2020年、小学校の英語教育開始は5年生から3年生に引き下げられました。そこで教育指導要領改訂のポイントと解説、今やっておくべきことなどをご紹介!元英語教員・現在は0歳児のママとして子どもの将来のためにも気になる英語教育。教員経験もふまえた目線で解説していきます!
「新」学習指導要領とは
そもそも「新」学習指導要領とはいったい何なのでしょうか。
学習指導要領とは何か、そして「新」学習指導要領の中でも特に小学校英語教育に関する変更点を主に取り上げてポイントをご紹介します。
学習指導要領とは
全国どこの学校でも、学習指導要領に基づいてカリキュラムが作られます。地域が違っても、受ける授業にバラツキがでないようにするためにあるといえます。
学習指導要領は、10年ごとに改訂されます。時代の変化や子供たちを取り巻く状況、社会のニーズなどを踏まえて新しくなっていきます。教科書なども学習指導要領の改訂を受けて変わります。
「新」学習指導要領は、いつ・なぜ改訂になった?
なぜ新しくなったのでしょうか? 10年おきに改訂するので節目ということは勿論、近年の
・グローバル化
・スマートフォンの普及
・ビッグデータや人工知能(AI)の活用
などによる技術革新が進んだためです。
10年前と比べると世界は大きく技術が進んでますよね。そこで、社会や世界の変化に対応できる力をつけよう!
グローバル化で世界共通語である英語が大切なので英語力・コミュニケーション能力を強化しよう!
AIが活躍するからこそ、自分で考える豊かな感性を育もう!問題や課題を解決する力をつけよう!となったわけですね。これをふまえ、英語以外にもプログラミングの必修化や、道徳授業なども変化しました。
「新」学習指導要領の英語教育では何を重視している?
新しい学習指導要領では、「何を学ぶか」だけでなく、「どのように学ぶか」を重視します。そのため、「主体的・対話的で深い学び(アクティブ・ラーニング)」の授業を重要視しています。
自分から取り組み、周りの人たちとも一緒に考えていこうね、という内容です。ことですね。
そして、ただ「学ぶ」だけでなく「何ができるようになるか」「何が身に付いたか」も重視します。
今までの英語教育では、せっかく英語を学んでも「書けるし読めるけど話せない」「読めるけど聞き取れない」などの問題が起こることがありました。そこで「聞く(Listening)」「話す(やりとり/発表)(Speaking)」「読む(Reading)」「書く(Writing)」この4つの力(技能)を通して、コミュニケーションを図る基礎となる資質・能力を育成することを新たな目標としています。
実際に使える英語を身につけよう!ということですね。
「聞く」「話す」「読む」「書く」
私が高校英語の授業を担当した際、授業の計画書を毎回作っていました。1つの授業の中で「聞く」「話す」「読む」「書く」の4技能をいかに散りばめて活動するかが大切とされ、作るのに大変苦労した記憶があります。
現に、「話す」をあまりせず英語を学んだ私は英語を話すのが苦手です。聞いて理解すること、答えを書くことはできる、しかし発話できないんです。音を発するという機会があまりに少なかったため、発話の苦手意識も強くなってしまった。理解はできても相手へ話して伝えられないならそれは使える英語とは言いがたいですよね。
授業は「オールイングリッシュでお願いします」(=日本語は使わず、指示や挨拶なども全て英語で授業)と言われた時は心底困った記憶が今でも鮮明に蘇ります。
元英語教員の私の経験からも、使える英語を身につけるためには、4技能の学習は必須といえます。
これからの英語力、4技能を育てるために家庭でできることは? – 知育と幼児教育が3分でわかる|Chiik(チーク)マガジン
小学校英語 新学習指導要領 改訂ポイント
コミュニケーション重視
言語活動について文部科学省は「実際に英語を使用して互いの考えや気持ちを伝え合う活動」としています。いわゆる4技能のことですね。
今までの英語教育は、先生から文法などの構造や知識を学んでから、コミュニケーションをするという流れでした。反対に、今回の改訂では、コミュニケーションをまずとってみるという姿勢に変わっています。
先生が一方的に教えるスタイルではなく、コミュニケーションをとった中で生徒たち自身が文法や単語を自ら気づき、考え、発していくという生徒主体のスタイルへの変化です。
よって、「どれだけ学ぶか」から「どれだけ効果的に4技能を働かせ、コミュニケーション能力を高めるか」が大切となります。
外国語学習が小学5.6年生→3.4年生
小学5.6年生(高学年)では「外国語」として「読む」「書く」を加えた4技能を学び、中学校での英語教育につなげようとしています。
中学年の目標は、「聞く」「話す」に慣れ親しむこと。高学年の目標は、2段階に分かれており、1段階目は「読む」「書く」に慣れ親しむ。2段階目は、実際のコミュニケーションで使える「聞く」「話す」「読む」「書く」4技能を身につけることです。
外国語活動の必修化から教科化へ
小学3.4年生(中学年)では「外国語活動」は必修というだけで、まず慣れ親しむことが目標となるため成績はつきません。小学5.6年生(高学年)では算数や国語と同じように「外国語」という教科なので、成績がつくようになります。求められる目標も「4技能を身につける」ことなので、身に付いているかどうかが成績として出されます。
自分で考える力がより求められる方向へ
新学習指導要領ではコミュニケーション(双方向性)も重視しますがそれだけでなく、自分の意見を持ったり発したりする自主性も重視しています。
新学習指導要領へそなえて今やっておくべきこと
小学校の外国語教育は、4技能の「総合力」がもとめられます。改訂前と違って、英語が書ければいいわけでも読めればいいわけでもありません。あくまで4技能を身につけ、使い、コミュニケーション能力を高める、使える英語を使えるようになることに着目されています。
そこで今やっておくべきことは「話す」「聞く」「読む」「書く」「コミュニケーション」の実践を積み、基盤を作っておくとよいでしょう。
なるべくお金がかからず、すぐに今日からできることに絞って紹介いたします。
親子・おうちでの会話量を増やす
コミュニケーションを普段とっていない子が、「はい話し合ってみて」「発表してみて」と言われたらどうでしょう?ましてや英語で。出来なくて英語の授業にマイナスな印象を持ってしまうかもしれません。
以前、教育者として小学生に英語を教える機会がありました。その時感じたのは、日本語で質問をしたとしても、答えることやコミュニケーション自体に苦手意識を持っている子がしばしばいるということです。
特に新学習指導要領ではコミュニケーションの育成が大切とされているので、まずは日本語だとしても会話のコミュニケーション母数を増やすことが大切です。次に内容。お子様が自分で考えて答えるような質問をしてあげるといいでしょう。例えば、公園に遊びに行って帰ってきたとします。「公園、楽しかった?」とYES/NOで答えが終わる質問だけでなく、「なにが1番楽しかった?」「どういう時が楽しかった?」など、YES/NOではない本人が考えて答えがでる質問をしてあげるとよいでしょう。注意点は、質問していくにあたって、詰問のように責めた口調や内容にならないようにすることです。おだやかなコミュニケーションを通し、豊かな発想力を育みましょう。
論理的思考を会話に取り入れよう(応用編)
先ほどの公園の例でいくと「なにが1番楽しかった?」のあとに「どうしてそれが楽しかったのかな?」と理由を聞いてあげるのもよいです。他の例では「お花はどうやって育つの?」と聞いて、種まきからの順序を説明してもらうのもトレーニングとなります。質問の際には「いつ・どこで・誰が・どんな風に・何を・なぜ」などを意識して聞いてあげると答えを探すために考えやすいかと思います。考えることが身につくと、言語が英語だとしても、とっさに考えてみるということができ、英語への抵抗感を減らせます。また、英語の質問に答える時の回答も浮かびやすくなります。
表現をする
自分の気持ちや考えを言葉や表情で表現は勿論、絵に書くことも表現力を養います。
自由なお絵かきもいいですし、「最近楽しかったことを書いてみて」など気持ちを形にさせることも効果的です。
英語にふれてみる
オススメなのは、英語の音を聞かせて耳を慣れさせることです。
英語には、日本語には存在しない音があります。これは理屈ではなく体感的に学ぶのが1番いいため、少しでも多くネイティブの英語の音(声)を聞かせましょう。子供はとても耳がいいです。なるべく多く英語を聞かせて、感覚を鍛えましょう。
現在、100円ショップにもアルファベットのマグネットなど英語教育おもちゃが置かれているそうです。生活の中や、身近なところに英語を置いてふれる機会を作ってみましょう
【ほぼ歌詞付き】ネイティブの子どもに人気な英語の歌30選♪ – 知育と幼児教育が3分でわかる|Chiik(チーク)マガジン
英語を取り入れてみる
行動に合わせた声かけが効果的です。例えばお風呂の時間なら「Let’s take a bath.(お風呂に入ろう)」「It’s bath time.(お風呂の時間よ)」、ご飯の時間なら「Dinner is ready.(夕食の準備が出来たよ)」など継続して声をかけていきましょう。
0歳4か月の私の息子は、お風呂の時と寝る時間には英語の歌を聞かせていました。すると歌を流さず口ずさんだり文章を言ったりするだけでアクビをするようになりました。お風呂もお昼寝や睡眠は気持ち良くてリラックスできるものとインプットされたのでしょうか。0歳でさえ英語の音を聞き分けているので、それ以降のお子様は確実に聞こえて聞き分けています。話せなくても、反応がなくても、継続して続けていくと英語耳や文章・単語が身についていきます。これが小学校の英語教育の土台となっていくのです。
4技能同様に、ただ聞くだけでなく、読み、時には声に出したり(話す)英語を書いてみたり、様々な角度から英語にふれることで英語の感覚が育っていきます。
おうちで英会話!育児に使える英語フレーズ集 – 知育と幼児教育が3分でわかる|Chiik(チーク)マガジン
まとめ
私も中学2年生まで、英語に興味が全くありませんでした。しかし、親の協力もあり英語の勉強量を増やし、触れる機会を増やしたらどんどんわかり楽しくなり教員免許を取れるまでになりました。
語学勉強は大きな成果が見えるまで長い道のりですが、コツコツ取り組むことで将来的に大きな結果につながりやすいものでもあります。英語を生活に取り入れ、お子様と英語ライフを楽しんでみましょう!