらいたい物語です。
みなみのしまのサンタクロース/佼成出版
みなみのしまのサンタクロースはむぎわらぼうしをかぶっています。助手はカンガルーとコアラ。役に立たずでどちらかといえば、邪魔するばかりのコアラですが、サンタクロースはなぜコアラを助手にしているのでしょうか。
コアラのありのまま自由にふるまう姿に、どんな子どもでも誰かの、何かの役に立っていると気が付かされます。
頑張らなくてもいい、ありのままでいい。そんな安心感や愛情を深く感じられる絵本です。ルドルフの挿絵も書かれている高畠純さんの温かみのある可愛らしい絵に大人もほっこりと癒されるのではないでしょうか。
千年ぎつねの春夏コレクション/佼成出版
公園で鳩にポップコーンをあげている時、大きな声を出しておどろかせてみましょう。みな飛んで逃げてしまうけれど、中には飛ばずに走って逃げる鳩がいるかもしれません。それは鳩ではなく鳩に化けたキツネです。
冒頭のこのエピソードからすっかり引き付けられてしまうことでしょう。奇想天外な、ユーモアにあふれた千年ぎつねの物語です。千年ぎつねは今度は何に化けるのか、大人も思わずわくわくしてしまいます。
ギュレギュレ!/偕成社
長めの物語ですが、一話ごとそれぞれ独立したお話なので、毎日ひとつずつ読むとちょうどいいでしょう。ある日突然現れたトルコ商人。玄関マットを売りに訪れたのをきっかけに、毎回主人公に摩訶不思議なものを売りに来るようになります。
ふしぎな島、ふしぎな電気雲、ふしぎな掛け時計、ふしぎなゴーグル…。摩訶不思議な物語のはじまりです。
イスタンブールやクアラルンプール、エキゾチックなまだ見ぬ外国の町にも心が踊ります。トルコ人が口にするトルコ語も読み進めるうちにおぼえてしまうかもしれません。今日はトルコ商人は何を売りに来るのかな。
多くのことに興味を持つきっかけとなる一冊になりそうです。
「おまえだ!」とカピバラはいった/講談社
タイトルからすでに面白そうな予感がします。ある日突然38階のぼくの家にマンタがやってくる、そう、水族館にいるあのマンタです。
「ジンベイザメが元気をとりもどせるよう手伝ってほしい」そういわれマンタの背中に乗り家の窓から東京上空を飛びたつ主人公。最初からありえないことが次々と起こり、物語は始まります。
他にも愉快な名前のついた動物や海の生物が登場し、ぼくは不思議な冒険に出ることに…。
こちらもかなり長めの物語なので、読み聞かせて親子で一緒に楽しんでみましょう。
たくさんの楽しい物語をお子さんと楽しんでみましょう
いかがでしょうか。読んでみたい!と思えるような楽しそうな物語ばかりですよね。斉藤さんの本は子どもだけでなく、大人もわくわくするものばかり。私も子どもとたっぷり楽しませてもらいました。ぜひ親子で楽しんでみてください。