日本では、長時間労働が問題になっていますが、日本は海外と比べて祝日の数が少ないのでしょうか。実は筆者が住むオーストラリアの方が、祝日は少ないのです。オーストラリアの休日の数と比較しながら、なぜ「日本の方が働き過ぎ」と思われるのかを考えます。
日本は休みが少ない国?多い国?
筆者はオーストラリア・パースに住んで4年半になります。オーストラリアに来て驚いたことの1つが「日本に比べて祝日が少ない!」ということ。
意外に思われるかもしれませんが、実は国が定める祝日の数では、日本の方がオーストラリアより6日ほど多いのです。
「日本とオーストラリアの祝日はどう違うか」、そして「日本の方が祝日が多いのに、なぜ働き過ぎといわれるのか」について、筆者の感じたことを紹介します。
日本ではどのくらい祝日がある?
国民の祝日について – 内閣府
2018年でいえば、土日と合わせて3連休以上になる週は、年間11週あります。また、祝日がない月は6月のみです。
さらに日本の場合、多くの会社には年末年始の1週間程度と、8月13日~15日のお盆の時期に休業する習慣もあります。
オーストラリアの休みはいつ?何日ある?
たとえば、筆者が住む、西オーストラリア州の2018年の公休日は、以下のようになります。
・New Year’s Day(1月1日(月))
・Australia Day(1月26日(金))
・Labour Day(3月5日(月))
・Good Friday(3月30日(金))
・Easter Monday(4月2日(月))
・ANZAC Day(4月25日(水))
・Western Australia Day(6月4日(月))
・Queen’s Birthday(9月24日(月))
・Christmas Day(12月25日(火))
・Boxing Day(12月26日(水))
週末と合わせて3連休以上となる週末は、6週。Good Friday から土日を挟んでEaster Monday は、「イースター」の4連休となり、公休日としては一年で最も大型の連休になります。
公休日がない月は6回あります。
また、こちらには「お盆休み」という習慣がないため、6月のWestern Australia Dayが終わると、9月のQueen’s Birthdayまで、 7月8月はまったく休みがありません。
そして9月が過ぎると、次の休日はクリスマスです。
こうして比べてみると、実は日本の方が休みが多い、ということがよくわかりますね。
オーストラリアと日本の「有給休暇」の違い
それなのに、「日本の方が休みが少ない」というイメージがあるのはなぜだろう?と考えました。
ひとつは、オーストラリアの有給休暇制度にあるのかもしれません。
オーストラリアの法律によれば、フルタイムの契約をしている労働者には、年間4週間分の有給休暇(Annual leave)が与えられます(週5日勤務の場合、年間20日分に相当)。使用しなかった有給休暇は、以降の年へ繰り越されます。
また、有給休暇とは別に、有給の個人休暇(Paid sick and carer's leave)が法律で定められています。本人が病気やけがで出勤できない場合のほか、病気やけがの家族を看病しなければならない場合も使え、年間10日取得できます。
日本の法律では、6カ月継続勤務した後、10日の有給休暇が与えられます。その後勤続年数により増え、最大で年間20日です。
これ以外に、「病欠」(無給)や「就学前の子の看護休暇制度」(有給無給の規定なし)があるものの、有給休暇があればそちらを使うのが一般的。自分や子どもが病気になったときのために有給休暇を使わねばならず、旅行や休暇として楽しむために使う余裕がない、という人も多いのではないでしょうか。
また、「職場に遠慮して、有給休暇を取りづらい」という感覚も、日本では根強いのでは。
一方オーストラリアでは、有給休暇は労働者が仕事を休み、リフレッシュするために使うもの、と認知されています。多くの人は、2週間くらいのまとまったホリデーを計画し、旅行に行くために有給休暇を使う習慣があります。
最後に
たとえばクリスマスなどの公休日には、お店の営業を禁じる法律もあります。休みの日なのにどこも店じまいしている様子を見て、日本からの旅行者は驚くでしょう。しかし、労働者が「休む」ために、政府がこのような規制をしています。
また、日本の学校では、長期休暇中でも職員室にはたいてい先生がいますが、オーストラリアでは、スクールホリデーの間、学校は完全に無人になります。その間、学校に連絡を取ることすらできません。
日本の保護者なら怒ってしまいそうですね。しかしこちらでは、学校で働く人の「休む」権利が、当然のこととして受け入れられています。
「休み日数」よりも、「仕事を離れて休むことの大切さ」を認める社会かどうかの方が、重要なのかもしれませんね。