これからの季節、気になる風邪やインフルエンザ。みなさんは何か対策をしていますか? 風邪に負けない身体をつくるためにはしっかり栄養を補給することが大切です。そこで、管理栄養士である筆者がこの時期の栄養補給にぴったりな果物と、おすすめするその理由をお伝えします。
一般的には、風邪はさまざまなウイルスによって起こるので、ウイルスなどに負けないよう身体の免疫力を上げることが必要です。では、どうすれば免疫力を上げられるのでしょう? 実は、子どもたちも大好きな「果物」には、寒い冬を元気に乗り切るためのパワーが備わっているんですよ。
それでは、風邪対策に効果的な生活習慣や栄養、そして果物についてお伝えします。
風邪予防のためのウイルス対策
まずはウイルスをいれないための工夫
・マスクをする
・手洗いをする
・部屋を適度な湿度に保つ
などでウイルスを遠ざけることができます。
空気が乾燥すると、風邪やインフルエンザにかかりやすくなるので、マスクをしてのどの乾燥を防いだり、特に乾燥しやすい室内では、加湿器などを使って適切な湿度(50~60%)を保つようにしましょう。
ウイルスに負けないための「免疫力・抵抗力」
・十分な休養(睡眠)
・栄養バランスのとれた食事
・免疫力アップの食事
を心がけましょう。
とはいえ、1日に食べられる量も限られる小さな子どもたちが、十分な栄養をバランスよく食事で摂取するのは難しいかもしれません。そこで登場するのが果物です。子どもでも食べやすく、おやつにも出しやすい果物は、この時期、身体を強くするために欠かせないものなのです。
免疫力アップなどの効果が期待できるのが果物
特に注目したいのが「ビタミンC」。
ビタミンCの摂取は風邪予防に効果的だとされ、また風邪をひいてしまったあとでも摂取することで効果があるといわれています。
ビタミンCは、身体の中でつくることができないので、食事から摂取する必要があります。野菜類などにも含まれていますが、水溶性なので溶け出しやすく、熱に弱いので加熱をするとかなり減ってしまうという性質があります。
その点、果物なら加熱せずに生で食べることが多いので、ビタミンCを効率よく摂ることができますね。また、果物は他の生鮮食品と比較して日持ちがするものが多く、熟してもビタミンCがあまり減らないというメリットも!
おいしく食べて風邪予防!おすすめ果物4選
風邪予防の定番!「みかん」
予防のほかには、微熱、のどの渇きなどの症状にも有効です。
みかんに負けないビタミンCを含有する 「柿」
柿は、干し柿にしてもおいしいですが、干すとビタミンCは減ります。その代わり、β‐カロテンの含有量が約4~5倍に増えると言われています。
ビタミンAが不足すると、免疫能の低下や口、のど、鼻、胃、腸などの粘膜の表面にある細胞の乾燥などから感染症にかかりやすくなります。
1日1個で医者いらず「りんご」
りんごの皮には食物繊維が多く、抗酸化作用のあるポリフェノールもあるので、よく洗ってからパパやママは皮ごと食べることをおすすめします。
ビタミンCを手軽にとれる「いちご」
いちごを洗うときのポイントは、傷つきやすくビタミンCが水に溶け出しやすいので、必ずヘタをとる前に洗うようにしましょう。
栄養素を摂るだけならサプリメントでも十分では?と思うかもしれませんが、サプリメントで単一に摂取するよりも、果物を丸ごと食べることの方が、生活習慣病の予防効果が確かであることがわかっています。そのため、できるだけ果物を積極的に食べることをおすすめします。
子どもが1日に摂取する果物の量の目安は?
日本では果物をたくさん摂りましょうと言われながらも、嗜好品と受け止められてしまうことも多く、消費量を見てみるとは、若年層での果物離れが目立ちます。
厚生労働省等が定めた食生活指針を踏まえ、果物を毎日の食生活に欠かせない品目として定着させるため、1人1日200g/成人(可食部)以上の果物摂取を推奨する 運動(「毎日くだもの200グラム運動」)が推進されています。
子どもの摂取量は月齢、年齢によってさまざまですし、食欲、運動量などによって食べられる量も変わってきますが、おやつや食後のデザートとして考えれば、1日の摂取カロリーの15%くらいを目安にすると良いといわれています。
「東京都幼児向け食事バランスガイド指導マニュアル」によると、幼児(3~5歳)が1日に食べる果物は、
・いちご だったら 6個
・みかん だったら 1個
・柿や桃 だったら1個
・りんごや梨だったら 半分
・バナナ だったら 1本
が1日で摂る目安となっています。
こちらもぜひ参考にしてみてください。
栄養士が語る「幼児のおやつに果物」がいい理由 – Chiik! – 3分で読める知育マガジン –
特に朝が効果的!毎日果物を食べて、元気な身体に!
脳のエネルギー源はブドウ糖のみであり、睡眠中に消費されたブドウ糖をできるだけ早い時点で効率良く摂取できるのが、実は果物なのです。1日のスタートとなる朝食で果物を十分に摂り、失われた有効成分を速やかに補給すると、活力ある1日を送るための用意が効率的にできます。また、果物には水分や爽やかな食感を与える有機酸が多く、朝でも食べやすい上、唾液の分泌を促進させるという効果も。唾液の分泌は食欲の増進にも役立つとともに、風邪の予防に繋がります。
そんな良いことづくしの果物、ぜひこの季節に積極的に摂って丈夫な身体づくりを目指しましょう!
厚生労働省(日本人の食事摂取基準(2015 年版))
厚生労働省「インフルエンザQ&A」
厚生労働省「統合医療」情報発信「海外の情報」Cochrane
農林水産省(平成21年度 にっぽん食育推進事業)
公益財団法人日本果実協会 (うるおいのある食生活推進協議会)
東京都幼児向け食事バランスガイド指導マニュアル
(監修/一般社団法人 母子栄養協会)