3月3日は、女の子の健やかな成長を願う桃の節句。初節句を迎えるご家庭では、ひな人形を購入されることと思います。その際、ひな人形の種類や飾り方の豊富さにとまどうパパママも多いのではないでしょうか。ひな人形選びに役立つ「ひな人形の種類と特徴」をご紹介いたします。
ひな人形の種類
【衣装着人形】
【木目込人形】
京雛と関東雛の違い
じつは、男女の場所は雛人形が製作された地域によって異なり、京都を中心とした関西では、向かって右にお殿様、左に京雛と呼ばれるお雛様を飾ります。 反対に関東雛は向かって左にお殿様が座ります。
現在一般的に販売されているものは大半が関東雛で、向かって左にお殿様が座りますが、日本の伝統としては左上座というように、向かって右側にお殿様が座るのが風習です。現代では二人の位置に特に左右を細かく言うことはあまりなく、さまざまな考え方に基づき好みで飾ると良いでしょう。
京雛と関東雛では、お顔立ちも少し違いがあります。京雛は切れ長の細い目に鼻筋の通った京美人という印象のある貴族らしい澄まし顔なのに対し、関東雛はやや目がパッチリ。お顔自体はややふっくらし、優美な雰囲気が漂います。
ひな人形の飾り方
段飾り
七段・五段・三段など、段数に応じて男雛・女雛、三人官女、五人囃子、随臣、仕丁が並べられます。
御膳(おぜん)、菱台(菱餅)、橘と桜、茶道具などの充実した御道具は、おままごと感覚で楽しく飾り付けできそうです。子どもと楽しみながら準備できますね。
親王飾り
シンプルながら気品あふれる親王飾り。省スペースで飾り付けや片付けが簡単なので、近年人気が高い飾り方です。
飾り付け・片付けが簡単なタイプ
収納飾り
ひな人形を出すときは、箱を飾り台にして人形・御道具を並べ、片付けるときは人形・御道具のほこりをはらって柔らかい紙で包み、収納箱に入れるだけ。
人形と御道具をまとめて収納できるので紛失のリスクが少なく、飾り付けもスピーディー。比較的軽く、大きさもコンパクトなので、女性でも持ち運べるものが多いようです。
ケース飾り
ケースで囲われているので、劣化の原因であるほこりや皮脂がつきません。乳幼児にいたずらされないのもポイントです。お手入れは、ケースを拭くだけでOK。
ケースごと出して、しまうだけで良いケース飾りは、忙しいパパママにおすすめです。
華やか、省スペースな「つるし雛」
段飾りなどの両脇につるす「脇役」のイメージもありますが、最近では、正絹を使ったつるし雛など、高級なものも増えてきています。
「ひな人形を飾るスペースがない」「乳幼児がいるので段飾りは難しい」といった理由でつるし雛を選ぶパパママもいるようです。
ぬくもりあふれる陶磁器のひな人形
有田焼のような日本古来の産地はもちろん、欧米の陶器メーカーでもひな人形を作っています。温かみのある質感と透明感、自由な表情・スタイルに愛着がわくはずです。
屏風の種類
屏風には平安時代の宮中において、風除けとして使用されていました。転じて屏風はお雛様やそのお雛様の持ち主である子どもを災厄から守り、邪気を払う魔よけの意味があるとされています。江戸時代あたりから、華やかな金屏風が結婚式やお祝いの席で使用されるようになり、徐々に庶民の文化にも広がっていきました。
屏風と言っても形にもいくつかの種類があり、基本的には二組が一対となった六枚折れで、六曲一双と呼ばれるタイプですが、平型の屏風も販売されています。屏風やお雛様の下に敷く赤い毛せんもまた、魔よけの意味が込められたもの。屏風と相まってお雛様の優美さを引き出してくれます。
屏風に使用されている素材や細工によって価格が異なるため、予算と見映えのバランスを考えて選ぶことをおすすめします。
屏風に用いられている一般的な色
金色で折れのある屏風は、光が乱反射して、お雛様の衣裳やお飾りの魅力を引き立たせることができます。衣裳の色を問わず合う色なので、選び方に迷った場合は金色の屏風を選んではいかがでしょう。ある程度高さのあるもののほうが豪華に見えます。
ひな人形は防虫剤でしっかりケア
ひな人形に使う防虫剤の種類
防虫剤は主に、ピレスロイド系、パラジクロルベンゼン、ナフタリン、樟脳の4種類に分かれます。ピレスロイド系はほかの防虫剤との併用が可能ですが、ほかの成分はそれぞれに相性が悪いため気を付けてください。そのため「お雛様用防虫剤」として市販されている多くの商品は、ピレスロイドが使用されています。
たとえば、前の年に樟脳を使用していた場合は、お雛様の十二単などにその成分が残っている可能性もあり、翌年にパラジクロルベンゼンかナフタリンを使用するのはおすすめできません。
防虫剤の使い方
干し終わったら箱に防虫剤とともに一緒に入れて片付けます。防虫剤は直接人形やお道具、屏風などに触れないようにすること。直接触れると、染みや変色、塗りの剥がれ、溶けなどの原因になります。前述したように、成分の異なる防虫剤の併用は避けてください。
また防虫剤はたくさん入れれば良いというものではありません。成分が強すぎる場合には、気化した成分が再結晶化してしまうこともあります。防虫剤のパッケージに掲載されている、箱のサイズに合った適切な分量を守るようにしましょう。
お雛様は家族から受け継ぐほか、一流作家や職人が創作した希少価値のあるものであることも珍しくありません。上手に保管して大切に使うことをおすすめします。ひな人形だけでなく、羽子板や端午の節句の五月人形にも同じことが言えるため、保管方法を正しく覚えておくと便利です。
ひな人形を飾ってお祝いしよう
生まれてはじめて迎える「初節句」は、両家の祖父母や親戚が集まってにぎやかに行われることが多いですが、近年はパパママだけで祝うことも増えています。
ちなみに、ひな人形を飾るのは遅くとも2週間くらい前までに。前日に慌てて飾る「一夜飾り」は避けましょう。片付けについては、ひな人形をいつまでも出しておくと「婚期が遅れる」と言われますが、根拠はあまりないようです。天気が良く、乾燥した日にしまうようにしましょう。