我が子に賢く育って欲しいと考えるのは親の常。
乳幼児の内から知育教材で学ばせたり、幼児教室に通わせたりするご家庭は珍しくありません。
また幼稚園、保育園に通う前から、家庭学習の習慣をつけておきたいとお考えの親御さんも多いでしょう。
とは言え、好奇心旺盛で運動欲求も高まる乳幼児期~学童期の子どもに「集中して勉強させる。」のは難しいかもしれません。毎日決まった時間にワーク、ドリルなどをやるように決めても、機嫌が悪かったり、遊びが始まってしまったりして「親が思った通り」の学習スケジュールで進まないこともあります。
机に向かって、じっと座っているのが苦手な子もいるでしょう。
一方で
「親から言われなくても、自分から勉強する。」
「学校や塾の宿題を先延ばしせずに、すぐにやる。」
と言う子が存在するのも事実。
そう言った「勉強を進んでする子ども」を見ると、ついつい「生まれつき地頭の良い、選ばれし子なんだ、うちの子とは違うのだ。」と諦めてしまいそうになります。
しかし、そうではありません。
勉強のやる気がない子は「勉強に興味、楽しさ」を感じていないだけです。
親が知的好奇心、自主性を伸ばすサポートをするだけで「勉強へのやる気」はどんどん育ちます!
成績の良い子の家庭環境とは?
平成30年に国立大学法人お茶の水女子大学が発表した「保護者に対する調査の結果と学力等との関係の専門的な分析に関する調査研究」の第2章「家庭環境と子供の学力」において、家庭環境と学力の関係性について考察されています。
平成25年度の保護者調査の分析の結果、以下のような家庭環境で育った子どもの学力が高い傾向がありました。
勉強 |
■学校外教育支出が多い。 ■普段、子どもの勉強をみている。 ■計画的に勉強するようにうながしている。 ■子どもが英語や外国の文化に触れるよう意識している。 |
生活・しつけ |
■子どもが決まった時刻に起きるよう(起こすよう)にしている。 ■子どもを決まった時刻に寝かせるようにしている。 ■毎日子どもに朝食を食べさせている。 ■自分でできることは自分でさせている。 ■子どものプライバシーを尊重している。 ■テレビゲーム(コンピュータゲーム,携帯式のゲームを含む)で遊ぶ時間を限 定している(または,「持たせていない」)。 ■携帯電話やスマートフォンの使い方についてルールや約束をつくっている(または,「持たせていない」)。 |
読書 |
■子どもに本や新聞を読むようにすすめている。 ■子どもと読んだ本の感想を話し合ったりしている。 ■子どもが小さいころ,絵本の読み聞かせをした。 |
親子でおでかけ |
■子どもと一緒に美術館や劇場に行く。 ■子どもと一緒に博物館や科学館に行く。 ■子どもと一緒に図書館に行く。 |
親子の対話 |
■子どものよいところをほめる等して自信を持たせるようにしている。 ■子どもから学校での出来事について話を聞いている。 ■子どもと勉強や成績のことについて話をする。 ■子ども将来や進路についての話をする。 ■子どもと友達のことについて話をする。 ■子どもと社会の出来事やニュースについて話をする。 |
親の意識、行動 |
■子どもに高い学歴を期待する。 ■子どもが自立できるようにすることを重視する」,「人の気持ちが分かる人間になることを重視 する。 ■自分の意見をはっきり言えるようになることを重視する。 ■将来の夢や目標に向かって努力することを重視する。 ■(保護者が)学校の教育目標やその達成に向けた方策を知っている。 ■(保護者が)学校や学級の教育活動に関する情報提供(学校のホームページ,学校だよりや学級だより等)は役に立っていると感じている。 ■(保護者が)地域には,ボランティアで学校を支援する等,地域の子供たちの教育に関わってくれる人が多いと思っている。 ■(保護者が)規則正しい生活を心がけている。 ■(保護者が)地域や社会で起こっている問題や課題,出来事に関心がある。 ■(保護者が)本を読む。 ■(保護者が)テレビやインターネットで政治経済や社会問題に関するニュースを見る。 ■(保護者が)新聞の政治経済や社会問題に関する記事を読む。 |
上記表の項目を見ると、「勉強しなさい!」と強要する親のイメージはありません。
子どもとのコミュニケーションを大切にして、自主性を重んじています。
学校外教育で可能性を探る、図書館や博物館などの文化施設へ連れていく、読み聞かせをする、など子どもがいろいろなことに興味が持てるように導いている親御さんが多いですね。
参考資料:https://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/micro_detail/__icsFiles/afieldfile/2018/07/10/1406896_1.pdf
国立大学法人お茶の水女子大学「保護者に対する調査の結果と学力等との関係の専門的な分析に関する調査研究」平成30年
未就学児の勉強のやる気=親からの褒め言葉
6歳までの幼児期は「学びを楽しいと感じられる脳」を、無理なく育てられるゴールデンタイム。
この時期は、脳の神経細胞が爆発的に増えた後、必要な神経細胞をピックアップして残す「脳の急成長期」です。
賢い子、地頭の良い子に共通するのは知的好奇心が強いことです。知的好奇心を育てるには、外遊び、習い事、読書などで「知ることの楽しさ」を実感させてあげましょう。
同時に必要不可欠なのは親子のコミュニケーションです。幼児期の物事に対する”やる気”の原動力は「ママパパからの褒め言葉」です。親から褒められることで自己肯定感が高められ、情緒も安定します。
毎日の「ワーク(勉強や課題)」をその都度褒めよう
計算、読み書き、外国語、音楽、スポーツ…早期教育にはさまざまなものがあります。
基礎学力をつける、英語耳を育てる、絶対音感を身につける、運動神経を高める、など伸ばしたい能力は違いますが、多くの親の共通の願いは「地頭の良くしたい。」ではないでしょうか。実はこれらの学び(自宅学習、習い事どちらも)は、どれを選んでも「地頭力アップ効果」があるのです。
何を学ぶにせよ「日常的に課題をこなし、達成感や成功体験を積み重ねる」ことで、知的好奇心とワーキングメモリー(思考する際に情報を一時的に記憶する能力)が育まれます。
ドリル、ワーク、発音練習、楽器の演奏、サッカーの練習などの「ワーク(勉強や課題)」を行う際はママパパが近くで見守ります。勉強系以外でも「できたこと」を認め、具体的に褒めましょう。
年齢が低いほど、親からの褒め言葉でモチベーションが上がります。
ママパパの丸つけで勉強が好きに!
問題を解き終わった後、すぐに丸つけしてもらうことで達成感が高まります。また間違った問題の解き直しが、集中力をキープしたままできます。時間がたってしまうと、確認や解き直しが親子共に面倒になってしまいます。
小学校からは承認欲求+ご褒美でやる気アップ!
小学校に入ると、親と一緒にいる時間が少なくなり自立心が強くなります。親の意見をそのまま受け入れるのではなく、自分の意思を主張できるように。
幼稚園、保育園までは「親に言われて」勉強していた子も、面倒くさがったり素直にやらなくなったりします。
宿題や家庭学習が、予定通りのスケジュールで進まなくなることに、ヤキモキするママパパは多いかと思います。
小学校以降は子どもを「一個の人間」として尊重し、接することで親が命令せずとも勉強するようになります。
親が承認欲求を満たすサポートと、時には報酬(頑張った後のご褒美)を与えることで勉強のやる気が高まります。
できないことを責める前に、できたところを褒めよう!
小学生になると承認欲求(他者から認められたい、褒められたい気持ち。自分を価値のある人間だと実感したい気持ち。)が大きくなります。親から褒められることはもちろん、いろいろな人からも認められたい気持ちが育ってきます。
しかし、実生活で友達や先生が褒めてくれることは、「子どもが望んでいる頻度」よりも少ないことがほとんどです。
「頑張っているのに認めてもらえない」気持ちを抱いている子は、大人が思う以上に多いかと思います。
期待しているからこそ出る、親や先生からのダメ出しは、時に子どもの学習意欲を削ぐことも。
いつも側にいる親こそ、たくさん褒めてあげましょう。
勉強、スポーツ、音楽などに子どもが取り組んでいる時に、親はついつい「できていない点」ばかりに目が行きがちです。
まずは「良い点」を見つけて褒めましょう。どんな小さな点でもOK。親が認めて、応援している姿勢をいつも見せることで、承認欲求が満たされ、自己肯定感も育まれます。物事に取り組むことに積極的になることで「学べる量」がアップ!
注意やアドバイスはその後に行うと良いですね。
おやつ、外遊び、ゲームなどご褒美を設定してもOK
勉強を頑張ったご褒美として、「子どもの好きなもの、好きなこと」を与えたり、させてあげたりすることはモチベーションアップに効果的です。
「勉強しなさい!宿題しなさい!」とガミガミ言うよりも、楽しみがあることでやる気が自然と高まります。
しかし、ご褒美によるデメリットも気になりますよね。
「何だかモノで釣るようで、気がひける。」
「ご褒美がないと頑張らない子になりそう。」などの声も良く聞かれます。
毎回、金銭やモノをご褒美にすると「報酬の価値」が下がってしまいます。大きなテスト、行事のご褒美としてはアリかもしれませんが、デイリーなご褒美はもっと軽いもので大丈夫。
宿題が終わってから外遊び、テストで100点取れたからゲーム時間を延長、毎日の勉強の後にシールがもらえるなど…「ちょっとしたお楽しみやお得感」でやる気がアップします。
勉強のやる気が出ない時の対処法
幼稚園、保育園から帰ってきた後、いつまでもテレビを観ている、学校から帰ってきて宿題をせずにゲーム三昧…いつまで待っても勉強を始めない日はどう対処したら良いのでしょうか?
思わず叱ってテレビ、ゲームを消してしまいたくなりますが、そこはグッと我慢してママパパが一歩歩み寄ります。
子どもの今の気持ち、疲労具合を観察して「現状に見合った勉強量、レベル」を提案することで、勉強へのハードルが下がります。
■勉強量を減らす。 | いつもやっているドリルやワークの量を思い切って減らします。 ・3ページ→1ページ ・20問→10問 のように、目に見える形で減らします。 減らしたことで、集中力ややる気が高まるようであれば、普段の勉強量が多すぎる可能性も。 |
■短い時間で複数回に分けて勉強する。 | おやつの後、お風呂の前、夕ご飯の後などの5分~10分だけ勉強します。 短時間&間隔開けての勉強は、集中力と記憶力が高まります。 |
■親も一緒に勉強する。 | 子どもの近くで、親も「自分の課題」をやります。資格の勉強、仕事など「やらなくていけないこと」をやっている姿を見せます。 子どもがやっている課題に一緒に取り組んでも良いでしょう。 |
■無理に勉強させずに見守る。 | あえて何も言わずに見守ります。 本当に何もやらないようであれば、パズル、読書、迷路など「知育になること」を遊びの中に取り入れます。 |
宿題、塾の課題など「やるべきこと」をやらない時の対処法
学校や塾の宿題など「やるべきこと」さえやらない時、どうやって勉強に向かわせていますか?叱りつけたり、ゲームや漫画を取り上げたりすることは逆効果です。
大人でも「何もやる気が起きない日」ってありますよね。そんな時は、追いつめられると余計に逃げ出したくなるはず。
子どものペースで学べるように、口出ししないことも立派なサポートです。
「やるべきこと」をやらない時の3つの対処法
■親も一緒に子どものそばで仕事、読書などをやる。
■わからなければいつでも質問OKにして寄り添う。
■あえて放置、「やらなかった時」の気まずさを体験させる。
進んで勉強する子は知的好奇心が高い
親に言われなくても、進んで勉強ができる子は「さまざまことに興味を持つ」性質があります。未知のことに関心を持つ、物事について深く知ろうとする「知的好奇心」の高い子ほど、集中力が高く成績優秀な傾向があります。
「勉強しなさい。」と言われなくても、自主的に机に向かえるようにするには、できるだけ早い時期に知的好奇心を伸ばすことが大切です。
幼児期から始める「知的好奇心の育て方」
1.図鑑を与える
乳幼児でも目で見て楽しめる図鑑は、知的好奇心を育む効果抜群!
宇宙、気象などの教科学習につながりそうなものを与えたくなりますが、子どもの興味がある分野であれば何でも良いです。戦隊モノ、魔法少女モノの図鑑でも問題ありません。
都内のある中学受験専門塾の成績優秀者の共通点は「幼児期に図鑑(戦隊モノ)にはまっていた。」ということだったそうです。
2.楽しいを親子で共有
高学歴者の親は「幼児期に子どもとの時間を多くとっていた」傾向があります。
勉強を教えるだけではなく、外遊びを一緒にする、図書館や博物館へ連れていく、ボードゲームやカードゲームを家族で楽しむ…など親子で楽しむことを大切にすることで、子どもはさまざまなことに興味を持つようになります。
3.いろいろな人とコミュニケーションをとる
家族以外の他者との交流は、子どもの社会性を高め、コミュニケーション能力を伸ばします。
自分とは違う考え方、行動パターンを見聞きすることは、脳を活性化させ「身の回りの人、モノ」への興味を深めます。
子どもに「先生」になってもらうことで理解を深める
「○○(お子さまの名前)先生、今日のドリルの計算方法を教えてください!」
「すごい!よくわかったね。どんな式でこの答えを出したの?教えて。」
などと言って、子どもに学習内容を解説してもらいます。
ホワイトボードなどを用意して、先生気分を盛り上げても良いですね。
人に教える前提で学習したことは、記憶に残りやすいです。他人にわかるように説明しようとすると、より多くのことを詳しく知ろうとするからです。
ママパパから頼られることで、集中力と記憶力もアップ!
睡眠時間と短時間学習が学力アップの近道
十分な睡眠を取ることで、学んだことが記憶として定着します。小学校低学年までは10時間以上の睡眠時間を確保することで、日中の脳の働きが劇的に良くなります。
「寝る間も惜しんで勉強する。」ことは、効率が良くないです。
またダラダラ同じ内容を長時間勉強することは避けたいものです。
受験やテスト前は、勉強時間が長くなりがち。親子で勉強していると苦手箇所を克服したいあまり、長時間同じ単元をやってしまうこともあります。
長時間同じ内容を勉強することは、集中力が低下し学習効率も大幅にダウン。90分同じ内容を勉強するよりも、30分ずつ違う内容を「間隔をあけて」学んだ方が、学習内容が定着します。
1日5分でも良いので勉強する姿を見つめよう
子どもの勉強のやる気を高めるのは、「親の寄り添い」です。特に小学生低学年までは「親の励まし、褒め言葉」が子どものモチベーションを大きく左右します。
叱ることよりも、認めて褒めることを増やしましょう。
テストが返ってきたとき「点数と間違えた箇所」ばかりに注目してしまいがちです。まずは「できていたところ」を褒めたいですね。
忙しくて、子どもの勉強をじっくり見る時間がないママパパも多いかと思います。1日5分でも良いので、お子さまの勉強している横に座ってあげましょう。