待機児童が多く、入園するのが難しいともいわれる認可保育園。しかし入園したあとに、さまざまな理由で転園を希望する家庭も少なくありません。どのような理由で転園を考える家庭が多いのでしょうか?転園したい場合の手続きの方法や、段取りの進め方についてもご紹介します。
保育園は転園することができる?
基本的には、保育園は転園することも可能です。ただし、入園を希望している保育園に空きがあることが条件。場合によっては空きがなく、年度内は転入先の保育園が見つからないこともあるでしょう。
転園を申請した際は、自治体による審査があります。「その自治体にどのくらいの期間住んでいるのか」という点が考慮されるケースも多いもの。引っ越し予定がすでに決まっている場合は、自治体に連絡を入れ、住民票を移す前でも申請書類を提出できるかどうか相談してみてください。
引っ越し先で転入可能な保育園が見つからない場合は、その地域の認可外保育園や小規模園への転入も検討する必要があります。認可外保育園へ転入を希望する際、直接施設と保護者でやり取りを行うことになりますが、受け入れられる可能性が高い点は魅力です。
最近では、延長保育を行っている幼稚園も増えています。そういった延長保育の利用も視野に入れ、場合によっては、幼稚園を探す必要があるかもしれません。
保育園を転園する理由とは?
家庭状況の変更など個人的な理由や、転勤による急な引っ越し、勤務先の就労時間が変化したことなど仕事の都合によって、通園が困難になってしまうケースは珍しくありません。認可外保育園に通園できるのが2歳までという年齢の条件面で、転園せざるを得ない状況になる場合もあります。
・園への不満・不安がつのるケース
入園前の面接時などで確認したはずでも、実際に通園させてみると保育園の教育方針が家庭の考え方と合わず、不満がつのることもしばしば。また保育園でのトラブルに巻き込まれてしまい、それ以上通園させると子どもや家庭にとって大きな負担になることが予想され、転園を希望するケースもあります。
上記以外にも、これまでは近くに保育園がなく苦労しながら通園していたけれど、近くに保育園が新設され、そちらへ転園したいということもあるでしょう。保育園を転園するときの理由は、家庭によってさまざまに異なります。
転園ができる時期はいつごろ?
転園を希望する前月の10日が申し込み期限、入園内定の決定は入園前月の20日ごろになるのが一般的です。たとえば、7月に新しい保育園に転園したいなら、6月10日までに申請し、6月20日ごろに通知がくるという流れになるでしょう。
年度内での転園は、通常5月~翌年2月のみで行われ、3月は受付をしていないケースがほとんど。各自治体によって転園の流れや申込み期限などは異なるため、自治体の情報は忘れず確認してください。
都市部では待機児童が多さが問題にもなっているように、年度の途中で転園することは非常に厳しい状況です。途中入園は無理でも、4月の年度初めの入園のほうが入園できる可能性が高い場合もあります。
保育園の転園の手続き
転園にかかる費用
経済的な面を考えるのであれば、現在通園している保育園の保育料の払い戻しについては早めに確認しておくこと。負担を少しでも軽くすることができるかもしれません。
手続きの流れ
申請する際は、窓口に出向いて行うケースが大半。自治体によっては郵送で受付しているケースもありますが、窓口に出向いて申請するほうが、書類に不備がないか確認してもらえて安心です。
必要書類
・保育所入所、転園等申込書兼保育の必要性の認定にかかわる申請書
・就労証明書、就労予定証明書
・就労状況申告書(自営業の場合)
・入園・転園・あっせんに関する確認票
・子どもの健康状況申告書
・夫婦の年間給与証明書・年間収入申告書
自治体や家庭の状況によって必要な書類は異なるため、事前の確認は不可欠。不備の無いように準備しましょう。
前述したように、転園の申請は前月の10日までに行い、内定決定は前月の20日ごろになるケースが大半。転園が決まったら、すでに通っている保育園の退園手続きが必要になります。保育園に退園の旨を申し出て退園届けを受け取り、退園する予定月の翌月1日までに保育園に提出します。
お世話になった保育園への挨拶
お世話になった保育園の先生へ、何かお礼をしたいと考えるパパママも少なくないはず。しかし個人的なプレゼントは受け取れないという保育園も多く、先生方で分けられるような菓子折などを準備しておくのがベターです。お世話になった担任の先生に何かしたいという場合は、感謝の気持ちを自分の言葉で綴った手紙に、子どもの写真を入れたものを渡すくらいが良いでしょう。
子どもの友だちやママ友とは、育児で心配なことがあった場合に相談できるよう、写真や連絡先の交換をしておくことをおすすめします。
転園は子どもにとってもストレスになる
これまでは登園時にパパママと離れても泣かなかった子どもでも、新しい保育園に通うようになってから毎日泣くようになったというケースもよくあります。特に登園初日や慣らし保育の期間は、子どもの変化が大きくでる時期。子どもの思いをしっかりと受け止めてあげることが大切です。
子どもが新しい保育園で楽しく過ごすために
少しでも早く、新しい保育園で楽しく過ごせるよう、保護者として適切な接し方のポイントを押さえておきましょう。
前向きな言葉で説明する
特に4歳以降の子どもは、社会性が身につき、今までのお友だちと会えない寂しさを1人で抱えることも。保育園の転園を説明する際は、そのぶんお友だちが増えること、これまでのお友だちに会えなくなるわけではないということを話します。できるだけポジティブな言葉で説明し、子どもが悲しい気持ちにならないよう気を配ってください。
園の先生に相談する
保育園の先生はこれまでも転入・転出する子どもや家庭と接した経験があるため、的確な回答がもらえるはずです。
一度転園した保育園に出戻りで戻ることはできる?
定員に空きがあれば対応してもらえる可能性もあるため、どうしてもという家庭は自治体に問い合わせてみましょう。仕事の都合などで以前の自治体へ戻るといった場合なら、再度転入の申請を出してもとの保育園へ戻ることも大抵は可能です。
転園は親子で乗り切りましょう
ただし環境への適応能力は、大人より子どものほうが優れていることも多くあります。あまり心配しすぎず、親子で一緒に乗り切るつもりで前向きに取り組んでみては。お子さんにとっての良い環境・良い場所を見つけてあげてくださいね。