美しい日本語でゆったりと歌うわらべうたのよさが今、全国で見直されてきています。「わらべうたには赤ちゃんにとって大切な要素がすべて入っているんです」という銀座・教文館の児童書専門店「ナルニア国」スタッフの国岡晶子さんに、おすすめの本を選んでいただきました。
目と目を合わせるコミュニケーションを大切に
でも、それでもまたすぐに泣きはじめたりしたら……。赤ちゃんは、どうしてほしくて泣いているのでしょうか。
「赤ちゃんは刺激に反応するので、音や映像を見ると泣き止みます。でも本来、赤ちゃんが泣くのは『抱っこして。私を見て』というメッセージなんです。親がそれに応えることで、コミュニケーションの土台が築かれていきます」と国岡さん。
そういうときにぴったりなのが、昔から歌い継がれてきたわらべうたです。抱っこすることで肌のぬくもりが伝わり、目を見て歌ってあげることで赤ちゃんは安心し、親子の絆が深まります。美しい日本語の響きは言葉の土台を育てます。また、ゆったりとした調べは赤ちゃんが本能的に心地いいと感じるリズムなんだそう。
でも、何を歌えばいいのかわからないというパパママも多いのでは? そこで、国岡さんにおすすめを伺ってみました。
楽譜つきで誰でも歌える『あんたがたどこさ』
著者:ましませつこ(絵)
出版社:こぐま社
「おてらのおしょうさん」「おせんべやけたかな」など、楽しく遊べる手遊びうたがたくさん紹介されています。付録として楽譜集がついているので、新しいわらべうたを覚えたいときにもおすすめです。
でも、国岡さんは「音程にこだわらず、お母さんの好きなように歌っていいんですよ」といいます。リズミカルな節回しになっているので、ちょっと高低をつけて読むだけでも歌っぽくなるんですね。声に出して歌うと、パパやママのストレス解消にもなりますよ。
美しい絵も魅力的な『あがりめ さがりめ』
著者:ましま せつこ(絵)
出版社:こぐま社
「いっぽんばし」「げんこつやまのたぬきさん」など、定番のわらべうたや手遊びうたを集めた一冊です。
「ましま せつこさんの絵は千代紙のような日本風の紋様がたくさん描かれていて、とてもきれいなんです」と国岡さん。この温かみのある絵を親子で眺めるだけでも、心がほっと安らぎそうですね。
朝の目覚めが楽しみに『ととけっこう よがあけた』
著者:こばやしえみこ(案)/ましませつこ(絵)
出版社:こぐま社
「こういう楽しいわらべうたで起こしてあげると、朝の目覚めが楽しくなりますよ」と国岡さんがおすすめしてくれたのは、にわとりがいろいろな動物を起こしていくかわいい絵本。
「〇〇ちゃん おきてきな」とわらべうたの中にお子さんの名前を入れて歌ってあげると、子どもが大喜びするそうです。
赤ちゃんの注目度ナンバー1『いないいないばあ』
著者:松谷 みよ子(ぶん)/瀬川 康男(え)
出版社:童心社
「いないいないばあ」の絵本はたくさんありますが、中でもダントツで売れ続けているのが、この松谷みよ子さんの本です。絵がとてもシンプルで、まわりに余計な背景が描かれていないので、赤ちゃんが集中しやすいんだそう。
また、「いないいない……」でページをめくると「ばあ」と出てくる、この単純な繰り返しも重要だそう。
「何度も読むうちに、赤ちゃんは次に何が出てくるかを予測するようになります。そしてその通りになると、大喜びするんです。これが豊かな感情や情緒の安定につながるんですよ」と国岡さん。
絵本をパパママのペースで読み聞かせしてあげてもいいですし、松谷みよ子さん原作の絵本に音楽をつけたわらべうたのCDもあるので、絵本だけだとうまく読み聞かせられないという方は参考にしてみては。
絵本とCDのセットは、出産祝いのプレゼントにもよさそうです。
静かな環境で語りかけの時間を
1日5分でもいいので、テレビやスマホから離れて、静かな部屋の中でわらべうたを歌ったり、語りかけたりする時間を持ってほしい、と国岡さん。その小さな積み重ねが、人生の土台になっていくのです。かわいいわらべうたの絵本で、ぜひ、赤ちゃんとのコミュニケーションを楽しみながら、聞く耳を育ててあげてくださいね。