2019年11月22日 公開

公立小学校の英語授業の現状とは~英語ボランティアを通して感じたこと

筆者の息子が通う都内の公立小学校では、週に一度、英語のクラスがあります。小学校ではどんな授業が行われるのか、生徒さんの理解度や授業の難易度はどのくらいか?日本語の授業との違いなど、授業ボランティアを通して感じたことをレポートします。

筆者の息子が通う都内の公立小学校では、週に一度、英語のクラスがあります。小学校ではどんな授業が行われるのか、生徒さんの理解度や授業の難易度はどのくらいか?日本語の授業との違いなど、授業ボランティアを通して感じたことをレポートします。

東京都品川区の公立小学校の例

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Whoever / Shutterstock.com
筆者の息子は、東京都品川区の公立小学校に通っています。品川区では、1年生から週に1回程度、英語科の授業があります。1・2年生は年間20時間、3~6年生で年間35時間、7~9年生は年間140時間となります。

都内の公立でも、お住まいの地域によって英語レッスンの有無は変わってくるようです。

品川区のカリキュラム

品川区が公立小学校で取り入れているのはアレンメソッドと文部科学省の指定教材。その独自の英語学習の3つの柱は以下の通りです。

1:リタラシーカリキュラム
アルファベット(文字と音)を学びます。英語の音と文字の関係を学習し、その力を伸ばすための学習です。

2:Story−Based Curriculum
誰もが知っている物語を通して英語を学ぶ「Joint Storytelling(ジョイントストーリーテリング)」という手法を用いて、授業が行われます。物語などを英文で繰り返し練習して話したり、演じたりする活動です。

3:文部科学省作成教材による指導
中学年以上は指定の教材で、聞く・読む・話す・書くの学習活動を行います。

授業の運営について

授業はティームティーチングで行われます。

【1〜2年生】
英語の音声や異文化コミュニケーションに慣れるため、ALT(ネイティブ講師)と担任の先生が授業を行います。

【3〜4年生】【5〜6年生】
授業計画・教科指導のできるJTE(日本人英語指導者)と担任の先生が授業を行います。

この中で、筆者は昨年1年間、1年生の授業にボランティアとして参加しました。

小学校1年生のレッスン内容

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1年生の授業は、具体的に以下のようなものでした。

-挨拶の歌
-今日の天気、日付などを確認

ちょっとした質問でのアイスブレーク(今朝食べたものなど)
-歌
内容はその日によって曜日や月を覚える歌、ナーサリーライムなど
-アルファベット
A~Zまで音の名前を覚えたり、順番に並べるようなゲーム
-ゲーム
動物を素材にしたゲーム
-ストーリーテリング
替え歌にした「ももたろう♪」を英語で歌いました。身振り手振りをつけて、練習
-絵本
ALTの先生が絵本を読み聞かせ
-さようならの歌、挨拶

先生が前に立ち、生徒は通常の座席で聞いていますが、グループワークや列ごとに立って発表・発言するなど、生徒さん自身がアウトプットする場面は多くありました。

ちなみに1年生は英語を書く授業はありませんでした。基本はオールイングリッシュで、担任の先生もボランティアも、「クラスルームイングリッシュ」という決まった表現をなるべく使って、英語で授業を進めていきます。うまく伝わらないときは、ジェスチャーをしたり、イラストを描いたり、日本語でフォローしていました。

小学校1年生の英語習得状況は?

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筆者の肌感覚ですが、英語教室やご家庭で英語学習をすでにスタートされているお子さんは一定量います。

そのためレッスン中は、ALTの先生からの問いにも、英語が分かるお子さんが積極的に答えて、アルファベットを並べるようなワークも知っているお子さんが率先して行う姿も見られました。

ボランティアの保護者に求められることは、そういったお子さん以外の生徒をさりげなくフォローして、授業に参加できるような雰囲気を作ること。そして、ボランティア自身も楽しそうに元気いっぱい参加することで、英語の楽しさを分かち合うというようなものでした。

実際、ところどころ分からないことはあっても、毎回行う表現や歌などは、どの子も無理なく覚えていましたし、ネイティブ講師のレッスンスタイルに大笑いするなど、英語や海外が身近になった1年だったのではないかと思います。

わが子も気づいたら学校で習った英語の歌を歌っていたり、「〇〇って知ってる?」と英語表現について口にしたりと、アウトプットが多かったように感じます。

年に10回程度の英語レッスンがあった幼稚園時代には、ほとんどそういった行動は見られませんでした。そのため、週に1回授業があるというのは、それなりのインプットになるのだなと実感しました。

授業を通して感じた、そばにいる大人の参加意識の大切さ

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複数のクラスの授業に参加して、驚いたことがあります。同じレッスン内容でも、ティームティーチングをしている担任の先生次第で生徒さんの反応が全く変わるという点でした。

同じ歌でも担任の先生が大きな声で歌うクラスは生徒さんも声が大きく、ゲームで先生が恥ずかしいくらいに飛び跳ねているクラスは、生徒さんもノリがいいのです。そこから筆者自身、ボランティアとして最大の貢献は、生徒さんに交じって、楽しむことだ!と思い、分かりやすくオーバーなくらいに表現することを心がけました。

今、ちまたには英語の教材やクラスがあふれていますが、それらを取り入れる以外にもできることはあるなと思いました。外国人の方に会ったり、英語を使うチャンスが訪れたりしたとき、身近な大人がどんな態度をとるかも、子どもには影響するのだと感じています。

ネイティブ講師の授業に学ぶ「Let me try?」の姿勢

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milatas / Shutterstock.com
最後に、英語ボランティアを体験した筆者が授業で感動したネイティブ講師の言葉をご紹介します。

それは、「Let me try?」と「Nice try」です。

日本の授業では、「〇〇(の答え)が分かる人~?」という投げかけが一般的ですよね。

正解があり、そこに向かって全体を連れて行くという考え方です。正解があるということは、正解以外は間違った答えということになります。そのため、子どもの発言に対しても、「よくできました」「残念」「おしい」という投げかけをしていくことになります。

一方、英語レッスンでネイティブの先生が生徒に繰り返し投げかけていたのは、「Let me try?」と手を挙げさせることです。答えが合っていても、間違っていてもいいから、「やってみたい人~?」というようなイメージでしょうか。

そして、間違った答えをしても、先生が使うのは「Nice try!」という言葉です。「やったね、いいね!」「すごい!チャレンジ!」という意味合いでしょうか。

とんちんかんな答えをしても「Nice」と笑顔で言われるので、なんだこの状態は?!と最初困惑する生徒さんがたくさんいました(笑)。

そんなひとつひとつの投げかけ自体がネイティブ講師が授業をする意味なのではないかと感じました。

個人的な感想を含め、地元小学校での英語レッスンボランティア体験についてご紹介しました。参考になれば幸いです。

\ 手軽な親子のふれあい時間を提案中 /

この記事のライター

福岡すみれ
福岡すみれ

東京都在住、3人のやんちゃな男の子のママです。外遊びが大好きな息子たちと日々いろいろな公園を巡りつつ、3度の食事(とおやつとお酒)を何よりも楽しみに過ごしています。